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鎧虫戦記-バグレイダース-

作者:
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第4話 旅行に行くなら暑い国と寒い国、どっち派?

 
前書き
どうも蛹です。
今回は迅さんに"鎧人"と"鎧虫"と"侵略虫"について語ってもらいます。
ちなみに “ ”は注目語句 " "は重要語句ということを表しています。    
それを知っていると余計面白いかも?

それでは第4話、始まります!! 

 
「ふあぁ~~‥‥オレは3日も寝てたってのか?」
「あ、迅。3日前のオレと同じこと言ってる」
「とにかく元気になってよかったね~~」
「まだ完治には至ってないけどな」

現在 午後10時52分 良い子はとっくに就寝中だ。
迅とアスラとマリーは、小部屋で話をしていた。

「で!師匠に何の用だい、アスラ?」

迅はとぼけているようだがおそらく‥‥‥‥

「わかってんだろ?迅‥‥‥あの鎧みたいなやつのことだよ」

その時、迅の周りの空気が一瞬変わったような気がした。

「だろうなぁ。絶対聞かれると思ってたよ。だが、この話を聞くと
 オレ達は旅に出ないといけなくなるんだ‥‥‥それでもいいのか?」

アスラは少し考えた。マリーはその様子を見守っていた。

「‥‥‥それは6人全員か?」

迅はすぐに答えた。

「‥‥そうだ」

「‥‥‥う~~~~~ん‥‥‥」

アスラは再び考え始めた。しかし意外と早く答えを出した。

「決めた! オレ行くよ!!」

迅は少し驚いた表情だった。 マリーも固まっていた。

「おじさんおばさんの話は聞かないのかい?」

迅に聞かれたので、アスラは即答した。

「‥‥頑張って納得させる!」
「‥‥‥‥プッ‥‥ははははははははははははははは!!」

それを聞いて迅とマリーは笑い始めた。
アスラはそれを理解できずにいた。

「はははは‥‥‥‥ふぅ。ホークアイはともかく
 あの2人を説得できるかな?」
「う‥‥‥それは後で考えるよ」

それを聞いて、またもや2人は笑い出した。

「何で笑うんだよぉ。一体、何が面白いんだ?」
「はっはっは。いや~~多分無理だよ お前には」
「そうだよ。普段あの2人には頭が上がらないのに
 説得だなんて‥‥あはははは!」

アスラは叫んだ。

「だって迅が6人で旅に出ることになるって言ったんじゃんかよ!!
 そうしないとアレについて聞かせてくれないんだろ!!」

迅は腹を押さえながら言った。
 
「はははは‥‥イテテ、傷が開く‥‥。 わかったよ。その件はオレが何とかしてやるよ」
「‥‥‥はぁぁッ!!?お前が出した条件だろ、迅!」 

迅は大きく深呼吸をしてから言った。

「始めから2人はオレが交渉する気だったんだよ。でも
 お前がそうまでしてアレについて聞こうとするなんてなぁ
 ‥‥‥そんなに気になるのか?」
「そりゃあ、あんなよく分かんないのになっちまったら気になるだろ!」
「だよなぁ~~~~~」

迅は息を整えた。そして落ち着いた声で言った。

「分かった。それなら話そう」

迅は周りを配慮しているのか小さな声で話し始めた。

「まずあれは鎧じゃないんだ。2人もよく知ってる奴ももってるよ」
「も、もしかしてあれは"鎧骨格"とでも言いたいのかよ!」
「その通り!」

迅はアスラを指さした。

「えぇ~~~~~!嘘だろ!?もしかしてオレ"鎧虫"になっちまうのかよ!!
 いやだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~~~~~!!!」
「アスラがあんなのになるなんて私もやだぁぁぁぁ~~~~~~!」

2人は大混乱に陥った。迅は慌てて修正した。

「落ち着け落ち着け。別にアスラがでっかくなって
 "鎧虫"になるわけじゃないよ
 それに今 夜中だからもう少し静かにな」
「えっ、そうなのか?」
「良かったぁ~~~」
『は‥‥話が進まない‥‥‥』 

