とらっぷ&だんじょん!
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第二部 vs.にんげん!
第22話 ほのおのりょしゅう!
ウェルドは遺跡に足を向けなくなった。かといって一人宿舎の自室でじっとしているのも耐えられるものではなく、何日か、教会に行ってティアラの手伝いを続けた。
そんな態度の急変ぶりを、サドラー以外の冒険者たちが不審に思わぬ筈がなく、またウェルドや仲間たちの間のぎくしゃくした空気も敏感に感じ取っていた。彼らが自分について何を噂しあっているかなど知りたい筈もなく、ただ、教会の二階で眠り続けるディアスの存在が気になって仕方なかった。シェオルの柱とか関係なく、あいつがいきなり勝手に死んでくれたらどんなに楽になるだろう――という考えさえ湧き、そんな事を考える自分に対して嫌悪を深めた。
「よう、ウェルド。近頃どうしたんだ? どうもすっかりやる気なくしちまってるみてぇじゃねえか。顔色も悪いしよ」
ある日、フォルクマイヤーと礼拝室で二人きりになる機会があった。
「いや……まあ……」
言葉を濁すウェルドの前で、遺跡から帰ったばかりのフォルクマイヤーは、大儀そうに長椅子に腰かけた。
「話変わるけどよ……あんたの事、前にバルデスさんから聞いた事あるぜ」
「俺の事?」
「ああ。口が悪くてカッとなりやすい所はあるが、基本的には一途で真面目な奴だってな」
ウェルドはニコリともせず肩を竦めた。
「俺なんてずっとクムラン先生んとこばっか行ってたのに。人の事よく見てんだな」
「バルデスさんってのはそういう人さ」
「でも一途で真面目ってのはどうかと思うぜ。俺別に……」
「そうでもねぇよ。お前は十分真面目にやってるさ」
フォルクマイヤーは首を捩ってウェルドを見た。ウェルドは思わず顔を背けた。
「あのサドラーもな。目覚めてすぐ柱探しに参加できたわけじゃねえ」
「……」
「ショックが遅れて来る、なんてのはよくある話さ。俺はお前が遺跡に入る気がしなくったって、それを咎める気にはなれねぇ。でもよ、ちょっとでもまた柱探しに参加したかったらよ。いつでも来いよ。俺もオンベルトも待ってるからよ」
違う。
そうじゃないんだ。
真相を何もかもぶちまけたい衝動に、ウェルドは必死に耐えた。
宿舎にいる間は、ひたすら仲間との接触を避け、誰かと廊下ですれ違うだけでもやけに緊張した。
フォルクマイヤーと話した日の翌朝、エントランスでエレアノール、レイアの二人組と鉢合わせた。
「行かないのか」
驚いた事に、レイアから言葉を掛けてきた。
「ああ」
レイアはふいと目を逸らす。
「……そうか」
「意外だな。あんたが人助けの為に柱探しに加わるなんてよ」
「柱探しはあくまで、本来の目的のついでだ。お前に話すのは初めてだが、私の目的はアザレの石を探し出し、国王に献上する事だ。その為に煉獄内を探索するのも無駄ではない」
ウェルドは驚いて目を見開いた。
「そう……だったのか……」
「もっとも、私がそれを見つける前に国が亡ぶかもしれんがな」
「レイア、悪い想像はよしましょう」
彼女はつまらなさそうに鼻を鳴らしたが、宿舎から出て行く前に、ウェルドを振り返った。
「自分の目的にとって良い選択をしろ。……私は、それでいいと思う」
思わぬ相手が見せた、思わぬ優しさだった。
教会に行くと、いつもと様子が違っていた。
