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とある物語の傍観者だった者

作者:パズル男
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24話:もう1人

 
前書き
………。のーこめんと 

 
美琴がこの場を去り今はオレと変態魔女の2人きり。

 もう現実逃避したいほどに今宵も始まるデスゲーム。

「やっと2人っきりになれたね、ヒフミちゃん」

「はいそうだすなー」

「今宵の満月がキレイだ。ボク達にとって忘れられない情熱的な夜にしようぜ、ハァハァ///」

「……ムリ」

 本気で死ぬワケじゃないだろうけども、世間体とか気にしたら死ねるレベル。

 プライドとか粉砕されるだろう。トラウマを植えつけらるだろう。最悪、人間失格になるかもしれない。

 そんな世にも恐ろしい18禁なゲームが再び始まろうとしていた。

 つーかまだ二回目だがな。

「いや、その前にオレの質問に答えろよ。目的は何だ??」

 うん、殺し合いをする前にやっぱ疑問は解消しておかないとな。

 ここで感動の再開をするためだけに誘き寄せたワケじゃあるまいに。

「そもそも、あのアニメ映画はお前が上映させたのか??」

「うん、そだねー」

 あっさりと肯定。「アレ編集するのに相当苦労したんだぜー」と子供が自分の力作を自慢するかのように説明した。

 そうか、やっぱりお前の仕業だったか。

「そう、ボクから親愛なるキミへのささやかなプレゼントだぜ。気に入ってくれたかな?」

 いや、気に入るどころかゲロ吐いたけども。

「目的はだね、それはキミが一番理解しているんじゃないのかい? あのテスラたんを上手く篭絡させたらしいけども」

「……それも知っているのかよ」

「そうだね、ボクは何でも知っている。キミがあのロリ少女に【お兄ちゃん】と呼ばせて病院でセク〇スしたこともだ」

「何でそんなことまで知っているんだ、お前は……」

「あっはっは、そんなに驚くことなのかい? キミだって気になる女の子の家やら私生活を覗いてんだろ?? ミコッちゃんとか、おっぱい兵器ちゃんとか、リリィたんでさえも」

「言いがかりだ!! オレはお前と違って覗きはしない……つーかお前はオレの私生活覗いてたのかよ!??」

「あぁ、モチのロンだよ。将来のお嫁さんにキミがなるんだ、私生活やら普段の素行をチェックするのは当然だと思うぜ」

「何もかもが間違っている気がするんだが!!?」

 お、お巡りさーん、ここに犯罪者がいます。覗き魔がいまーす。そして愛が重い。

「しかし、だ。ボクがキミの私生活を覗き見る行為に及んだのも、元はと言えばキミのせいだぜ? このボクに傷を負わせて引きこもりにさせたんだから。そりゃ家に篭って2、3ヶ月もジッとしているだなんて退屈で死ぬかと思ったよ。だからこれぐらい許せよ、ボクの嫁」

「誰がお前の嫁だ。そして、自業自得だろうが、そのままくたばったらよかったのにな!!」

「うわっ、酷いなヒフミちゃん。ショックだ、ヒフミショックだぜ!!」

「……モウツッコメマセン」

 なんだよヒフミショックって、意味不明すぎる。

 しかし、なんとなくこいつの言いたいことが分かってきた。目的もなんとなく察しれた。

「要するに、お前が言いたいのは、普通に考えればお前とテスラの計画を邪魔したオレへの復讐なんだよな?? だから、オレをここに誘き寄せた」

 オレはG.W.にこいつらの計画を妨害した。

 そして、それが彼女らにとって大きな痛手だったのだ。

 だから、それの復讐……報復なんだろう。

 でも、変態魔女はそれに首を振った。

「あっはっは、馬鹿言っちゃいけない。その復讐の動機はテスラたんだけだぜ?」

 ……だったら復讐じゃないというのか。

「いや、復讐という答えだけは正解だが、動機が違いすぎる。そもそもテスラたんへ協力したのもリリィたんを苦しめたのも単なる余興だ、面白そうだったか悪事に加担した。ただ、それだけの理由でこのボクはキミに復讐するとでも思ったのかい?? そこまで安くてちっぽけな女じゃないぜ」

