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『自分:第1章』

作者:零那
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『展示販売』

期間は5~7日間。
第一営業部の社員は優秀な人材ばっかり。
期間いっぱい、時間いっぱい、終始接客販売。

1日に決まった人数だけしか呼べん。
1人の買い物時間1時間にしても、最高10人。
1対1の接客販売やから招待客は時間ごとに区切る。

零那が居る第3は暇な時間も多かった。
そのせいかピリピリムード。
雑用はなんぼでもあった。
零那はソッチに移った。

展示販売期間だけは、寮の御姉様方に早く起こされた。
スーツ、ストッキング、ヘアセット、メイク...
似合わん。
無理矢理感がハンパない。


販売状況としては、客を呼んだ人が直接販売の交渉はしてない。
上の人間が話してる。
『押し売りではありません』と言いつつ威圧感半端ない。
粘着して攻め倒してる。
どう見ても聞いても押し売り。


客自らが購入意欲あるのはリピーターのみ。
マダムとかセレブとかヤクザ。
高級品は買えんって人はレザーの小物系を勧められる。
お金が無いって言えばローンを組まされる。
ヤバい空気感。
だいぶ押し売り。
何も買わずに出る人が居らん。


来てくれることになってるマサの兄貴、職員に、現状を伝えた。
トイレの個室で隠れてメールで。

マサの兄貴は、此の会社が今世間で有名な悪徳商法ちゃうか?って。

此処、テレビやラジオ無いし禁止。
外部の情報は解らん。

部長に、客に高校生2人がついてくるって事を話した。
展示会場に入らんかったら問題無いって、以外とすんなり。


時間になった。
マサの兄貴が、ユウとマサを連れて来た。
部長にお願いした。
先に少し話したいって。
会場横の休憩所で話せって。
見えん所行かれたら困るから?
疑うしか出来んなってる。


3人共、いろいろ調べてくれたらしい。
大阪本社は事実。
でも支社は松山と高松だけとか。
街頭調査が昔はタチ悪かったらしく、若い子はMJの事けっこう知ってたらしい。

デート商法に近いモノがあるのも事実。
招待した人が販売するワケじゃ無くて上が押し売りする形。
悪徳商法。
商品が偽物なら完全に詐欺。

大阪本社はボロが出よるらしいから辞めるなら今のうちって。


部長が呼びに来た。
零那が怒られん為に流れに沿って商品を見てくれた。

ん~...偽物には思えんのやけどなぁ。
素人やから解らんけど、でも、それなりに高級品やとは思える質の良さ...

マサの兄貴はホンマに欲しい感じで演技してくれてた。
大人の対応。

相手が押し売りの悪徳って知ってて...すごい...
部長も、他の客とは明らかに違う。
丁寧な接客や説明をしてる。


『デザインに拘りが強くて、価格に文句ないんですが...次回、好みのデザインが在ると期待して、今回は申し訳ないです。』

部長は他に勧めることなくアッサリ引いた。
あんなに押し売りしてた部長が...
兄貴、素晴らしい!!
感謝感謝!!!


職員が来る。
必ず売れって言われた。
安物でも良い。
必ずって。
此処で言う安物は最低価格40万。

接客は部長。
最初の案内と契約時だけ一緒だった。

職員は一見気弱な感じ。
部長は強引に勧める。
合間にわざとらしい笑顔で喋る。
職員は必死で拒否。
零那の仕事内容や仕事ぶりを見たかっただけやからって。
明らかに悪徳でした。
すみません。

職員には買わんで良いって言ってた。
簡単にローン組むバカもなかなか居らん思てた。

部長が本性出した。
『おまえどうせ買わんでええから来てとか言うたんやろが!』
ごもっとも。
でも『初の展示販売なので軽い気持ちで見に来て下さい』って言わせたんはマニュアル台本やで。

『ええ商品揃えてんのに、来て貰って買わんでええ言うのも失礼やろが!』

いや...
本気で欲しかったら勧めんでも買うやんか...
要らんモンに高額払うバカでも無いし。

『ふざけとんか!おまえの仕事は何ぞ!売ることだろが!』

客の前で怒鳴らないで下さい。

『おまえの知り合いだろが!おまえのしよることは仕事ゆわん!売れもせん奴が偉そうに俺に刃向かうな!』

刃向かったつもりございませんが。
とりあえず先生には帰っていただきます。

強引に会場を出た。
ごっつ心配された。
あんなん見たら不安なるよな...
悪いことした。
さっさと展示販売期間終わって欲しい。
で、さっさと辞めよ。


会場戻ったらごっつ怒鳴られた。
親呼んでローン組ませろ言われた。
親やか居らん言うたけど。
最低。


社長がたまたま様子見に来た。
何やらかしたんか聞かれた。
ありのまんま話した。


社長は、部長に落ち着くように促した。
で、零那は連れ出された。
此の社長がヤクザもどき。
社員の名前覚えろや。


名前聞かれて答えたら生育歴を聞かれた。
簡単に話した。
名前に引っかかったらしい。
『父親、〇〇會ちゃうよな?』って言うから『さぁ、今は知りません。』っておちょくってやった。
微妙な顔のひきつり具合。



『まぁおまえは間違いなく親父さんに似た性格しとるゆんは解るわ!上の人間に思たこと言えるゆんは凄いことやからな!おまえみたいなん1人居っても悪ないか!』

『社長は何処の組なんですか?』

冗談で聞いただけやのに焦る。
こっちが引いたわ。

『いえ、冗談です。聞き流して下さい。戻ります!』

 
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