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ウィザード外伝-仮面ライダーサマナー-~指輪の召喚師~

作者:蜥蜴石
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怒りの召喚

第六天魔市・喫茶店『阿修羅漢(アシュラカン)』

「ごめんなさい、ロッキーが失礼な事を…。」

「だ、大丈夫さ…ハハッ…それほど主人思いのいいワンちゃんってことだよ。」

『ぐううう…がううう…!!』

憤怒の形相をした阿修羅像が店内のあちこちに飾られてる点以外は普通の内装の喫茶店にて、鈴鳴は先程のロッキーの非礼に対してペコペコと可愛らしく頭を下げて謝罪した。銀嶺はあくまでもクールに受け止めようとしたが噛まれた右足の痛みを堪えてるのがなんとも情けなかった…因みにそのロッキーはというと未だに銀嶺を睨みつけながら唸り声を上げている。

「そのワンちゃん…盲導犬かい?普通の犬なら店には入れられないから珍しいな…って…」

「…え…あ…うっ…」

店内に何食わぬ顔で座ってるロッキーを珍しそうに凝視している…目の前にいる陰波銀嶺なる得体の知れない人物がそうしているのだと悟った鈴鳴はとても悲しい顔を浮かべた…盲導犬(ロッキー)を連れてることが珍しいと思う健全者とそれが当たり前の障害者(じぶん)との差を嫌でも痛感させられてしまうからだ。

「あ…い、いや…その…ごめん…そんなつもりじゃ…」

「いえ、気にしないでください…慣れてますから…。」

(…やってしまったな…。)
銀嶺があまりにも軽率過ぎた発言をしたと気づいて謝罪したが一度口にした言葉は引っ込められない…鈴鳴は気にするなと言ったものの銀嶺の胸は後悔の気持ちでいっぱいだった

「それで…あの…銀嶺、さん?聞きたいことが…。」

「あ、うん…解ってるさ、あの怪物…ファントムの事だろ?」

そして鈴鳴は話題を変え、今自分が最も聞くべき…否、聞かなければならないこと、先程自分を襲ってきた得体の知れないナニカ…ファントムについてのことを銀嶺に聞いた。

そして話を聞くこと数十分…銀嶺の説明はどれもこれも信じ難いものだった

今から約半年前の日食の日、大勢の人間が何者かにどこかの海岸へと拉致された事件があった。そこで執行された狂気の儀式『サバト』…これが全ての始まりだった。

ファントムとは元々、そのサバトによって強制的に絶望させられたことにより誕生した生まれつき特に高い魔力を持った人間『ゲート』の成れの果てであること…

そしてサバトで生み出されたファントムは他のゲートを狙い、ゲートに恐怖、或いは苦しみを与え、精神的に追い詰めて絶望させることで新たなファントムを生み出し、増やす事を目的としていること…

「…!!」

鈴鳴は絶句した…自分はついさっきまでそんな異形襲われたのかと思うと言いようのない恐怖で身体が震えて震えて仕方なかった

「ああ、それと…すまないが、ちょっと眼を見せてくれないか?」

「…え…?」

「実はボクは人の眼を見てその人がゲートかどうかが『解る』んだ。だからちょっと…。」

銀嶺には魔法使い…否、召喚師としての能力の一環で相手の眼を見つめることでゲートかどうかを見極めることが出来るらしい、鈴鳴が安全(ふつう)か危険(ゲート)かを確かめるために銀嶺は身を乗り出して彼女の眼を見ようとしたが…

「やめ…やめてくださいッ!いやぁああああ!!」

「ひでぶ!?」

『がううう…!!ガァアアアアア!!』

「うわああああああ!!?ひいいい!!痛ッあああああああ!!」

鈴鳴は銀嶺が今しようとしていた『自分の眼を見つめる』というその行為に激しい拒否反応を起こし、防衛本能的に近場にあった阿修羅像を手に取って銀嶺の頭を思い切り殴りつけた上に主人のただならぬ悲鳴を聞いてロッキーが痛みの引いていない右足にまたもや噛みついてきたのだ。

「…ッ!ロッキー早く!」

『キャンキャン!!』

そして鈴鳴はロッキーを連れてそのまま逃げるように店から飛び出してしまった…。

「…な、なぜだ…?なぜなんだ…。」

「お客様、そんなところに寝てられては困りま…って、ウチの店の阿修羅像が!!勿論…弁償してもらえますかねぇ?」

「」

鈴鳴とロッキーの手により訳も解らずボロボロにされて床に伏した銀嶺は店員にツッコまれたばかりか鈴鳴が先程殴るのに使った阿修羅像がバラバラに砕けてるのが見つかり、それを弁償するハメになり、財布の中身までボロボロになってしまったという…。



???

