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世にも不幸な物語

作者:炎花翠蘇
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第二章『幻想入り』

  ドスッ!っと鈍い音と共に背中にくる痛みで輝は浮遊感から解放された。
「いっってぇ――!あぁ~腰打ったぁ、ていうかここ何処だよ」
 輝は腰を擦りながら立ち上がって周りを見た。
 周りを見ると草しか生えていなかった。
 180度見渡しても草しか生えていない。草原に近かった。
 対称的に反対側は川があった、途轍もなくデカイ。
 立っている位置から川の端を見ようとしても、まだ続いている。
 川の向こう側を見たら、遠くてそんなに見えないが赤く染まっていた。多分花が咲いているのだろう。
「千葉県じゃない・・・なここは」
 輝は今見ている風景でここは千葉県じゃないと確信した。
 草原はあるかどうか定かではないけど、こんなに途轍もなくデカイ川は存在しないからだ。
「むしろ、日本なのかな?こんな川日本にあったか、日本最大の川ってどこだっけ、あったとしてもこんなに川の幅やっぱでかいかな?」
 一人でブツブツと考えていると川から水しぶきが上がる音がした。川に重いものでも放り投げた音のようだ。
 水しぶきの音で我に返った輝は何か忘れているような気がした。
「・・・・・・。あ」
 そういえば風と零の姿が見当たらない。一緒に落ちたはずなのに。
 見たことの無い風景に気を取られて二人のことをすっかり忘れていた。
 嫌な予感がして急いで水しぶきがした方へ向かった。


 嫌な予感は的中していた。風と零は川に流されていた。すごい速さで。
 二人はなんとか岸にしがみついていて流されないように必死に堪えている。
 この距離だとまだ掛かるし、輝が行ったところで二人を引っ張り上げることは無理にちかい。むしろ輝が到着するまで体力が持つかもわからない。
 散々考えたが、一つしか思いつかなかった。
「この力あんまり使いたくなかったけど・・・しゃぁーない、使うか」
 輝は立ち止まり、目を閉じ集中した。
 そんなに使っていないから不安だったけど、以外にこの感覚は覚えていた。
 屍を探す感覚を・・・・
 輝のこの能力は屍を探しそれを操ることが出来る。それだけではない、屍が生前の頃の能力も使える。例えば、生前料理人だったら美味しく料理ができたり、生前音楽家だったら上手に演奏できたりする。
 走るのが得意で多少力がある屍と、ここが何処だか解からないし誰かに襲われる可能性があるから攻撃に特化した屍を探す。
「見つけた」
 思いのほか時間は掛からなかった。
 こんな草原に屍が埋まっているのか?と思ったが今は考えている暇はなかった。
「来い。屍たち」
 地面から屍が四体出現する。
 四体の内二体は走るのが得意尚且つ多少力があるということで忍者を出し、もう二体は長槍を持った兵を出した。
「忍者たちは急いで風と零を助けにいって、長槍兵は辺りを警戒しながら忍者たちを守れ」
 命令すると屍達はすぐに行動した。
 流石忍者の屍、輝が命令を下した瞬間すごい速さで風達の下へ向かった。
 少し遅れて長槍兵も走り出した。長槍兵も忍者に少し劣るが足が速かった。
 屍たちが命令どおりに動いたかを確認してから走りだした。
 到着している頃には、風と零は忍者たちに岸に引き上げられていた。
「大丈夫か?お前ら」
すぐさま風と零に声を掛けた。
 風と零は若干水を飲んでいたらしくむせていた。
 しばらくすると、呼吸が落ち着いたらしく零が言ってきた。
「流石ワイトキングNEO/バスター、屍を使って俺らを助けるとは」
 そう言ってグッジョブサインを向けてきた。
「その呼び方をやめい!」
「だって屍を従えているんだぜ?お前ほどこの名に相応しい人物は他に入ない!」
「ハハハハハハハ・・・・・・。もう一遍川に入る?」
「まぁまぁ、そんなに怒るな」
 風が輝の肩をたたき宥めようとして話に入ってきた。
