少年少女の戦極時代Ⅱ
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禁断の果実編
第109話 救出作戦 ②
「何でこんな時にっ」
「車を守れ! ここで立ち往生するわけにはいかない!」
戒斗と紘汰、それに運転席から降りた凰蓮と城乃内が、それぞれのロックシードを開錠した。
咲もまた、ドラゴンフルーツの錠前を開錠し、ドライバーにセットした。
「変身!」
《 ドラゴンフルーツアームズ Bomb Voyage 》
炎の形の果実が落ち、咲を月花へと変える。変身を終えた月花は即座にカッティングブレードを3回叩いた。
《 ドラゴンフルーツスパーキング 》
巨大DFボムを頭上に持ち上げる。
『と、っとと……こん、のぉ!』
月花はふらつきながらも、巨大DFボムをインベスの群れの一角に投げ入れることに成功した。インベスが数体まとめて爆散した。
続いて、月花はカッティングブレードを2回叩き落とした。
《 ドラゴンフルーツオーレ 》
少し大きめのDFボムが数個、宙に浮く。月花はそれらを、DFロッドで次々に、ビルの上にいるインベスへと打って飛ばした。
『ここはワテクシたちが足止めするわ。早くお行きな――さい!』
ブラーボがドリノコでインベスの一体を弾き飛ばした。
『たった二人でどうするつもりだ!』
『まあ任せとけって。この程度の修羅場、もう慣れっこさ!』
グリドンも賛同し、ドンカチでインベスを殴りつけた。
『でも…!』
『葛葉!』
バロンが否応なく鎧武を引きずってカーゴ車に戻ったので、月花も続いた。ザックたちもまた車内に乗り込んだ。運転席には湊が乗った。
ブラーボとグリドンが道を開けた隙に、カーゴ車は発車した。
着いたその場所は、四角い建物だった。草ぼうぼうの中にぽつんとある、浄水場のような、電波基地局のような。
凌馬のしたことなのに、つい感心していた咲だったが、紘汰の声で我に返った。
「なあ。ここでシャルモンのおっさんたちが来るのを待ったほうがいいんじゃないか?」
「悠長なこと言ってる場合か。先を急ぐぞ」
後ろから戦極凌馬がねっとりした声で言う。
「そもそもあの二人が無事だって保証は、どこにもないだろう?」
それを聞いて、咲は、子供ながらの全力で凌馬の向う脛を蹴ろうとした。
だがその前に戒斗が来て、凌馬を、殴った。
これには咲や紘汰はもちろん、見ていたザックと湊もぽかんとしている。
凌馬は受身も取れず無様に地面に転がった。自分の口元を押さえ、切れて出た血を呆然と眺めている。
「これからは無駄口叩く前に、殴られる覚悟しておけ」
戒斗はコートを翻し、一番にドアに手をかけた。
咲は凌馬をふり返った。殴られたのに、なおも笑っている凌馬は、暑さを忘れるほどに不気味だった。
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