『貴様は馬鹿か?ゲートの可能性があるかもしれない人間達を無駄に喰い殺しおって…大体、我々ファントムには味覚が無いからそんなことする意味など皆無だろう?違うか?あぁ!?』

『がッ…は、放ぜ…フンババ…死ヌ…ゲッ…』

『フンババ「様」、だろうが…このクサレ脳味噌がァアアアアア!!』

『ひぎぉおあああああああ!!』

カラドリウスに連れられて退却したマカラは現在、フンババからもゲートを絶望させることそっちのけで意味も無く人間を食い殺した事に関しての罰として、片手で頭を持ち上げられた状態での強烈なアイアンクローを受けていた…。

フンババとカラドリウス率いる一派は違う場所で指輪の魔法使い(ウィザード)達と敵対しているファントム…フェニックス・メデューサ・グレムリンと違い、統率者(ワイズマン)から離れて行動してるいわば『別動隊』のようなもので、しかも二人は強力な上級ファントムであり、一度でもキレると歯止めが利かず、誰も止められる者がいないのだ。

(何故だァアアアアア!!オレは腹が減っていた。ただそれだけなのにィイイイイイイ!!)

意外にもファントムは人間のように飲食が可能なのだが、先程フンババも言った通り、人間や動物と違って味覚というものが存在しない。ハッキリ言って飲食の意味は皆無に等しい、しかしマカラという一個体(ファントム)はこの世に誕生した時点で既に満たされぬ激しい空腹を感じているため、人間の捕食は彼にとっては抗えぬ習性の様なものだった。

『フンババ様、この愚か者への制裁はそれくらいにして…私が先程お話し致しました例の者の対処は如何なさいましょう?』

『召喚師、だったか?ワイズマン達の方も魔法使い共の相手で手こずっているというのに…また訳の解らない者が出て来たか、うぬぅ…。』

『ぐがっ!?』

カラドリウスからの報告を聞きながらフンババはマカラをその辺へ乱暴に投げ捨て、召喚師・サマナーについて暫し、考え込み…

『ふむ…よし、マカラ、今一度チャンスをやる。その召喚師とやらの首を取って来い、もし成功したら今後、貴様の悪癖(しょくじ)に関して一切干渉せん、無論、カラドリウスにも口出しはさせん…どうだ?』

『…ッ!?フンババ様ッ…何をッ…!!』

フンババはマカラにサマナー抹殺を命じ、更にはその見返りとしてマカラが今後いくら人間を喰い殺しても全て無罪放免にするという破格の条件を付けたため、カラドリウスは驚愕した。

『ほ、本当だな…!?』

『オレに二言は無い、解ったなら、ほれ…とっとと行ってこい。』

『ギャハッ…!や、約束忘れんなよ…!!』

まさかの報酬にマカラは恐る恐るフンババの機嫌を伺う様に確認を取り、OKサインが出るや否や、自信たっぷりに額の口を大きく吊り上げながらニヤリと笑い、この場から姿を消した…。

『よろしいのですか…?あのような事…』

『構わん、むしろ最初から期待などしておらん…召喚師とやらの力が如何程かを見極めたいのでな、それに神隠しの件…奴が関わってるかもしれぬ』

『フフ…なるほど、そういうおつもりで…』

そう…フンババは最初からマカラを捨て石にするつもりでいたのだ。サマナーという未知の存在を知っておくために…フンババの意図をようやく理解したカラドリウスはクスッと黒い笑みを浮かべた。


一方…

「はあ…はあ…!!どこだ!どこに行ったんだ!?鈴鳴ちゃん!!」


手持ちの全財産を支払い、阿修羅像を弁償した銀嶺は見失った鈴鳴の行方を探し回っていた。その顔は完全に焦燥しきった様子であり、マカラとの戦いで見せていた余裕など完全に無かった。

「マズイ…マズイ…!!あの眼は…間違い無く、ゲートだ!!」

そう…殴られる直前に銀嶺はしっかりと鈴鳴の眼を見ていたのだ。結果は彼女がゲートであることが判明したという最悪なものだった。

「頼む!間に合ってくれッ!!」

もしもまたファントムがなんらかの形で彼女に襲い掛かり、絶望させようものならば…それだけはなにがなんでも阻止しなければ…銀嶺は指輪を取り出して一匹のプラモンスターを放った。

