―かつて世界の中心に、マナを生む大樹があった―
―しかし争いで樹は枯れ、かわりに勇者の命がマナとなった―
―これを嘆いた女神は天へと消えた―
―この時、女神は天使を遣わせた―
「私が眠れば 世界は滅ぶ・・・ 私を目覚めさせよ」
―天使は
神子を生み、神子は天へ続く塔を目指す―
―これが『世界再生』の始まりである―
Re:SYMPHONIA ‐リ・シンフォニア‐
#1 神託の日
?「・・・・・・・さい」
?「起きなさい アクセル・バークライト!」
アクセル「zzz」
?「アクセル!!」
黒板消しがアクセルに向かって飛ぶ
アクセル「いってえ!!」
?「・・・立ったまま眠れるなんて器用ねえ」
教室の隅でバケツを両手に持って立っているアクセルの姿がある
アクセル「あ、リリーナ先生 授業終わったのか?」
リリーナ「・・・もういいわ。じゃあ、今の答えを・・・スザク、あなたが答えて」
スザク「はい 姉さん」
スザク「古代大戦は勇者ミトスによって聖地カーラーンで停戦されました」
リリーナ「よろしい。その後、勇者ミトスは女神マーテルとの契約によって
戦乱の原因であるディザイアンを封印しました」
アクセル「でも、ディザイアンたちは復活して俺たちを苦しめてるじゃないか」
リリーナ「前に授業でやったでしょ? 封印が弱まるとディザイアンが復活するのよ
ちょうど今のようにね」
アクセル「わ、分かってるよ・・・ちょっとド忘れしただけで・・・」
リリーナ「今日は予言の日です。マナの神子がマーテル様の神託を受ける重要な日よ
では、神子コーネリア」
コーネリア「はい」
リリーナ「世界再生の旅について答えて」
コーネリア「ディザイアンを封じる旅のことです。
女神マーテルの試練をこなすと世界を護る精霊が復活し、マナも復活します」
リリーナ「そう、さすがは神子ね。現在の食糧不足や日照りはマナの枯渇が原因です」
アクセル「・・・・・・!」
コーネリアがアクセルに微笑む
リリーナ「これはディザイアンが人間牧場でマナを大量に消費しているからだと言われて
いるわね。 神子の旅は、マナを復活させディザイアンを消滅させる旅だと言えるわ。
じゃあ、次の問題は・・・」
カッ!!
アクセル「な、何だ!?」
コーネリア「!・・・・これは」
リリーナ「静かに!・・・どうやら神託がくだるようね。私は聖堂の様子を見てきます。
みんなは教室で自習していること よろしい?」
コーネリア「先生!私も一緒に・・・」
リリーナ「いいえ、コーネリア 神託なら、祭司の方々がこちらまでいらっしゃるはず。
それまでここで待っているように」
コーネリア「・・・・はい」
ザワザワ・・・ 教室がざわつく
生徒A「神託の時には 祭壇に安置されてるクルシスの輝石が光り輝くってさ」
生徒B「じゃあ、あの光は聖堂の祭壇にあるクルシスの輝石が発してるんだね」
スザク「アクセル!どこ行くの?」
アクセル「ん? スザクか」
スザク「まさか抜け出すつもり?リリーナ姉さんが怒るよ」
アクセル「だって、気になるだろ?予言の日にはコーネリアが神子(みこ)として神託を受けるとか言われてさ 実際どんなことやってるか知りてぇじゃん」
スザク「自習は?」
アクセル「・・・頭の固ぇヤツだな・・・(汗) 課外授業の自習だよ」
スザク「そんなのへ理屈だ!」
アクセル「へ理屈も理屈だろ?かたいこと言うなって スザク、お前も付いてくるよな?俺たち親友じゃないかぁ」
スザク「・・・・(共犯者づくりだろ?)」
アクセル「コーネリアも行かないか?」
コーネリア「え?・・・あ、うん えぇっと、どこに?」
アクセル「あのなー! あの光だよ。お前は当事者なんだし 気になるだろ?」
コーネリア「アクセルは気になるの?」
アクセル「気になってんのっ!」
コーネリア「じゃあ、私も気になってることにするね」
