ロックマンX~朱の戦士~
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第二十三話 再会
前書き
大破したルインの魂はあまりにも予想外過ぎる人と再会するのであった。
大破したルインの魂は、辺りを見回す。
何もない空間。
しかし不思議と安心する空間であった。
辺りに飛び回る光。
そして…。
「やあルインちゃん」
自分をレプリロイドに転生させ、この世界に送った女神とエックスの生みの親であるライト博士が何故かお茶を飲んでいた。
どうやらこの空間に来ると前世の記憶は戻るようだ。
ルイン「何してるんですか…しかもライト博士まで…」
「何ってお茶?」
ルイン「見りゃ分かります。何でここにライト博士がいるんですか?説明してください」
「そりゃあ、この世界の重要人物だし、君のことを知ってくれている人がいれば色々とやりやすいでしょ?ライト博士は現時点では亡くなっているから、絶好の相手だと思わない?」
ルイン「そ、そりゃあそうですけど…私、死んじゃったんじゃ……」
「私と博士が復活させるから問題なし。あ、でも…」
ルイン「?」
「君のボディは損傷が激しかったから今までのアーマープログラムが全部無くなっちゃったんだよね」
ルイン「ええ!?それじゃあ私はこれからどうやって戦えって!?」
女神の肩を掴み、ガクガクと揺する。
「落ち着いて落ち着いて!!アーマーチェンジシステムをオミットして…代わりにZXアーマーの性能をアップさせて…オーバードライブやエアダッシュやロクゼロのダブルジャンプが出来るようにして、必殺技、特殊武器が使用可能。OXアーマーをアルティメットアーマーやブラックゼロの立ち位置にして…後はこれをあげる」
女神がルインに手渡したのは、ロックマンゼロ4に出て来た新型サイバーエルフであった。
ルイン「サイバーエルフだ!!しかも赤ちゃん!!可愛い…」
[ミ…ミミ…]
身体を擦り寄せてくるサイバーエルフにルインの動力炉があった部分が跳ね上がる。
「この子の性能は基本的にロックマンゼロ4のサイバーエルフと同じ。エネルゲン水晶や食べ物をあげれば育つよ。ただエネルギーを使い果たすと赤ちゃんに戻っちゃうから気をつけてね。」
ルイン「はい」
ライト「ルイン、この子の名前はどうするかね?」
サイバーエルフを優しく見つめながらライト博士が尋ねてくる。
ルイン「えと…名前かあ……」
[ミ?]
ルイン「う~ん。向こうでエックス達と一緒に決めます!!ところで私が死んでからどれだけ経ちましたか?」
「そうだね、X3の物語が終わった直後くらいかな?」
ルイン「もうすぐX4の話に入るじゃないですか!?何で早く起こしてくれないんですか女神様!!?」
「し、仕方ないじゃん!!君の魂、凄くダメージを受けてたから回復に手間取ったんだよ!!女神パワーも万能じゃないの!!」
ルイン「女神なのに…?と、とにかく早く直して下さい!!急いで急いで!!」
ライト「ルイン、エックスのことを頼むよ。私の息子を…」
ルイン「分かってますライト博士。さあ、行こうか」
[ミミミ?]
サイバーエルフを掌に収め、ルインの魂とサイバーエルフは光に包まれていく。
ライト「どうかあの子達に祝福あれ…」
ライト博士の祈りを聞きながらルインはあの世界に戻る。
しばらくは時間が掛かりそうだが…。
そして現実の世界ではエックスとゼロが今だに目を覚ます気配のないルインを見つめていた。
あの大戦で大破したゼロは2度目の大戦でカウンターハンターにより頭脳チップを持ち出され、カウンターハンターのサーゲスの手によって新たなボディを持って蘇った。
エックスの敵として蘇ったゼロは、新たなアーマーであるセカンドアーマーを纏ったエックスと戦い、激戦の末に正気を取り戻し、ゼロがメインコンピュータを、エックスが蘇ったシグマを破壊した。
