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『自分:第1章』

作者:零那
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『県立教護院留置』

拷問並の国立は、生育歴的に考慮してくれたんかな。
留置先は、四国内で優秀な職員が集まった処。


一番重要なことをザックリ言うと、早く働きに出れて貯金が出来次第自立するって事。
それが可能ってのが、零那の出した条件。
無理なら施設自体行かん。
今から住み込みの職探しする。
そう言った。

『まだ保護しとかなあかん!!社会には出せれん!!』

そう言われた。

確か、高校行くって決める前にも言われたな。
正直、こんな世の中で巧く生きていく自信やか全然無い。
それでも、自立したい。

『入所して落ち着いたら仕事探したらいいよ』

そう言われて、それが可能なんだと思い込んだ。


とはいっても、国立と県立の違いは在れども同じ教護院。

少し、怖いって気持ちが在ったのも事実。


約1ヶ月の保護所留置。
県立への留置で、県外は異例らしい。


入所当日。
門から急な上り坂。
桜のトンネル。
右にはグラウンド。
柵とネットが相当高い。
脱走防止の為か?

坂の中盤、鉄格子の檻のようなデカイ引き戸。
グラウンドに通じる。

坂を上りきる。
車から降りる。
グラウンドに降りる階段発見。
コンクリ。
一段一段が、やたら高い。

幅もある。
手摺りやか無い。
コレ降りるん、普通に怖い。


応接室に案内された。
施設内の分校の建物。
応接室に居た職員の数が多い。
コッチの付き添いもやけど。


ゴリラみたいに厳つい人も居る。
無駄に凄んでるような顔の人も。
マジで拷問されそう。
堪忍してや。


早速、施設職員と児相職員が入所後の方針を話した。
零那は職探しする気満々。
『無理!!何を考えとんか!!』
ゴリラみたいな奴に怒鳴られた。
くそムカついた。
零那はキレた。
『それが可能って聞いたから従って此処に来たんじゃ!!』


理不尽に連れて来られたんか。
児相がハメた。
児相職員を責めた。

施設職員は暫く黙ってた。
零那の様子を見てた。
どんな奴か知りたかったんやろう。


『職探し出来んなら出て行く!!』
勿論速攻捕まる。
大人の数が半端無い。

あ、そういや、この時は母親と弟も居た。

立場上、システム上、生きてるなら、来れる状況なら...保護者の必要性があったんだと思う。


騙されて連れて来られて、悔しくて、従いたくなくて、チカラがある限り暴れた。
逆らった。
怖いとか思ってたのも消えた。
結局、大人や社会は、理不尽で矛盾だらけ。
こんなんに従うの嫌。


素直に従ってたまるか!!
でも...
結局、どんなに足掻いても無力なガキ。
此処にいる事しか許されん。

悔し過ぎて涙が止まらん。
あんなに暴れて疲れ果てた筈。
それでもチカラが溢れて来る。
コントロール出来ん。
机を殴り続けた。


放っといて欲しい。
施設なんか居らんで良い。
面倒なら手放して欲しい。
社会に放り出してくれたら良い。
腐っても女。
それだけで、どうにでも生きれる。
公務員が義務で動くだけなら要らん。


心配してくれてるならともかく、そうじゃないし。
こっちも期待に応える気は無い。

うん...結局、単なる我が儘なんやろうね。

心配して欲しい。
大事にされたい。
そんな事、無理やのに。
期待してない。
それでも、憧れる。
『親からの無償の愛』
そんなものを感じてみたい。
親じゃ無くても。
自分を想って欲しい。
そんな気持ちを持つこと自体が間違いだった。


だって仕事なんやし。
この人達。
義務と責任で動く。
そんな大人に、零那の苦しみや傷みは解るワケが無い。
解られてたまるか。
本気で解りたいなら同じ経験してから慰めてくれ。
無理だろ。
零那は大人も社会もナメてた。
くそくらえ。
消えてしまえ。

 
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