寒いからこそ
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第六章
「いつもよりもね」
「暖かいね」
「じゃあすぐにね」
「うん、御飯を食べて」
「行きましょう、お仕事に」
「そうしよう」
気持ちよく起き上がれてそしてだった。
朝食を食べた、それで通勤に行く時もだ。
二人で同じ車に乗って出勤する、その車の中もだ。
普段より暖かい、それで出勤するとだ。
マキイネンがだ、二人に笑顔でこう言ってきた。
「どうかしら、今は」
「今の気持ちはですか」
「どうかというのですね」
「ええ、結婚してね」
そうしてとだ、マキイネンは二人に仕事がはじまる前に話すのだった、
「暖かくなったかしら」
「はい、とても」
「何か違います」
そうだとだ、二人はこうマキイネンに話した。
「これまでとは」
「食べても寝ても起きても」
「本当に違います」
「暖かいです」
「これからさらによ」
マキイネンは笑顔のまま二人に話し続ける。
「暖かくなるわよ」
「そうなのですか」
「冬でも」
「まあ楽しむことよ」
こうも言うマキイネンだった。
「そのことをね」
「暖まることをですか」
「それを」
「わかってくるから、一日ごとにね」
「一日ごとに」
「わかってきますか」
「凄いわよ、それが」
その暖かくなってくることが、というのだ。
「そのことを楽しみなさい、いいわね」
「そうなんですか、それじゃあ」
「これからも」
「ええ、そうすることよ」
マキイネンは言葉で二人の背を押した、家が暖かくなっていくことを楽しめばいいというのだ。そして実際にだった。
まさに一日ごとにだった、二人の家は暖かくなった。冬の北極圏の中でもだ。家の仲は暖かくなっていった。
それでだ、サキルは休日の午前中にだ、ホットコーヒーを飲みながらナキヤに尋ねた。二人でかなり甘い菓子を食べている。外は吹雪だ。
だがその吹雪の中でもだ、家の中は暖かくてだ。彼は言うのだった。
「暖房よりもね」
「ええ、それ以上によね」
「暖かさを感じるね」
「私もよ」
そのことはと答えるナキヤだった。
「一人暮らしだとね」
「こんなのじゃなかったっていうんだね」
「冬なんかね」
一人で部屋の中にいると、いうのだ。
「もう寒くて」
「暖房を入れていても」
「暫くの間はね」
「それがだね」
「ええ、違うわ」
結婚してサキルと一緒にいる今はというのだ。
「暖かいわ」
「すぐに暖かくなったね」
「驚く位ね」
「課長さんが言っておられたけれど」
「一日ごとにね」
まさにその一日ごとに、だった。
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