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とある3人のデート・ア・ライブ

作者:火雪
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第三章 悪夢
  第10話 神上

 
前書き
今回は上条さんが神上になります。

では投稿します。 

 
その夜。


フラクシナスにて。


琴里「令音」

琴里はフラクシナス艦橋で、艦長席から比較的近い位置に座った令音を呼んだ。

たが返事がない。

令音の手元にあるディスプレイには、なぜか真那の顔が画面いっぱいに拡大されていた。

令音はそれを見つめながら、難しげな顔をしていた。

琴里「令音?真那がどうかしたの?」

令音「!……琴里か。ん、少しね……それよりシンの様子はどうだい?」

シンとは士道のことである。

琴里「ええ。ちょっと不安だったけど、十香と話して吹っ切れたみたい」

令音「……そうか」

令音は小さく頷き、ふっと顔を上げた。

令音「あぁ、そうだ。頼まれていた解析が済んだよ」

令音の言葉に琴里はピクリと反応した。

琴里は令音に真那のDNA鑑定を依頼していたのである。

琴里「で……どうだったの?」

令音「……ん、真那は、シンの実の妹とみて間違いない」

琴里「……そう。本当の……妹、か。一体どうしてそんな娘がASTに……」

令音「いや、少し調べてみたが、正確には違う」

琴里「どういうこと?」

令音「彼女はもともと自衛隊員ではなく、DEMインダストリーからの出向社員だ」

琴里「……っ、DEM社……?」

DEMインダーストリー社。

デウス、エクス、マキナ、社、を略した通称で、イギリスの本部と置く大企業であり、『ラタトスク』を除けば、自衛隊AST、世界中の軍や警察に秘密裏に配備されている『顕現装置(リアライザ)』、いわゆるASTの武器は、全てここで製造されているといってもいい。

精霊を狩るこのにも非常に積極的であるため、琴里たち、『ラタトスク』の商売敵ということが言える。

琴里「ちょっと待って。余計意味が分からなくなったんだけど。士道の妹がなんでDEMなんかで魔術師(ウィザード)をやってるわけ?」

令音「それは分からないが……」

令音は言葉を切ると、奥歯を噛み締め、怒りに震えてるように拳を握った。

琴里「一体何があったの?」

令音「……これを見てくれ」

令音はコントソール操作すると、画面に真那の写真と、細かな数値が表示された。

琴里「……これは」

令音「ああ。全身に魔力処理が施されている。彼女の異常な強さはこれだ。……だが代償も大きい。恐らくあと10年ほどしか生きられないだろう」

琴里「……っ、何よ、それ」

DEM社製の顕現装置は完璧ではない。演算核の処理が追いついていないため、それを人間の脳で補わなければならない。

そのためら外科手術で頭に小さな部品を埋め込むことが必要とされてる。

だが……真那の身体はそんなレベルを遥かに超えていた。

令音「……彼女がどんな決意でこれを受け入れたのかは分からない。だが……シンにはまだ明かさない方が……ん?」

令音は画面にある真那の画像を元の大きさに戻して、上の大きいモニターをふと見て気付いた。

そこに、



上条当麻の顔が映されていた。




令音「そういえば近くの広場にカメラをおいてたが……こんな時間に……彼は何を……?」

暗くて分かりにくいが、彼は確かに、どこか広い場所に立っていた。

琴里「気になるわね……。確か彼に通信機は持たせたままだったから……勝手に聞くのは悪いけど」

と琴里は自分の席に戻って、上条の通信機との会話をONにした。

すると、



凄まじい音が聞こえた。



琴里「な……ッ!」

令音「こ、これは……!?」

それは、

多々起こる爆発音と、それと重なったガラスが割れるような音だ。

上条めがけて、ミサイルなどが飛んでいくように見えた。

しばらく、それが鳴り止まなかった。

そして向こうで煙が充満していて、モニターは灰色一色にうめつくされた。





爆発音が鳴り止み、充満していた煙も消えると、モニター越しに上条の声が聞こえた。

上条『ふう……』

?『お疲れ様です』

上条とは別の声も聞こえた。モニターからは上条の顔しか見えないが、その声は女の声だった。

上条『これでも……まだ″覚醒″しきってないのか?』

上条が女に疑問を投げつけた。

?『そうみたいですね。私には詳しいことは分かりませんが』

上条『チッ……まだ足りねえのかよ……』

上条は下を向いて舌打ちをした。険しそうな顔をしている。

2人は最近知り会ったというより、昔からの旧友と再開したような口調で話しているように琴里達に聞こえた。

?『彼なら知ってるんじゃないですか?』

上条『あぁ?』

?『あなたの″右手の覚醒″のことを教えた張本人ですよ』

上条『知らねえよ。ヤツは俺に名前も名乗らずに消えたからな』

?『そうですか……』

上条『それより、土御門はどこだ?』

?『彼はステイルと一緒にインデックスの所に行っていますよ』

その女はハァ……と小さくため息をした。

その女は上条の様子を気にもとめてないようだ。

?『″彼女″はどうするんですか?』

上条『あいつは少し休ませてやれ。無理しすぎだ』

新たに出てきた″彼女″という第3の人物に琴里と令音はさらに困惑した。

そして、上条と話している女はさらに上条に問いかける。

?『まだ続けますか?』

上条『……そうだな』

上条は上を向いて少し考えた。

少しして、彼は右手を前に出した。

すると、

琴里「え……?」

令音「あれは、何だ……!?」

彼女達が困惑するのも無理ないだろう。

なぜなら、



彼の右の肩口から何かが出てきたかと思うと、それは上条の肩から指先まで覆う、龍の頭になったからだ。



全体的な色は紺色、目はエメラルドグリーン色の……そう、アニメなどで出てきそうな″龍の頭″……『竜王の顎 (ドラゴンズストライク)』に……

『竜王の顎』からは青く光った煙に似たオーラが漂っている。

そう、それはあの三沢塾の時の様な……

上条『これでも″覚醒″したと思うんだけどな』

?『それではまだ未完成です。″左手″がまだ覚醒していませんので』

上条『オイオイ、まさか左手まで″龍の頭″になっちまうのか?』

?『それはないと思いますが……』

上条『……ま、いっか』

と言って上条は突き出していた龍の頭を、さっき出てきた時の光景を逆再生するように戻っていった。

そして力を抜くように手をぶらんとさせる。

すると、女が右手のことについて説明……というより確認を取るような口調で話し出した。

?『その″右手″今のままでも十分な強さを持っています。しかし、未完成ゆえに魔力の消費が激しいです。使うのは控えて下さいね』

上条『へいへい』

?『ですが、あなたの持ってる魔力は私との特訓で桁違いに上がりました。10分程度なら使っても問題ないでしょう』

上条『結局、使ってもいいのか悪いのか分からねえ言い方だな』

そして、

上条は両手をポケットに入れて、その女の方を真っ直ぐ見据えて言う。



上条『いつも悪いな神裂。特訓に付き合ってくれて』



神裂『いえ、これも恩返しだと思って下さい』



上条『そうかい。……じゃあな』

上条はそのまま神裂に背を向けて、去って行った。



その様子をすべて見ていた琴里と令音は、

令音「………!?」

琴里「彼は……一体、何者……?」

さらなる疑問が出てきて頭の中がグチャグチャになっていた。

















 
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