進撃の巨人〜緋色の翼〜
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第九話:訓練生活Ⅰ
「まずは貴様らの適性を見る!両側の腰にロープを繋いでぶら下がるだけだ全身のベルトでバランスを取れ!これができない奴は囮にも出来ない!開拓地に移ってもらう」
今から行うのは立体起動装置の実技訓練だ。事前に座学で原理の説明を受けているとはいえこれが初の立体起動装置に関するものだ。
「ミカサ・アッカーマン!!行け!」
「はっ!」
ミカサが三脚に吊るされたロープを腰のベルトに着ける。
「よし!ゆっくりと引き上げろ!!」
指示に従い訓練兵達がロープを上げていく。完全に体が地面から離れたミカサは最初こそ少しぐらついたものの数秒後にはびくりともぐらつかなくなっていた。
この訓練は肩から腰、腰から脚に掛けて全身に張り巡らされた固定ベルトを使って重心をうまく取り、体を安定させる訓練だ。
「次!!シルヴィオ・クロイツ!!行け」
「はっ!」
俺がベルトにロープを繋ぐとゆっくりと引き上げられる。
(っと、案外簡単なんだな)
俺はミカサの様に重心をうまく取ることができ、なかなかの上位に食い込めたはずだ。
其の後もアルミン、コニーもぐらついてはいたものの無事に終えることができていた。
しかし、問題はエレンだった。
(何故そうなる!?)
エレンは上体を起こすことが出来ず宙吊りの状態になっていた。
「何をやっている!!エレン・イェーガー!!上体を起こせ!!」
エレンは何度も上体を起こそうとするが結局は起こすことが出来ず今日の訓練は終了となった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「基本通りにやればできるはず上半身の筋肉は固く─」
ミカサが細かく適切なアドバイスを出してエレンの自主練を始めた。
「よし、アルミン上げてくれ」
「いくよ」
俺はエレンの修正点を見つけるという係りについた。
エレンのベルトを繋いだロープが引き上げられていく。
が………
ブンッ
「あっ!?」
「えっ!?」
「マジかよ……」
アルミン、ミカサ、俺がそれぞれ声を漏らす。
ゴンッ
エレンは盛大に地面に頭から激突した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「じゃっ、じゃあエレン、先に寮に戻っとくな。アルミン、ミカサ、エレンを頼んだぞ」
俺は放心状態のエレンに声を掛けて寮へ戻った。
ガチャ
チラッ
ビクッ!
「はあ……」
部屋に入ると既に部屋の中にいた人たちは皆同じ様な反応をすることについため息を漏らす。
そんなに俺が怖いか?そんな疑問を持ちつつ荷物から服を取り出し浴室へ向かった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
浴室から部屋に戻るとエレン達が帰ってきていた。
「よっ、エレン。……そいつらは?」
「ラ、ライナー・ブラウンだ。……よろしく」
「ベルトルト・フーバーだよ。よろしく」
「俺はシルヴィオ・クロイツ。よろしく」
俺はいつも通りの反応に苦笑を浮かべつつ挨拶をした。
「確かに昨日は怖かったかもしれないけど、別に人間を殺したいわけじゃ無いんだからそんなビビらなくてもいいんだぞ?俺が殺したいと思ってるのは巨人、特に[超大型巨人]と[鎧の巨人]だけなんだから」
ライナーとベルトルトはそれぞれ鎧の巨人と超大型巨人という単語に少しの反応を見せた。
それを怪しげに思いつつ話しを続けることにした。
「それで?大体の予想はつくがなんの話しをしてたんだ?」
「ああ、姿勢制御のコツを教えてもらっていたんだが………」
「あ〜、それで?」
「特に無いっていわれて今はどうして兵士を目指すかって話しをしていたところなんだ」
「どうして……か」
俺は兵士なんて巨人を殺すための手段としか考えなかった。
そんなことを思いつつグリシャ先生から新しく貰った薬を飲み眠りについた。
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