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ペルなの

作者:御門
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8.手合わせ(後)

 
前書き
ぶっちゃけシグナムとの対決をやりたくて書き始めて『なろう』で三話程で中断、数年を経てシグナムとの対決を書き終えての満足感がヤバい。



取り敢えずオチは決めてるけど、その間のストーリーどうするかを一、二週掛けて考えてこうと思います。

 

 
(くっ!何だ、今のは……!?《シュランゲバイゼン》が無海に届く間際に出て来たアレ等が原因か?)

今、シグナムは地面に倒れ伏している。

それも彼女から攻撃を喰らいダウンしたのでは無く、シグナム自身が転び、受け身も取れなかったのだ。

あまりの事で先程はコントロールを多少乱す程度だったが、今度は魔法の維持も出来ず、レヴァンティンも通常フォームに戻っている。

シグナムは当時闇の書と呼ばれていた夜天の書の守護騎士ヴォルケンリッターとして古代ベルカ戦乱の時代も経験してきた歴戦の勇者であり、今の様な原因不明な攻撃も経験した事はある。

その中では古代ベルカで蒐集した魔女の呪いが一番近いだろうが、それもトリガーとなる特定の条件を満たす事が必須条件、ただ転ばせるだけとはいえ、ここまで強制力を持った呪いを小型の使い魔二体程度が扱えるとはシグナムには思えなかった。

実際のトコロ、シグナムの推測通り《ジャックブラザーズ》の効果は使用者が意図的に除いた対象以外、《ジャックブラザーズ》を視界に入れていた者全員をダウンさせる呪いの属性を持った無差別攻撃。

魔女が扱う呪いとして検証すれば規格外に見えるこの《ジャックブラザーズ》だが、本来なら原則的に一体ずつでしか使役出来ないペルソナを二体同時に扱う絶技、ミックスレイドである事を知っていれば不思議な事ではない。

彼女と同じ『ワイルド』の力を持ったもう一人の救世主、絶対的な力を持つ力を司る者達でさえ、このミックスレイドは扱えないのを念頭におけば、どれだけ規格外かが分かるというもの。