迅は大きく咳払いをした。

「とにかく3日前にアスラが使ったあれは
 "侵略虫"に打ち勝つための力なのさ」
 
マリーはそれを聞いて1つ分からないことが浮かんだ。

「でもアスラは普通の人間だよ?それなのにどうして
 あんな変なのになっちゃったの??」
「あれは"瞬間的鎧骨格換装兼体細胞管制システム"によって
 アスラの身体が"侵略虫"や"鎧虫"との戦闘に
 特化した形態に変身した姿さ。
 6日前の夕食に何か固い物が入ってなかったか?」
「‥‥‥‥あ」

確認したい人は第1話へ。

「あの固かったのがその‥‥‥‥なんたらシステムなのか?」
「下手に言われるよりはナイスな判断だな。そして違う。
 それはあくまでただの"種"だ」
「じゃあ一体何が原因なんだよ!!」

アスラはそろそろ迅の遠回し発言に限界がきているようだ。

「まぁ話を最後まで聞け。"種"は生物に吸収されて
 初めてその性能を発揮するのさ。
 それまではただの絶対破壊不可能な"種"さ」

今何かすごいことを聞いたような気がしたが
あえて聞かなかったことにする。

「2人とも"鎧虫"の弱点部分で何が起こっているか知ってるかい?」
「‥‥‥‥さぁ? マリちゃん知ってる?」
「私も知らない。ねぇ迅さん、そこでは何が起きてるの?」

一呼吸おいて迅は言った。

「あれは"増殖器官"といって外界からの自然エネルギーを吸収して
 それを数十倍にして放出するある微生物が大量に棲み付いている器官さ。
 そのエネルギーが物理的に不可能な虫の巨大化を可能にしてるんだ。
 虫は通常、巨大化すると自重さえ支えられなくなってしまうが
 "増殖器官"で生産される莫大なエネルギーによって自重をはるかに上回る
 ものすごいパワーを発揮しているおかげで"鎧虫"は動き回っている、ということさ」
「だから、そこがやられると弱っちゃうんだね‥‥‥‥なんかかわいそう」
「"侵略虫"もそれであんなに強いんだな‥‥‥」

部屋が静かになった。しかし、アスラは思い出した。

「ていうか、オレが変身したっていう話から逸れてるッ!!」
「あ‥‥‥そうだったな。すっかり忘れてた」
 
迅は話を元に戻した。

「さっきの話で出た微生物だが、そいつらは
 "増殖器官"の細胞内でしか生きられないんだ 
 それは "増殖器官"には‥‥‥‥あれ?」
 
アスラは目がうつろになっていた。マリーはもうほとんど寝ていた。 

『難しい話をしすぎたかな‥‥‥?』

時計を見るともう12時半を過ぎていた。

「まぁ、超わかりやすく説明するとだな‥‥‥‥‥‥」

とりあえず、迅は眠そうな二人の為に
話を簡略化して説明を続けた。



    **********



ー翌朝ー

「てめえら3日前はよくも!あいつらは俺の親友だったんだぞ!!」

ハエのような姿の"侵略虫"が
アスラに襲い掛かってきた。

「丁度いい、"鎧人"の能力をみせてやるぜ!」 

アスラは腹に手を当てた。
彼の身体が少し光りだした。

「ぬかせぇ!」

 ブンッ!

ハエ型"侵略虫"は拳を突き出した。


ー回想ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「とその前に。 アスラ、どっかに何か変なのができてないか?」
「ああ‥‥むにゃ‥‥‥もしかしてこれの事か?」

アスラは服をめくり上げた。そこにはあるはずのものがなかった。

「‥‥はは、よりによってへその上かぁ」
「本当だぁおへそに何かできてるぅ ふふふ」

へその上に何かビー玉みたいな物があった。

「それが変身のスイッチみたいな物だ。
 ‥‥‥なんか仮面ラ〇ダーみたいだな」
「? 何だ、その仮面ラ〇ダーって?」
「何なの迅さん?」
「‥‥‥‥‥‥何だろな?」 

こんな時代に仮面ラ〇ダーがやっているわけがない。
迅は自分が何故こんなことを言ったのかわからなかった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ダンッ クルクルクル

