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雲は遠くて

作者:いっぺい
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33章 新井幸平の誕生パ-ティー (1)

33章 新井幸平の誕生パ-ティー (1)

 3月16日の日曜日。空のよく晴れわたる、(おだ)やかな昼である。

 新井幸平(あらいこうへい)の誕生パ-ティーが、ふんわりとしたモチモチのピッツァもおいしい、ナポリ(NAPOLI)下北沢で、店内を借り切りにして、開かれている。

 下北沢駅から歩いて3分の、ナポリ(NAPOLI)下北沢は、セントラルビルの1階にあり、居心地のよいカウンターやテーブルで、総席数、30席であった。

 幸平(こうへい)は、1991年3月16日生まれで、きょうから23歳になる。幸平は、外食産業の会社エタナールのM&A事業部で、企業の合併や買収の仕事をしている。

 エターナルは年商3000億円で、ハンバーガーショップのマクドナルドに匹敵(ひってき)する大会社であった。

 エタナールの社長、新井俊平(あらいしゅんぺい)は、幸平の父であり、副社長の竜太郎は兄である。

 エタナールから合併の話があったばかりの、モリカワの2013年の年商は約365億円であった。

 きょうの幸平の誕生パーティーは、慶応(けいおう)大学の合唱サークルの仲間でもあった、清原美咲(きよはらみさき)が幹事をしている。

 弁護士の美咲の勤めている、美咲の父の経営する清原法律事務所では、モリカワの法務的顧問(アドバイザー)をしていた。

 今回のエアナールからの合併(がっぺい)の検討の過程で、美咲と幸平は何度も会っていた。

 美咲の呼びかけで、人の男女が、ナポリ(NAPOLI)下北沢に集まっている。

 美咲と交際中の弁護士の岩田圭吾や、幸平の兄の新井竜太郎、ロックバンド、クラッシュ・ビートのメンバーの4人、川口信也、森川純、岡林明、高田翔太、ロックバンド、グレイス・ガールズのメンバーの5人、清原美樹、大沢詩織、水島麻衣、菊山香織、平沢奈美、それから、美樹と交際中の松下陽斗(まつしたはると)、小川真央と、真央と交際中の野口翼(のぐちつばさ)、小川真央の兄の蒼希(あおき)、水島麻衣と交際中の早瀬田(わせだ)大学3年で、ミュージック・ファン・クラブ(MFC)の幹事長の矢野拓海(やのたくみ)、高田翔太と交際中のMFC部員の森田麻由美、岡林明と交際中のMFC部員の山下尚美、岡昇と岡と交際中の南野美菜(みなみのみな)、谷村将也と谷村と交際中の南野美穂(みなみのみほ)、森川良、モリカワの本部に勤めている市川真帆(まほ)と村上隼人、北沢奏人(かなと)と北沢の交際中の天野陽菜(あまのひな)たちである。

「その荒馬(あらうま)と、その馬に乗る騎手(きしゅ)の話ってさあ、フロイトのが有名だけどね、脳の生理学者のマクーリンっていう学者も、たとえ話で使っているんだよね」

 6人がけのテーブルの席にいる美咲に、そういうと、ピッツァを頬張(ほおば)るのは、モリカワミュージックの課長、30歳の森川良(りょう)である。美咲と良は、木目の美しい板塀のそばテーブルの、向かいあう席である。

≪つづく≫  
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