「冥王来訪」の感想


 
コメント
>粛清のメス

劉仲敬氏:"スターリンは生涯を通じて赤軍と参謀本部情報局を信用しなかった。赤軍将軍の大半を殺害しただけでなく、KGB幹部を派遣して軍情報部を粛清し、もともと好調だった軍情報活動が低迷した。KGBと軍の憎悪はプーチンとレベジの時代まで続いた。“ 
作者からの返信
作者からの返信
 
 まず返信が遅れてしまったことは申し訳ありません。

>スターリンは生涯を通じて赤軍と参謀本部情報局を信用しなかった。
 スターリンに限らず、ソ連指導部が恐れたのは軍隊というのは国家の中の国家と称されるぐらい自己完結型の組織で、政府の締め付けをある程度逃れる立場を与えられている事でしょう。
 ヴィクトール・スヴォ―ロフの著作でも書かれていることですが、GRU(赤軍参謀総本部情報局)はKGBと違って政府からの予算の制約もなく、かなり自由に活動できたそうです。
KGBは作戦段階から党指導部の許可を得ねばならず、予算も決まった枠内であったため、ある程度の限られた範囲内での行動しかできなかった面があったそうです。
GRUは、軍そのものが武器や軍需品の輸出入で外貨を得ていたので、軍事関連であれば、かなり幅広く作戦を実施できたそうです。

>KGB幹部を派遣して軍情報部を粛清し、もともと好調だった軍情報活動が低迷した。
 スターリンがGRU局長を務め、スペイン内戦に参加中だったヤン・ベルジンを粛正しなければ、スペイン内戦は社会主義側がかった可能性があるという話は良くされますね。
半分はその通りでしょうけど、半分は疑問に思います。
当時のスペイン内戦では、社会主義政権側は内部で過激な粛清が横行していて、軍事作戦に支障をきたすほどでした。
GRUの影響が残っていても自滅した可能性は大いにあると思います。

>KGBと軍の憎悪はプーチンとレベジの時代まで続いた。
 KGBの組織の体質もあるんでしょうね。
ちなみにKGBの時代、KGBの職員は陸軍の制服を着ていて、歩兵科の兵科色をした階級章を用いていて、外見は完全に軍人と同じでした。
青い軍帽を使っていたNKVDや緑色の兵科色を使っていた国境警備隊とは違って、軍人と見分けがつかず、態度が横柄だった面もあったので、非常に嫌われた面があったと聞きます。
 同じような職種の警察にも嫌われており、酔ったKGB将校を警官が数人で暴行死させる事件が起きるほどでした。
(事件発生時のKGB長官はアンドロポフで、報復として内務省の高官十数人の首を切り、実行犯の警官全員を死刑に処しました)