アクセル「ほれみろ。ドワーフの誓い第4番 人に頼るな己で歩け、だ」
スザク「またドワーフの誓い? 困るとすぐそれだよ・・・」
アクセル・スザク・コーネリアの3人は学校の外に出る。
アクセル「・・・やけに静かだな」
スザク「みんなどこに行っちゃったんだろう」
フランク「コーネリア!」
コーネリア「お父様!!」
スザク「フランクおじさん!」
フランク「よかった、無事だったんだな」
スザク「村のみんなはどこに行っちゃったの?」
フランク「みんな隠れているよ。ついさっき、ディザイアンが村に侵入してきたんだ
幸い村人に被害はなかった。奴らは村を素通りして聖堂に向かっていったよ」
スザク「どうして!?イセリアはディザイアンと不可侵条約を結んでいるのに」
アクセル「それって、奴らの人間牧場に関知しない代わりに村も襲わないってヤツか?」
コーネリア「うん 村を守るためだっておばあ様は言ってたけど・・・そうだ、おばあ様は?」
フランク「お義母さん儀式の準備のため聖堂にいる」
アクセル「ファイドラばあさんが聖堂に? でも、ディザイアンが・・・」
フランク「祭司の方々も一緒にいる。心配いらないよ。 それよりコーネリア・・・」
コーネリア「分かっています。神子(みこ)としての使命 必ず果たしてみせます」
フランク「頑張るんだよコーネリア。アクセルとスザクは家に帰ってなさい」
アクセル「コーネリア一人じゃ心配だ。聖堂まで一緒に行くよ」
スザク「ボクも」
フランク「しかし・・・いや、ありがとう 私は家で待っているとしよう。何かあったら帰って来なさい」
―Town’s 1 神託の村 イセリア―
スザク「こっそり抜け出して、姉さんに叱られないかなあ・・・」
アクセル「大丈夫だよ!それまでに教室に戻ってればいいんだからさ!」
コーネリア「リリーナ先生も聖堂に向かったんだよね」
スザク「ばったり会っちゃったりして・・・」
アクセル「へ、へへ・・・大丈夫だよ・・多分(汗)」
聖堂に向かおうとすると、モンスターが現れる
アクセル「うわっ、怪物だ!!」
スザク「聖堂のある北側は聖域なんでしょ!?それなのにどうして・・・」
コーネリア「きっと試練のための怪物だよ。マーテル様の試練は異形のものと戦うって習ったもの」
アクセル「つべこべ言ってる場合かよ!とりあえず ぶっ潰すぞ!」
スザク「了解!」
アクセルは双剣で、スザクは魔法で、コーネリアはチャクラムで戦う
アクセル「蒼波剣!」 蒼い斬撃がゴブリンに飛ぶ
スザク「ファイヤーボール!」 5つの火の玉が敵を包む
コーネリア「レイトラスト!」 光に包まれたチャクラムが相手を切り刻む
アクセル「チョロいチョロい!」
コーネリア「アクセルすご~い!」
アクセル「こいつのお蔭だがな」
スザク「あ、エクスフィアだね」
アクセル「おう。俺の力を限界まで引き出してくれる戦闘用アイテムなんだぜ
これがなかったら俺なんてまだまだ・・・」
コーネリア「それでもアクセルは強いよ~」
スザク「アクセルって、剣の腕だけ(・・)は確かだもんね」
アクセル「だけは余計だよ・・・」
3人は聖堂へ向かう
―Extra 1 マーテル教会聖堂―
聖堂の屋根からは青い一本の光が昇っている
アクセル「うはー あの光はやっぱり聖堂からでてたんだな!」
スザク「じゃあ神託が始まるんだ。コーネリアが再生の神子(みこ)になるんだね」
コーネリア「なんだか、すご~く眩しいねえ~」
アクセル「お前さ・・・神託がくだったら世界を救う神子(みこ)になるんだろ 勇者ミトスみた
いになるんだぜ? もう少しこう、神子(みこ)としての自覚みたいなさあ・・・」
コーネリア「うん、だいじょーぶだいじょーぶ」
スザク「何か聖堂の方が騒がしくない?」
アクセル「本当だ!」
祭司長「神子(みこ)さま!」
明らかに致命傷を負った老人が聖堂から階段を下り、倒れる