「ふざけやがって……だったら何だってんだ? オレがお前にダメージを負わせてプライドでも傷ついたってか? 2、3ヶ月も外に出られなかったのが悪いのかよ。さっきから回りくどいんだよ、オレはさっさと家に帰りたいんだよ。答えを早く言いやがれ」

 まぁ、こっちの方がコイツ的に復讐の動機になりそうだ。

 それは半分正解だった。

「別にプライドどうこういう話しじゃないんだよボケ。寧ろこのボクを傷物にしてくれる男がこの世界にいることに興奮したね! 奇跡だとしても、命を懸けてやっとボクに手の届いた男がキミだったんだ。コレで濡れないなんて嘘だぜ!!」

 ………。

 あの日、本当にいらんことしたなぁと後悔した。完全にロックオンされてるぞ、おい。

「つーか、やっぱりよく考えてみれば傷物にされたのは宜しくないぜ! ホントに時期が悪すぎるぜヒフミちゃん!! キミのせいで家で寝込んでオナオナしてる場合じゃなかったよ!! 完全に出遅れたぜ!!」

 セリフがいちいち台無しだが何もツッコマない。気にしたら負けだ。

 それよりも今、本気でキレてるんだぜ、コイツ。

 出遅れたってナニに??

「当然【禁書】の物語にだよ!!」

「……よく聞こえなかった」

「だから、ずっと憧れていた【禁書】の話に出遅れたから怒ってるんだぜ!! ボクも【禁書目録編】からストーリーに参加したかったんだよ!!」

「お、おう……」

 言っておくがこれはメタ発言である。

 しかし、こいつにはそれを言うだけの権利があった……

 そう、こいつは変態魔女であると同時にオレと同じく前の世界から来た……いや、第二の人生を赤ちゃんから踏み出した転生者みたいなものだ。

 オレよりも奇妙な人生を歩んでいた。

「え、えーと、お前はオレのせいで動けず禁書の世界を堪能できないから、その八つ当たりというか腹いせで今日のこれを計画した??」

「そうだよ!【アニメ組み】のキミが【原作組み】のボクを差し置いてナニ楽しんでるんだよ!! ふざけるのも大概にしろよ、ボクに気をつかえよ!! キミよりボクの方が先輩なんだぜ? だったら尚更気をつかって遠慮しろよヒフミちゃん!!」

 ………。

 なんか、もの凄い理不尽な理由で怒られている気がするんだが。

「で、でもまだ【妹達編】じゃねーか。まだ【禁書】のストーリーは始まったばかりじゃん……」

「おいおいそれは本気で言っているのかい? フォローにもなっちゃいねーぜ?」

「えー……」

「酷いよ、ヒフミちゃん」

「え、なんかゴメン……」

「よくも、よくもっ……うぐっ、ひぐっ」

「………」

 変態に泣かれた。血の涙だ。

 まぁ長い年月をかけて待っていたんだろ。そこまで楽しみにしていたんだろう、この禁書の物語を。

 オレ的にはどの話も下手したら死亡フラグで本気で嫌気が差すレベルなんだが……

 まぁでも、悪いことばっかりじゃないけどな。

「まぁ、お前の言い分はわかった」

「本当にわかってくれたかい?」

「まぁな……でも、日頃の行いが悪いから罰があたったんだろ? お前には前科があり自業自得でしかないんだよボケ。お前がオレに何か文句言える立場でもない気がするんだが」

「………」

 こいつはテスラよりも性質が悪い。

 テスラも相当酷かったが反省して今は改心している。

 しかし、こいつの場合は違う。

「ボ、ボクの予定では昨日の敵は今日の友で、禁書目録編からはテスラたんみたいに味方で活躍する予定だったんだよーーー。っていうか今思ったらテスラたんアイツ何抜け駆けしてるんだい!! NPCのくせに!!」

