DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)
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第6章:女の決意・男の勘違い
第42話:言われてみれば……
前書き
世界樹に関する記述は、勝手に私が定めた設定です。
でもDQ5と整合性を持たせるには、こんな設定の方が良いと思うんだよね。
(サントハイム)
リュカSIDE
「分かったから……今後の方針を含め、今から説明してやるから、素直に質問には答えろよ」
俺が子孫だと言う事が心底嫌ならしく、デスピサロはかなりご立腹だ。
まぁ仕方ないけどね(笑)
「まず……エビちゃんは何処へ行った?」
「や、奴の行き先が関係あるのか!?」
素直に質問に答えろって言ったのに……
「きっと魔界へ行ったんだろ!? 何処から魔界へ行ったのかは分からないけど、魔界へ戻りパワーアップをして新たな軍団を組織して世界征服を企んでるんだろう。違うか?」
「多分……いや、間違いなくその通りだろう。デスパレスには魔界へ通じるゲートを、無理矢理設置してたから、それを使って魔界へ戻ったと思う。だが、デスパレスのゲートは使えなくなってるはずだ。奴が向こう側から封鎖したはずだから……」
「だろうね……でも、そのゲートは無理矢理設置した不完全な物だろうから、封鎖されなくても僕等が使用するのは無理なんじゃないの?」
「まぁ……随時解放されてるわけではなく、魔界と人間界で魔力の強い者が開かせておかねば移動できないからなぁ。人間界では俺がゲートを開かせても、魔界では開かせておく者が居ない」
「じゃぁ君等は何処から人間界に来たのか?」
「それは……」
俺の質問に答えようとしたデスピサロに、右手を翳し黙らせニヤリと笑ってみせる。
うん。俺って格好いい!
「間違いなくゲートは別の場所に存在する! つーか、こっちこそが本物のゲートであり、魔界と行き来できる唯一の場所なんだ」
周囲を見回すとデスピサロだけでなく、ビアンカやウルフまで“どういう事?”見たいな顔で眺めてる。だから俺は分かり易く説明してやったよ。
本物のゲートは世界樹の下にあるのだろう……
なぜ言い切れるのか。それは世界樹の周りが砂漠地帯だからだ。
最初は大きな世界樹が、周囲の植物の養分を奪ってしまい砂漠化してるんだと思ったが、世界樹の根元では人々が生活をしていて、小さいながらも畑とかもあったから、その考えは間違いだと気付く。
では何故か? 答えは簡単で、世界樹が必要とする養分は魔界から漏れ出す瘴気なんだと推察する。
どういう事かというと、誰が設置したのか分からないが、本物のゲートは少しだけ隙間が開いており、魔界の瘴気が漏れてるんだと思う。
それを人間界に広めない為に、多分ヒゲメガネが世界樹を植えて覆ったんだと思う。
だけど、あそこら辺一帯の養分は魔界の瘴気に染まってしまい、普通の植物は人の世話がなければ育たなくなったんだろう。
ここまで説明し、デスピサロに視線を向けると「そうだ」と一言……
ビアンカに視線を向けると“リュカ格好いい♥”状態で瞳キラキラ☆
今夜も激しいゼ!
「しかし……何故そんな事を知ってるのだ?」
今夜の大運動会に思いを馳せてると、デスピサロが不思議そうに質問してきた。
『それはねイケメンだからだよ』って言ったら、きっと怒るだろうから本当の事を言おうと思う。
本当の事と言っても、俺の母親の事なんだが……
マーサも魔界のゲートを開かせる力を持っている。
もうお解りだよね。同じ顔のデスピサロが、マーサの先祖……つまり俺の先祖だと言う事になる!
それに俺達の住む時代には世界樹など何処にも存在しない。
その代わり、地形的に同じ場所にはエルヘブンが存在する。
多分今回の件を終わらせて、人間との共存を選んだデスピサロが人間界からゲートを閉じたんだ。その際に隙間を作らなかったから世界樹は枯れ、その跡地にエルヘブンを建てたんだろう。
まぁヘソを曲げられて『エルヘブン等作らん!』と言われたくないので、マーサの故郷については話さないでおく。
世界樹が枯れた原因が自分だと知り、警戒されるのも面倒なので、その事も言わない。
兎も角、デスピサロとロザリーは子作りすれば良いのだよ!