アクセル「おい、大丈夫か!?」 コーネリア「祭司長さま!?」
祭司長「突然、ディザイアンらしき者共が不可侵条約に反して聖堂に攻め込んできたので
す・・・神子(みこ)さま・・・早く、神託を・・・」
コーネリア「ええ、わかっています」
祭司長「くれぐれも・・・お気をつえて・・・神子さまについて行けず・・・無念・・・で・・・」 祭司長は力尽きた
コーネリア「祭司長さま!しっかり!!」
アクセル「ダメだ、もう・・・息がない」
コーネリア「・・・・・・・私、行くね」
スザク「コーネリア!あそこにはディザイアンがいるんだよ!?」
コーネリア「うん・・・でも行かないと 予言の日に神託を受けるのが神子である私の役目だから みんなはここで待っててね」
アクセル「俺も行くよ。コーネリア一人じゃ危ないからな」
コーネリア「え、で、でも・・・」
アクセル「ドワーフの誓い第1番 平和な世界が生まれるようにみんなで努力しよう、だ」
スザク「待ってよ、ボクも行くよ。姉さんが心配だし」
コーネリア「二人とも、ありがと」
聖堂入口、階段最上階
?「神子はどこだ?」
アクセルたちが到着する
ファイドラ「コーネリア、逃げるのじゃ!!」
兵士A「ボータさま!あれが神子のようです」
ボータ「神子よ、命は貰い受けるぞ」
アクセル「ディザイアンなんかにやらせるかよ!」
兵士B「ディザイアン、か・・・ふはははははは!」
スザク「な、なにが可笑しいんだ!」
兵士C「ではその憎いディザイアンに殺されるがいい かかれ!」
兵士D「小僧!我らが崇高なる目的を邪魔だてするな!」
3人は戦うが歯が立たない
アクセル「くっ、強い!・・・俺じゃかなわないのか!?」
3人に鉄球が振りかざされた刹那、赤髪の騎士が鉄球を粉々に切り裂いた
アクセル「あ、あんたは・・・?」
?「下がっていろ」
?「蒼波剣」
アクセルと同じ技を繰り出すが、その威力は桁違いで3人が全く歯が立たなかった敵を 一撃で倒した
ボータ「まさか貴様が現れるとはな。くっ・・・一時撤退するぞ!」
ディザイアンたちは去っていく
コーネリア「すごい・・・」
スザク「めちゃめちゃ強いよ!あのおじさん!」
アクセル「そ、そうだな・・・」
?「・・・無事か?無事のようだな」
アクセル「あれは・・・エクスフィア?」
ファイドラ「神子を救っていただき、お礼の言葉もありませぬ」
?「・・・なるほど この少女が今回(・・)の(・)神子(・・)なのだな」
コーネリア「そうだ!神託を受けないと おばあ様。私はこれから試練をうけてまいりま
す」
アクセル「試練って、何だ?」
?「魔物のことだろう 聖堂の中から邪悪な気配がする」
ファイドラ「その通りじゃ。神子は天からの審判をうける しかし護衛につくはずの祭司
たちはディザイアンの襲撃で倒れてしまったのじゃ」
アクセル「それなら俺がコーネリアの護衛を引きうけるよ」
ファイドラ「アクセルか。お前では心許ないのぅ」
?「・・・・・。」
赤髪の男はアクセルをじっと見つめる
?「お前はアクセルというのか」
アクセル「そうだけど・・・人の名前を尋ねる前に まず自分も名乗ったらどうだ」
リオン「・・・私はリオン。傭兵だ 金さえ用意してもらえるなら神子の護衛を引きうけよう」
ファイドラ「・・・背に腹は代えられんな。お願いしよう」
リオン「契約成立だな」
アクセル「ま、待てよ!俺も行く!」
リオン「アクセル お前は足手まといだ。大人しくここで待っていろ」
アクセル「何だと・・・?」
リオン「聞こえなかったか?足手まといだ 帰れ」
コーネリア「あのぉ、傭兵さん。アクセルも連れてってくれませんか」
リオン「・・・しかし」
コーネリア「お願いです。私、アクセルがいないと不安です」
リオン「・・・勝手にしろ」
アクセル「よし、行くぞスザク!」
スザク「ええっ!?ボクも行くの!??」
アクセル「あったりまえだろ」
