| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

問題児+異能者が異世界から来るそうですよ?

作者:政之
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
次ページ > 目次
 

第3話

 
前書き
長らくお待たせしてしまってすいません。テストや模試で忙しくなかなか時間が取れませんでした。
私は今年受験生なので更新が滞りますが、どうかお許しください。 

 
水神から苗樹のギフトを手に入れ(正義は水神を結局呼び出して使役することにした。)一行は、森の岩場に座り黒ウサギに説教を受けていた。
「全く、何を考えていらっしゃるんですか!?箱庭に来て早々、勝手な行動をなさるのですか!」
「そんなの別に良いだろ?それより黒ウサギ、お前のコミニティの状況について教えろ」
そう言った正義の片目には鶏の形の瞳になっていて、黒ウサギからは意識が無いように感じられた。
「はい、私たちのコミティについてお話しいたします」
無機質な口調で語り始めた黒ウサギから語られたのは予想を遥かに凌ぐものだった。

まとめるとこうだ。
ジン=ラッセル率いるノーネームはかつてはアルカディアと呼ばれる東区画最大のコミニティで人類で最も多くの魔王を倒しその名と旗を掲げ、注目を置かれる一大コミニティだった。だが、3年前に現れた正体不明の謎の魔王にギフトゲームに強制的に参加させられ敗北し、あらゆるもの・・・つまり人材、旗そしてコミニティの名を奪われたという。今では黒ウサギのお蔭で何とか活動できているため名と旗を取り戻すために活動しているのだ。


「成程な。それで異世界から俺達を呼び寄せたのか?」
そう言うと正義の目が戻り黒ウサギに生気が戻った。
「十六夜さん、正義さん騙したことは心からお詫びします。ですが黒ウサギは・・・」
「そいつは別にいいぜ。黒ウサギ、入ってやるよ、お前等の『コミニティ』に。なんせこんなわくわくする感じを与えてくれる奴と戦う宿命を負うんだろ?最高の娯楽だぜ。これ以上の楽しみはねえな、十六夜も入るだろ?」
そう言って十六夜に問う。
「当たり前だろ?そんな面白そうなの参加しねえわけねえだろ」
「それじゃあ」
黒ウサギは嬉しそうに嬉しそうな顔をした。
「ああ、お願いされなくても入ってやるよ」
そう言って正義は微笑んだ。






黒ウサギが十六夜と本体の正義に説教等をしている頃、飛鳥たちはカフェテリアを訪れていた。
「・・・本体の野郎、水神と対決しやがって羨ましいぞ」
「いきなりどうなさったんですか?」
正義の分身がいきなり呟いたので、ジンは少し驚いたようだ。
「なんでもねえよ、俺は折原正義だ。そこの2人は黒髪ロングが久遠飛鳥、ショートヘアが春日部耀だ。よろしくなジン」
そう言って正義全員を紹介する。
「ご注文は如何しますか?」
正義が紹介が終わると同時に店員が注文を聞きに来た。その来た店員は猫の耳と尻尾がある店員だった。
「紅茶を3つ、緑茶を1つあと軽食にこれとこれを」
「ニャーン(猫マンマ一つ)」
「はい紅茶が3つ、緑茶がお1つと猫マンマがお一つ。以上でよろしいでしょうか?」
『え?』
「三毛猫の言葉わかるの?」
「はい♪毛並みもいいし素敵な旦那さんなのでサービスしちゃいます」
店員はにこやかに微笑んだ。
「なんだよ、さっき聞こえたのこいつの声か」
そう言うと正義は三毛猫の喉を撫でた。
「ニャーン ニャウ ニャーン(姉ちゃん、いい猫耳と尻尾だにゃー)」
「いやですよ、お客さん」
「箱庭ってすごい、三毛猫の言葉がわかる友達がたくさんいる」
耀が嬉しそうにする。
「ちょっと待って、あなた達猫と会話できるの?」
「「うん(ああ)」」
「まさか、猫以外の動物とも意思疎通って可能なの?」
「私は生きているならなんでもできる。折原は?」
「正義でいいぜ、俺は生きていようがいまいが関係なくあらゆる種族の言葉がわかるぞ。今だってそこの野鳥の考えてることだって手に取るように分かるしな」
「2人は素敵な力なのね。羨ましいわ」
「そうでもねえよ、この力のせいで何度も命を・・・」
「おんやぁ?東区画の最底辺コミニティ“名無しの権兵衛”ことジン=ラッセルじゃないですか?今日はお供の黒ウサギはいないのですか?」