第六天魔市・黒縄(こくじょう)市民公園

「はっ…はっ…はぁっ…はぁっ…!!」

どれだけ必死に逃げただろうか?激しく息切れしながら鈴鳴は体力が完全に尽きた様子でその場に座り込む…。

「…どうしよう…」

同時に鈴鳴は自分が先程銀嶺にしでかした事…盲目なため、何かまでは解らないものの鈍器の類で殴った挙げ句、ロッキーがまた噛みついた。申し訳なさと後悔が後から押し寄せてきたのだ。

(でも、あの人…ひどい…ひどい…!結局周りの人と変わらない…!)

しかしその気持ちもすぐさま鈴鳴の中から消え去ってしまった。いくら命を救ってくれた恩人だろうと、ゲートか否かなどと如何なる理由があろうが、鈴鳴にとって生まれてからこの先、一生涯…何も映ることのないこの目を覗き込むという銀嶺の犯した大罪(こうどう)が大変不快だったのだ。

これは彼女自身、実際に何度も経験したことだが、目に関して最初から完全に諦めてるにも関わらず『きっと治す』『治るかもしれないから』と無神経な医者が何度も目を無理矢理こじ開けて診察してきた。両親もまた治るはずのないと解っているのにもしもという可能性にすがりつくかのように望みを乗せた視線を向けてきた。そして街を歩く度に時折向けられるなんの苦労も無く生きてられる健常者という名の人種達の眼・眼・眼…

以来、鈴鳴は自分の目を興味本位で覗かれる事に激しい拒否反応を示す様になってしまい、結果…真に心を許せる相手が人間以外の存在(ロッキー)だけになってしまったのだ。

(この先ずっと…ずっと…私の味方はロッキーだけ…)

『わううーん』

鈴鳴はすぐそばにいるロッキーを抱きしめながら、ただでさえ閉ざしていた心をますます堅く閉ざしてしまった…

その時、地面にサメの背鰭の様なものが浮かび上がり、地面をまるで水面の様に音も無く軽快に移動していき…

『ギジャアアァアアアアアアアア!!』

『ギャイイイイン!!?』



『絶望』が『希望』を喰らった瞬間であった



「え…?あ…え…?」

彼女の耳に聴こえたのはつい先程抱きしめていたはずのかけがえのないたった一匹の希望(ともだち)のただならぬ悲鳴…。

『ギヒャヒャヒャヒャ!このクソカスがァッ!さっきはよくも舐めたマネしてくれたなぁ!?おおコラ、テメェ!!』

絶望の使者…ファントム・マカラは地面を『泳ぎ』ながら銀嶺(サマナー)を捜索していたところ、自分に歯向かってきたムカつく馬鹿犬(ロッキー)と喰らい損ねた人間(鈴鳴)を偶然見かけ、サマナーにやられた分とカラドリウスやフンババからの制裁の分の鬱憤を晴らすべく、地面から飛び出してロッキーの背中を食い千切ってやったのだ。

「ロッ…キー…?」

『くぅうう…うう…ん…』

見えないため全く解らないが、自分の身体に飛び散ってきた今まで嗅いだことのない生臭い得体の知れない臭いとロッキーの弱り切った鳴き声、そしてマカラの声を聞き、鈴鳴は今の状況を悟り、知らず知らずのうちに恐怖のあまりに全身が震え出した。

『逝っちゃえよ、バァアアアアアアアァァァ~~~カッ!!』

『。』

だがそんなことはマカラにとってはどうでもよかった。再び鈎爪を振るい、ロッキーの首を一撃の下に撥ね飛ばし、絶命させた。

『ギャーハッハッハッハ!!あー!スカッとしたァァァ!!ゲヒャハハハハハハハ!!』

屈辱を完璧に晴らしたマカラはゲラゲラ笑いながら撥ね飛ばしたロッキーの首から追い打ちをかけるように目玉を刔り出して額の口に放り込んでそれを噛み砕き、プヂュッ…という怖気の走る潰れた音を響かせ、生々しい汁を垂れ流す

