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少年と女神の物語

作者:biwanosin
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第七十九話

「ふぅ・・・とりあえず、この辺りから探してみるか」

 まず河童の群れが確認されたという愛知県名古屋市。
 そこに来てみたはいいんだが・・・

「どうしたらいいんだろう・・・」

 特に何もなくて、途方にくれていた。
 いや、本当に何にもないんだよな・・・川を片っ端から回ってみたけど、本当に何もない。
 電話の後すぐに出たから一緒に来てる人がいるわけでもなく、氷柱か立夏を連れてきてたら霊視とかも出来たのかなぁ、とか今更ながらに後悔していた。
 とはいえ、後悔してもどうにかなるわけでも無く・・・

「はぁ・・・仕方ない。県内の川片っ端から回るわけにも行かないし・・・」

 それは本当に無駄だ。
 となると・・・あれだな。

「山、行ってみるか・・・」

 そう決めて、建物の陰に隠れて蚩尤、芝右衛門狸の二つの権能で車を作って山に向かうことにした。
 カーナビで山を捜してみて・・・とりあえず、一番高い山に行ってみることにした。
 河童に関わりがあるわけじゃないけど、それでも河童自信が山に関係あるし、行ってみる価値はあるだろうな。

 にしても、この権能ってカーナビまで造ってくれるんだな・・・



◇◆◇◆◇



「さて、ここからどうするか・・・」

 予定通り愛知県で一番高い山・・・茶臼山に来て、車を食べることで消してから捜すことにする。
 キャンプ場で暴れるわけには行かないからなぁ・・・奥に入っていくとするか。

 道なき道を鎌で刈りながら進んで行き、途中で出てきた蛇を投げ飛ばしたりしながら進んでいく。
 そういえば、マダニとかいるんだよなぁ・・・まあ、虫が皮膚に噛み付いてきたりしたくらいで何が出来る、って話だけど。血を吸えるほどの傷なんて、付けれるはずがない。

「さて・・・鬼が出るか蛇が出るか」

 何も気にしないで進んでいくと、川の源流にたどり着いた。
 綺麗な水だな・・・そして、体が高ぶってるなぁ・・・

「ここ、川プラス山で河童には縁深いからな。ここにいて当然だよな?」
「ヒョウ。当然也」
「喋り方面倒そうだなぁ・・・」

 声のするほうへ振り向くと、そこには馬に乗った・・・河童がいた。
 なんか髭が生えてたりするけど、頭には間違いなく皿があるし、河童には間違いないな。うん。
 後ろにも体が茶色みがかってる河童がいるし、間違いなくコイツだな。

「アンタ、名前は?」
「ヒョウ。名乗るつもりはない」
「それ、口癖なのか?」

 なんとも気になるところだけど、まあそんなこと話してても仕方ないか。

「・・・で?どうするんだ?」
「ヒョウ。どうするも何も、我らと汝ら。出会えば何をするのかなど決まっているだろう?」

 そう言いながら、河童の神の周りには水が集まっていく。
 玉龍もそんな感じだったし、最近水の神に縁深いなぁ・・・そう思いながら、飛んで来る河童どもを槍で牽制していく。
 河童は秋になるとひょうすべになり、飛んで山に向かうという。それで飛べるんだろうなぁ・・・

「っと、高圧水流か」
「ヒョウ。貴様ごと貫くつもりだったんだがな」

 槍が折られて出来た隙に河童が突っ込んできたので、足で蹴り飛ばして雷で頭の皿を焼く。
 さすが河童、それだけで綺麗に消えていくな。

「さて・・・これは、いけるかな」

 俺はそう考えながら、あたらしい言霊を唱える。

「我は揺らす。我は全てを揺らす」

 言霊を唱えてる間に河童は攻撃をしてくるが、気にせず唱える。
 他の権能で防ごうとしても、多分それを貫いてくるから・・・他の方法で防ぐしかない。

「地よ揺れろ。海よ揺れろ。天よ揺れろ。我が眼前に在りし全てよ、我がために揺れつくせ!」

 唱えきってから目の前の空間に揺れるよう念じ、水にぶつけて一気に撒き散らす。
 揺れでバラけた水が周りの河童を貫いていき、神獣がほとんど消えた。
 うん、すっきりしたな。

「ヒョウ。・・・またよく分からぬ権能を持っているな」
「そうか?分かりやすくていいと思うけど、な!」

 そう言いながら槍を持って突っ込むと、河童は馬を走らせてすれ違ってくる。
 馬の俊敏さ、さすがに厄介だなぁ・・・

「我がためにここに来たれ、羽持つ馬よ。我がために我が雷を運べ。我がために天を駆けよ。その為にここに現れよ!」

 なら、同じ馬に乗るとしようか。

「我が元に来たれ、ペガサス!」

 天から駆けてきたペガサスに乗り、ついでに退路も絶たせてもらうか。

「我は緑の守護者。緑の監視者である。我が意に従い、その命に変化をもたらせ!」

 周りに有った植物という植物を操り、抜け道をなくす。
 さて、後はどう来るのかな?

「退路を断ち、馬に乗るか神殺し」
「ああ。これで、この場で殺しあうだけだ。・・・そういえば、まだ名前を名乗ってなかったな」
「ヒョウ。確かに。では、最後にお互いに名乗るとしようか」

 さすが神様。
 ちゃんとこっちの趣向に合わせてくれる。

「神代武双。神殺し歴二年、神代家長男」
「無三殿大神。無三殿川にすむ河童だ」

 そして、お互いに獲物を構え・・・ぶつかり合った。
 
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