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ロックマンX~朱の戦士~

作者:setuna
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第四十話 戦いの前の時間

 
前書き
スティングレンを下したゼロ。
最後に残ったビストレオの居場所が判明しないためにしばしの休憩。 

 
ハンターベースに帰還したゼロを待っていたのは、満面の笑みを浮かべてゼロにバスターのチップを差し出すルインの姿であった。

ルイン「はい、ゼロ。ZバスターのICチップ。これでバスターが撃てるようになったよ」

ゼロ「すまんな。助かる」

これでゼロもバスターを使えるようになった。
ゼロはアームパーツにICチップを組み込むと腕をバスターに変形させる。
取り敢えず、この時点では不具合がない。

ルイン「それとねゼロ。」

ゼロ「?」

ルイン「そのバスターなんだけど、まだ急造品の域を出ていないから、度々調整が必要になると思うの。バスターの単発の威力は増加しているけど、チャージは出来ないし、撃つ時に僅かのタイムラグが生じてしまうの。」

ゼロ「何だと?」

それでは実戦では殆ど使い物にならないではないか。
せいぜい敵への牽制がいいところだろうか?

ルイン「あ、そうだ。今、ハンターベースにジャンク屋の人が入口付近に来ているんだって。その人が造る強化パーツにバスターを強化するのがあった気がするの」

ゼロ「ジャンク屋だと?」

ルイン「行ってみたらどうかな?」

ゼロ「そうだな…」

ルインに促されて、ゼロはハンターベースの入口に向かう。



































入口に向かったゼロが見たものは、恐らくジャンク屋から買い取ったであろう。
武器を手にしながらホクホク顔で買い物を終えたホーネックの姿があった。

ルナ「お?いらっしゃい!!今日は色々あるよ。俺が造った強化パーツや重火器もあるから、見ていきなよ」

男のような喋り方だが、声からして女性だろう。
身に纏うフードにより、顔は分からないが、期待に満ちた目でこちらを見ているのが分かる。
ゼロは彼女が敷いたのだろう、シートの前に屈んだ。

ゼロ「バスターの強化パーツが欲しいんだが…扱っているか?」

ルナ「バスターの強化パーツ?勿論扱っているよ。まずはバスターを撃ってくれないか?どういう状態なのかを見てからじゃないと、どういう奴がいいのか分かんないしさ」

ゼロ「分かった」

彼女の言葉に頷きながら、バスターを真上に放つゼロ。
僅かなタイムラグの後、放たれた低速のバスター。
しかしそれは一定の距離まで飛ぶと消滅した。

ルナ「う~ん…何か、イマイチな感じがするな。そのバスター、もしかして急造品か?」

ゼロ「そうらしい。少しでもまともな状態にしておきたいから、強化パーツを求めたんだが……」

ルナ「なるほどな…じゃあ、これなんかはどうだ?」

少女がゼロに差し出すのは2つのチップ。

ゼロ「それは何だ?」

ルナ「射程に関してはどうにも出来ないけどさ。左のチップは“スピードショット”。バスターの連射性能と弾速を飛躍的に上げるチップで、右のチップは“バスタープラス”。バスターの威力を少しだけ増加することが出来るんだ。」

ゼロ「ほう」

Zバスターの性能が格段に低下したゼロからすれば喉から手が出る程に欲しいパーツだ。

ゼロ「それを買う。いくらだ?」

ルナ「どっちも2000ゼニーするから、2つ合わせて4000ゼニーだ。」

ゼロはゼニーのクレジットデータを彼女の電脳アドレスに転送した。

ルナ「ん…4000ゼニー、確かに受け取ったぜ。ありがとな!!また来てくれよ!!」

ゼロ「気が向いたらな」

踵を返しながら部屋に戻ろうとしたゼロに向けて少女が呼び止める。

ルナ「あ、待てよ!!えっと…あった!!ハンターさん、これ!!」

少女が投げて寄越したのは、強化パーツのチップとZセイバーの柄を長くしたような槍であった。

ゼロ「これは?」

ルナ「それは“ショットイレイザー”。それをセイバーとそのロッドに組み込めば、敵の弾を消滅させることが出来るんだ。造ったのはいいけど、俺じゃあ使えないからあんたにやるよ。試作品だから代金は要らないよ。後、その槍は“トリプルロッド”最大3段階まで伸ばせる槍で穂先に刃が出る。反動を利用して、飛び上がることも可能だ。柄の部分にはビームコーティングが施されてるからビームサーベルも受け止められるぜ。一気に突き出すと相手を吹き飛ばせる。」

ゼロ「そうか…、トリプルロッド。使いやすそうだ。感謝する。お前、名前は?」

ルナ「俺?俺はルナって言うんだ。よろしくねハンターさん。また買いに来てくれよ」

エックスに強化パーツを寄越した少女がウインクをしながら言う。

ゼロ「ああ、暇な時に来るとしよう」

いい買い物をしたと、ゼロはトリプルロッドを弄りながらトレーニングルームに向かう。
トリプルロッドの扱いに慣れるために。







































エックスとアイリスは現在、ハンターベースの屋上にいた。
ハッキリ言ってかなり珍しい組み合わせである。

エックス「アイリス、大丈夫か?今回の戦闘で死んだレプリロイドには君の知り合いもいたはずだ。」

エックスはアイリスのことを心配して、屋上に呼んだのだ。

アイリス「…大丈夫。あなた達と一緒にいると決めた時から覚悟はしていたから…」

そう言うアイリスの表情は酷く悲しげだった。

エックス「アイリス…でもこれから俺達はカーネルと戦うことになるだろう。何とかしてやりたいけど…」

カーネルの性格を考えれば戦わずに済むなど有り得ない。
良くも悪くも頑固者のカーネルだ。
アイリスもそれは理解しているようで頷いている。

エックス「気休めにしかならないと思うけど…俺達も彼を死なせたくない。絶対に彼を死なせない。ゼロは嫌がるかもしれないけど、俺達3人でカーネルに挑めば、彼を拘束出来る」

いくらカーネルが強かろうとエックス、ゼロ、ルインの3人を相手取るなど不可能だ。
当然ゼロは難色を示すだろうし、カーネルは烈火の如く怒るだろう。
しかしどんなに難色を示され、罵倒されても友人の命には代えられないのだ。

アイリス「…ありがとうエックス」

エックスの優しさに感謝しながらアイリスは想いを寄せるゼロと兄であるカーネルが死なない未来を望んだ。 
 

 
後書き
オリキャラがトリプルロッドを造れるのは、彼女が転生前はXシリーズではなくゼロシリーズファンだから。
トリプルロッドはゲームでは扱いにくいが、ゼロのデータを元に造られたので、記憶を失う前のゼロと縁がある武器。
ゲームとは違い、この作品ではトリプルロッドだけではなくシールドブーメランとリコイルロッドの特性を持っているために大幅に強化されている。
 
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