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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第二話 腹違いの妹!?有り得るから怖い!その三

「それもかなり」
「そうですか、シェフも喜びます」
「凄い腕のいい人なんですね」
「最高の技術で以て最高の厨房の中で最高の素材を使っていますので」
「だからですか」
「メニュー自体は普通ですね」
「はい、それは」
 言ってしまえばその通りだ、僕もついこの前自分で作って食べたものだ。けれどその同じメニューもでもだ。
「味が全然違います」
「同じメニューでもです」
「職人さんの腕と場所と素材で、ですか」
「味が変わるのです」
「ここまでなんですね」
「そうです、、これから義和様と詩織様には」
「この食事をですか」
「毎日召し上がって頂けます」
 そうだというのだ、しかも畑中さんはこうも言い加えた。
「尚食費の心配はございません」
「いいんですか、それは」
「詩織様もです、お家賃だけです」
「そうなんですね」
 詩織さんも驚いて畑中さんに言う。
「こんなに美味しいお食事が」
「朝晩とありますが幾ら召し上がられてもいいです」
「それにお金も」
「食費はいりません」
「どうしてそこまでなんですか?」
「それがこの荘の決まりなので」
 八条荘のそれだというのだ。
「勿論家主の義和様からはいただきません」
「それはお給料とは関係ないんですね」
「全く。全てご本家が賄って下さいます」
「ご本家凄いですね」
 棒は素直にこう思った、ちょっと凄いなんてものじゃないと思うけれど。
「そこまでしてくれるなんて」
「いえいえ、八条家から見ればこの程度は」
「何でもないんですか」
「そうです、義和様のご年収も」
 普通にしていて五百万のそれもというのだ。
「少な過ぎる程なので」
「五百万が少ないですか」
「止様は年収十億を超えておられましたが」
「そりゃ親父はブラックジャックですから」
 凄腕の外科医だ、しかもその要求する額は天文学的だった。
「あの親父だとそれ位は」
「その止様と比べれば」
「あの親父そのお金で相当に遊んでましたから」
 だから引っ掛けた女の子の数が四千人もいるのだ、若しかして詩織さんの父親かとも思うと本当に頭にくる。
「それこそ」
「はい、この程度のことはお気になさらずに」
「お気にですか」
「何でしたら油田を一つ如何でしょうか」
「そんなのいいですから」
 また途方もない話だった、油田とか冗談じゃない。
「ご好意はこの八条荘のことだけで」
「左様ですか」
「はい、それでは」
「とにかく食費のことはですね」
「お気になさらずに」94
 畑中さんは田村さんにも答える。
「学業にお励み下さい」
「わかりました」
「じゃあこれを食べて歯を磨いて顔を洗って」
 僕は食べつつ朝のこれからの予定を話した。
「それから学校かな」
「シャワーもありますが」
「あっ、それはいいですから」
 シャワーは断った。
「部活の朝練で汗をかきますから」
「だからですね」
「そういうことで」
「わかりました、では今日から」
「あらためてですね」
「学園生活をお楽しみ下さい」
 畑中さんは僕にも詩織さんにもこう言ってくれた、そうしてだった。
 僕達は黒塗りのかなり見事な車の後部座席に乗って運転手さんが運転してくれるその車で登校した。そうしてだった。 
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