「だけどさぁ~」
「輝・・・・。事実なんだから認めちゃいなよ☆」
「認めるか―――――!」
 輝は全力でツッコんだ。
「だれが認めるか!そんなの!」
「「えぇ!!」」
「二人して驚くな!」
「なぜ認めない、屍を操る程度の能力なのに?なぜ自分をワイトキングNEO/バスターと認めない!」
「どっかのゲームキャラクターみたいな台詞を使って言うんじゃねーよ!それと東方みたいに○○程度の能力的な感じて俺の能力を言うのは止せ」
「別にいいじゃん。それとツッコミが長い」
「長くてすいませんでしたぁ―ッ!!」
 輝は息を切らしながら額に手を置いて唸った。
「誰のせいでこんな能力が付いたと思ってんだよ」
「はて?なんのこと?」
「とぼけるな――――!!!」
 屍を操れるようになったのはつい最近のこと。
 なにが原因か今でも不明だが、風と零が輝のことをいじりまくっていたら突然覚醒した。
 御陰様で、ワイトキングNEO/バスター(意味不明な)と言う変なあだ名を付けられてしまった。
 もし神様が入るのなら恨みでいっぱいだ。
「所でここ何処なんだよ。お前ら分かるか?」
 風たちに聞いても無駄だと思っているけれど一様聞いてみた。
「たぶん、ここは・・・・彼岸だな」
 以外にも答えが返ってくるのが速かった。
そして、風からでた言葉はもっと以外だった。
「ん?ひがん?」
「そう、彼岸」
 聞き慣れない言葉に混乱していた。
「つまり・・・・。どゆこと?」
「つまり、三途の河のこっち側」
 三途の川のこっち側?
 不吉なことを聞いてしまったような気がした。
「つつまり、ええ~と、だから・・・・」
「まだ分からんか?」
 風は呆れるようにいってきた。
 そして聞いてはいけない物を聞いてしまった。
「つまりここは、あの世の一歩手前の三途の河」
 風の答えを聞いて混乱が臨界点を突破し、暴走した。
「俺は死んだのか――――――――――――――――――――――――――――――っっ!!」
 輝は生きてきた人生で一番の絶叫をした。
「うお!輝が壊れた」
 風は輝の取り乱している所を冷静に見ていた。
「なんでお前はそんなに落ち着いていられんだよ!」
「いや、なんでって聞かれても」
「死んだんだぞ!それでもなんで落ち着いているんだよ!」
 三途の河だと分かっているのに冷静に答えている風が不思議でしょうがなかった。
「何そんなに慌ててるんだよ」
 零が飽きれたように言ってきた。
「そりゃぁ慌てるよ!だって、だって」
「死んだから?」
「そうだよ!てかなんで零も冷静なんだよ!」
「いや~そう言われても」
「もうなんなんだ!この二人は――!」
 もう訳が分からなくなってきた。
 なんでこんなに冷静になっている二人が分からない。
「もうなんなだよ、あの女性はー!なにが面白くて連れて来たんだよ!もしかしてあんなに綺麗なのに死神だったりするのか――――――――――――!」
「いや、紫は死神じゃないよ。紫は」
「ht;yんtc;あい&%&909ん:7r9cd;fklr;hdgjgjhygct94g!!」
 輝は風の説明を聞かず暴走していた。
 屍たちは輝を落ち着かせさせようとあたふたしている。
「風」
「なんだ、零」
「人が壊れたところ初めて見た」
「それを言うな」
 風達がなにか言っているようだったが輝は未だに暴走していた。
「さて、これからどうする?」
 零は輝を無視して話を切り出した。
「ん~、俺の嫁、もとい白玉楼に行きたいんだが、どっちに向かえばいいのやら」
「いくら東方に詳しくたって、詳しい道のりは分からないからな」
 未だに輝、暴走中・・・・。
 屍たち、頑張って輝を抑えようとしている。
「なんだいなんだい、やけに騒がしいと来てみたら外側の人間が落ちて来たのかい」
「「あ、こまっちゃんだ」」
 いきなり女性の声がしたので混乱しながらも輝は声がした方を向いた。
「お、あたいのこと知ってんのかい。光栄だねぇ」
 こまっちゃんと呼ばれる女性は照れくさそうに頭をかいている。
 その女性は和風ぽっい服を着ており、髪は赤毛でツインテールをしている。そしてでっかい鎌を持っている。