礼拝室に冒険者たちが集まり結果を報告し合っているのは毎日の光景だが、その顔が沈痛だ。その場にいる冒険者達はアルバートとボスマンの二人組と、二人と同期の冒険者であるリューリンという斧使いの女。この三人より一回り年上のアドルノ、アングル、サドラー。そしてうなだれているティアラを合わせて七人だ。
「フォルクマイヤーが死んだ」
何があったか聞けば、ボスマンが答える。
「オンベルトも」
全身の血管がぎゅっと収縮し、顔から血の気が引くのがわかった。
「オンベルトさんを助けてくれって、あたしらフォルクマイヤーさんから頼まれたんだ」
戦斧を担いだリューリンが真っ赤な目をして言う。
「なのに――なのに――」
「仕方なかったんだよ」
と、アルバート。
「あれは無理だった」
「でもさ……悔しいよ……。やり直しができたらなぁ……」
「バッカ、やり直しできるわけねぇだろ? いつでも機会は一度きりなんだ」
その後、ウェルドはサドラーに呼ばれて別室で二人きりになった。
彼はこう切り出した。
「詳しい事は言えねえが、俺は故郷を追われて流れてきたお尋ね者なんだ。待ってる奴も守りてぇ奴もいねえ。気楽なもんだ」
彼は隠してあった、恐らくカドモンの私物であろう酒壜を勝手にあけ、口をつけて飲み、言う。
「おい、あんたそれ人の……」
「まーまーまーまー、で、本題だけどな。俺が言いたいのは、別にあんたを責める気はねぇってこったよ。俺みてぇに何にも背負ってねぇ人間は、自分の気が済む事だけ考えてりゃいいがな」
「俺にだってもう故郷はない。理解のあるふりならやめてくれよ」
サドラーは酒をもう一口。
「死んだフォルクマイヤーって男、バルデスに随分な入れ込みようでな。一回り近くも年下の男を、誰よりも尊敬してるってな。俺だってあの男は嫌いじゃねえ。だからあの男が助けた命を見捨てたくねぇ」
「俺だって、好きで見捨てようってわけじゃ――」
「そりゃそうだろうよ、ここに来てからずっと一緒だったんだもんな。話してくれよ。どんな奴なんだ? ディアスっていうのは」
「あー」
ウェルドは天井を見て、少し考えた。
「陰険で口が悪くて一言多くて尊大で少し頭がおかしい」
「他に言う事ねぇのか!」
ディアスの話などしたい筈がなかった。サドラーはウェルドに、仲間を救うよう暗に求めているのだ。それ以降、事あるごとに同じ話題を振ってくるからそう察する事ができた。
自分が見捨てようとしている仲間の為に、慣れ親しんだ人が死んだ。今も誰かが命を賭けている。
次第に教会にも居づらくなってきた。
ある晩。町をあてどなく彷徨っていたウェルドは、背後から険のある声で呼びかけられ、足を止めた。
「何やってんだよ」
ジェシカだった。アッシュと二人、月明かりを照り返す雪の中に立っている。
「まさか、柱探しの邪魔しにいくんじゃないだろうな」
青い髪を風になびかせ、その風よりも冷たく鋭い顔で、ジェシカが凄む。
「さすがにそれはねぇよ! 何だと思ってんだよ!」
「何だってなにも、あんたは信用できない。柱を探さないなら何しに来たのさ!」
何をしに。
ウェルドは口ごもる。自分でもわからなかった。ジェシカに話しかけられて、初めて自分が遺跡の前に立っている事に気が付いたくらいだ。
「……行くならさっさと武器とって来いよ」
ジェシカの言葉に、ウェルドは面食らい、黙った。ジェシカは苛立ちもあらわに言い募る。
「あたしらが一緒に行くって言ってんだよ! 早くしろよ!」
「ジェシカ、何もそこまで――」
「あんたは黙ってろ! ウェルド、言っとくけど、あたしらが苦労して探した柱を壊さずに放置なんてしたら、殺してやるからな!」
