「メ」から始まる異世界日記
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造られた世界
前書き
「やっとためせるんだね! ワクワクするよ~」
「楽しみだよ! 好きにしていいんでしょ?」
「ふっ、構わんさ」
彼らの目線の先は、月明かりに照らされていた。
とりあえず休日まで待った。
ティラミスの過去を聞いてからは本気で平日も考えていた。どうしてこんなことをしたのか、なんのために彼女たちを造ったのか、なぜ能力を変えるっていうバカげたことをやったのか。俺の頭じゃ理解できないことだ。だけど考えることをやめることはなかった。
土曜日の朝一番に俺とミドリとティラミスとあかりはギルドを出た。ロミオも呼んだのだか遅くなるらしい。あかりはおいていこうとしたんだけど俺の服を掴んで離さなかった。
「は…離してくんないかな?」
「…いや」
「いや…出発できないんだけど」
「いく」
「はぁ!? 危ないかも知れないんだぞ?」
「…」
「それでも来るのか?」
「…うん」
まぁ、相変わらず口数少ない。
俺が先導で女3人が後ろからついてきていた。洞窟までの道中は変わったことはなかった。後ろに百合の花が咲くのをのぞいて。
てかティラミスのんきだね~…まったく…あいつの過去と関係あるのに。
そんなこんなで9時くらいにはメン洞窟に到着した。洞窟だけあって中からはヒンヤリした空気が流れてくる。
とりあえず、あかりがいた場所まで迷いつつなんとか到着。やはり天井はなく、太陽の光が差し込んでいた。そのおかげでこのあたりは明るく、手がかりも見つけやすそうだ。と辺りを見回すか見回さないかくらいに目に飛び込んできたのは…
「骨…か? モンスターってこんな奥までくるのか?」
「知らないよ?」
「わたしも知りませんわ」
「…」
「そっか…みんな知らないか…あれ? あかりどした?」
前にあかりを見つけたくぼみの近くを見つめているあかり。
「ん? なんかあるのか…? あれは…んなっ!!?」
「ひっ…!」
「え…っ!?」
「…」
「お…おいっ!? 大丈夫かっ!!?」
「だ…れ?」
そこに倒れてたのは…やっぱりと言うべきなのか、ティラミスやあかりと似ている女の子だった。俺が起こそうとすると目はあけたのだが視点は虚空に向けられ、こちらの呼びかけにも応じない。とりあえず目をあけているかのような状態で…
「あ、大丈夫か!? しっかりしろ!! 今なんとかするから!!」
「い…や……ぁ…こわ……ぃ………」
「だ…大丈夫、なんとかするから…」
「いやぁぁぁぁぁあ!!!!!」
耳を破るような絶叫だった。そして、それきり動かなくなった。
「コウ…? その子、大丈夫…なの?」
恐る恐る聞くミドリに対し、俺は…何もできないままだった。
「俺は…俺は…どうして……こんな…!」
何もできなかった。もう少しはやければ…迷いさえしなければ…
「その子…見せてくださいます…?」
初めて聞いたティラミスの悲しい声だった。
俺はのろのろと下がった。
「つらかったんだよね…怖かったよね…ごめんなさい…もう少し、はやくこれていたら…」
その子をなでながら涙ながらに話しかけるティラミスの姿は…正直、目をそらしたかった。でもそうできなかった。もう少しはやく到着できていれば助けられたかも知れなかった。だから、自己満足なのはわかってるけど…それが償いであるかのように思えた。
「17…と書いてあります。やはりこの子も…」
とにかく、この洞窟から3人の造られた人が見つかった。
ティラミスも衰弱してたって聞いたし、あかりも倒れてた。そして、この子も…
この場所の持つ意味を理解していくにつれて怒りがこみ上げてきた。
「あははっ! お姉ちゃんかな? そこでその出来損ないを抱っこしてるのは!」
「お姉ちゃんじゃない。出来損ないだよ」
ぶちぬかれた天井から下をのぞいているのは瓜二つの顔を持つ子供。その目は、まるで遊園地の観覧車からはしゃぎながら下を見ているかのようだった。
「ねぇ、お兄ちゃん。すこし遊んでいこうよ!」
「そうだね、おもちゃがふたつもあるし」
「ひとつずつだからねっ♪」
俺の中で、なにかが切れた。
「おもちゃ…? 誰のこと言ってんだ…?」
「決まってるじゃない! No.3とNo.23のことだよ~!」
「ふ~ん…そっかぁ…そうなんだ~ じゃあさ、そのおもちゃと遊ぶ前にさぁ…あたしと遊んでくれるかなぁ…?」
ミドリが本気で怒った。前までの雰囲気はどこへやら、一瞬で豹変した。
「おもしろいな。僕も一緒に遊ばせてもらうよ」
男の子の目が赤く光った。
「ティラミス…あかりを頼む。ミドリ! 援護する!」
「2人とも、気をつけて」
この状況だとティラミスを戦わせるのはダメだ。なにがどう、とは言えないけど。
日本刀を精錬し、戦闘態勢に入る俺の横でミドリも腰のポーチから手裏剣を取り出す。
ミドリの能力は加護。自然の力を使える。今は風の力を使ったのか彼女を取り囲むように風がふいている。そして彼女は魔法こそつかえないものの、世間では《くのいち》と呼ばれる。風の力とあいまってスピードは一級品だ。
「へぇ…創造系と加護系の能力か。楽しみだ」
その頃、遅れて洞窟の入り口付近まできたロミオは我が目を疑った。目の前の光景がとても信じられなかった。これは俺でもビビる。
その女は驚くことに男の首筋に噛みついていた。
「これは対価なのよ…あなたもお相手する?」
「た…対価…? お嬢さんもしかして…」
「そう、魔法使いを超えた存在って知ってる?」
「契約魔導師…」
「あ・た・り」
何もなければロミオならホイホイついていくくらいの美人さんなんだが…
「こりゃ…まったく…にしても契約魔導師とはね…珍しい」
契約魔導師とは、かなり強い魔法使う。いきなり火山を爆発させたりと冗談でもやめてほしいような能力を使うことができる。ただし、力が強すぎるためその力を使った後には対価という自分を縛る行動をとらなければならない。歌を歌うとかお酒を飲むとかならまだしもロミオの目の前にいる女のように血を啜ったりしなければならないものまでいる。
そこでロミオはひらめいた。
「聞いたことあるぞ…白銀のヴァンパイア…」
「あら…? わたしのことを知ってるの?」
ロミオの能力の感知をもってしても女の存在には気づけなかった。気づいてたら出くわさないように隠れてるさ。俺だってそうする。
「知ってるよ…なんたって有名人だからな、裏の」
「ふふっ…遊んであげる…」
そのころ、タイクツ付属も忙しかった。
昨日の電話の件で。
後書き
はい、えっと…なにが更新がおくれるだ!? たった1日じゃねぇか!?
こ…これから遅れるんだよ…
本編もマジメな展開です!
筆者もマジメに勉強しないと卒業できません。
ゲームして、マンガよんで、アニメ見て…勉強なんてとても無理です。
筆者の近況なんでどーでもいいので、次回予告をすこし。
ようやくバトルに突入です! 契約魔導師の力とか双子とか、ミドリとロミオも!
注目してください!
(バトルの描写がへたくそな可能性大)
ではでは!
また!
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