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VenusBlood-d×d-

作者:植物紳士
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魔導都市の思惑

「三大勢力の会談ね」
先のコカビエルの駒王学園襲撃を問題視した堕天使が悪魔と天使に呼びかけてなされようとしている会談、その会談に事件に関わった者達は全員参加らしい。
兄である魔王さまからは私やエネルゲイヤの者達にも参加するように言われた、正直乗り気になれないわね。

お兄様達や天使、堕天使はこの会談で和平を結ぼうと考えている様だけどそう簡単に行くかしら?大戦から長い時が流れたけど未だにいがみ合い小競り合いを繰り返し殺し合って来た者達がそう簡単に手と手を取り合えるかしら?

それにこの和平に反対する者達が当然出て来るでしょうね、ただですら悪魔は旧魔王派などの獅子身中の虫が居るのに、もしかしてそれをいぶり出すのが本当の目的?いえあの人の良いお兄様は考えてもそうはしない方だもの、恐らく純粋に平和を願っているのね。

なら私達が利用させて貰いましょう、今までに力は十分に蓄えたし準備もしてきたそろそろ動く時ね。

「ノーラ」
「はい、お嬢様」
いつもの様に私の後ろに控えるノーラに伝える。

「皆を集めて頂戴」
「はい」
小さな魔法陣を出現させ操作し命令を飛ばす。

「始めるわよ、私達の戦いを」
「いよいよですか」
「ええ、これから世の中は荒れるは今まで以上にでもそれは私達にとって大きなチャンスでもある、世界に魔導都市エネルゲイヤの力を誇示して私達は悪魔の勢力の1つではなく独立した一勢力として名乗りを上げる、付いて来てくれるはねノーラ?」
「愚問ですお嬢様、私は元よりエネルゲイヤの全てがお嬢様と一件託生です」
「ありがとう」
「いえ、さあお嬢様皆がお待ちかねです、行きましょう」
「ええ」
立ち上がり執務室を出て廊下を歩く、目指すは皆が待つ会議室、会議室の前に着くと扉の両脇に控えた巨人の騎士、ギガースナイトが頭を垂れて扉の取っ手を持ち扉を開く。
私が会議室に入ると席に座っていた皆が立ち上がり私に頭を垂れる、私はそれを見つつ移動する、細長に造られ部屋に合わせて置かれた細長な巨大なテーブルその一番奥の中央、両方に皆が居る事を見ながらノーラが引いた椅子に腰を降ろす。

「皆座って頂戴」
私がそう言うと皆が座り私を見る。

「さっき魔王サーゼクス・ルシファーから連絡があったの、内容は先日あった堕天使幹部のコカビエルが悪魔の領地に攻め入った事で、堕天使はその件で会談を開きたいと言って来たの、魔王も天使もそれを了承して会談が開かれる事になったわ、此処までで質問は?」
私の話を皆は黙って聞いてくれた、疑問がある者が居ないか私が見渡すとティアが手を挙げる。

「何故それで私達全員が集められたのでしょうか?その会談に参加するのであれば当事者であるヨルムと母様だけで話が済むのでは?」
確かにね、参加するだけならそれで良かったけどそれだけじゃないのよ。

「その会談で私は魔導都市エネルゲイヤの独立を宣言しようと思っているの」
私の言葉にざわざわと皆が騒ぎ始める、だがそれは不安や疑心から来るものではなく見えて来ない始まりが目の前に現れ挑もうとしている様な挑戦的な興奮を含んだざわめきだった。

「静まりなさい!!」
会議でも変わらず私の後ろに控えるノーラが一喝して皆を鎮める、静かになるのと同時にティアが再び手を挙げる。

「なぜこの様な会談で独立の宣言を?独立をするのならば悪魔勢だけに伝えれば良い筈では?何も三勢力の代表が集まる場所でする必要は、悪戯に天使と堕天使を刺激するだけでは?」
ティアは相変わらず冷静ね、でも三大勢力が敵と戦い始める今がチャンスなのよ。

「この会談は十中八九襲撃されるわ、それも同族の悪魔にね」
「その根拠は」
疑問を浮かべる声に反応してノーラが素早く皆に資料を配る、皆はその資料に目を通し始める。

「渦の団か」
魔導都市エネルゲイヤ最強の戦士にしてエネルゲイヤの軍部のトップで最古参であるフィネガスは只静かに彼等の組織の名を呟く、渦の団、最近動きが活発化してきたテロ集団、その中には現魔王に不満を持つ旧魔王派が居る、彼等は確実に会談を襲撃するその時に独立する、その為には渦の団を圧倒的な力で撃退して三大勢力に力を示さないといけない、しかし痛めつけすぎてもいけない彼等には三大勢力を牽制して貰わないと困る、弱らせすぎるとむざむざチャンスを潰す事になる、これが上手く行けば確実に独立は認められる、渦の団に私達が加わるか独立を認めるか2つに1つならお兄様や他の魔王様は首を縦に振らざらならない、暫らくはギクシャクした関係が続けどそれは外交や技術提供などで回復は十分に可能だから心配は要らない。

