「冥王来訪」の感想


 
コメント
>ご海容いただければ幸いです。

いや、雄渾さんの書き方はソビエト政権の偽善を浮き彫りにしていると思います。どれだけ共産主義について語り、計画経済を実施しても、人間の本性における腐敗や人類として本性を変えることはできません。(面白いことはKGBが逃亡を試みた国営企業の従業員とその家族を止めるため、「ソビエト市民なら、銃を取って日本帝国主義者と戦うべきではないのかね」と言って従業員たちを射殺しますが、ソビエト指導部にアターエフの横領や研究を告発する人々にもこのKGBの幹部たちであります。そう、KGBは政治闘争のためにソビエト体制や彼らの横領することを無視しました。 
作者からの返信
作者からの返信
 
>ソビエト指導部にアターエフの横領や研究を告発する人々にもこのKGBの幹部たちであります。
>そう、KGBは政治闘争のためにソビエト体制や彼らの横領することを無視しました。
 
 GRUのヴィクトル・スヴォ―ロフが「GRU: ソ連軍情報本部の内幕」(原題"Inside Soviet Military Intelligence”1984.)や、元KGBのオレク・ゴルジエフスキーが「KGBの内幕」(”KGB: The Inside Story. Hodder & Stoughton.”)など、多数の著作ですでに述べていることですが、KGBは縁故採用が常態化した組織でした。
 伝説的なKGB工作員、スダプラートフは、兄の勧めで1918年にチェーカーに入り、そのまま破壊工作員を経て、NKVDで対外工作を指揮する立場に付きました。

本二次創作の原作である「シュヴァルツェスマーケン」の中でも、単行本未掲載の部分でアーベル・ブレーメは自分の娘ベアトリクスを守るために、軍部の人事に手を入れて、アクスマンを使嗾し、ベアトリクスを後方勤務で安全なシュタージの第8局に配備しています。
 どういった経緯でベアトリクスが前線部隊に配備されたのかは不明ですが、自分の身可愛さで逃げた卑怯な男とも言えますし、冷徹な政治家のみせた最後の人間らしさとも取れます。
 ブレジネフ時代のKGB長官で、後に書記長になったユーリー・アンドロポフは、自分の妻と息子と疎遠でした。
 一説にはスターリン時代の大粛清の記憶から、離婚をして、縁を切っていたという説もあります。
葬儀に夫人が出てくるまで、西側の諜報機関はおろか、ソ連国民の多くはその存在を知らなかったそうです。