そして3度目の大戦でもシグマは蘇り、ドッペルタウンのドップラー博士を利用していたが、潜在能力を解放したサードアーマーを身に纏い、ルインとゼロの武器を使い、シグマを下した。
ゼロは蘇ったのにルインはまだ目を覚まさない。
ボディは見た目は元通りだ。
中身は以前とは大分構造が変わっているらしいが。
エックス「ルイン…」
悲しげに呟くエックス。
ゼロ「いつまで眠ってやがる気なんだか…早く目を覚ませルイン…俺達も爺もお前に会いたがっているんだぞ」
そしてエックスとゼロに届く通信。
それを聞いてエックスとゼロは立ち上がる。
エックス「ごめんルイン。また来るから…」
ゼロ「大人しくしていろよ」
ゼロはポンと頭に手を置きながら言うが、ルインからの返事はない。
エックスとゼロは現場に向かうのだった。
しばらくして、ルインのメンテナンスベッドの隣に青い光が現れた。
ライト「わしが女神殿の力で現世にいられるのは僅かな間だけじゃ…ルイン、目覚めるのじゃ…」
ライト博士から放たれた光がルインを包み込み、内部の機構を変えていく。
すう、と感じる重力と、体の隅々まで染み渡る感覚。
外界の情報が津波のように押し寄せる。
自分は戻ってきた……。
かつて生きていた時は何事もなく見逃していたそれらも、今の自分には処理しきれないほどの量に感じられる。
視覚
聴覚
触覚
味覚
痛覚
全てがはっきりとし始める。
ルインの瞳に光が宿り、ゆっくりと起きはじめる。
身体を動かすのは本当に数年ぶりだ。
関節がところどころぎこちなさを感じる。
現世に戻ったことで徐々に抜け落ちていく前世の記憶。
前世の記憶の大半が抜け落ちたことでルインはようやくライトの方を見遣る。
ルイン「しばらくはリハビリかなぁ。ありがとうございますライト博士。」
自身の身体を完全に修復してくれた博士に満面の笑みを浮かべて礼を言うと、博士も微笑んだ。
ライト「君の仕組みを女神殿から聞いていたから出来たことじゃ…ルイン、エックスのことを頼んだ」
ルイン「はい…」
そう言うとライト博士は消えてしまった。
[ミ…ミミ…]
ルイン「あ、お腹空いたの?何処かにエネルゲン水晶無いかな?」
ふと隣を見遣ると、恐らく見舞いの品であろうエネルゲン水晶がいくつか置かれていた。
ルインはエネルゲン水晶を1つ取るとサイバーエルフに与える。
サイバーエルフはエネルゲン水晶を嬉しそうに頬張る。
ルインはサイバーエルフに頬擦りする。
そして任務を終えたエックスとゼロはケイン博士と共にルインが眠っている部屋に向かう。
ケイン「すまんのう…わしも手を尽くしたんじゃが…解析出来ない部分が多すぎて今の技術ではどうすることも出来ん…」
エックス「いいんですよ博士。俺達レプリロイドには時間は沢山あるんですから」
ゼロ「あいつが目覚めるまで気長に待つさ」
ルインの部屋の前に立った瞬間であった。
部屋から歌声が響いてきた。
人間のケイン博士には聞こえないようだが、レプリロイドの優れた聴覚が無ければ聞き取れないくらい小さい。
歌からして子守歌のようだが…。
普通のレプリロイドは歌を歌うことは出来ない。
例外は…。
エックスの手が震える。
恐る恐る、扉を開くと…。
小さな生き物を撫でながら子守歌を歌うルインの姿。
目を見開くエックス達の存在に気づくと満面の笑顔で彼等を迎えた。
ルイン「エックス、ゼロ、ケイン博士。おはよう」
エックス「ルイン…」
ケイン「そんな馬鹿な…まだ目覚めるはずが…」
ルインの状態を誰よりも知っていたケイン博士の呟きが聞こえていないのか、エックスはルインに歩み寄る。
エックス「本当にルイン…なのか…?」
ルイン「そうだよ。ただいまエックス。随分と寝坊しちゃった。」
エックス「っ…よかった。本当によかった…!!」
感極まったエックスはルインを強く抱き締めた。
彼女の動力炉の活動音が聞こえる。
彼女はここに戻ってきてくれたのだ。
ゼロ「しかし、誰がルインを直したんだ…?」
ケイン博士ですら難航していたルインの修理を誰がやったのか?