つまりは規格外な人物が放つ規格外な絶技で発生した技が、どれだけ規格外でもおかしくはないということ。

だが、そんな事は知らないシグナムは謎の攻撃について推測を重ねながらも、無理矢理身体を起こして彼女の姿を探す。

シグナムが倒れ起き出すまでは大体三秒程だったが、その三秒の間に彼女は一気に接近しており、後少しで自身が投擲した薙刀を掴める距離に居た。

同然シグナムはそれを妨害する為に、炎の魔力を上乗せした一撃《飛竜一閃》を放とうとレヴァンティンを構えた瞬間、突如横から攻撃してくる彼女とは別の対象がいた。

それはジャックブラザーズのカボチャ、ジャックランタンだった。

ジャックランタンはその手に持つランタンから放つ《アギラオ》でシグナムを強襲するが、シグナムの危機関知能力が上回り間一髪《アギラオ》を回避する。

攻撃は避けられたものの、その間に彼女は薙刀を回収し終え、ジャックランタンも『ヒホホ~』と笑い声をあげてシグナムに《突撃》する。

実質一対二へと不利に追い込まれたシグナムはジャックランタンのスピードが早くないのも確認した上で、飛行して宙へ浮く。

如何に彼女が強く使い魔を使役しようとも、攻撃が届かなければ手の出しようがない。

追いかけてくるであろう幾体かの使い魔を片付け、本格的に彼女との雌雄を決しようと冷静に目算を付けたシグナムに対し、彼女はシグナムを逃す気は無かった。

彼女はジャックランタンを引っ込めると、カードを入れ換えるイメージを浮かべ、改めて召喚器を当てる。

「ペイルライダー!」

馬に乗る、黙示録にも名を記す死神が彼女から顕現したと同時に彼女が馬に飛び乗ると、ペイルライダーは愛馬を駆りシグナムを追走する。

その速さは元々一定の距離を取るだけのつもりだったシグナムを軽く越え、瞬く間にシグナムとの距離を詰める。

だがシグナムの判断もまた早く、ペイルライダーが距離を詰め切る前に《バインド》を発動し、ペイルライダーの馬を拘束した。

馬が動けなければ距離を詰める事は出来ない。

『ユニバース』なら兎も角『ワイルド』にはそういう力は無いから当然であるが、その当然を素直に受け入れる彼女ではない。

彼女は召喚器を構えた状態でペイルライダーを足場に跳躍し、ペイルライダーを引っ込める。

大多数の観戦者が目を見張るが彼女は跳躍途中で召喚器の引き金を引き、ペイルライダーを再召喚。

彼女が落下する寸前にペイルライダーが彼女を拾い上げる。

無理に《バインド》から逃れはしたが、無防備な姿を晒す事になりそれを見逃す程シグナムは甘くはない。

妨害無しで放たれた《飛竜一閃》は防がれる事無く彼女とペイルライダーの所まで届く。

彼女はペイルライダーにキャッチされたトコロで体勢は最悪、ペイルライダーも両手が塞がっている。

全員が燃えたぎる炎を纏ったレヴァンティンが彼女等に命中すると思った。

そして確かにレヴァンティンは彼女に届き、彼女を焼くという点では命中したと言えるだろう。

だが、それと同時に今日一番の衝撃が見ていた全員を襲った。

シグナム渾身の一撃たる《飛竜一閃》は大概のモノを焼き払うに足る火力を秘めている。

バリアジャケットで受ける分には多少の火傷は免れないにしろ、素で受けるのに比べれば天と地程の差はある。

彼女が借り受けたバリアジャケットは、手袋の類いは手の感覚が狂うという理由でグローブ無しのタイプ。

そして彼女は今、体勢は最悪で薙刀で防げないわ《真・斬撃見切り》のスキルをペイルライダーは習得してないわで直撃しそうになったレヴァンティンを、やむ無く薙刀を持ってない手で不恰好な真剣白羽取りを行う羽目になっていた。

バリアジャケットにグローブはついてない為、当然素手である。

急速に手が焼き焦げてく痛みと肉の焼ける香ばしくも嫌な臭いに顔をしかめながら、彼女は現在進行形で悪化していく手に構わず仲間達が側に居ればお説教コース一直線なシグナムを倒す最善手を実行する。

彼女はレヴァンティンを掴んだままペイルライダーをシグナムが居る方向とは逆に疾走させる。

それに対して流石のシグナムも炎を纏うレヴァンティンを素手で掴むという無茶を通り越した無謀に軽く動揺し、判断を誤った。

レヴァンティンを彼女に掴まれたまま彼女の使い(ペイルライダー)は逆の方向に駆け出した事で、蛇尾○みたくやたらと長く鞭状になっているレヴァンティンとはいえ限度がある。

元々最大レンジが中距離の技で、遠距離に攻撃出来る長さはシュランゲフォームには無い。

故に、シュランゲフォームの長さの最大値を彼女とシグナムの間合いが越えたらどうなるかは一つ、伸びきり長さの余裕が無くなる。

糸電話の糸みたくピンッ!と伸ばされたレヴァンティンをどうするか。

この選択をシグナムは誤った。

通常時のシグナムならばしなかったであろう、引っ張られたレヴァンティンを反射的に踏ん張り引っ張り返すという選択を無意識に取ってしまったのだった。

シグナム自身、行いその選択の愚かさを覚る。

何せレヴァンティンを掴む彼女は空を駆ける化物馬に乗って逆走しているのだ。

如何にシグナムが優秀な騎士で強力な防衛プログラムの一つだった過去があろうと、単純な馬力が違う。

直ぐ様シグナムでは抗いきれない力でレヴァンティンが引っ張られる。

このまま力比べを続けてもシグナムの肩と腕がイカれるか、最悪レヴァンティンが大破しかねない。

シグナムはレヴァンティンを放す事でその両方の未来を仮定のモノにした。

騎士として得物をこんな形で奪われるのは屈辱であるが、同時に相手の剛胆さと柔軟さを評価する。

高速で飛来する《飛竜一閃》を掴み手が焼けていく痛みに耐えながら瞬間的な判断でレヴァンティンの限界値まで一気に距離を取る。

普通の人間には出来ない、いやまずやらない事だ。

何にしろ、得物を持っていても攻めきれなかった相手に無手で戦いを続けても相手になるまいと素直に自身の敗北を認めたシグナムは降参の異を示した。




 
 

 
後書き
おかしいなぁ。

予定なら鰤の剣○同士の対決みたく互いを全力袈裟斬りにして終了的だったんだが……

だけど《飛竜一閃》を鷲掴みするシーンが書けて満足。
これも予定では火属性無効を装備してやる予定だったけど、まさかFa○eのサーヴァント紹介動画の影響で適当に選んだペイルライダーがあんなに出張るとは思わなかったよ。


それと、ハム子こと朱音ちゃんは《ジャックブラザーズ》が無差別攻撃とは知りません。
なにせ今まで使うときに仲間と敵以外は居なかったから周りに居るその他がどうなるかなんて知る事は無かったんですよ。 
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