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DQ4 導かれちゃった者達…(リュカ伝その3)

作者:あちゃ
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第6章:女の決意・男の勘違い
  第40話:名前を正しく呼ぶのは、人としての礼儀だと思う

(ロザリーヒル)
ビアンカSIDE

「キサマ、殺してやる!」
禍々しい剣を既に抜刀し、怒りの形相で現れるデスピサロ。
その彼に対してマイダーリンは……

「あ……何怒ってんの?」
と力の抜ける返答。
きっと股間への落書きの事だと思う。うん、私はこの二人から離れてよう。

「自分のやった事をとぼけるのか!?」
「何だよ……ロザリーを狙って現れた奴らを追い払っただけだろ!? 感謝こそされ、怒られる意味が解らん!」
ウルフ君が小声で「その件じゃねーよ」って呟いてるけど、彼もきっと解ってるわよ。

「それとも……狙ってたラピスの処女を喰っちゃったのを嫉んでるの? 良いじゃんか、ロザリーには手を出してないんだよ。ちゃんとルールは守った」
ウルフ君が小声で「お前のルールだろ、それは!」と呟いてるけど、彼には関係ないんだと思う。

「もう黙れゴミが!」
大激怒中のデスピサロ……リュカのワザとな返答に我慢できなくなり、凄い勢いで斬りかかる。
鼓膜が破れるかと思える程の音波を出してリュカの居た空間を彼諸共切り裂く……が、切り裂いたリュカは残像だった。

「危ねーだろ馬鹿者!」(げしっ!)「うぉ!!」
誰にも確認できない素早さでデスピサロの後ろに回り込み、奴のお尻に蹴りを入れ前のめりに転倒させるリュカ。

「おのれ!」
素早く立ち上がるデスピサロ。振り向きざまに横一線で斬りかかる。
(キンッ!)
しかしリュカは難無くドラゴンの杖で受け防ぐ。

デスピサロの剣撃は凄まじく、巻き込まれぬ様5.6メートル程離れてた私達のとこまで衝撃波がやってきた!
「やべぇ……おちょくるのはリュカさんに任せよう。俺じゃ瞬殺される」
ウルフ君の呟きに、私もマリーも頷いた。

「ピ、ピサロ様お止め下さい!」
「止めるなロザリー! この男は俺の事をトコトンまで馬鹿にしたのだ!」
落書きで怒ってるんだから、それを見て笑ってたロザリーやラピスも同罪だろうに……心が狭いわね。

「デスピサロ様、リュカに対して激怒しては奴の思う壺です! 落ち着いて下さい」
「そうですよピサロ様。たかが落書きされただけです……もう消えたのですから落ち着いて下さい」
「何だ……落書きを怒ってたのか! 面白くなかった? みんな大爆笑してたんだけど、ねぇウルフ!」

「俺に話を振るんじゃねー! 俺等にリュカさんのすることを止められるわけないだろ。偉大なる暴れん坊将軍様に、逆らえないのが小市民なんだから!」
巧いわねぇウルフ君は……全部リュカに押し付けて、アレの大きさ発言で口を封じるんだもの。

(きた)ねーなアイツ……待ちたまえ、もう一人のイケメン君! 僕は君を馬鹿にするつもりで書いたわけではないのだよ。憶えてないのかね、僕の書き置きのことを!?」
「か、書き置きだと?」
何の事を言ってるのかしら?

「僕は『お前の彼女は預かった。無事に返してほしければ、何か面白い芸を見せろ! 今度会う時までに考えておけよ。面白くなかったら目の前でエッチな事しちゃうゾ♥』って書いたんだ。だから彼女を解放する条件として、お前の“面白い芸”を見る権利があった! でもお前気絶してたじゃん。だから大サービスでネタは僕が考えてやったんだ。ほれ……パンツ脱いで踊れ。『ゾーさん、ゾーさん♪』って踊ってみろ!」

「キ、キサマ~……いい加減俺を馬鹿にするのを止めやがれ!」
「ほれほれ……踊らないとロザリーにエッチなことしちゃうゾ♥」
「きゃぁ!」
馬鹿にし続けるリュカは、素早くロザリーの後ろに回り込むと、両胸を鷲掴みにしてデスピサロを脅迫する。

「く、くっそ~……もう落書きは消したわ! お前の思い通りになんぞなるか!」
「え、消しちゃったの? な~んだ……じゃぁいいや。オッパイ堪能したし、ロザリー離してあげる」
本当に……偽りなく……心底ロザリーの胸を堪能したところで、彼女の耳元で何かを囁きデスピサロの方へ解放するリュカ。

(しな)を作った動作でデスピサロへと駆け寄り奴の胸へ飛び込むロザリー。
デスピサロも力一杯愛する女を抱き締めリュカから距離をとる。
距離をとりつつも、剣はリュカに向けたまま警戒を解かない。