「会談には私とヨルムとフィネガスそしてクピド、ファレンクピト貴方達にも来てもらうわ」
「え!?」「は、はい!?」
いきなり名前を呼ばれるとは思っていなかった2人は驚いている。

「お待ちください!!」
ティアが私に待ったを掛ける。

「クピトとファレンクピトの存在を明かすのは危険です!!技術探究第一と考える堕天使の総督はともかく、天使達とは下手をすれば戦争に発展します!!」
「そうね、天使達は良い顔をしないはでも同時に喉から手が出るほどに欲するは神が居なければ天使は産まれる事は無いから。」
エネルゲイヤで初めて生まれた天使と堕天使であるクピトとファレンクピトの存在を天使や堕天使が快く思うとは思えない、曲がりなりにも神に産みだされたと言うプライドが彼等にはあるのだから、でも数が減り続けている天使と堕天使は戦争をしたがらないでしょうね、混沌の渦も居る事だしそれに此方の出方次第では上手く行けば悪魔以上に友好的な関係を築けるかもしれない、悪魔と違って理性的な方が多いから。

「2人の存在は三大勢力に大きな波紋を呼ぶわ、2人の存在を悪魔勢力に知られれば2人とエネルゲイヤの技術を差し出すように言って来る、私は自分の子供を差し出すくらいなら守る為に戦って死んだ方がマシなの」
かつて私達を否定した悪魔達が厚かましく私達の力を欲する、そう考えると我慢ならなかった。かつての私なら同族の悪魔の力になっただろう、でも今の私は悪魔より子供達を守る方を取る。だが私は一介の公爵、魔王が命じたらそれに従わなければならないそうしてまた裏切られるかつて見捨てられたように。ふざけるな!!何が魔王だ!!何が超越者だ!!また子供達をあんな目に合わせるくらいなら私は魔王を討つ。

「・・・・・そこまでのお覚悟なら、私が言う事は有りません、私はただ貴女を守る為に戦いましょう」
「俺だって!!」「私も!!」
私とティアのやり取りに連呼して続々と声が上がり、会議室全体を興奮が包んでいる。

「護衛にはララ、ルル、エナ、ジーオ、トゥリアがそれぞれエンブリオ師団を率いて頂戴」
「「「「「はい!!」」」」」
魔導都市エネルゲイヤが誇るエンブリオ部隊、機械の心臓とエーテルの血液が流れ私達が|機人≪エンブリオ≫と呼ぶ自立人形、その中でも今名前を呼んだ彼女達は私が一から開発に着手した特別な個体、多くの量産型エンブリオをまとめる司令官それが今の彼女達。

「その他の各師団長はフィネガスを中心に調練をお願い、今後は渦の団との戦いが予想出来るから何時でも出られるように準備もしておいて頂戴」
「「「「「「「は!!」」」」」」」
「技術部は魔導兵器と戦闘用エンブリオと戦闘特化型グローエッグチルドレンの量産ラインの拡大をお願い」
「「「「「はい!!」」」」」
「その他細かい事はおって命ずるは解散!!」
皆が足早に会議室を出て行くいよいよ始まりね、私達は大きな一歩を踏み出そうとしている、その先に何が待ち構えているのか今はまだ分からないけど私と子供達が力を合わせれば越えられない壁なんて存在しないわ。





・・・兵藤一誠・・・
「さて、行くわよ」
部長がそう言う、そうだついにこの日が来た、三大勢力の会談。これが終われば天使と堕天使と悪魔は晴れて友達関係になれる大事な会談だからか、校舎の周りには結界が貼ってあり更には天使と堕天使と悪魔の軍勢が囲んでいる、スゲェなそれだけ重要なことだって認識できた。
ギャスパーを連れて来れなかったのが残念だけどまだ神器を制御できないからな仕方ない、この場に居ない後輩の事を考えながら会談が行われる場所に移動した。