正義の言葉を遮るように下品な声が聞こえてきた。
振り返ると2メートルはあるだろう体格に鋭い爪にスーツを着た男が立っていた。
「僕たちはノーネームです。“フォレス=ガロ”リーダー、ガルド=ガスパー」
ジンはガルドと言う名の男を睨みつけるが本人は意に介さなかった。
「黙れ、この名無しめ。聞けば新しい人材を召喚したそうじゃないか?コミニティの事情を話さなければ上手くいくとでも思ったのか?コミニティの誇りである旗と名を奪われてまだコミニティを続けているものだ。ーそう思いませんか?お嬢さ方に紳士さん?」

そう言ってどっかり勝手に隣に座る。
「相席を許した覚えもないのに名を名乗らずに座るだなんて無礼ね」
「これは失礼しました。私は、箱庭上層に陣取るコミュニティ“六百六十六の獣”の傘下である「烏合の衆の」コミュニティのリーダーをしている・・・・・・ってマテやゴラァ!! 誰が烏合の衆だ小僧オォ!」
名乗っていたらジンの横槍の言葉にガルドが怒りを表す。
その顔は口からは牙が剥き出しとなっており、目は獣の様に鋭かった。
「おい、ここはカフェの店内だぜ?喧嘩すんなら両成敗するぞ。それと話があるなら早急に済ませろ、俺は見た目に反して意外と短気なとこがあるんでな」
正義の冷ややかな視線と言葉に我を返ったガルドは最初の姿に戻る。
「これは失礼しました。話というものでは無いのですが、そちらのジン君が話さない箱庭におけるコミ二ティの現状についてでも話して差し上げようと思いまして」
「ガルド!それは」
「口を慎め能無しの小僧ォ、過去の栄光に執着する亡霊風情は自分のコミニティがどういう状況なのか分かってるのか?」
「そのぐれえ知ってるよ。ジンのコミニティ“ノーネーム”が物凄い崖っぷちだってのもな」
「どういう事かしら正義君?」
飛鳥が正義に質問する。
「どうもこうも言ったとおりだぜ?ジンのコミニティは3年前に魔王とのギフトゲームに敗れて経営すら危ういって事さ」

正義は当たり前の事の様にさらっと言ってのける。
「本当なのジン君?」
今度はジンに質問する。
「・・・・」
ジンは俯いて黙ってしまった。
「それでガルドさんよ?アンタが言いたいのはこんな何もできないコミニティより自分のコミニティに入らないかっていうお誘いだろ?」
正義の言葉に今度はガルドは驚かされた。
「ええ、その通りです。黒ウサギともども私のコミニティに入りませんか?視察と検討をしてくれるならー」

「悪いが俺はジンのコミニティに入るって決めてるんでね。なんせ魔王と激突できんだろ?そっちの方が楽しいからな、俺は楽しい方に掛けるね。お前等はどうする?」

ガルドの言葉を正義が遮るように宣言し飛鳥たちに聞く。
「私も結構よ、ジン君のコミニティで間に合ってるもの。春日部さんはどうかしら?」
「私も、別に構わない、私は友だちを作りに来ただけだから」
「あら?なら私が友達一号に立候補してもいいかしら?」
「それなら俺も立候補するぞ、共有出来るものがあると嬉しいからな」
「うん、久遠も正義も友達。私とは正反対だから尚更」
3人はジンとガルドがポカンとしてる間に話を進めた。
「おいジン、喜べよ。子供なんだから嬉しがれって、人間ってのは小せえ頃にそういう感情出しとかないと後悔するぞ」
「それって私のことを言ってるの?」