リオン「子供の遠足ではないのだがな」
アクセル「コーネリア・・・アリガトな」
コーネリア「だってホントのことだもん」
聖堂内部へと入る
アクセル「聖堂の中はこんな風になってたのか」
聖堂内部は教会というより祠に近く、ディザイアンの襲撃によって遺跡のようになっていた。
スザク「コーネリアは何度か来てるんでしょ?」
コーネリア「うん。でもいつもと雰囲気ちがうみたい」
リオン「魔物の気配がする。気を抜くなよ」
アクセル「魔物なんて蹴散らしてやるさ。行こうぜ」
リオン「待て アクセル・・・といったな。その剣は我流か?」
アクセル「ああ、そうだよ」
リオンはアクセルに古びた本を渡す
アクセル「何だよ これ」
リオン「剣を扱うのなら基本ぐらい学んでおけ 神子を守りたいのだろう?」
アクセル「ちぇっ、えらそーに!」
四人は魔物を倒しつつ奥へ進む そして
リオン「ここが最上階のようだな」
コーネリア「はい あれが祭壇です」
コーネリアが指さす先の祭壇の中央で淡く光るものがあり、魔法陣を形成している
アクセル「じゃあ、あそこで光ってるのがクルシスの輝石か」
コーネリア「そうだよ 私、あれを握って生まれてきたんだって」
スザク「あ、見て!光が!」
頂上から一筋の光が差し、羽根の生えた神父が降臨した
アクセル「な・・・何だ あいつは!?」
リオン「あれが・・・天使だろう」
スザク「じゃあ、まさかあの人がコーネリアの本当のお父さん?」
レミエル「我が名はレミエル マナの血族の娘コーネリアを新たな神子として天に導く
クルシスの天使」
安置されていたクルシスの輝石がレミエルのもとへ浮かぶ
レミエル「世界の中心で眠るマーテル様を目覚めさせる時がきた」
スザク「女神マーテル様を・・・姉さんが話してた伝説の通りだよ!」
クルシスの輝石はコーネリアの首に近づき、光と共にチョーカーへと変化した
レミエル「今この時より コーネリアは再生の神子となる
我々クルシスはこれを祝福しシルヴァラントに救いの塔を与えよう」
窓から外を見ると頂上の見えない、天を衝かんばかりの塔が現れた
アクセル「あれが、救いの塔か」
レミエル「再生の神子コーネリアよ。救いの塔を護る封印を解き かの地に刻まれた天の
階(きざはし)を上れ」
コーネリア「神子はたしかに その任を承りました」
レミエル「よろしい 我らクルシスはそなたが封印を解放するごとに天使の力を与えよう。
そなたが天使として生まれ変わったとき、この荒んだ世界は再生される」
コーネリア「ありがとうございます。必ず世界を再生致します」
レミエル「まずはここより南の方角にある火の封印を目指すがいい。
かの地の祭壇で、祈りを捧げよ」
レミエルは天へと帰る
コーネリア「あ、待って!待ってくださいレミエルさま!! レミエルさまにうかがいたいことがあります
レミエルさまは本当に私のお父さ・・・・・・・」
レミエル「まずは火の封印だ よいな 我が最愛の娘コーネリアよ」
コーネリア「お、お父さま・・・! やはりレミエルさまが私の本当のお父さまなのですね!?」
レミエル「次の封印で、また会おう 我が娘よ」
リオン「神託は済んだようだな では行くぞ神子よ」
コーネリア「・・・あ、はい」
リオン「我々は先に行くぞ」
コーネリア「二人ともありがとう。よかったら後でウチによってね」
アクセル「・・・二人とも行っちまった」
スザク「あの噂、本当だったんだね」
アクセル「?」
スザク「コーネリアは天使の子で、今のお父さんとは血が繋がってないって」
アクセル「血が繋がってなくても親父は親父だと思うけどなあ」
スザク「・・・ご、ごめん」
アクセル「バーカ、変(・)な(・)気(・)を(・)遣う(・・)な(・)って」
アクセルとスザクは聖堂を出るべく入口に戻る
リリーナ「すばらしい!!」
アクセル「・・・・・先生?」
リリーナ「!!