「どぉちぃらぁさぁむぁでぇすぅくぅかぁ―――――――――――――――――!!」
「てか、なんなんだいあのカチューシャ君は?さっきから騒いでいるけど?」
「あいつは大丈夫です。ありえないことが立て続けに起こってパニックになっているだけですから」
「正気に戻さなくて平気なのかい?あれ」
 輝まだまだ、暴走中・・・・。
 屍たち、お手上げの状態。
「はい、戻しますよ。いい加減にうざくなってきたんで」
 風が近づきそして
「輝・・・。目を覚ませ」
 風の左ストレート。
「ぐはっ!」
 数歩後ろによろめき。
「目を覚ませ☆」
 零の回し蹴り。
「ごべっ!」
 数歩横によろめき。
 そして
「目を覚ませー」
 こまっちゃんのスカイアッパー。
「がはっ!」
 輝は大の字になり・・・・。
 K・O
 三人は仲良くハイタッチ。
 輝はようやく正気に戻る。
「はっ!ここは何処、私は誰?」
 正気に戻り、上半身を起こして辺りを見渡した。
「輝、目を覚ましたか」
「あ、風。俺はいったいなにをしていたんだ?記憶がないんだが」
 風は輝の肩をたたき言ってきた。
「お前はなにもしていない。ずっとここで気を失っていただけだ。」
「そっか、つっ!」
 立ち上がろうとしたら痛みが走った。
「いって~、なんだこの痛み、お前ら知ってる?」
「大丈夫か?」
「どっか怪我してんのか?」
「落ちた時どこか打ったんだろうねぇ、大丈夫かい?」
 三人揃って心配してきたので不気味だった。
(ん?三人?)
 輝は目を擦り、人数を確認した。
 右から、風、零、でっかい鎌を持った女性。
「・・・・。あの~どちら様でしょうか?」
 輝は鎌を持った女性に尋ねた。
「あれ!本当に記憶が無いのかい、強く殴りすぎたかね?」
「つよく?なぐりすぎた?」
「いや、こっちの話なんで気にしないでおくれ」
 女性は慌てて手を振りながら言ってきた。
 女性の行動を不思議に思ったが、深く考えなかった。
 程なくして女性は咳払いをして自己紹介をした。
「あたいの名は、小野塚 小町。三途の水先案内人さ」
「三途の・・・水先・・・案内人」
 顔が引きつり、嫌な汗が噴出してきた。
「ふふ、あんたが何考えているかだいたい察しが付くよ」
 小町は輝が何を考えているか分かったらしく笑っていた。
「そう・・・あんたが考えているように」
 小町がそう言った瞬間、小町がいた所には屍忍者がいて、輝の後ろにいた筈の屍忍者の代わりに小町がいて輝の首に鎌を突き立てていた。
「あたいは幽霊を運ぶ者、死神さ」
 輝は固まっていた。
 屍達は素早く武器を小町に向けていた。
「・・・・なんてね」
「はへ?」
 輝は思わず間の抜けた声が漏れてしまった。
「ところで、この物騒なもの除けるよういってくれないかい」
 小町は輝の首から鎌を外し、両手を上に挙げて降参のサインをしていた。
 直ぐに屍たちに武器を下げるように指示をした。
「ふぅ~やれやれ、冗談が通じない屍だねぇ」
 初対面で鎌を首に突き立てるものどうかと思うが、と言いたかったが言うと、また面倒なことに成りかねないからあえて言わなかった。
「でもまさか引っかかるとはね、あたいも思わなかったよ」
 屍の肩を借りて立ち上がり不機嫌な顔して小町を睨んだ
「あははは、そんな顔しないでおくれよ」
 笑顔で言ってきた。
「・・・・」
 あんな笑顔で言われると、怒る気力がなくなってきた。
「まぁ、死神っていっても何も殺したりしないよ。ただ船を漕いで三途の河を渡るだけのしがない船頭さ」
「そうですか」
 小町と会話をしていて悪い人ではないと確信した。
 鎌を突き立てられた時は死を覚悟したけど。
「あ!」
 小町との和やかな会話で忘れていたが、三途の河は死んだら行く場所だとすっかり忘れていた。
「ん、どうした?」
 風が聞いてきた。
「え、だって小野塚さんが    」
「あたいのことは小町って呼んでいいよ」
「は、はい、解かりました。小町さんが三途の水先案内人をしているってことは、ここは三途の河で、俺らが今ここに入るって事は・・・・・俺ら死んだの?」
