とある3人のデート・ア・ライブ
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第四章 炎
第5話 水着選び
前書き
デート・ア・ライブの11巻が9月20日に発売!新約とある魔術の禁書目録11巻も10月10日に発売!
今から楽しみです!
琴里とのデートは6月22日。
今日は6月21日、水曜日。
今日は学校が休みである。
祝日でもないのに学校が休みの理由は、来弾高校の生徒、職員が全員倒れ、症状の重い生徒はいなかったものの、一時意識不明状態に陥ったため学校を徹底検査するらしい。
なので今週いっぱいの臨時休校が決定した。
士道「ま、ありがたいといえばありがたいけど……なんで佐天さんまでいるんだ?学校はいいのか?」
佐天「私は中学生ですからね。2、3日学校サボっても何ともありませんよ」
一方「そのセリフは勉強ができるヤツだけが言えるセリフだろォが。成績が悪い佐天に言えるセリフじゃねェよ」
佐天「うっ……」
佐天は一方通行に返す言葉がなかった。
一方「そういや、あいつらは?」
佐天「寝坊したから先に行っててって言ってましたけど……少し遅いですね」
一方「十香と四糸乃のヤツ……何してやがるンだ……」
佐天「本当ですね………あれ?前まで十香ちゃんのことを精霊、四糸乃ちゃんのことをクソガキとかで呼んでませんでした?」
一方「仕方ねェだろ。十香のことを精霊って呼ンだら四糸乃も反応しちまうし、十香の呼び名を変えたら、よしのんが不公平だってうるせェンだよ」
佐天「あ、なるほど……」
佐天は一方通行があの2人の精霊と意外に中がいいことを初めて知った。
そして、士道はというと、明日の琴里とのデートに向けた訓練を申しつけられていたのである。
佐天と一方通行はその付き添いだ。
士道「それで、今日の訓練は何するんですか?」
令音『あぁ。十香たちと合流したら、そのまま天宮駅前に向かってくれたまえ。目的地はツインビルのB館4階だ。……そこで、2人……いや3人の水着を見繕ってやってもらいたい』
士道「み、水着!?」
令音『オーシャンパークにいる少女は琴里だけではないんだ。せっかくのデートで他の女の子に目移りしているようでは困る。だからこそ、水着姿の女の子に目を慣らしておく必要がある』
士道「はあ……分かりました」
と、そんな会話をしていると、後方から靴音が響いてきた。
おそらく、四糸乃か十香、どちらかが来たのかと思い振り向いたが、
士道「おう、おはよ……」
そして身体が硬直した。なぜならそこにいたのは十香ではなく四糸乃でもなくて、
士道「お、折紙?」
折紙「……」
折紙が無言で頷いた。
そうした直後、顔をこちらに向けて一方通行と佐天を交互に見た。
何か言うことでもあるのか?と思ったがまた無言で士道の方へ向いた。
士道「令音さん?これももしかしてそっちの仕込みですか?」
令音『……いや、少なくとも私は知らないな』
士道「そ、そうですか……」
士道と令音が話し合っている時、折紙は佐天と一方通行の手を引いて、士道の声が聞こえない所まで連れて行った。
佐天「あの〜……急にどうしたんですか?」
折紙「あなた達に聞きたいことがある」
佐天「……と言いますと?」
折紙「一昨日、空から炎を纏った精霊とあなた達2人が同時に現れた。それはどういうこと?」
2人は数秒間沈黙した。そして意を決したように佐天が口を開く。
佐天「まぁ……事の成り行きっていうか……」
折紙「……どういうこと?」
佐天「あの時は狂三さんが暴れたせいで急いであなた達を助けに行くしかなかったんですよ。上条さんも瀕死の状態でしたし」
佐天「だから助けに行く時に琴里が精霊ってことを初めて知ったんですよ……それで訳を聞こうとしたら、今は時間がないから後にしてくれって……」
折紙「そう……」
折紙は表情は変えなかったが、声は少し残念そうだった。
折紙は佐天に向けていた顔を一方通行に移す。
折紙「あなたは?」
一方「……テメェに答える義務はねェよ」
折紙「おね、がい」
折紙は手のひらを合わせて、あごのラインに手を置いて首を傾げる。
簡単に言えばぶりっ子の頼み方の似ているだろう。
たが無表情で言われても……
無表情でも折紙は可愛い方なので落ちる人は落ちる。
しかし、一方通行はそんなことでは落ちない。
一方「……なンのつもりだ?」
折紙「チッ……」
今、折紙の本性が見えたような気がするが無視する。
一方「テメェに″何があったか″は知らねェ……だが、これからやろうとしてることはテメェを一生後悔させることになるから気をつけろよ」
折紙「……」
折紙は一方通行の言おうとしてることを悟ったのだろう。
これからやること、それは炎の精霊、イフリートへの復讐。
つまり自分の好きな人の妹を殺すことになる。
そうして士道がどう反応するかは分からない。
しかし自分は精霊に復讐するためにASTに入った。
そして、
やっと見つけた復讐の対象の精霊。
ここまで待ったのだ。本当は今にでも殺したい。
折紙「……あなたに忠告される筋合いはない」
一方「……フン、好きにしろ」
一方通行は折紙と佐天に背を向けて士道のところに戻って行った。
