少年少女の戦極時代Ⅱ
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禁断の果実編
第76話 ラーダーズ・リンク
示し合わせてもいない凰蓮と城乃内の参戦。
展開に着いて行けない月花はぼけっとするしかない。
「ボーっとしてんじゃないわよ。いい大人のくせに、こんな子供たちにばかり戦わせておくつもり?」
『ちょ…ッ、あんたねえ!』
湊耀子は戦い通しでボロボロなのに、さらに追い打ちをかける凰蓮の台詞。月花は状況を忘れて凰蓮を叩いてやろうかと思った。
『どうして、この期に及んで――』
「そうよねえ。ノンギャラで戦うなんてアマチュアの極み。ただ負けたくないってだけの幼稚なポリシー。――でもそれはそれで、見守ってあげたくなっちゃうのよね」
ぽかんとした。あの凰蓮が、プロフェッショナルをやたらと強調して自分たちを見下してきたはずの男が、優しい言葉をかけた。
凰蓮は笑って、また近くに来たインベスを蹴り飛ばした。
「変身」
《 ドリアンアームズ Mister Dengeras 》
刺々しい果実の鎧と鋸剣を装甲したブラーボは、勢い勇んで戦場に飛び込んだ。
グリドンとブラーボも加わり、場はもはや乱戦だった。フォローし合うつもりでも、勢い飛ばしたインベスが別の仲間にぶつかって攻撃を邪魔する、あるいは攻撃そのものが仲間に当たってしまう、ということも起き始める。
『派手に動くな! 円陣だ!』
バロンが号令を発した。ライダーたちは誰からともなく、バロンを中心に円を組んだ。
『落ち着いて隣の奴の背中を守れ。数は多いが、ザコの群れだ。消耗を押さえて戦えば、いずれこちらが有利になるっ』
タワーから溢れるインベスは止まらない。今度は飛行型インベスが空から来襲してきた。
月花がDFボムを投げるより速くマリカが弓弦を引いた。桃色のソニックアローは空から来たインベスを殲滅せしめた。
『意外だな。あんたは戦極凌馬を追うかと思ったが』
『誰の未来を見届けるべきかは、これでようやく分かったわ』
何故だろう。むっとした。
(戒斗くんがスゴイのなんて、あたしたちとっくに知ってる――もん!)
口にしない語尾に合わせて、DFバトンでDFボムを打ってインベスへ飛ばした。インベスは行き場のない月花の鬱憤を代弁するかのように爆発した。
円陣作戦は、戒斗の言う通りの効果を発揮した。目の前の敵に集中し、隣の相手の動向にのみ集中する。それらは実を結び、全員の得物を見事にインベスに命中させ、屠った。
『はあああ!』
最後の一体を全員が見事に倒し遂せた。
『やっ、た……』
息を上げつつも、月花がフェイスマスクの下で笑みを浮かべた――直後だった。
街路の石畳が熱くなる。灼熱に立っていられず、誰もがそこから引いた。そこ、が、火山のように燃え上がり、盛り上がった。
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