「……と言うわけで、今夜はサントハイムで一休みしたら、明日には僕のルーラで世界樹へ行こう! デスピーも協力してゲートを開いてくれるよね?」
「誰が“デスピー”か! 変な呼び方をするんじゃない」
「いやぁ……『デスピサロ』て長いじゃん! 疲れちゃったんだよ(笑) 僕の事も“リュカピー”って呼んで良いから」
「呼ばんわ馬鹿者!」
冗談の通じない男だな。でも面白いからデスピーって呼び続けよう。
リュカSIDE END
(サントハイム)
ライアンSIDE
またリュカ殿とデスピサロが口論を始めた。
元々リュカ殿が『人の名前を正しく呼ばないのは失礼だ!』と言い出したのに、その彼が勝手に愛称で呼び始めては……
「まぁまぁデスピサロさん。この人の言う事に一々腹を立てては身が持ちませんよ。それより俺に提案があるのですけど……」
シン殿がデスピサロを落ち着かせる様に話しかける。はて提案とは?
「俺の彼女はシンシア。見ての通りリュカさんの奥さんであるビアンカさんにソックリです。そしてデスピサロさんはリュカさんにソックリ……と言う事は、デスピサロさんはリュカさんも認めてた通り先祖で、俺とシンシアもビアンカさんの先祖なんだと思います」
「確かに……認めたくはないが俺はリュカと「リュカピーで良いよ」黙れ! ……リュカにソックリだ。それがどうしたと言うのだ?」
リュカ殿の邪魔にもめげずシン殿との会話を進めるデスピサロ。
「つまりですね、俺を殺してはビアンカさんが生まれず……デスピサロさんを殺せばリュカさんが生まれないんです」
まぁ……それは説明するまでもない事だろう。
「って事は、俺達はリュカさんに殺される事はない! これって絶好のアドバンテージだと思いませんか?」
「なるほど……俺達はリュカを殺す事が出来るが、リュカには俺等を殺す事が出来ない、そういう事だな」
シン殿とデスピサロが悪い顔で笑みを浮かべ語り合ってる。
「確かにリュカさんは強いですが、俺達が手を組めば……」
「なるほど……」
何処まで本気か判りかねるが、シン殿とデスピサロは自分の剣に手を当てリュカ殿に視線を向ける。
当のリュカ殿は、二人の事を見据えながら肩を竦め余裕の表情だ。
思わず私はアリーナ姫等に視線を向けて意思を確認する。
しかし彼女らもどうして良いのか判断付かず、困った様な表情だ。
「お前等馬鹿だなぁ……」
しかし、この状態に口を出してきたのはウルフだった。
やはりと言うか、当然の様にリュカ殿とシン殿・デスピサロとの間に入り、この状況を落ち着かせる様子だ。
「確かにリュカさんにはお前等を殺す事が出来ない。だが、世の中には殺された方が楽な状況というのが存在するんだ! リュカさんが本気を出せば、お前等が徒党を組んでも嬲れるだけの力がある。殺さずチビチビ嬲るだけの実力があるんだぞ!」
「キサマ……ウルフと言ったな? キサマは俺の力を見くびってるのか!?」
「見くびってねーよ! 俺がアンタに襲いかかったって、瞬きするより早くに殺されちまうと思ってるよ! だが見くびってるのはお前等なんだよ……リュカさんの強さを見くびりすぎなんだよ!」
「ウルフさん……師匠で義父の事を尊敬する気持ちは解りますけど、魔族の王であるデスピサロさんと、天空の武具を完全装備した勇者とが二人がかりですよ! 馬鹿にするのは止めて下さい」
「そうだそうだウルフぅ! 魔族の王様と伝説の勇者様を舐めるなよぉ(笑)」
リュカ殿の方が強いのだと説明するウルフに、そのリュカ殿がヤジを飛ばす。
状況解ってるのか? お前が殺されるかもしれないのだぞ!
それとも本当に余裕があるというのか?
「確かに相手を殺してはいけないと言うのは大きなアドバンテージだと思う。だが、お前等がスライムを相手に戦うとして、相手のスライムに“殺せない”と言う縛りが発生して意味があると思うか?」
……ウルフが何を言ってるのか解らんな?
