ロックマンX~朱の戦士~
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第八十話 Highmax
前書き
光弾を受けたルイン。
彼女の運命は?
自分を庇って光弾に飲み込まれた彼女にヴォルファングは目を見開き、光弾を放ったレプリロイドに視線を向けた。
ヴォルファング「ハイマックス…貴様あ!!」
卑怯にも不意打ちを仕掛けたゲイトの最高傑作にヴォルファングは憤りの表情を浮かべ、吠えた。
しかしハイマックスはヴォルファングなど眼中にないのか、ルインのいた方を見遣る。
煙が晴れると、声が聞こえた。
ルイン「エ、イリ…ア…」
エイリア『ルイン!!大丈夫なの?ルイン!!』
ルイン「大、丈…夫……ヴォルファン、グ…をハンター、ベース…に」
エイリア『でも…!!』
ルイン「早く…!!」
エイリア『っ…分かったわ!!』
ヴォルファングが転送の光に包まれ、消えた。
煙が完全に消えると、ハイマックスの攻撃はルインの命こそ奪えなかったが、彼女に瀕死の重傷を負わせていた。
アーマーは砕け散り、至る箇所で火花が発生している。
内部損傷も激しいのか目が霞み、ノイズが絶え間なく鳴り響く。
立っているだけで全身が悲鳴を上げ、痙攣は一向に治まる気配を見せない。
ハイマックス「イレギュラーハンター・ルイン、ゲイト様の命令だ。お前を捕獲する。」
ルイン「ふ…ふふ、勝手に決めないでよね…捕獲なんかされてたまるもんか…」
震える身体を叱咤し、アルティメットセイバーを構える。
セイバーの出力はダメージにより、本来の10分の1にも満たない。
ルイン「うわああああ!!」
加速装置を使い、強引に前進し、セイバーで斬り掛かるルインだが、ハイマックスには効かない。
ハイマックスは彼女に拳を叩き込む。
吹き飛ばされた彼女は地面に叩きつけられては跳ね上がり、バウンドを数回繰り返したところで壁に叩きつけられる。
動力炉を破壊せず、原形さえ留めていればゲイトならどうにでも出来る。
意識を失ったルインを回収しようとした瞬間であった。
司令塔であるヴォルファングが北極エリアから消えたことで暴走したナイトメアが雪崩れ込む。
ハイマックス「チッ…」
ハイマックスは舌打ちすると、光弾をナイトメアに放つ。
しかしナイトメアは構わず、ルインに急接近するとコードがルインの両手に絡みつき、コネクターが露出した内部機関に突き刺される。
接続箇所を入口に、ナイトメアは溶け込むようにしてルインと融合する。
ルイン「う…ああああ……!!」
頭を割らんばかりの頭痛がルインを襲う。
ナイトメアにより、メインプログラムに異常を感じる。
目の前が崩れていくのを感じた。
赤や紫、緑などの色が融合し、アイカメラが故障した際に生じる砂嵐のような映像が視界一杯に広がる。
次に聴覚を麻痺させるかのような耳鳴りが起きると同時に誰かの声が聞こえた。
『僕に従え!!この世の下等なレプリロイドよ!!僕の下に服従するんだ!!』
ルイン「ゲ、ゲイト…嫌…いやあ……」
自分を洗脳しようとする声にルインは必死に抵抗しようとする。
しかし、映像は続く。
ゲイト『今まで僕の研究を理解すら出来なかった奴らを…そう、この世の下等なレプリロイド達全てを!!僕の下に服従させるために!!出来る、出来るぞ!!レプリロイドだけの理想の世界…僕が全てを支配する素晴らしい世界が!!』
ルイン「や…めて…」
彼女の中から凄まじい破壊衝動が沸き上がり、意識が闇に堕ちた。
ルインは知らないが、元々ナイトメアウィルスはロボット破壊プログラムを元にしたウィルスプログラムである。
シグマウィルスに近い特性を持っていても何ら不思議ではない。
そう、例えばナイトメアウィルスを逆に吸収し、己のエネルギーに転換出来たとしても不思議ではない。
ハイマックスは有り得ない現象を見た。
ナイトメアに寄生されたルインがナイトメアを逆に吸収し、ダメージが回復し、失われた部位が再生し、更にヴォルファングとナイトメアとの戦いで消費したはずのエネルギーまで回復していた。
ルイン「我は…」
ハイマックス「貴様…何者だ?」
ルイン「我はメシアなり!!ハーッハッハッハ!!」
高笑いしながらセイバーを抜いて凄まじい勢いでハイマックスに向かうルイン。
ハイマックスはセイバーによる一撃を片腕で防御し、薙ぎ払う。
