少年少女の戦極時代Ⅱ
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オリジナル/ユグドラシル内紛編
第57話 空へ! ヒマワリアームズ
目の前で、ヘキサが、タワーから飛び降りた。
室井咲の思考が高速回転する。
ドラゴンフルーツの錠前は壊されて使えない。戦極凌馬から与えられたロックシードは持ってきていない。今、咲が持つロックシードは一つだけ。
咲はその最後の一つ、ヒマワリの錠前のロックを外した。
戦極ドライバーを腹に装着し、バックルにヒマワリロックシードをセットし、拳を叩き落としてロックとカットをして。
「ヘキサあああああっっ!!!!」
親友を追って、ヘリポートから飛び降りた。
凄まじい風圧が咲を襲う。だが咲は負けじと、空中で体をひねり、体の上下をひっくり返す。
その頭に落ちるべく追ってくるのは、果実ではなく巨大なヒマワリの花。
――“ その花を咲かせてしまえば もう二度と後戻りはできない ”――
――“いつだって最後に頼りになるのは、自分自身の強さだ”――
「来ぉぉおおいッッ!!!!」
《 ヒマワリアームズ Take off 》
――実を結ばない花は確かにある。しかし、不実だからといってそれは無駄なのか。実をつけない花に咲く意味はないのか――
――そんなはずがない。種を突き破り、芽吹き、開いた花には、必ず咲いた意味がある――
まるで、花の妖精が舞い降りたかのように。
背中から二対、両足で一対、ヒマワリの花びらで構成された翼を広げた月花が、ヘキサを抱えて空をまっすぐに飛んでいた。
「まさか、ありえない……飛翔能力を持つロックシードだと? ヒマワリにアームズはないはずなのに!?」
凌馬が空を見上げたまま髪を掻きむしる。湊も似たような体たらくだが、誰より、貴虎が唖然としていた。
しかし、月花の腕に横に抱えられた妹がいたことが、貴虎をその場の誰より速く正気に戻した。
「碧沙! 室井!」
貴虎が叫ぶのを合図にしたように、月花は凄まじい勢いで3対の翼を駆り、ヘリポートから貴虎を抱き攫った。
『このまま下のケンキュージョまで抜ける! お兄さん、指示出して!』
貴虎はそれだけで月花の意図を理解してくれた。貴虎が通信機を出してラボに呼びかける。その間に月花はタワーの真上へと翔ける。
「私だ! 今すぐタワーのシャフトを開けろ! 緊急だ! 急げ!」
下で凌馬が指示を出したのか、レーザーが幾重にも月花たちに向けられ発射された。
『耳ふさいで!』
月花はヘキサをしっかり抱え、貴虎を担ぎ、宙を蹴ってレーザーより速く翔け、レーザーを全て避けきった。
タワーの真上。下ではシャフトがじわじわと開いていく。小さな穴だが、月花たちだけなら十分だ。
月花は隕石のように直下に翔けた。ぐんぐんと近づくタワーのシャフトの空洞を――潜り抜けた。墜ちるようにタワー内を飛ぶ。そして、床にぶつかる寸前に急制動。
直角に方向を修正し、幹のクラックを通ってヘルヘイムの空へと抜けた。
後書き
ついに出しました。アーマードライダー月花・ヒマワリアームズ。
度々「ヒマワリどうなるの?」と質問を下さった皆様、ご覧ください、こうなりました。
なかなか飛翔能力を活かせる場面が原作で来ないので、自分で見せ場を作りました。
ついでに第一部でのヘキサの台詞「咲のためならタワーから飛び降りて死ぬ(要約)」も回収してみました。
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