「あ…あ…あ゙ぁあ゙あぁあああぁあ゙ああ゙ぁあ゙あー!!」

何が起きたか、認めたくなかった…だが現実は非常に非情である。悲痛な悲鳴を上げながら鈴鳴はもう既に確信してしまい、慟哭した。

『後はテメェだけだなァッ!このガキ…!?』

『ガウァアアアアア!!』

『また使い魔かよ!?うっとおしいッ!』

『ギャウン!?』

矛先を鈴鳴に変えたマカラが鈎爪を構えてにじり寄ろうとしたが、一匹の蒼く煌めく小さなオオカミ型のプラモンスター・コバルトガルムがそれだけはさせまいとたちはだかり、飛び掛かって妨害したが、健闘虚しく蹴り飛ばされ、バラバラになった。

「はあ…はあ…クソ…ファントム…!鈴鳴ちゃんから離れ…!?」

汗を滝の様に流し、鈴鳴達の臭いを頼りにここまで来たコバルトガルムを全力疾走で追いかけ、息切れしながらようやく銀嶺が到着したが…時既に遅し

「うぁああああ…あぁああああ!!ロッキィイイイイイイイイ!!」

「な…なんて…こと、を…貴様ァアアアアアアアアアア!!」

無惨な変わり果てた姿のロッキーの屍と涙をボロボロ流す鈴鳴を見て、銀嶺は激怒した

『グヒャヒャヒャ!!まさか自分から来るとは!探す手間ァ省けたぜェ~!!このスカシ野郎ォが~ッ!!でもいいのか?後ろの「ソレ」、放っといてもよォー!!』

「!!」

悪辣極まりない所業をやらかしたマカラは清々しいまでに下劣な笑い声を上げ、鈴鳴を指で指しながら銀嶺にとある警告をした…

「…うッ…あ…!!」

鈴鳴の顔や胸、腕…全身の至るところに不気味に輝く紫色の亀裂の様なものが少しずつ広がり始めたのだ…これはファントムによって絶望させられたゲートに見られる現象であり、早くなんらかの対策をしない限り、ゲートは死に絶え、代わりに新たなファントムが生まれてしまう

『まさかゲートだったとはなぁ…コイツァは一石二鳥って奴だ…!!』

「黙れ」

『え?なんだって?』

「…お前はそのドブに長時間浸かった様な汚い足で…踏み入れてはならない領域に踏み込んだ…挙げ句、グシャグシャに踏みにじった…。」

[Shavaduvi Touch Henshin~♪Shavaduvi Touch Henshin~♪]

「…許さん…お前の様な怒りを通り越して殺意しか沸かないような奴…心底、許さん…!!」

[Shavaduvi Touch Henshin~♪Shavaduvi Touch Henshin~♪]

「…変身…!!」

[Change…Now]

[CONNECT Now]

銀嶺は静かに、そして苛烈なまでに沸き上がった確かな怒りを爆発させながら、サマナーへと変身…同時にヴェルサイザーをコネクトリングを介して取り出した

『ハンッ…召喚師ィ…!オメェーはただ喰い殺すだけじゃ飽き足らねー…グール!!』

『『『ギギギギ…』』』

マカラはおもむろに取り出した石ころに似た奇妙な物体を地面に投げ捨てるとその石ころ…否、魔石は瞬時に全身がヒビ割れた岩で出来た身体を持った悪鬼の様な怪物…ファントムの使役する下級ファントム・グールに変化した。何十体もの夥しい数のグールは槍を構えながらサマナーを全方向から完全に包囲する。

『まずは全員でミンチよりもひでェ状態にしてやる!腸とかよォ…タマ○ンとか引っ剥がして、脳味噌擦り潰してそれ全部掻き混ぜたものをストローでズルズル啜ってやるぜェッ!!』

マカラはどうやらグール達と共にサマナーをリンチにし、グロい最期を味あわせてやろうと目論んだようだ…人数の関係か、余裕タップリにそのような下劣なプランを晒け出したが…。

『ふーん…あっそう、そういえば、忘れてたな…』

『ああん?なんだその落ち着きようは!?それが殺される奴の態度か!!』

『先程の戦いでは見せそびれたが…今、教えてやるよ、何故ボクが召喚師(サマナー)という肩書きなのかをなッ…!!』

[CALL Now]

サマナーはこの不利な戦況に怯えるどころか逆に妙に落ち着いた様な、むしろ呆れた様な反応をしたためマカラはイライラしながら野良犬の様に食ってかかるが…この時サマナーはある指輪を嵌めてサマナードライバーにタッチし、その効果を発動させると手に携えていたヴェルサイザーの鐘(ベル)が自動的に激しく揺れて盛大に音を奏でた。

