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勘違いもここまでくると

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第六章

「色々言う人はいるにはいてもね」
「全部買って読んでいいのよね」
「お金がある限りね」
 買ってだ、そして読んでいいというのだ。
「好きなだけね」
「そうなのね、やっぱり日本はね」
「同性愛に寛容っていうのね」
「こんなに同性愛の本が揃ってる国なんてないから」
「少なくともフランスでもね」
「イギリスも確かにそうした人やお話が多いけれど」
 マリアンヌの祖国フランスの宿敵とも言える隣の国だ、この国は欧州においてとりわけ同性愛者が多い国と言われている。
「ここまで本が揃っているのは」
「ないのね」
「ないから」
 とてもだというのだ。
「まさにお宝の山よ」
「普通にあるものじゃないわね、フランスでは」
「他の国でもよ、やっぱり日本はね」
「日本は?」
「夢の国よ」
 そうだというのだ。
「同性愛についてね」
「マリアンヌの思った通り?」
「現実では公には出ていなくてもね」
 いるにはいることはもう言うまでもない。
「それでもね」
「こうした本やCDが一杯あることが」
「それ自体がないから」
「いいのね」
「男同士だけじゃないわよね」
「女の子同士でもあるわよ」
 所謂レズビアンがだ。
「そっちはホモセクシャルよりはメジャーじゃないけれどね」
「罪には問われないわよね」
「全然、そんなのないから」
「それもないから」
 キリスト教の教えではだ。
「だからね」
「それでなのね」
「完全にじゃないけれど」
 それでもだというのだ。
「日本は私の思った通りの国よ」
「同性愛者にとって夢の国なのね」
「私みたいな愛好家にとってもね」
「成程ね」
「こうして普通にこうした本が読めるだけでも凄いわ」
 買ってそのうえでだ、
「日本は私みたいな人間にとっては素晴らしい国よ」
「けれど言っておくけれど」
「実際にはおおっぴらじゃないのね」
「このことはわかっておいてね」
 紗栄子はマリアンヌに今もこのことについては釘を刺した、そうしてだった。
 自分もそうした本を買うのだった、その二人を咎める者は誰もいなかった。少なくとも日本はそうした国である。


勘違いもここまでくると   完


                           2014・5・18 
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