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僕は友達が少ない!〜ヨルノタカ〜(更新凍結中)

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第一話 羽瀬川小鷹と三日月夜空

 
前書き
どうも。コロモガエシです。まだISの方は三話までしか投稿してないにもかかわらず、新しいのを投稿です。バカですね〜。自分が嫌になります。さて、今回書いたのは、“はがない”の
もしも、小鷹が女の子で夜空が男だったらみたいな話です。それでは、張り切ってどうぞ! 

 
「転校生の羽瀬川小鷹です。母がイギリス人のハーフなのでこの髪は地毛です。皆さんこれからどうぞよろしくお願いします……………………
よっし!これで完璧なはずだ。」

バスの中で一人ぶつぶつと言っている。くすんだ金髪を三つ編みに結んだ少女。事情を知らない人達から見れば「なんだあのイかれた不良は?」となるかもしれない。しかし、残念。彼女はイかれてもなければ不良でも無い。今言った通り、彼女の髪は地毛だし、ぶつぶつ言ってたのは転校先での自己紹介のためだ。

彼女、羽瀬川小鷹はこれまで友達ができたことが全くと言っていいほどなかった。理由ならわかりきっている。まずは、その容姿。決して顔は悪くないのだが、その目つきの悪さとくすんだ金髪が台無しにしてしまっている。そして、もう一つあるのだが……これは別の機会にしよう。

「は〜ぁ…友達、欲しいなぁ…」

ポツリと小鷹は呟いた。別に小鷹だって好きで友達のいない非リア充になっているわけでは無い。彼女だって花の女子高生。友達とショッピングや遊園地、まだまだ行きたい所はたくさんある。なら今まで一人たりとも友達がいなかったのかと聞かれるとそうでもない。たった一人だがいたのだ。小学校の頃の話だが、学校も違ったが、二人は友達だった。そう…だった………

「あれ?何で通りすぎてるの?」

物思いにふけっていると、いつの間にかバスが目的地を通りすぎていた。いつもの小鷹なら考え事をしていたとしても、アナウンスされたら気づいていただろう。だが、気づかなかった。

「まさか…ね…」

後ろ向きな思考を無理やり脇に追いやりもう一度自己紹介を復習しようとする。そんな時だ。

『次は○○。バスが停まってから移動してください。』

アナウンスが響いた。そのアナウンスに指定されたバス停は小鷹が降りようと思っていたバス停の一つ後の名前だった。

「…………マジかよ‼︎」

女の子らしからぬ声をあげながら小鷹は鞄を抱え急いでバスから降りる。そう。さっき彼女が危惧していたまさかが起こってしまったのだ。確かに小鷹だって、なんかつくまで長いなぁとか、考えなかったわけでは無い。さっき通りすぎた時にまさか、悪の秘密結社に誘拐されたのかとか、妹じゃあるまいしそんなあり得ないことを考えるわけもない。だが、まさかとは思わないだろう。まさか自分が
”転校するというイベントに浮かれて降りるバス停を間違える”だなんて。

小鷹にとって転校などこれまで何度も経験したものだ。その度に友達ができるかもと期待し、何度も幻滅してきた。

ーそれでも期待しちゃうボクはやっぱりバカなのかなぁ…

いつも思うのだが、それでも期待せずにはいられない。そうしないと、きっと自分が壊れてしまうと、小鷹は知っているからだ。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「あ〜ぁ、退屈だ……」

少年、三日月夜空は机に突っ伏して呟いた。その表情は見方によっては何かを憂いているようにもみえ、元々美形な彼がそんな表情をしていると、否が応でも女子の視線を釘付けにするのだ。
ここ、聖クロニカ学園に入学した当初こそ、生意気だなどと、おかしな理由をつけてケンカを仕掛けてきたが、そこらへんのやつらなどでは、彼には勝てない。なぜなら彼は八歳から、今まで、ある特殊な武術を母から叩き込まれており、並の人間では傷一つつけられない。それ故に夜空はその力を使いそいつらを完膚無きまでに黙らせた。
だが、それが悪かった。それによって

「不良を傷一つ負わずにのした最強の美少年」

などと言う噂が広まってしまったのだ。別に自分が美少年だということは否定はしない。(もちろんこんなこと言うから彼には友達ができないのだと自覚もしている。)
だが、それによっておかしなあだ名をつけられるのはごめんだ。

「英雄王…か…笑えねえ…」

夜空についたあだ名。英雄王。つまりはヒーローということだ。
ヒーロー。これほど彼に似合わない名は無いだろう。夜空はそう思う。彼のことを表面上しか知らない他人からして見たらなにを馬鹿なことを言っているのだ。と、言われるだろう。だが、彼をよく知っている人間から言わしてもらうと、そいつらこそなにを馬鹿なことを言っているのだという話だ。夜空の知り合いの言葉を借りるならばそう。夜空はスターにはなれてもヒーローにはなれないだ。なぜなら夜空は知ってしまっているから。
本物のヒーローを。自分を救ってくれたあの少女のことを。女の子なのに自分のことをボクと呼び凄まじいまでの怪力でいじめっ子達を撃退した。あのくすんだ金髪の女の子を。

ーピンチのときにはボクをよびなよ。心の中で三回唱えな。

ヒーロー見参
ヒーロー見参!
ヒーロー見参‼︎

そしたらボクがやってくる! ー

「いい加減、来てくれよ…ヒーロー…」
その言葉を信じて、何度呼んだことだろう。ああ、今日もまた、退屈な一日が始まる…

★★★★★★★★★

小鷹は走る。階段を駆け上がりもう授業が始まったいるとわかっていても走る。


夜空は心の中でとなえる。
ーヒーロー見参。


小鷹は走る。教室まであと少し。


夜空は心の中でもう一度唱える。
ーヒーロー見参。


小鷹は加速を始める。もう扉を開けるのすらもどかしい。


夜空は心の中で最後にもう一度唱える。
ーヒーロー見参。


「おっらああああああああ‼︎」

その雄叫びと共に小鷹は教室の扉を
“蹴り破った”

ガッシャーン‼︎と、まるでハリウッド映画のように、アクションスターのように、そして、ヒーローのように。

クラス中の視線が小鷹に集まる。好奇心や興味ではない。ただただ恐怖の色しかない視線。小鷹はそれらに対しなにもしなかった。いや、疲れすぎてなにもできなかったが、正しいだろう。その悪魔的なまでに悪い目つきでそちらを見ることしか。

サッ!

クラス中の視線が離れた。おそらく彼らには不良が「ああん?なに見てんだよ?」と睨んでくるようにみえたのだろう。だが小鷹にはそんな気は全くない。皆無と言ってもいい。まあ、彼女にとってはそんなこと日常茶飯事なのだが。
さて、この段階で小鷹の自己紹介してみんなの誤解を解こう計画はすでに実行不可能になっている。

「て、転校生の羽瀬川小鷹です。」

最後のですが、Deathに聞こえてしまったことなど、当然小鷹は知らない。

◎◎◎◎◎◎◎◎◎

「かっ、はっはっはっはっ‼︎」

放課後の談話室4で夜空は馬鹿みたいに笑う。理由は今日来た転校生だ。

くすんだ金髪。悪魔的に悪い目つき。そして、化け物並の怪力。間違いない。あいつだ。

「おかえり…ヒーロー…」

たった一人の部屋で、たった一人。友達のいない非リア充の少年はポツリと呟いた。 
 

 
後書き
どうでした?ちなみに途中のヒーロー見参は、最近はまったピンポンからとりました。次回もお暇でしたら、見てください。 
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