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くらいくらい電子の森に・・・
第十章 (2)
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上で軽く組んで。それは、あの恐ろしい葬列をまざまざと思い出させた。
「…流迦ちゃん、帰るが」
「………」
「帰るがよ。この辺は街灯がすんなか。危なかよ」
「…もう少し、ここにいる」
「んー…」
しかたなく、僕も寝転がった。…僕が住んでいた辺りは、夜7時を過ぎてAコープが閉まると、ほぼ死んだ街になる。窓から外を眺めても、見えるのは街灯の連なりだけ。その日は月齢が比較的若くて、月明かりも弱かった。夕日が残照も余さず消えてしまうと、蓮華の川原に薄い闇が広がった。…群青色の雲が一陣、月の光を塞いだ。
「…流迦ちゃーん、天の川、見ゆっとよ。てげてげにして帰るが」
天の川の光しか見えない、完全な闇の中。かさ…と草が擦れ合う音がして、流迦ちゃんが半身を起こした。よかった、やっと帰れるよ…と息をついた瞬間、天の川が黒く切取られた感じがした。
「流迦…ちゃん?」
長い髪が、僕の頬にかかった。…流迦ちゃんが、僕を覗き込んでいる。流迦ちゃんの形に、天の川が切取られていた。月が陰っているせいで、どんな顔をしているのか分からない。
「ね、帰るが…」
流迦ちゃんの影が、少しずつ大きくなっていき、その息遣いを首筋に感じた。起き上がろうと思ったけど、両肩に流迦ちゃんの手が掛かっていて、体が動かない。
「流迦ちゃん、…おかしいがよ!こげん…」
言い終わる前に、僕の唇に暖かいものが触れた。その向こうに、流迦ちゃんのかすかな息遣いを感じて、僕は…気が遠くなった。

「***さん…」

耳元に囁かれたその名は、叔父さんが破き捨てていた手紙の宛名と、同じだった…
頭が真っ白になった。考えが…ちっともまとまらなかった。それでも何か言おうとして口を開きかけた瞬間のことだった。
肩を抑えていた両手が、僕の首筋に移った。ひやりと冷たく、僕の首筋を覆った。
「るかっ…」
眼前に広がる最期の光景は、天の川を切取って浮かび上がる、流迦ちゃんのシルエット。月を覆っていた雲が晴れて、薄闇に流迦ちゃんの顔が浮かび上がった。…やがて、流迦ちゃんは両手に体重をかけてきた。喉を通っている、色々な器官がひしゃげる嫌な感覚、息ができない…声すら、出ない。嘘だ、嘘だ、信じない、僕の大好きな、僕のお嫁さんの、流迦ちゃんが、こんな、僕を憎んで、僕を呪って…こんな……

こんなこと、するはずない……!

苦しい息の下、僕の首を絞めながら涙を落とす流迦ちゃんを見た。叔父さんや、叔母さんや、多くの親戚、そして僕…全てに追い詰められた流迦ちゃんが、とめどなく涙を流しながら僕を見下ろしていた。


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――僕は、全てを理解していた。流迦ちゃんは、あの宛名のひとが好きなんだ。

誰にも知られず、密かに育んできた恋だった。それがどんなものか、曲がりなりにも思春
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