ルイン「あの博士のおかげだよ。私達を助けてくれたあのおじいさん」
エックス「ライト博士が…」
厳密には違うのだが、ライト博士にも助けられたのは事実なのだ。
エックス「ルイン…」
ルイン「何?」
エックス「…お帰り」
エックスの言葉にルインは目を見開いたが、次の瞬間満面の笑みで答えた。
ルイン「うん、ただいま」
エックス「これ…返すよ」
ルイン「あ…」
エックスがルインに手渡したのは彼女の武器。
エックス「あの戦いからずっと持ってたんだ。これを持っているだけで君が傍にいるかのように勇気が湧いてどんな敵とも戦うことが出来た。これを君に返すよ」
ルイン「ありがとう。大事にしてくれたんだね」
ルインは武器を受け取ると、笑顔を浮かべた。
ゼロ「ところで、その妙な物体は何だ?」
ゼロが指差した先にはルインの掌ですやすや眠っているサイバーエルフ。
ルイン「妙な物体じゃないよお、電子の妖精、サイバーエルフだよ。プログラムが実体化したものだと思ってくれればいいの。これも…博士から貰ったんだ。」
エックス「へえ…」
すやすやと眠るサイバーエルフを微笑ましく見つめるエックス。
ルイン「この子に名前をまだつけてないんだ。」
ゼロ「名前?」
ルイン「うん、この子だって生きてるんだから名前が無いなんて可哀相だよ」
エックス「そうだな。それじゃあどんな名前がいいんだろうか…?」
ルイン「う~ん」
[…ミ…?]
僅かに身じろぎするサイバーエルフにルインが視線を遣る。
ルイン「あ、起こしちゃった。ねえ、これから君の名前を決めるよ?」
[ミ?]
不思議そうにルインを見つめるサイバーエルフ。
ふと、ゼロが口を開く。
ゼロ「こいつの名前なんだが…」
全員の視線がゼロに向く。
ゼロ「ミーミーやかましいから“タマ”だ」
タマ。
猫につける名前として代表的な名前の1つである。
しかし今回は猫ではなくサイバーエルフなのである。
全員沈黙。
そして…。
[ミ~~~~~ッ!!(激怒)]
ケイン「バッカモーン!!それは猫の名前じゃろが!!」
ルイン「ひっどーい!!」
エックス「ゼロ…それはないよ……」
とにかく不評であった。
ケイン「電子の生き物なら“プログレス”とかはどうじゃ?進歩という意味なんじゃが…」
[ミミミ?]
不思議そうにするサイバーエルフにルインは少し申し訳なさそうに首を振る。
ルイン「カッコイイけど女の子なんだよこの子」
ケイン「何?女の子!?性別まであるとは…むう…」
ケイン博士の名前候補も却下された。
エックス「ルインはどういう名前にしたいんだ?」
ルイン「え?私?この子の発している光がとても綺麗だから“レイ”って名前なんかどうかなって」
エックス「“レイ”…光か、いい名前だね」
ルイン「エックスは~?」
エックス「俺は…“ソニア”がいいんじゃないかなと思うんだ。」
ルイン「ソニア?」
エックス「サンダーソニアから名前を取ったんだ、サンダーソニアの花言葉は“純粋な愛”“福音”“祈り”“祝福”“共感”“愛嬌”“望郷”なんだ。まだ幼いこの子にピッタリなんじゃないかな?」
エックスの名前候補に全員が頷いた。
ルイン「可愛い!!この子の名前はソニアに決定だよ!!」
サイバーエルフの名前はソニアに決定した。
ケイン「しかしルインよ。お主はこれからこの子をどうする気じゃ?」
ルイン「勿論育てます。私は今日からこの子の母親になります!!」
ケイン「なるほど、ルインはソニアの母親というわけか。子供じゃし、確かに母親が必要かの……」
ケイン博士の何気ない発言に、思わずエックスが待ったをかける。
エックス「あの、母親だけでは駄目では、父親も必要かと……」
ゼロとケイン博士の視線がエックスに集中する。
エックスの背に悪寒が走る。
まさか。
いや、そんな馬鹿な。
ゼロ「エックス、お前以外にこいつの父親役が務まりそうなのがどこにいる?」
エックス「え、ええ!?」
まさかソニアの父親役に自分が抜粋されるとは思わなかったエックスは目を見開く。
しかも。
エックスがソニアの父親役でありルインがソニアの母親役。
つまり=夫婦役。
エックス「…………」
思わず想像してしまったエックスは顔を赤らめた。
ルイン「エックスがお父さんになるの?エックスは優しいからいい父親になれるよ!!エックスが旦那様なら心強いし!!」
エックス「っ!そ、そうかな…」
こうしてレプリロイド2人と、サイバーエルフ1匹の変則的共同生活が幕を開けた。
後書き
サイバーエルフの名前はソニアにして。
ルインは第17精鋭部隊の副隊長として頑張ってもらいます。
アーマーチェンジシステムについてはXシリーズで戦い続けるには無理があると判断し、外させてもらいます。
ゼロ2のフォームチェンジと同じく一作で無くなってしまった…。
というかX5らへんで出そうと思っているオリキャラと性能が微妙に被る
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