耀が少し怒ったように正義を睨む。
「耀は感情豊かだぞ?それに可愛いと思うし」
「そ、そうかな?そんなこと言われたの初めて」
正義の言葉に耀は少し照れる。
「あの理由をお訪ねしてもよろしいでしょうか?」
ボウっとしていたガルドが理由を尋ねる。
「理由?んなもん決まってんだろ。こっちの方が面白そうだからだよ。お前らのコミニティに入れば確かに色々ありそうだ」
「そうですとも!そんな名無しより名も旗も「だけどな」だけど、なんでしょうか?」
ガルドは自分のコミニティをアピールしようとするが正義はまた話し出す。
「それだけだ。ワクワクする相手と戦うわけでもねえ、それに俺は定められた未来や将来、確定された事や習慣なんて下らないんだよ。己の身の保身より強い奴と戦う、お前らのコミニティじゃそれが期待できない。だからノーネームに入るんだよ。それとな」
正義は一旦言葉を切り、ガルドをまっすぐと見つめてはっきりと言い切った。
「俺は気に食わない奴とは組む気はねえよ、だから失せな」
そしてしっしと手を振った。
「この野郎、こっちが下手に出てれば調子に乗りやがって!」
ガルドの紳士的な言動メッキがが遂に剥がれ、本性を現す。そして正義を殴ろうと拳を振りかぶる。
『止まりなさい!』
テラスに飛鳥の声が響くと同時にガルドの動きがピタリと止まった。
「なるほど、飛鳥の力はマインドコントロールみたいなもんか。でも助かったぜ」
「ええ、そうよ。自慢できる能力でもないでしょ?私も同じよ。私は裕福だった家も、約束された将来も、おおよそ人が望みうる人生の全てを支払って、この箱庭に来たの、私の目指すのはそんなちっぽけなものじゃないわ。それにあなたにはまだ、色々と聞きたいことがあるのだもの、あなたはおとなしく椅子に座りなさい」
「ほら、飛鳥が言ってんだ。さっさと座れ!」
正義がそう言った瞬間ガルドは操り人形のようにゆらりと座った。

これにはジンも疑問を持ち、飛鳥に至っては驚愕の表情をしていた。だが正義はそれに一地説明している暇もないかのように急かす。
「座ったら隠してること全部吐け。簡単にコミニティを大きくした、yえぐいやり方をな」

「自分たちのコミニティを大きくするなら旗印をかけさせればいい。そのための交渉材料はそのコミニティの女や小さいガキを人質に取ればいい」
ガルドはすらすらと吐いていく、自分してきたことを、箱庭の法に触れるような外道なことを。
「ほう、ならそのガキは用済みになったらどうするつもりだ?」
さらに問い詰める。
「殺した。最初は母親が恋しいだなんだ言ってるのにイライラして殺した、その後もイライラする度にガキを殺した。そして今は人質になったガキはその日のうちに殺して部下に・・・「もういい、黙れ!」・・・・」
正義が怒鳴るとガルドはピクリともしなくなった。瞬きも、息すらしていなかった。
「見下げた外道だなコイツは。おいジン」
「は、はい!なんですか?」
ジンはガルドの姿に驚いていて自分の名前が呼ばれるとは思わず、声が裏返ってしまった。
「こいつには罰は下されるのか?」
「はい、箱庭の法に触れている以上彼には裁きが下されます。ですが、それまでに彼が箱庭から出てしまえばどうしようもありません」

「そうか、ならしかたないか」
そう言うと正義は指をパチンと鳴らすと、ガルドの体が動きテーブルを叩き割りながら叫んだ。
「この小僧ォォォォ!!」
すると先程なったように顔が牙をもつ獣となった。だが、変化はそれだけではなかった。
巨躯を包むタキシードは膨張する背筋で弾け飛び、体毛は変色して黒と黄色のストライプ模様が浮かび上がる。
 彼のギフトは人狼などに近い系譜を持つ。通称ワータイガーと呼ばれる混在種だった。

「テメェ、どういうつもりか知らねぇが…………俺の上に誰がいるのかわかってんだろうなァ!? 箱庭第六六六外門を守る魔王が俺の後見人だぞ! 俺に喧嘩を売るってことはその魔王にも喧嘩を売るってことだ! その意味が・・・・」

「ハッ!上等じゃねえか。魔王と戦えんなら、むしろ万々歳だぜ!」
「この小僧!!」
そう言ってガルドは腕を振りかぶり拳を突き出した。だが正義は平然とそれを受け止める。
「おい、獣。1つ取引という名の勝負をしようぜ、ギフトゲームでこっちが勝ったらお前等の台頭の禁止と箱庭の外に逃れることを禁止する。逆に俺等が負けたら、お前が今まで行ってきた罪を黙認してやる、これでどうだ?分かったらとっと失せな!」

そう言い終わるとガルドを持ち上げた。
「おいジン、フォレス=ガロってのはどっちだ?」
「えっ?あちらですけど?」
その続きを言う前に正義はジンが指差した方向目掛けてガルドを投げ飛ばした。その後振り返り飛鳥たちの方を向く。
「悪いな、勝手に話進めちまって」
「別にいいわ。それよりそろそろ黒ウサギたちが戻ってくるんじゃないかしら?」