ウェルドは唇をまっすぐに結ぶ。
何年か前、同じ言葉を耳にした事がある。
殺してやる、と。
※
「もう二度とここには来ないで!」
工房の入り口でフィリアが叫ぶ。
「今度あたし達に近付いたら、殺してやる!」
風が強かった。赤い砂が吹き荒れていた。
熱砂は舞い上がる度、ちりちりと肌を焼く。
ウェルドはフィリアの前に出る。
砂の向こう、紅く霞む視界の向こうに立つ、かつての幼馴染たちに告げる。
「帰ってくれ。俺達にはバイレステに戻るつもりはない」
※
「危ないっ!」
熱風が顔を叩く。
耳もとの叫び声で我に返った。アッシュが首に腕を回し、熱い岩の上に伏せさせた。頭上を灼熱の火球が掠めていく。髪が少し焦げた。
「何ぼーっとしてんだよ」
ジェシカの悪態と同時に、アッシュがウェルドから飛びのいた。彼の服の端が燃えている。
「わ、わっ――」
火は見る間に大きくなっていく。ジェシカが息をのみ、左手にトラップカプセルを握った。火を消そうと慌てふためくアッシュの足許に陣が敷かれ、次いで白い水の柱が陣から立ち上った。それがジェシカのトラップだった。
「熱っ!」
アッシュが叫ぶのが聞こえた。
冷たい水の柱は瞬く間に熱せられ、熱い蒸気となって立ちこめる。瞬く間に視界が白く閉ざされた。
「熱い、熱い!」
アッシュが熱い蒸気の中で叫んでいる。
「ジェシカ、ウェルド! どこだ!?」
こっちだ、とウェルドは叫ぶが、蒸気の中にいるはずのアッシュの姿はついぞ見えなかった。息をする度に蒸気を吸い、気管支が焼けそうだ。肩を守る布の端で口を覆った。その布も、水分を吸って熱い。
アッシュを助けたい一方で、背後に迫る魔物達の影を無視できなくなる。ウェルドは魔物の駆除に集中せざるを得なくなった。
柱を壊せないと言いながら、何をしに来たんだ?
狭い橋の上で、フリップパネルで魔物達を溶岩に弾き飛ばしながら、ウェルドは自問自答する。
手伝いだよ。そうさ。柱を壊さなくったって、支道を虱潰しに探す為の要員にはなれるだろ?
つまり、自分では壊せない柱を他の誰かに壊させる為に。
自分の手を汚さずにいる為に。
どこまでも卑怯で、どこまでも自分本位。
自分がきれいな人間ではない事くらいわかっている。それでも、さすがに嫌になる。
だけど――もしこの道の先に光るシェオルの柱があったらどうしよう。自分の手で壊せないその柱が、よりによって、奇跡のような確率で、自分の前に現れたら。
そんな皮肉な話があってたまるか。だけど――本当にそうなったら――。
橋を渡りきったところで、ジェシカの声が聞こえた気がした。火の海を振り向く。
対岸に立つジェシカが、左の方を指さして、何か叫んでいるが聞き取れない。
彼女の顔が、さっと赤く染まる。
天井から火の玉が降ってきたせいだった。二つ三つ、四つ五つ、それぞれジェシカと自分めがけて落ちてくる。ウェルドは飛びのき、回避した。
「ジェシカ!!」
声が届く筈などなかった。走りながら、ウェルドはジェシカが指さしていた方向に顔を向ける。
そして立ち止まった。
これほどおぞましい魔物を見た事がなかった。
溶岩から浮かび上がる、赤く巨大な顔。
両目は糸で縫合され、額に、そして口の両端に、拷問用の太い鋲が打ちこまれている。
顎の下で二つの手を揃えているのは、手枷を嵌められているからだ。
人の想念を具現化する力が遺跡にあるのなら、いかなる想念があの化け物を生み出したと言うのだろう。
虜囚。
それが、ウェルドにとって眼前の魔物を最も的確に表す言葉だった。