佐天「私も戻ろっと……」
佐天も士道の方へと足を歩めた。
折紙「……」
折紙も、無言で士道の方へと向かった。
ーーーー
ーーー
ーー
ー
3人が戻った頃には十香と四糸乃がもう来ていた。
十香は折紙を見た瞬間、怒りを上げていたが、折紙は気にせず同行した。
水着コーナーに到着。
一方通行はいなかったが。
士道「(何であいつはいないんだよ!?俺はあいつがいるからまだ安心してたのに!!)」
ちなみに一方通行がどこにいるかというと、
一方「(そォいや、ドライバーも古くなってたンだよな……)」
と、思いながらドライバーを買い物カゴに入れる。
そのカゴにはネジやピンなど、はたから見れば何かを造る……というより何かを直す器具がいろいろあった。
それもそのはず、チョーカーの改良をするために買っているのだ。
学園都市から支給される金とは別の、自分の貯金で買っていた。
一方「(これも買っとくか……)」
一方通行は士道達と離れて呑気に買い物をしていた。
ーーーー
ーーー
ーー
ー
そんな事を知らない士道は、
士道「そ、そんな……」
と、急に困ったような声を出した。
何故士道がこんな言葉を発したのか。
それは十香と四糸乃の会話にあった。
ーーーー
ーーー
ーー
ー
十香『よし……では勝負だ、四糸乃!涙子!』
佐天『えぇ!』
四糸乃『え、えと……お手柔らかに、お願い……します』
士道『勝負って何かするのか?』
十香『うむ。今日、私と四糸乃と涙子でより士道をドキドキさせた方に、シドーとデェトをする権利をくれるらしいのだ』
士道『なっ……!?』
士道は焦ってインカムを叩いた。すぐに令音の眠たそうな声が聞こえてくる。
令音『……ん、どうせなら少し難易度を上げておこうと思ってね』
士道『そ、そんな……』
ーーーー
ーーー
ーー
ー
とまあ、こんなカンジである。
これを聞いた折紙も黙っているはずもなく、参戦した。
そして3人が試着室に入った。
その時、四糸乃はまだ水着を選んでいた。
十香「シドー!」
と言ってワンピースタイプの水着を着た少し恥ずかしそうに出てきた。
士道「お、おお……」
士道は思わず目を丸くしていた。水着自体はシンプルな、十香の髪と同じ紫色だが十香の無垢な美しさが強調され、士道の胸を刺激するのだった。
十香「ど、どうだシドー!ドキドキしたか!?」
士道「え……あ、ええと……うん」
十香「そ、そうか!シドーがそう言ってくれるなら……うん、頑張るぞ!」
その直後、十香の隣のカーテンが開け放たれた。
ホルターネックタイプの黒のビキニを覆っている折紙がそこにいた。
折紙の白い肌が一層際立ち、自然と顔が熱くなってしまう。
折紙「士道、どう思う」
士道「え、あ、あぁ……凄く、似合ってると……思う」
折紙「そう」
すると折紙の隣のカーテンが開け放たれた。
佐天「士道さん、こんなのどうですか?」
そこにいたのはホルターネックの黄色のビキニだが下が青いスカートになっているタイプのようだ。
分かっていたが佐天もなかなかのスタイルの良さだ。本当に中学生かどうか疑うぐらいに。
佐天「お、男の人に見てもらうって……なんか恥ずかしいなぁ……」
士道「で、でも、似合ってると……思うよ……」
佐天「ハハ……ありがとうこざいます……」
佐天は苦笑いしかできなかった。
すると、折紙が、
折紙「ともあれ、彼を最もドキドキせたのは私。デート権はもらってく」
十香「そんなことはない!1番ドキドキさせたのは私なのだ!」
折紙「あなたのようなバカに士道がドキドキするはずがない」
十香「何だと!?」
十香と折紙が水着姿で言い争いを始めた。するとその後方からカーテンがシャッという音を立てて開かれたと思うと、佐天が私服姿で出てきた。
佐天「私、先に会計済ませた方がいいですかね?」
士道「え?あ、あぁ。いいと思うけど……」
佐天「ちなみにデート権は諦めました。と言っても今日の目的は水着選びで、別に士道さんとデートするために来たんじゃありませんし……」
士道「え?じゃあ、なんでその戦いに入ったんだ?」
佐天「面白そうだからですよ!」
満面の笑みで答えられても……それと同時に、十香と折紙と違って平和的だなぁ……と思った士道であった。
「し……ど…………さ……ん」
どこからか蚊の鳴く声が聞こえた。
士道「え?」
十香「む……」
佐天「今の声は……」
折紙「……」
士道「四糸乃……だよな」
4人全員に聞こえたらしい。皆がピタリと動きを止めた。
四糸乃「士……道さん……た、たす……けて……ください……っ」
士道が助けてと聞いた瞬間、士道は泡を食ってそちらに駆け寄り!カーテンに手をかけた。
士道「四糸乃!開けるぞ!?大丈夫か!?」
そして勢いよく開け放つ。と、そこには。
四糸乃「し、士道さん……」
服をはだけ、半裸状態になった四糸乃がビキニタイプの水着に腕を通した状態で胸元を押さえながら涙目になっていた。
四糸乃「か、片手だと……上手く、着られません……」
士道との1日デート権の獲得者が決まった瞬間だった。
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