二人とも!どうしてここに!? 教室で自習しているはずでしょう!」
アクセル「あ、やべぇ・・・」
スザク「ね、姉さん ご、ごめんなさい・・・」
リリーナはスザクの尻をはたく
アクセル「(汗)」
リリーナ「次はアクセルよ さあ、覚悟はよろしい?」
アクセル「ちょっ、やめ・・・・・・ いってえ!!!」
飛び蹴りが炸裂 アクセルの体が宙を舞う
リリーナ「さあ二人とも 反省したら家にお帰りなさい。今日の授業はなくなりました」
スザク「姉さんは?」
リリーナ「ファイドラ様の許可を得たのでもう少しこの聖堂を調べます。一般人がここに入れることは滅多にないですからね」
二人は大人しく聖堂を出る
「ふははははは!!!!!」
アクセル「!? な、何だ!?」
スザク「・・・・知らない方がいいよ」
聖堂を後にして村イセリアへの帰路で
アクセル「天使って、ホントに翼が生えてるんだな」
スザク「うん マーテル教の教典と同じだね」
アクセル「でもよ 服を着たり脱いだりするの面倒くせぇよな?」
スザク「え? そ、そういえばそうだけど・・・」
アクセル「洋服にさ、翼を通す穴も開けなきゃいけないし」
スザク「っていうか、アクセル、そんなこと気にしてたの?」
アクセル「だって気になるだろ。寝るときだって邪魔だろうし・・・天使って案外不便な
のかもな」
スザク「・・・・そうだね・・・・」
イセリア コーネリアの家
村長「・・・では神子さまの護衛はリオン殿とリリーナに頼もう」
リオン「私に異存はない」
コーネリア「あ、二人とも! さっきはありがとう」
ファイドラ「おお、二人とも。先ほどはご苦労じゃったな。」
アクセル「なあ、今話してたの世界再生の旅のことか?」
ファイドラ「そうじゃ」
アクセル「すっげー! 俺もついていきてぇ! 世界再生ってヤツを見てぇよ!」
スザク「姉さんが行くならボクも行きたい」
リオン「足手まといだ。断る」
アクセル「な、何だと・・・っ!」
リオン「聖堂での戦いとは訳がちがう。子どもは村で大人しく留守番でもしている方がい
い」
村長「リオン殿の言う通りだ・・・さあ、私たちはまだ打ち合わせがある。お前たちはも
う帰りなさい」
二人は外へ出る
コーネリア「待って、二人とも! さっきはごめんね」
アクセル「別にお前があやまることじゃねぇだろ」
コーネリア「そっか、ごめんね」
アクセル「あのなー・・・・・まあいいや」
スザク「そうだコーネリア、お誕生日おめでとう」
アクセル「!?」
スザク「クッキー焼いてきたよ。明日旅に出ちゃうことが分かってれば もっとちゃんと
したもの用意してたんだけど・・・」
コーネリア「ううん、スザクのクッキーおいしいから大好きだよ どうもありがとう~」
スザク「で、アクセルは?コーネリアに首飾りを作ってあげる約束だったよね」
アクセル「や・・・やば」
スザク「・・・まさか忘れてたりして」
アクセル「あ、あとちょっとで完成なんだ 明日、旅立ち前に渡すよ ホントだぞ!」
コーネリア「嬉しい! それじゃあ出発時間が決まったらアクセルの家まで知らせに行く
ね」
アクセル「でも、危なくないか?」
コーネリア「私、神子として旅立つんだよ? だからだいじょうぶ。それじゃあね」
コーネリアは家に戻り、スザクはアクセルの顔を見て言う
スザク「・・・・うそつき」
アクセル「これから作れば間に合うだろ」
スザク「ふーん。まあ、いいけど ところで今日はもう帰るんでしょ?途中まで一緒に行
ってもいい?」
アクセル「いいけど、何か用があるのか?」
スザク「友達に会いに行くんだ」