「いや、死んでないよ」
「え!?」
 風の即答にも驚いたし、その答えも驚いた。
「ここは三途の河でも、幻想郷の三途の河」
「げ!幻想郷!」
「そ、幻想郷。駅であった女の人覚えている?あの人は八雲 紫、教えた筈だが?」
 輝は記憶の中を探して、思い出した。
「思い出した!境界を操る人だ!そして神隠しの主犯!」
「よく思い出したな」
 風はなぜか誇らしげに頷いていた。
「いや~、まさか本当にゆかりんがいるとはねぇ、驚いたよ」
 だれだって驚くよ普通。
 むしろZUN氏の方が何者だろう、と思う。
「本当にここが幻想郷だとしたら、お前ら詳しいはずだよな」
 輝は一つの希望が見えた。
 風と零は東方に関する事なら詳しいはず。
 一刻も早くもとの世界に戻りたい、そのことしか考えていなかった。
「詳しいことは詳しいんだが」
「だが?」
 輝が言ったあと一拍あけて言ってきた。
「詳しい道のりは、分からない」
 零も隣で頷く。
 目を丸くした。
希望が遠のく気がした。とりあえず落ち着いて聞き返した。
「だって、お前ら東方のこと詳しいんでしょ?なんで分からないの?」
「いいか輝」
 いきなり風が改めて言ってきた。
「確かに俺らは東方に詳しい。だが詳しい道のりはいく俺らでも分からないんだ」
「マジかよ・・・」
「永遠亭の場所は知ってるけどね☆」
 零がそう言うと、風は納得したように零と共に笑い出した。だが輝は笑える気分ではなかった。
 今にも場に崩れ落ちたい気分だった。
 最後の希望が断たれた。
 絶望という単語が輝の頭の中で連鎖してネガティブ思考になりかけた瞬間に小町が話しかけてきた。
「そこのカチューシャ君」
「・・・・」
「お前しかいないだろ」
 パンッ!といい音が鳴った。
「え、俺?」
 風に頭を的確に叩かれて、我に返った。
危うくネガティブ思考になるところだった。
 叩かれた所を摩りながら小町の方を向いた。
「話を聞いていてだいたい事情は分かった。物によっちゃぁ相談なんだが・・・」
 小町は輝たちを見た後、続けて言った。
「あたいが教えてやってもいいよ」
 神はまだ見放してはいなかった!
 輝は再び希望が見えたと思い小町に近づき、喰らい付くように聞いた。
「本当ですか!小町さん!」
「あ、あぁ」
 小町は少し驚いていた。輝は慌てて離れた。
「白玉楼までだったらカチューシャ君たちだけで行けるだろ。白玉楼に着いたら妖夢あたりに道を教えてもらうなり、地図を描いてもらうなり頼めばいいさ」
「妖夢キタ―――――――!」
 いきなり風が叫んだ。
 輝と小町が不思議そうに風を見た。
 零は別に不思議がることなく冷静に風を見た。
「いえ、こちらのことなんで気にせずどうぞ」
 にやにやしながら答えた。
 そういえば、妖夢は俺の嫁とか言っていたことを思い出す。
 気をとり直して小町が話を進める。
「ところで、屍を操っているのはカチューシャ君だよね?」
「はい、この屍を操っているのは俺ですけど」
 小町が輝の答えを聞いて不敵な笑みを見せた。
 その不敵な笑みを見て輝はまたしても嫌な予感がした。
「よし、そうと分かれば話が早い」
 そう言い、輝の側により輝を180度回転指せ、腕を輝の首にかけ言った。
「このカチューシャ君をあたいに貸してくれないかい?」
「えぇ――――――――――――――――――――!」
 また嫌な予感が的中した。
 輝はすごく動揺していた。
 落ち着けと自分に言い聞かせ、冷静に考えた。
 なぜ小町は輝が屍を操っていることを確認した。
 もしや・・・
「小町さん、聞いてもいいですか」
「なんだい?」
「なぜ俺が必要なんですか?」
「そりゃぁ仕事をサボ・・・・・人手不足だからねぇカチューシャ君にぜひ手伝って貰おうかな、と考えいたんだ」
「・・・・」
 絶対にサボる気だ。
 輝の鋭い視線に小町は、視線を逸らして苦笑いをしていた。
 救いの視線を風たちに向けたが、二人は輝の視線に気付き風と零はアイコンタクトをして、にんまりと笑った。
「!」
 この笑みは、もしや!
