少年少女の戦極時代Ⅱ
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禁断の果実編
第101話 凌馬の帰還
ガレージに帰り着いた紘汰と咲は、ちょうど外にゴミ出しに出ていた舞と出くわした。
「紘汰? 咲ちゃん? どうしたの。何かあったの」
紘汰が覇気なく、ひび割れた戦極ドライバーとメロンの錠前を舞に差し出す。それらを受け取って、舞は目を見開いた。
「もしかして……貴虎さん……」
――咲たちがタワー正面玄関口に駆けつけた時、地面に突き立てられた翠の杖槍に、壊れたドライバーとロックシードが引っかけられて、曝されていた。
貴虎がどうなったかは分からない。だが、こんな物を見せられて彼の無事を楽観視できるほど、咲も幼くはなかった。
(こんなの、ヘキサにどう伝えればいいのよ!)
封印していた「泣き虫」が戻ってきそうなくらい、胸が痛かった。
次兄が敵に回っただけでもヘキサには辛いだろうに、その上、長兄が敵の――光実の手にかかったかもしれないなど。
「あいつが罪を重ねるってんなら、俺があいつを止める。俺たちが諦めたら、あいつは本当に独りぼっちになっちまう!」
「紘汰……」
「紘汰くん……」
そこに場違いな拍手の音が割り込んだ。
「いいねえ、熱い友情。実に感動的だ」
「戦極凌馬……!?」
ユグドラシルにいた凌馬とはずいぶんと趣が異なっていた。まるで南国に旅行に行って来た帰りのようにラフな服装だ。
「貴虎のことは実に残念だ。私も悲しみで胸が張り裂けそうだよ! ハッハッ」
「よくもぬけぬけと!!」
紘汰が凌馬に殴りかかった。だが凌馬はひらりと紘汰のパンチを躱し続け、挙句、紘汰に足払いをかけて転ばせた。
「ま。ちょっとだけなら相手をしていいよ。いいデータが取れそうだ」
紘汰が立ち上がり、オレンジの錠前を開錠してドライバーにセットした。
「変身!」
《 オレンジアームズ 花道・オン・ステージ 》《 ジンバーレモン ハハーッ 》
凌馬もまたレモンのエナジーロックシードを開錠し、いつのまにか装着していたベルトに嵌めた。
「変身」
《 レモンエナジーアームズ ファイト・パワー ファイト・パワー ファイ・ファイ・ファイ・ファイ ファ・ファ・ファ・ファ・ファイト 》
鎧武とデュークがソニックアローで切り結んだ。
『咲ちゃんは舞のそばに!』
「う、うん!」
言われた通り、咲は舞を庇う位置に立って、戦いを見守った。
鎧武とデュークが戦っていると、ガレージから騒ぎを聞きつけたらしいザックが出て来た。ザックはバックルにクルミの錠前をセットし、階段の最上段から飛び降りながら変身した。
2対1。これならいくら戦極凌馬でも苦戦――すると思ったのに。
(攻撃が、効いてない!? うそでしょ。いくらセーサクシャトッケンだからって限度あるでしょ!)
鎧武が弓の刀身にレモン色のエネルギーを撓め。
デュークはレモン色のソニックアローを番え。
大火力のレモン色は、ぶつかり合って相殺した。
デュークが笑いながら二度目のソニックアローを番えた時だった。
『あまり調子に乗るな』
いつのまにか、レモンエナジーアームズのバロンが、デュークの背後でソニックアローを番えていた。
鎧武が正面、ナックルが側面を固め、デュークを三方向から取り囲んだ。
デュークは変身を解いた。
凌馬は降参のポーズで3人を見回した。
「とりあえず話を聞いてもらえないかな。キミたちに提案があるんだ」
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