アクセル「ふーん お前、村の外に俺以外の友達なんていたっけ?」
スザク「いいでしょ、別に それよりさ、準備がしたいからウチに寄ってってもらえると
助かるんだけど」
スザク・リリーナの家
スザク「えっと・・・ここにサンドイッチの材料があったはず・・・」
アクセル「準備って料理の材料か? なんでまた・・・」
スザク「料理をバカにしちゃいけないよ ボクらは癒しの魔法を使えないんだから料理
で体力つけないと」
アクセル「そうだよなぁ、薬草も安くないもんなぁ」
スザク「ありがとう じゃあ、行こうか」
アクセル「それにしても、あのリオンとか言うヤツ ムカつく!」
スザク「足手まといって言われたこと、まだ根に持ってんの?」
アクセル「そりゃ、あいつは強いけどさ!」
スザク「たったひとつの取り柄けなされちゃ、腹立つよねぇ~」
アクセル「たったひとつってゆーな!」
門番「おいアクセル! こいつをなんとかしろ!」
アクセル「え?」
門番「お前のペットのこの・・・変な生き物だ!」
アクセル「ノイシュ! 村まで来ちゃダメだっていつも言ってるだろ!」
スザク「ノイシュに乗せてもらって村まで来てるくせにそんな言い方ないだろ」
ノイシュは犬とライオンの合成(キメ)獣(ラ)のような容姿である
門番「おっと、それで思い出した。アクセル お前に村長からの言伝(ことづて)を預かっている」
アクセル「村長さんが?なんだろ」
門番「お前が通ってくる北西の森だが、途中に人間牧場があることは知っているな?
まさかとは思うが牧場内で遊んでいるんじゃないだろうな」
スザク「!」
アクセル「そんなことする訳ないじゃないか なあ、スザク」
スザク「・・・う、うん もちろんだよ」
門番「そうか? それならいいんだが・・・その、変な生き物が・・・」
アクセル「ノイシュは犬だって言ってるだろ! 何だよ、その差別的な言い方は」
門番「そ、そうか どうも犬に見えなくてな。とにかくそいつも牧場に入らないように
気を付けるんだぞ」
スザク「もう行ってもいいよね 行こうアクセル」
アクセル「おう、行こうか それにしてもノイシュ、何で村に来たんだろ」
ノイシュ「キュ~ン」
スザク「アクセルを探してたんじゃないの?」
アクセル「はぁ・・・家に帰るのに いちいち西の森を抜けなきゃいけないのが面倒だよ
なぁ」
―Extra 2 イセリアの森―
ノイシュ「クゥ~ン」
スザク「あ、そうか ノイシュはここが苦手なんだっけ」
アクセル「こういうモンスターがたくさん出るようなとこには入ろうとしねぇな。自分よ
り大きいモンスターなんて滅多に出ねぇってのによ」
ノイシュ「クーンクーン」
アクセル「あ、逃げた! 勝手にしろ!」
スザク「いつも思うけど 逃げるなら乗せてってくれればいいのに」
二人の背後からキノコ型の魔物とオオカミ型の魔物が現れた
アクセル「出たな! モンスター!」
アクセル「瞬迅剣!!」 素早い突きがキノコを串刺す
スザク「ストーンブラスト!!」 地面から岩石がオオカミに襲いかかる
アクセル「ま、この辺のモンスターなら楽勝だな」
スザク「あ、ボクここに用があるんだ」
アクセル「ディザイアンの人間牧場?ここに来ると不可侵条約に反するんじゃないのか?」
スザク「ディザイアンだって聖堂に攻めてきたじゃないか。悪いことだってのは分かって
る だけど・・・どうしても神託があったことを伝えたい人がいるんだ」
アクセル「分かった だけどお前一人じゃ危ないから俺も行くよ」
アクセルとスザクは人間牧場に向かう
これから世界を巻き込む混乱が起こるとも知らずに・・・・
To Be Continued