『またお得意の手品か?マヌケが!どう足掻いてもテメェは死ぬんだよ!ギャハハハハハ…お?』

『『…』』

単なるハッタリだろうと思い笑い飛ばしたマカラがふと振り向くと背後に一切の音も立てずに突如…新手のファントムが二体現れた。

一体はギラギラと赤く輝く血走った四つの眼、いくつも並ぶナイフの様に尖った歯を強く食いしばる黒豹の顔、両肩には折り畳まれたカラスの翼を模した肩当てを付け、両腕両足にはギターやバイオリンの様な弦がピーンッと張られているという見ようによっては悪魔の様にも見える外見をしたフラウロス

もう一体は赤と黒の毒々しい斑模様をした鳳仙花の花弁で象った火龍に似た顔、紅蓮の炎の様にも見える蔦植物が走るボディ、腕と足には植物の根が絡み付いてるという姿をしたサラマンダー

『んだァ?お仲間かよ、カラドリウスかフンババの野郎、余計な事を…でもまあいい、おいテメーら!手伝え!!』

『『…。』』

マカラはこのなんの前触れも無くいきなり現れたフラウロスとサラマンダーを口煩い上司共が送り込んだであろう援軍だと思い、偉そうに命令したが肝心の二人は何故か無反応…棒立ちしたまま無言を決め込んでいる


『オレ様の話を聞いてんのか!?クソボケ!!案山子か!テメェらは!?突っ立ってねーでサッサとグールと一緒に召喚師を殺れ!!』

『『『ギギギギ!!』』』

マカラは話を微塵も聞いてない馬鹿二人に激を飛ばしながらサマナーにグール達をけしかける…だが、信じられないことが起きた

『バルルルルルル…バルッ!!』

『ギララララララ!!』

『『『ギギャアッ!?』』』

なんと、フラウロスとサラマンダーは何故かサマナーの前に立ち、まるで彼を守るかの様に迫るグール共を殴り飛ばしたのだ。

『はあ~っ!?違う、このマヌケ!!そっちは味方だろがァアアアアアアアアアア!!?』

『バルァアアアアア!!』

『…な…ガッ!?』

敵(サマナー)を助けるという意味不明なフラウロスとサラマンダーの愚行が気に食わず、キレたマカラが怒鳴ろうとした次の瞬間、フラウロスは右腕を振るい、張られていた弦を伸ばしてマカラの左腕を切断した

『ギララララララ!!』

『『『ギャアアァアアアアアアアア!!?』』』

同時にサラマンダーは頭を上下に激しく振るうヘッドバンキングにも似た動作をして燃え盛る炎の花びらを撒き散らし、その場に居たグールの半数を焼き尽くし、消し炭と化した

『痛ギャアアアアアアアア!!な…何やってんだァッ!馬鹿か!?テメェらァアアアアアアアアアア!!』

またもや理解に苦しむ行動を誤作動を起こした機械の様に淡々とこなすフラウロスとサラマンダーにマカラは切断された左腕を押さえながら、激痛のあまりに地面にのたうち回った。

『無駄だ。「そいつら」はボクの言うことしか聞かない。』

『は!?』

『ボクにはちょっとした能力があってね、それは指輪の力で封印したファントムを…好きな時に呼び出し、操れる。すなわち、「召喚」だ』


『なん…だと…?』

サマナーがカミングアウトした魔法(マジック)の種明かし、それはなんと、ある指輪の力で封印したファントムを召喚の指輪…コールリングで呼び出して使役する事が出来るサマナー固有の特殊能力だった。

(ただし、魔力の消費が激しいから長時間は無理だけどな…ふぐっ…うゥッ…!!)

サマナーは仮面の下で苦悶の表情を浮かべ、胸を押さ込む。当然ながらこの世のあらゆるもののメリットの裏にはデメリットが存在する…ファントムの召喚には多大な魔力が消費され、その負担は激しいものであり下手すれば魔力切れを起こして変身が解除されてしまい、最悪の場合には自身の命に関わる可能性が極めて高いのだ

『バルルルルルル…!!』

『ギララララララ!!ギララララララ!!』

『…役者は揃ったぞ、さあ…』

右にフラウロス、左にサラマンダーが立ち、真ん中のポジションにサマナーが立ち、ヴェルサイザーの切っ先をマカラに向けながら再びあの言葉を言い放った



『さあ…饗宴の時間だ…!!』


 
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