ルインは勢いよく吹き飛ばされるが、直ぐさま体勢を整える。
ルイン「ほう?中々頑丈だな…試し斬りしがいがありそうだ……」
舌なめずりしながらハイマックスを見つめる彼女。
上等な獲物を発見した肉食獣のような壮絶な笑みを浮かべていた。
バスターを放ち、弾かれたが、ルインはハイマックスの一瞬の変化を見逃さなかった。
バスターが弾かれた時、僅かにハイマックスの身体の表面を覆う膜のような物が消えた。
ルイン「なるほどな…」
ハイマックスの異常な防御力の秘密を理解したルインは更に笑みを深めた。
ハイマックス「デスボール」
光弾を放ち、ルインに喰らわせようとするが、それをセイバーで容易く切り裂き、ハイマックスに接近し、チャージナックルを喰らわせた。
ハイマックス「無駄だ。貴様の攻撃など…」
ルイン「はあっ!!」
ハイマックス「ぐはっ!?」
チャージナックルからのチャージセイバーを一瞬の間に喰らったハイマックスは胴体に深い傷を負わせられた。
ルイン「貴様の防御力は大した物だが、弱点さえ分かれば大したことではない…消えろ、アースクラッシュ!!」
ゴミを見るような目でハイマックスを見遣るルインはオーバードライブを発動し、攻撃力を底上げすると、ハイマックスにアースクラッシュの連撃を浴びせた。
ハイマックス「ば、馬鹿な…」
ルイン「弱いな…貴様……」
全身から煙を噴き出し、ショートしているハイマックスを嘲笑うルインに何処からパチパチと拍手が聞こえた。
そちらに向くとアイゾックが拍手を送っていた。
アイゾック「まさかここまでとは…素晴らしい…素晴らしいぞルイン!我が最高傑作にも劣らぬ性能じゃ!!」
ルイン「貴様は…」
セイバーを向けようとした瞬間。
意識が霞んでいく。
ルインの人格が現れた。
ルイン「あなたは…」
アイゾック「どうやら元に戻ったようじゃな。もう少し奴と話がしたかったのじゃが残念じゃ」
笑みを零しながら言うアイゾックにルインはイレギュラー化への恐怖を振り払うように口を開いた。
ルイン「アイゾック、いえワイリー博士と呼んだ方が?」
アイゾック「……何故、わしの名を?」
ルイン「私にも独自の情報網があるんですよ。ワイリー博士。あなたの狙いは何ですか?ゼロを探すにしては少しやり方がえげつないですよ?ゼロの形をしたナイトメアもあなたの仕業でしょう?」
多少前世の記憶を取り戻したルインは目の前の人物がアルバート・W・ワイリー本人だということを知っていた。
アイゾック「どうやって調べたのかは分からんが大したものじゃ。いいものを見せてもらった礼に少しだけ情報を与えてやろう。わしは確かにアルバート・W・ワイリーじゃ。奴に協力し、ゼロのDNAデータを手に入れ、ゼロに異変がないかを調べるためにな。ハイマックスは…ゼロの力が衰えていないかをテストするためじゃ。ついでにゼロと同じ反応を持つお前の実力を知ることが出来ればと考えたんじゃが予想以上じゃった。お前はナイトメアウィルスによる強化があったとはいえ、あのエックスですら傷を付けられなかったハイマックスすら容易く打ち破った。そしてゼロナイトメアはレプリロイドの洗脳をテストするモルモットを集める大義名分のために生み出した“玩具”じゃよ。ついでに“玩具”を使ってゼロ達をおびき寄せられたら…などと考えた」
ルイン「成る程ね!!」
チャージショットをアイゾックに向けて放つが、膜のようなバリアに弾かれた。
ルイン「!?」
アイゾック「無駄じゃ、お前ではわしに傷を負わせることは出来ん。」
ルイン「…………」
アイゾック「わしにはお前を葬ることなど赤子の手を捻るのと同じくらいたやすい。じゃが、わしとしても息子に似たロボット…いや、今の時代で言えばレプリロイドか…お前の命を奪いたいとは思わん。今はハイマックスを回収することが先じゃ。また会おう。」
ルイン「くっ…」
アイゾックはそう言い残し、空間を歪め、ハイマックスを連れて消滅した。
悔しそうにアイゾックのいた場所を睨むルイン。
空間に穴が開く程に睨みつけていた。
後書き
ナイトメアウィルスって、ゼロのDNAデータから造られたからロボット破壊プログラムで合っている…はず
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