ドリトル先生と伊予のカワウソ
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第三幕その四
「鱈や鮭位です」
「他のお魚はですね」
「貝や海老もあまり」
「召し上がられなかったですか」
「ロブスターはありますが」
「オマール海老ですね」
「はい、それはありますが」
それでもなのです、イギリスで海のものを食べるということはあまりないのです。それは先生もだったのです。
「他の国に旅行に行った時は食べていましたが」
「今はですね」
「はい、ありません」
そうだというのです。
「日本の様には」
「では日本に来られて」
「お話は聞いていたので驚きませんでした」
日本で海のものがよく食べられることについてです。
「そしてどれも美味しく」
「今ではですね」
「海の幸が大好きです」
にこりと笑って加藤さんにお話したのでした。
「蛸も烏賊もです」
「どれも美味しいですね」
「この蛸飯も」
「いいですか」
「いいですね、しかもおうどんも」
一緒に食べているそれにもです、先生は顔を向けて言いました。
「美味しいですね」
「これが松山のうどんでして」
「麺が少し柔らかいですね」
「それが松山のおうどんなのです」
まさにこれこそがというのです、加藤さんはにこりとして先生にそのおうどんのこともお話するのでした。
見ればそのおうどんは量もかなりです。
「つゆも甘めで」
「確かに少し甘いですね」
「あと大盛りを頼みましたが」
「大盛りにしても量が多いですね」
「松山では大盛りを頼みますと」
どうなるかといいますと。
「麺が二玉入ります」
「二つですか」
「はい、二つです」
それだけ入るというのです。
「だから量も多いのです」
「だからこの量なのですね」
「そうです、それでは」
「この蛸飯とおうどんも楽しむことですね」
「是非そうされて下さい。あろ忘れてはならないのは」
「それは」
「蜜柑です」
これもお話に出す加藤さんでした。
「これも絶対です」
「蜜柑は松山の名産ですか」
「海の向かい側の広島もですか」
「そのカープのですね」
「はい、あちらもです」
そうだというのです。
「柑橘類が名産です」
「気候が合っているのですね」
「瀬戸内の気候がです」
柑橘類に合っているのです、だから松山では蜜柑がよく栽培されて名物になっているのです。瀬戸内の島々でも。
「江田島でもです」
「あっ、江田島ですか」
「江田島のこともご存知でしょうか」
「あそこがですよね」
先生はおうどんを食べながらです、加藤さんに目を輝かせて言いました。
「日本海軍の」
「そうです、兵学校があった場所でして」
「歴史ある場所ですね」
「そうです、そしてこの松山も」
「この街も海軍に縁がありましたね」
「坂の上の雲の」
「司馬遼太郎でしたね」
先生はこの作家の名前も出したのです。
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