「「どうぞどうぞ、お貸しいたします」」
「貴様ら――!血迷ったか―――――!」
「え!?いいのかい?」
「「はい、いいですよ」」
「よくないわ―――――!」
「いや~たすかるよ」
「あんたら、本人の許可無く話し進めようとしてない!?」
「さっそく道聞いてもいいですか?」
「風!!話をすすめるな!」
「輝さっきからうるさい!」
「何で零に怒られるんだよ!」
「大事な話をするから、少し静かにして」
「俺は関係ないけどね!」
このままだと生贄にされると輝は悟り、屍たちに助けるよう指示をだした。
「屍たち今すぐ俺を―――」
 助けろ、と言ったその刹那。
 小町が鎌で屍たちを一振りで倒した。


強い。


 いくらなんでも四体の屍をたった一振りで倒すなんて強すぎる。
 屍たちが地に帰っていくのを確認してから逃げようとしたら、小町に首根っこを捕まれた。
「いったい何処にいくんだい?」
 逆らったら殺されそう、そう思った。
「邪魔者は消えたし、さっさと道聞こうぜ」
 零が話を戻してきた。
「おっと、そうだった忘れる所だったよ」
 輝は諦めていた。
 輝一人では闇風と零の暴走は止めることはできない。
「ここから、かくかくしかじか、って行けば白玉楼に行けるよ」
「ありがとう、こまっちゃん」
「いいって、お礼なんてあたいも助かっているし」
「それはよかった」
「てめぇら人事だと思って」
「だって人事じゃん」
 零がサラリと言った。
「くっ・・・」
「そんじゃぁ、俺らは行くんで」
「気ぃつけて行けよ」
「あ!マジで置いて行くんだお前ら!」
「輝・・・本気と書いてマジと読むんだ」
「誰もそんなこと聞いてねぇよ!」
「仲が良いねぇ~」
「よくないです!」
 これから先どうなるのだろうか。
 輝はこれからのことで不安が一杯だった。
 風たちは小町だけ別れの挨拶をして行こうとしたら零が何か思い出したかのように輝の元に駆け寄り耳元で囁いた。
「フッ・・・・ザァマァ」
「うぉ――のぉ――れぇ――!」
 襲いに行きたかったが小町に首根っこを捕まれ動けなかった。
 小町は小町で輝を宥めていた。
 零はそれだけのことをわざわざいいにきたのか。
 流石ドS、腹が立つ。
 輝がそんなことを考えていたら二人はさっさと行ってしまい、二人の背中は小さくなっていた。
 程なくして小町は輝を放した。
 そして、友ってなんだろう、と輝は考えたかった。
 考える暇も無く小町が話しかけてきた。
「これからよろしく、カチューシャ君」
「その呼び方やめてください」
「おっと、こりゃぁ失礼、そんじゃ改めて名前教えてもらえるかい?」
「輝です」
「輝か・・・これからアキってよんでもいいかい?」
「いいですよ、別に」
「よし、これからよろしくアキ」
 小町は笑顔で言い、手を出してきた。
 一つ溜息をついて輝も手を出し、握手をした。
「こちらこそよろしくお願いします。小町さん」 
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