煉獄に囚われし者。果つる事なき業苦。
罪を焼かれて天国に行けるなんて嘘だ。魔物の姿はそう確信させるに相応しかった。あの魔物は炎の中で苦しみ続けるのだ。それが、恐らくは――シェオルの柱に囚われた魂たちの末路なのだ。
「ディアス――」
思わず呻く。この暑さの中、息も、足も、情けない程震えだす。
「――ディアス!」
魔物の口が開く。波打つ溶岩が飛沫を上げ、その口に入っていく。
咆哮を上げた。
またも天井から、火の玉が降ってくる。
助けてほしいんだ。ウェルドは直観する。どうしようもなかった。助ける事は愚か、溶岩のただ中に浮く化け物など、楽にさせてやる方法すら思いつかない。
火の玉が落ちて弾けるごと、地面が酷く揺れた。
嫌だ。人間の魂が、あんな化け物にされてしまうなど。仲間が。
「ディアーーーーーッス!!!」
一際大きな衝撃。
つんのめって膝をつきながら、ウェルドは叫んだ。
「畜生ッ!!!」
ジェシカが、アッシュが、どこに行ったかもはや全く分からない。
ウェルドは立ち上がりながら、熱で揺らめく視界の向こうに目を凝らし、息をのんだ。
女が立っていた。
まっすぐ延びる天然の橋の向こう、緋色の髪の痩せた女が弓を手に立っている。
ウェルドを見ていた。
離れていても、目が合ったとわかった。
女はゆっくり踵を返し、腰丈のマントを熱風に煽らせながら、去って行く。
「待っ――」
よろめきながら、転びかけ、揺れる地面に膝と手をつきながら、ウェルドは橋の上を走る。見知った女へと。一人で遺跡に出入りしていると、亡きフォルクマイヤーとオンベルトより聞かされた、その女のもとへ――。
「ネリヤ!」
聞こえたかどうかわからない。だが、女は立ち止まった。
頭上が明るくなり、熱を感じる。熱さでぴりぴりと皮膚が捲れそうになる。
火の玉の雨の中を、ウェルドは走り抜ける。
そして、ネリヤの足許に滑りこんだ。
轟音の中、ネリヤがしゃがみこむ。笑っている。若い女性らしい、優しく、場違いな笑顔だった。
「――でしょ?」
轟音。
何?
ウェルドは聞き返す。自分の声すらよく聞こえない。
「……――を、……――てるの」
話しながら、ネリヤはまた立ち上がる。
「――ぉかしいでしょ?」
歩いて行く。黒い壁に開いた、人ひとりやっと通れるほどの穴の中に、彼女の姿が消えていく。
ウェルドもその洞穴の中へと逃げこんだ。轟音が遠くなる。
「ネリヤ!」
中は暗かった。手探りで歩く。何も見えない。
「ネリヤ!!」
そして黙る。人の足音が聞こえないか、耳に意識を集中させる。
「ウェルド?」
遠くからアッシュの声が聞こえた。石が散乱する洞穴を、壁に手をつきながらウェルドは歩いた。
やがてまた、赤い溶岩が見えてくる。その赤色を見つめて歩き続けると、道の先でアッシュとジェシカが待っていた。
アッシュは蒸気で火傷したのか、手と言わず顔と言わず、皮膚が真っ赤になっている。さしものジェシカも口を噤み、じっとうなだれていた。
三人は無言で地面を見つめていた。
「……さっきの魔物さ……」
ジェシカが口を開くと、再び地面が震え始める。急に頭上が明るくなった。そして、すっかり馴染のものとなった熱の感触。
再び降り注ぎ始めた火の中で、三人は道が細くなる方、暗くなる方へと、一目散に走り始めた。
狭い岩の間を潜る。
「あれっ!」
先に岩を潜り抜けたジェシカが、道の先で叫んだ。先は広間になっているらしい。彼女の高い声が響く。