アスラは体をひねりながら4m程ジャンプした。


ー再び回想ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 

「"鎧骨格"は別の次元に瞬間移動できるんだ」
「‥‥‥えぇ!?瞬間移動!!?」

2人は驚いた。それで目も完全に覚めてしまった。 

「"種"が吸収されるとその生物のDNAをいじくりまわして
 身体の構造を大きく変えてしまうんだ。
 だから"侵略虫"並の身体能力を得るし
 別次元に細胞分裂で"鎧骨格"を生み出せるようにもなるんだ。
 出来上がったら、身体にさっき言ったみたいな
 "起動装置"が生成されるんだ。 
 それまでの間、急激な身体の変化に体調を崩してしまうのさ」
「あれもその"種"が原因だったのかよ! 
 どうりで今まで味わったことがない辛さだったのかぁ」
「私がアスラの看病ずーっとしてたんだよ。お礼は?」
「ありがとな、マリちゃん」
「えへへ どういたしまして♪」

ラブラブだなぁ~~~~と迅は思った。
そして、話を続けた。

「できた"鎧骨格"は別次元で常にその生物と同じ動きをしていて
 どのような体勢でも換装できるようにしてあるんだ。
 だから、次に敵が来たら試してみるといいさ」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 

 ガシャシャン!!

猛スピードでアスラの身体に"鎧骨格"が換装された。
そして一瞬でハエ型"侵略虫"に近づいた。

「嘘だろ!いつの間にッ!?」


ー三度回想ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「あぁ、アスラ!最後に一つだけ」
「‥‥‥‥‥‥ん?」 

マリーは先に自分の部屋に戻っていた。
しかし、アスラは迅に止められた。

「なんだよ‥‥もうオレ眠くて明日には忘れてるかも‥‥ふわぁぁ~~」
「いや、本当にすぐ済むから」
「‥‥なら‥‥‥」

迅は真顔でアスラに言った。

「"鎧虫"や"侵略虫"には"増殖器官"が点在してるが
 "鎧人"には1つもない‥‥‥‥なんでだと思う?」
「‥‥‥う~~ん‥‥」

もうほとんどアスラは寝ていた。仕方ないので迅は答えた。

「‥‥‥全身が"増殖器官"だからさ」
「え‥‥‥!!?」

アスラはそれを聞いて眠気が空の果てまで吹っ飛んでいった。

「だから少なくともこれから現れるザコ共に
 アスラは絶対に負けない‥‥‥‥‥自信持って戦えよ」
  
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

アスラは"日本刀"を引き抜き‥‥‥‥

 ザクククククッッ!

ハエ型"侵略虫"を6個に斬り分けた。

「つ‥‥強すぎる‥‥‥ガハッ‥‥‥」

ハエ型"侵略虫"は息絶えた。
アスラも"鎧骨格"の換装を解いた。

「まったく引っ越す準備してんだから邪魔すんじゃねーよ」
「アスラぁ~~!用意できたってよ~~~」

マリーが大きなバックを背負って出てきた。

「やっと修理し終えたのにな‥‥‥‥」
「掃除も昨日終わったのよ!」
「すいません‥‥‥‥」

ハロルドとクレアの愚痴に
迅は大きく頭を下げた。

「でもまぁアスラと迅さんだけで旅に出ちゃったら私達が危険だって
 心配してくれてるんならしかたないわね‥‥‥」
「そうだな‥‥」

どうやら迅は2人を説得できたようだ。

「でも今からどこに向かうんだよ」

すでに納得しているホークアイは迅に聞いた。

「ん? ロシアだよ?」
「ロ、ロシアアアァァァァァァァァァァッ!!?」

5人は海の向こうまで届くような大声で叫んだ。 
 

 
後書き
ついに旅立つアスラ達6人。
しかしいきなりロシアって‥‥‥何故?
あの寒デカい国にどういう理由で向かうのか?
長くなってしまいすいませんが読んでくれた方に大感謝です!

次回 第5話 旅行先は大抵親が先に決めているものだ お楽しみに!
 
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