デート・オア・アライブ
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プロローグ デッド!デッド!デッド!
前書き
現在2012年くらいのある晴れない朝……
「こらー起きなさーい!」
朝っぱらからロリッシュな声が聞こえる。はて?俺の家に同居人はいないはずだが……
不審に思う俺だが、そんなことはつゆ知らず布団をぐらぐらと揺らすロリッシュ。
このまま起きて尋問をしてもいいのだが、少しだけこのロリッシュの反応が見たくなった。
「ぐうぐう」
「現実にぐうぐうなんていう人がいますか!起きなさーい!」
「すやすや」
「すやすやでも駄目です!っていうか口動いてるし!」
「フォッフォッフォッ」
「何故バルタン星人!?」
なかなかに面白い反応を返すおなごだ。だがそろそろ現状の把握をしておこう。ここらでからかうのはやめておくか。
そしてゆっくりと目を開けていく。
そこは自分の部屋、いつも見慣れた生活ゴミが散乱して、DVDや雑誌が詰められた本棚。
周りを見回しても何ら違った点はない、いつも通りだ。
「やっと起きましたか。全くもう……こんなに待たせちゃって、プンプンですよ」
唯一、これを除いて……
「口語でプンプンなんて言うなよ。寒気がするわ」
「ぐうぐうすやすや言ってる人に言われたくありません!」
そう言いそっぽを向くロリっ娘。声からしてロリだったがマジにロリだったとは思わなかった。
この幼女は俺(175㎝)の胸の高さほどしかなく、髪が金髪なのと美人顔が相まってビスクドールのようだ。
「それで?君は誰だ?こんな薄汚い部屋に何の御用で?」
「あ!そうでした。実はあなたに」
「待った!やっぱりその先は俺が答えよう」
「へ?」
「俺はおそらく夢遊病で夜の街を徘徊し、君の家に侵入して拉致っちゃったんだろう。それなら君のことが記憶にないのも合点がいくしな」
「いやいやいや。あるわけないじゃないですかそんなの」
「そんな優しくしないでくれ!俺は君に手錠をかけて監禁した後で『助かる方法を教えてやる』とか言って肉切り包丁を手渡したんだろう!?本当のことを言ってくれ!」
「どんだけ自分を極悪にしたいんですかあなたは!私はですね、あなたに重要なお知らせがあってきたんですよ」
「オリンピックも金環日食も終わったはずだが」
「なんでそんなこと知らせなきゃいけないんですか!いいですか、私は神様なんです!」
…………神様? 上様? 加美様?
おそらくは神様だろうが、どうも現実味がない。目の前の勝ち誇った顔のちんちくりん幼女に神としての威厳は微塵も感じられない。
「それで?そんな神様が俺に何を知らせにきたんだ?」
「あれ?あっさり信じるんですね」
「子供のままごとに付き合うのも大人の仕事さ」
「ふっふ~ん。ならもう一個とっておきのお知らせがあるんですよ」
目の前の幼女はどこか怪しげな笑みを浮かべている。それは子供の表情とは遠く離れているようで、どこか違和感を覚える。
だがらと言ってまだ大学に行くには時間がある。そもそもまだ朝飯すら食ってないのだ。腹がペコちゃんのまま数時間頭使いながら過ごすのは自殺行為。この幼女の気の済むままに聞いてやろう。
「いいだろう。今度はなんだ」
「自分の体に触れてみてください」
「体に?」
そう言われて俺は自分の胸に手を伸ばす。
「どうだ?これでいい…………カ?」
何だ?俺は今自分の胸に触っているはずだ。なのに……あれ?いやおかしいそんなことはない。
ダイジョウブダいじょうぶだ 俺はおかしくない そんなはずはない
俺はおそるおそる触ったはずの胸をみる。
嗚呼 嗚呼 嗚呼 何故だ こんなのありえない 断じてない 夢なら覚めろよ覚めてくれ。
さ
「そういえばまだおしらせしていませんでしたね」
幼女の声が遠くに聞こえ、足が震える。
「あなたはもう……」
その先に紡がれた言葉は聞こえなかったかもしれない。
なぜなら俺にはもう……
「死んで るんです 『胴体がなかったんだ』 から」
其れを理解した俺に残された道は唯一つ、
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!」
俺は絶叫し そして絶命した。
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