広場で合流した一同は黒ウサギに状況を説明した。
「何を考えていらっしゃるんですか!?一体何をどうすれば、フォレス=ガロのリーダーと接触して、あまつさえギフト勝負する状況になるのですか!しかも決闘の日取りは明日⁉︎それに敵のテリトリー内でだなんて!準備している時間もお金もないんですよ⁉︎一体どんな勝算があってこんなことをしたんですか⁉︎」
一通り状況を説明すると黒ウサギは堪りかねたものを吐き出すように早口に捲し立てた。
「聞いているのですか⁉︎御三方!」
『むしゃくしゃしてやった。後悔はしてる』
「黙らっしゃい‼︎,」
3人のまるで示し合わせたかのような解答に黒ウサギは何処からともなくツッコミの定例アイテムハリセンを取り出して3人を叩くが、正義はひらりと躱して黒ウサギの腕を掴もうとする。だが黒ウサギはそれを避けるとハリセンを構える。
それをニヤニヤしながら見ていた十六夜は黒ウサギを止めにかかる。
「まあいいじゃねえか。こいつらも見境なく喧嘩ふっかけたわけじゃねえんだから許してやれよ」
「そうそう、細かい事を一々気にしてたらその自慢の毛並み禿げるぞ?」
「ハゲ・ま・せん‼︎十六夜さんは面白ければ良いと思ってるかもしれませんが、このギフトゲームで得られるのは自己満足だけなんですよ?この契約書類を見て下さいよ。ちなみに契約書類は主催者権限を持たない人が主催者になる際に書く契約書です」
黒ウサギは契約書類を十六夜に渡しながらも説明する。
そこにはこう記されていた。

「“参加者が勝利した場合主催者は参加者が言及する全ての罪を認め、箱庭の法の下で公正な裁きを受けた後にコミニティをを解散する”ー確かにこれは自己満足だ。時間が経てば立証できるもんをわざわざリスクを冒してまで短縮するんだ」
ここで言う黙認とは今回だけでなく、それ以降永遠に黙認するという意味でもある。
「ですが時間さえかければ彼らの罪は白日の元に晒されます。なぜなら肝心の子供達はもう…………」
そこまで言って黒ウサギは言葉を切る。フォレス=ガロの黒い噂は耳にはしていたが、予想を上回る外道だったのだろう。
「ジン坊ちゃんまでいたのに、やはり衝突は避けれませんでしたか?」
「そうだな、避けようと思えば避けれただろうな。だが生憎と俺は己の中の正義を信じ、突き進む術しか知らん奴でな。多分無理だと思うわ」
「僕も彼らのやり方には憤りを感じてるんだ」
黒ウサギの問いは正義とジンの硬い意思を崩すことは出来ず、決意を新たにさせるだけだった。
「はあ〜仕方ないデス。まあ黒ウサギも腹が立っていたので。フォレス=ガロ程度なら十六夜さんお一人で十分でしょう」
黒ウサギの評価は的を射ていただろう。だが十六夜も飛鳥も納得いかに顔である。こういうところはさすがは問題児、そう思い通りに事が運ぶはずもない。
「おい黒ウサギ、俺は参加しねえぞ」
「そうね。これは私達の問題だもの部外者である貴方なんか参加させないわ」
その言葉に黒ウサギは又も頭を抱える。どうして彼らはこう仲間というものを大事にしないで自分だけの領域を作るのだろうか。これは先行きが不安になり腹痛と頭痛を覚える黒ウサギだった。正義と耀に至っては小鳥を手に乗せて微笑んでいるのを彼女の三毛猫が警戒していた。
「とりあえず今日は色々あったからな、ゆっくりとしたいな」
「そうね。お風呂に入りたい気分だわ」
「それと三食とちゃんとしたベットがあれば最高」
飛鳥の言葉にジンの表情が曇る。今の自分達が水をを手に入れるには数十Kも先にある川で汲んで来なければならないのだ。そのジンの表情を見た黒ウサギが満面の笑みを浮かべる。
「水に関しては心配要りませんよ。十六夜さんと正義さんのおかげでこんな大っきな水樹の苗と水神が手に入ったんです!」
そう言って苗を掲げる黒ウサギは明るい表情でそう言った。それを聞いたジンは目を見開いて正義を見た。そして思ったのだ、彼は途轍も無いラッキーカードだと。




 
 

 
後書き
一旦切ります。はてさて一巻が終わるのは何時になるのだろうか?それでは皆様、次回も気長にお待ちください。 
次ページ > 目次
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