「………」

 もう救いようがないな。

 オレはこいつを、この変態を許せそうになかった。一生許すことはないだろう。

「まぁいいや。テスラたんにはNTRでも体験して絶望を味わえばいいさ。リリィたんも自分を助けてくれたお兄たんが変態で大っ嫌いになるんだから。ふひひ」

 ………。

 リリィたんに嫌われるのは困るかも。

「まぁなんだっていいさ。とりあえずはキミを滅茶苦茶にしないと気がすまないんだ。泣いて謝っても遅いんだからねヒフミちゃん」

 なんか、ヤバイ展開だな。

 冗談では済まされないんだが、こいつは【禁書】の物語に出遅れた、ただそれだけの理由でオレに復讐するつもりなんだ。

「ヒフミちゃん、今夜は何プレイがお望みかな?」

 変態魔女が戦闘態勢に入った。

「ノ、ノーマルでお願いします………」

「え、何だって?? アブノーマルがいいって??」

 ちがーう、誰もそんなこと言ってねぇ。

 難聴スキル、恐るべし。

「じゃ、じゃあせめて猫耳がいいです……」

 襲われるなら、セク〇スするならそれで一回はヤられたい。

「おっと手堅いご注文だね。猫耳だけでいいのかい? 尻尾も付けるべきだとボクは思うんだが」

「じゃ、じゃあ猫耳と尻尾だけでいいです」

「オーケー、尻尾を追加しといたよ。しかし何だが遠慮気味だね? 耳と尻尾だけじゃ不服だろ?? だから追加サービスで猫ヒゲも付けといてやるよ」

「いやいや、もう十分だから……ッ!!」

 徐々にヒトから猫になる変態を見て恐怖するオレ。人獣恐るべし妖艶さだ。

「まぁそう遠慮するなって、キミの悪い癖だ。他の人に対してはそれぐらい謙虚でいいんだけど、ボクとキミとの仲だぜ? もっと無茶難題要求していいんだぜ? もっと欲望ぶつけて来いよ!!」

「………。」

 これ以上は本当に無理です。

「はぁ、駄目だよヒフミちゃん。もっと欲求してくれなきゃ燃え上がらないよ!! だから、猫耳プレイはおわずけだ」

「そ、そんなッ!!」

 猫耳プレイなら勝てそうだったのに!!

「というワケで発情期な猫よりももっと興奮する種族で燃え上がろうぜ?? ヒフミちゃん。ここは一つ、昆虫プレイってどうだろうか??」

「ひ、ひぃぃっ」

 オワタ。

 そいつは昆虫つーかクモだた。

 ダメ、その大きさがダメ。キモすぎる。蜘蛛ってだけでヤバイのに。

 上半身はヒトの形だが、下半身は完全に蜘蛛なアラクネとかいうバケモノ。

 変態曰く、見るだけでおぞましくて鳥肌ものだが、恐怖の先にある快楽は極上なものに変わるらしいからアラクネのテクを是非体験させてくれるとのこと。

「ムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリムリ本当に無理だからなそんなプレイ!! だからお前を倒す!!」

「あっはっはっは、前回のヘビプレイは最後までイケなくて残念だったけど、今回は逃がさないよ」

「ふぇぇ……」

 もう、オレはいきなり【魔術】を発動して大きな【槍】を出現させるが、こんな武器で、こんな霊装で変態に魔女に勝てるわけもなく次の瞬間……

「ヒフミちゃんは相変わらず弱いね。それじゃ頂きます」

「ぎゃぁぁあああああああああああ!??」

 アラクネな変態魔女に美味しくいただかれ、

「おいおい、何そこで終わろうとしてるんだい。誰が一回戦で終わりと言った??」

「なーーーーーーッ!??」

 蜘蛛女だけじゃなく、他にも蜂やらカマキリやら蛾やらムカデやらのオンパレードに美味しく食された。















 もちろん、食されている最中のことはあんまり思い出したくないので割愛。

 もう普通じゃダメな身体になったんじゃないかと思うほどに変態に毒された気分ではあるが。

 そして、気が付けばオレはいつものように病院に搬送され入院していた。

 ただ、入院先がいつもの病院じゃなく、学園都市からも離れた遠い地にある、イギリス清教に関係する病院で緊急治療されたらしい。

 なんでイギリスに搬送されたのか分からないし、変態魔女はどうなったのかも行動も知らないが、これだけはわかった。

 オレの地獄はまだ始まったばかりである。
 
 

 
後書き
最後の方テキトーになってしまいましたが、これで一章は終わりにしたいと思います

二章はまだストーリー構成が定まってないので、次投稿するのには時間がかかりそうです

とりあえず、次話はたぶん、また病院の病室から始まるお話なんじゃないでしょうか・・・

これからのこととか、変態魔女の存在について等

とりあえず、おわり 
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