道の先で、アッシュの背中とジェシカの背中が並んでいた。二人して何かに見とれている。二人と同じ物を、ウェルドもすぐに見つける事になった。
シェオルの柱だった。
人の肌のような質感。細かく波打つ表面。
それは内側から光っていた。
あれほど探していた、光るシェオルの柱。
決して壊す事はできない物。
命の秤。
それが、動かしがたい事実として、自分の眼前にある。
地面が揺れた。ジェシカの隣の崖の上から、小さな石がぱらぱら転がり落ちてくる。
息をのみ、アッシュがジェシカの肩を抱き、右手の空間に飛びのいた。直後、二人がいた場所に巨大な岩が落ちてくる。
「アッシュ! ジェシカ!」
ウェルドは岩の向こうに叫んだ。
「ウェルド!? おれたちは大丈夫! だから――」
「柱を壊せ! ウェルド!!」
ジェシカの絶叫が、アッシュの返事をかき消した。
「ジェシカ、ここは危険だ、もう――」
「柱を壊せ、壊せ!!」
岩の向こう。走って行く足音。それでもジェシカは叫び続けた。
「壊せ――ッ!!!」
その残響が、こだましながら消えていく。
もう地面は揺れなかった。
火の玉も追って来ない。
柱の前にはウェルド一人きりとなった。
光っているもの。
それが仲間の命だった。
波打つ肉の柱。
それが、世界の数万の命を支える柱だった。
ウェルドは吸い寄せられるように、シェオルの柱に歩み寄った。
「ディアス?」
返事はなかった。柱に触れる。人肌のように温かい。
「ディアス、なあ――お前なら――」
頭の中を、溶岩に浮かぶ赤い顔が過ぎていく。これまで遺跡内で戦ってきた数々の魔物の姿が過ぎていく。魔物に食われる外界の人間たちの幻覚が過ぎていく。ディアスの顔が過ぎていく。
『その男にとっても殺戮は不可抗力だった』
朝と惨劇の光の中で、その顔が喋る。
『凶戦士化した者に責任をかぶせて全てがなかった事になると言うのなら――』
「ディアス」
ウェルドは柱に爪を立てる。跪き、顔を上げた。
「ディアス!!!」
数分後。
時の行路図で遺跡の入り口に戻ったジェシカとアッシュは、奥から駆けてくる誰かの足音を聞いた。その誰かは、二人の間を通り抜けて町に飛び出した。
ウェルドだった。
二人は慌てて後を追う。
カルス・バスティードの町は既に朝で、晴れていた。
「待てよ!」
ジェシカが追いつき、ウェルドの肘を掴んだ。
「お前、柱はどうしたんだよ? 壊したんだろうな!?」
雪は金色の朝日を映し、惨たらしいほど美しい。ウェルドはそのただ中に両膝をついた。
「殺した」
一言、ウェルドはそう言って、両手を見つめた。
ジェシカが身を引く。
「おい――」
「殺した――俺が――殺した――」
不意に体をのけぞらせ、ウェルドは髪を掻き毟る。
そして叫んだ。
獣のように、長く。
同じ時刻。病院の二階では、ティアラが光の中で目を覚ます。椅子に掛けたまままどろんでいたティアラは、目を開け、窓の外の光景に、そのまましばし見とれた。朝日はかつてこの町で起きた惨劇を忘れさせた。すべての屋根に積もる雪は、外界の多くの人の悲惨な末路を忘れさせた。虹色に光る氷柱は、病室で苦しむ人々のうめきを忘れさせた。
ティアラは椅子の上で姿勢を正し、目をこすり、伸びをした。いつもの日課で、衝立の奥で眠る男の様子を確認しようとする。
「ディアスさん?」
横たわる男に近付き、顔を覗く。
そして息をのんだ。
ベッドの傍ら、ティアラは一人、両手で口を覆った。
美しい朝だった。
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