「失礼します」
部長がドアをノックして部屋へと入る、ドアを開けると豪華なテーブルにそれを囲むように三大勢力のトップの方々が座っていた。

「私の妹とその眷属だ」
と、サーゼクス様が俺達を紹介する。

「報告は受けています。改めてお礼を申し上げます」
「悪かったな、俺の所のコカビエルが迷惑かけた」
ミカエル様は丁寧に言うが、アザゼルの方はかなり雑だ殺されかけたんだぞ。

「そこの席に座りなさい」
サーゼクス様がそう言うとグレイフィアさんが俺達を席へと案内してくれた、そこには既に生徒会面々が既に居た。

「さて後はあの引きこもり娘だけか」
アザゼルがそんな事を言っていると会場に魔法陣が現れる、その魔法陣は手と手を取り合うような紋様の魔法陣で今までに見た事の無い魔法陣だった、その魔法陣から人が現れる、部長やサーゼクス様と同じ紅髪に同じ紅色のドレスに黒い鎧を合わせた様な格好をしたリーネさんが人を引き連れて現れた。
リーネさんの右側に白と黒のワンピースの様な服を着た瓜二つの少女達、左側に数多の傷跡が刻まれた筋骨隆々な身体に鎧を纏い巨大な斧を持ったライオン男と先日学園に現れてコカビエルをと戦ったヨルムちゃん、後ろには5人の一見すると普通の少女に見えるが身体に刺さったコードや埋め込まれた機械部品で彼女達が普通で無い事はすぐに分かった。

「どうも魔導都市のリーネ・グレモリーです」
そう挨拶したリーネさんが頭を下げる、周りの人?達も頭を下げる。

「魔導都市ですか、あまり良い噂を聞きませんが今回の事は感謝しています」
ミカエル様はリーネさんの事をあまり良く思ってないらしい、やっぱり天使にとって命を産むという事は神聖な事みたいだから受け入れがたいんだろうな、一方のアザゼルは目をキラキラさせながらリーネさんを、正確にはリーネさんの後ろの少女達を見ていた。

「おい、まさかそいつ等がもしかしてエンブリオか?」
「ええ」
「本当かよ!?噂には聞いてたが」
エンブリオ?彼女達の種族名かな、リーネさんがそう言うとアザゼルは席から立ち上がり、彼女達に近寄りじろじろと見始める。

「じろじろ見るな、鬱陶しい」
じろじろと見続けるアザゼルが癇に触ったのか少女達の中の気の強そうな青髪の子が睨みながらアザゼルに毒を吐く。

「口悪いなお前」
「貴様がジロジロ見るからだ」
「まあまあ2人とも。アザゼル様、機人とはいえ心は年頃の娘ですそんな娘をジロジロと見つめるのは堕天使の総督としてはどうかと、ルルもアザゼル様は貴方達に興味が御在りなのだから怒らないであげて」
「分かりました、罵ってすみませんでした」
「いや、こっちこそ少し配慮が足りなかったな、悪かった」
「アザゼル様、エンブリオの事なら今度エネルゲイヤにお越しなった時にでも、アザゼル様程の研究者の意見を聞けるなら我等エネルゲイヤは喜んでお招きいたします」
リーネさんは微笑みながら堕天使の総監と話している。

「そろそろ良いかい2人で話し込むのも良いがいい加減会談を始めないとね、リーネ達はそこの席に」
「おう、悪い悪い」
「はい」
アザゼルは自分の席に座り、リーネさん達は俺達とは離れて座る。

「全員が揃ったところで、会談の前提条件をひとつ。ここにいる者たちは、最重要禁則事項である神の不在を認知している」
そして会談が始まった。



「以上が、私、リアス・グレモリーとその眷属が事件の報告です」
「ありがとう、リアスちゃん☆」
部長が事件の顛末を話す、それを聞いて三大勢力のトップの方々は顔をしかめたり、溜息を付いたり手を振ったり反応は様々だけどリーネさんだけは終始微笑んで聞いていた。