「実力が近ければ……具体的に言えば、デスピサロさんとリュカさんが1対1で戦って、リュカさんがギリギリ勝つ……ギリギリとは勝ったリュカさんにも多大な怪我などを与える事だが、そのくらい拮抗してれば先程言ったアドバンテージは大いに有効だが、スライムと大魔道くらいの力量差があれば、全く無意味なアドバンテージと言うしかないだろう」
「俺の実力がスライム並みだと言うのか!?」
「違ーよ! リュカさんが化け物クラスだって言ってるの! だってそうだろ……進化の秘法を使ってパワーアップしたアンタを相手に、一方的に攻撃してたんだぞ! 必死になってアンタを宥めるロザリーさんを守りつつ……圧倒的な力量差で手加減しながら説得してたんだぞ!」
なるほど……確かにウルフの言う通りだな。
アリーナ姫達も納得したのだろう……
僅かにリュカ殿の方へ身体を移動させる。
「お前等が二人して挑んだって、リュカさんには適わない。確かにお前等は死なないさ……だけどそれは、リュカさんがお前等を殺せないからじゃない。リュカさんがお前等なんぞに本気を出さないから、殺す事もないだけだ! 怖ーぞリュカさんが本気を出したら……異世界の大魔王が、自動的に自らを回復させる能力を捨て去って逃げ出すからな! ネチネチ数時間攻撃しただけで、大魔王が自殺を選んだからな!」
「ねぇビアンカ……褒められてる気がしないのは何でだろ?」
「褒めてないからよ。ウルフ君は少しもリュカの事を褒めてないからよ。尊敬はしてるでしょうけど、微塵も褒めてないから褒められてる気がしないのよ」
流石ビアンカ殿だ。言われてみればその通り(笑)
強さを説明し尊敬はしているが、『チマチマ』とか『ネチネチ』とか褒め言葉とは言えない言葉を連呼している。
「……まぁ冗談ですけどねウルフさん。俺はリュカさんを攻撃する気はありませんよ……ねぇデスピサロさん!」
「……あぁそうだな。なんせ俺達は仲間だからな……もう仲間だから、攻撃なんてするわけないだろう! ちょっとした冗談だ、なぁシン!」
共通の敵が居る所為で意外と仲の良い二人だ。
冗談とは思えぬ冷めた瞳でリュカ殿を見詰め乾いた笑いを広げてる。
シンシア殿とロザリー殿は、そんな二人を見て困り顔。
「そうだよね……僕等はもう仲間。いや友達だ! だから僕の事はリュカピーって呼んで良いよ、デスピー(笑)」
リュカの追い打ちに、剣の柄を強く握り悔しそうにするデスピサロ。
「良かったですわねピサロ様! お友達が出来ましたよ。愛称で呼んでみてはどうですか?」
数日リュカ殿と寝食を共にしただけで性格がアレになってしまったロザリー殿。
ウルフが言ってたが『リュカ菌蝕まれた』様だ。
心底悔しそうに「よろしく……リュ、リュ、リュカ……ピー……」と言ってる彼を見て、心から同情してしまう。
頑張れデスピー!
おや……私も蝕まれてるのか?
ライアンSIDE END
(サラン)
サントハイムでは一悶着起こりそうな状況になりながらも、ウルフの機転で事なきを得たシン達一行。
また明日から激戦が始まると予想してるシン達は、サントハイムでゆっくり休み英気を養っている。
ただ一人を除いては……
その一人とはトルネコだ。
自分も用意された部屋で休もうと思ってたのだが、突然リュカが部屋へ訪れて……
「おいトルネコ。全てが終わったらワインを飲みたいから、一番安いワインを1本で良いから買ってこい! お金はお前持ち……つーか僕のルーラで多少は儲けたんだから、それくらいはおごれよな!」と一方的に言い、自分の部屋へと帰っていったのだ。
リュカを敵に回したくないトルネコは、勿論素直にサランの町へと買い出しに赴く。
確かリュカは酒を好まないと思ってたのだが、それでも素直に買いに行く。
この酒が祝杯用である事は想像が付き、一番の実力者が勝利を確信してる事は心強い。
だから深くは考えず言い付け通りワインを買いに行く。
明日からの恐怖を取り払う為に。
第6章:女の決意・男の勘違い 完
後書き
まさかの6章完結です。
次話から7章へ突入!
でも時間を少しくれ。
今「リュリュちゃん日記」を書きたいの!
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