「本当にお止め下さいピサロ様! リュカさんは私やピサロ様の命の恩人です。それにもう解ってるはずです……強さではリュカさんに勝てないと! 進化の秘法でパワーアップしたピサロ様ですら太刀打ちできなかったんですよ。進化の秘法を使用してない状態では絶対勝てません!」

「な、何を言うかロザリー……お、俺が勝てない等と!?」
なるほど……ロザリーに説得を頼んだのね。
と言うか、言葉巧みに誘導したんだろうけど……

「デスピサロ様……リュカは敵ではありません。むしろ我々を裏切りデスピサロ様を陥れたエビルプリーストを、共に倒す心強い味方です! 彼と伝説の勇者達一行は、デスピサロ様と共にエビルプリーストの野望を打ち砕くのです!」
デスピサロの扱いに関しロザリーと共に円熟してきたラピス。

「ぐっ……そ、そうだな。今は奴をなんとかしなければなるまいな!」
「「はい!」」
不承不承だがロザリー・ラピスの説得に取り敢えず応じるデスピサロ。まぁ、リュカにもう一回ボッコボコにされるのも手かもしれないけど、今後戦力外になったら困るから、今回はこれで良いのかもしれないわね。

「おい人間。今回は見逃してやる……ありがたく思えよ!」
「……自己紹介がまだだったね。僕の名前はリュカ。ビアンカは知ってるよね? 彼女は僕の妻だ」
とても高圧的で無礼なデスピサロの態度に、何かを考えて低姿勢で自己紹介をするリュカ

「キサマの名前なんぞ知るか!」
「そうだねぇ……魔族の王様は他人の名前になんて興味ないよね。うん、凄く立派な生き方だし、僕等もそれに倣おう! じゃぁよろしくねデブピエロ君」
奴の名前を呼ばない態度にご立腹なリュカ……もう一波乱ありそうだ。

「デ、デブピエロだと!? 頭悪いのかキサマ! 俺の名前はデスピサロだ、間違えるな!」
「名前なんぞ知るか! お前の生き方に合わせてやったんだろ。ちゃんと名前を呼ばれたいんだったら、お前も『人間』と呼ばず各々の名前を正しく呼べ! 記憶力が壊滅的に悪く、憶えられないのだったら別だが……どうなの?」

「ふざけるな、解ってて呼ばないんだ! そんな低脳ではない!」
「じゃぁ改めて……僕の名前はリュカです。呼んでごらん」
リュカは再度自己紹介をし軽く両腕を広げ受け入れる様に呼ばれることを待つ。
デブピ……デスピサロは歯を食い縛り血管を浮き出させて睨んでる。

「ピサロ様……リュカさんの仰る通りですよ。私達はもう仲間なんですから、名前を呼び合うのは当然です! それに従わないなんて本当に馬鹿だと思われますよ」
「ロ、ロザリー……」

リュカやシン君達と共に生活することで、自己主張をすることの意味を理解したロザリー。
デブピ……デスピサロのお人形さんから、本当の意味で自立したみたいだ。
やっぱりリュカと一緒に居ると、みんな成長するんだわ。

「ロザリー様の仰る通りですよデスピサロ様。それに人間ばかりのパーティーですから、『人間』と呼んでいては誰のことやら……」
「ラピス……お前もか」

ラピスの言うことは尤もだ。
『おい人間!』とか『おい女!』とか呼ばれても、私のことなのかマリーのことなのか……はたまたリューノ・リューラかアリーナさんやマーニャさん・ミネアさんなのか、判断など付くはずない。

「いっそロザリーとラピスも、彼のことをデブピエロって呼んじゃえば。自分にとって大事な人が考えてくれた名前が、どれほど大切な物なのか解らない男には、それ相応の対応が必要だと思うんだよね。二人にデブピエロって呼ばれれば、その辛さを深く実感できる」

「そうですわピサロ様……いえ、デブピエロ様! 皆様にはご迷惑をおかけしたのだし、協調性を持って共にあることを受け入れるべきですわ!」
「ロザリー様のご意見に私も賛成ですデスピサロ様……いやデブピエロ様!」

可愛そうにロザリーとラピスから責められ、悔しさと悲しさの入り交じった表情をしている。
あぁそうか……奴の悪いクセが解ったわ!
自分にとって納得がいかないことがあると、直ぐに人の所為にする傾向がある男なのね。

“お前の所為で……”って感じでリュカを睨んでいるわ。
どのくらいの期間になるか判らないけどリュカと共に過ごすことで、その性格を直せれば彼の為になるだろう。
もしくは余計に捻曲がるかもしれないけど……

ビアンカSIDE END



 
 

 
後書き
さぁて、そろそろエンディングに向けて頑張らないと!
リュカ伝2を超える大作にしたかったなぁ……



いや、諦めるのはまだ早いか?
ここから急展開で、「天下一品武闘会」に突入させるか?

どう思う? 
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