「さて、アザゼル。この報告を受けて堕天使総督の意見が聞きたい」
サーゼクス様の問にアザゼルは不敵な笑み浮かべて話し出す。
「今回の件は我が堕天使中枢組織、神の子を見張るものグリゴリ、の幹部コカビエルの独断であり、他の幹部や俺は一切関与していない。コカビエルならそこの小娘の毒のせいで全身の皮膚がボコボコに腫れ身体が元の原型を留めなくてな苦しみながら死んだ。報告書にあっただろ?それが全部だ。まったく、俺は戦争なんざ起こす気はねぇのによ」
「説明としては最低の分類ですね、ですが貴男個人が我々と大きなことを起こしたくないというのは分かります」
「アザゼル、1つ聞きたいのだがどうしてここ数十年神器の所有者を掻き集めている?最初は人間達を集めて戦力増強を図っていると思っていた。天界か我々に戦争をけしかけるのではないかとも予想していたのだが」
「そう、いつまで経っても貴方は戦争を仕掛けてこなかった。白龍皇を手に入れたと聞いた時には、強い警戒心を抱いたものです」
「神器研究のためさ。なんなら、一部研究資料もお前達に送ろうか?って研究していたとしても、それで戦争なんざしかけねぇよ。戦に今更興味なんてないからな。俺は今の世界に十分満足している。部下に、人間界の政治にまで手をだすなと強く言い渡しているくらいだぜ?宗教にも介入するつもりもねぇし悪魔の業界にも影響を及ぼせるつもりもねぇ。ったく、俺の信用は三すくみの中でも最低かよ」
「それはそうだ」
「そうですね」
「その通りね☆」
酷い言われ様だ、信用が無いんだな。

「チッ。神や先代ルシファーよりマシかと思ったが、お前等もお前等で面倒くさい奴らだ。こそこそ研究するのもこれ以上性に合わねぇか。あー、分かったよ。なら、和平を結ぼうぜ元々そのつもりで会ったんだろ?天使も悪魔もよ?」
アザゼルの発言に俺達だけでなく魔王様達も驚いている、本当に信用されてないんだな。

「ええ、私も悪魔側とグリゴリに和平を持ちかける予定でした。このままこれ以上三すくみの関係を続けていても、今の世界の害となる。天使の長である私が言うのも何ですが戦争の大本である神と魔王は消滅したのですから」
「ハッ!あの堅物ミカエル様が言うようになったね。あれほど神、神、神様だったのにな」
「失ったものは大きい、居ない者をいつまでも求めても仕方がありません。人間達を導くのが、我々の使命。神の子をこれからも見守り、先導していくのが一番大事なことだと私達セラフのメンバーの意見も一致しています」
「おいおい、今の発言は堕ちるぜ?と思ったが、システムはお前が引き継いだんだったな。良い世界になったもんだ。俺が堕ちた頃とはまるで違う」
話しが難しくてよく分かんないけど良い方向に向かってるのかな?

「神がいない世界は間違いだと思うか? 神がいない世界は衰退するか? 残念ならがそうじゃなかった。俺もおまえたちもいまこうしやって生きている。神がいなくても世界は回るのさ」
アザゼルがそう言う、それから会談は戦力うんぬんの話しに移り、兵力とか各陣営との対応これからの勢力図の話しに移った。

「さて、こんなところだろうか?」
サゼークス様のその一言で、お偉い方々が大きく息を吐いた。それから俺達オカルト部の方に視線が集まる。

「そろそろ俺達以外に、世界に影響を及ぼしそうな奴等に意見を訊こうか。無敵のドラゴン様と神を恐れぬ大公のな。まずはヴァーリーお前は世界をどうしたい?」
「俺は強い奴と戦えればいいだけだ、だが俺もエネルゲイヤには興味が有る、コカビエルの時に使っていた魔装と言う武器にな」
ヨルムちゃんが使ってたあの籠手か、龍と悪魔の両方が揃う俺は注意しようドライグも注意しろって言ってたな。

「そうか、まあその魔装とか言う武器についてはエネルゲイヤを訪問した時に出もな。赤龍帝、お前はどうなんだ?なんか目標とかねぇのか?」
「俺の目標はハーレムをつくる事です!!」
アザゼルに聞かれたので堂々と俺は答えた、部長とか呆れ顔を溜息を吐いてるけど、これが俺の夢なんだ!!

「ハハハハ、女か良いね自分に正直なのは好感が持てるぜ。じゃあ最後に大公何か有るか?」
「私は世界などに興味はありません、子供達と幸せに暮らせればそれだけで」
「ふーん欲がねえなじゃ「ですので」?」
「私達魔導都市エネルゲイヤは悪魔勢力からの独立させてもらいます」
リーネさんのいきなりの独立宣言に驚くよりも先に俺達の時は止まった。
 
 

 
後書き
いよいよ本格的にエネルゲイヤが動き始めます、ここから物語を大きく変えていく心算です。
お読みになっていただいた皆さんに質問なのですが、VenusBlooddシリーズには恒例のロウルートとカオスルートの2分岐があるのですが、私はどちらが良いか迷っていますタグにはアンチが付いていますがカオスルートに行った時の保険として張ったので普通にロウルートの話も書けます。ですのでもしロウが良い、カオスが良いなどの意見がありましたら感想の所にお願いします。
 
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