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VenusBlood-d×d-

作者:植物紳士
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氷華の淫狼

「あ~あ、どこかに良い男でも居ないかしらね~」
娘であるフェルが私の執務室のソファーに寝転びながらそんな事を言う。

「暇なら仕事でもする?」
私がそう聞くとフェルはあからさまに嫌な顔をする。

「嫌よ~、それにある程度はやってるし」
ある程度と言っているけど下の子達に殆ど丸投げしてる癖に。

「そう言えばお母様、私駒王学園に行って来て良いかしら?」
娘の口から出た意外な場所の名前に私のペンを握っていた手が止まった。

「どうしてそこへ行きたいのかしら?」
「だってあそこには赤龍帝が居るんでしょう?興味があるのよ」
この子が神器に興味を示すとは思えない、ならつまみ食いが目的かしら?
でも丁度良いかもしれない、先日堕天使の襲撃があったばかりだしリアスやソーナちゃんが心配だし。それにフェルが赤龍帝を籠絡してくれたら研究サンプルも増えるかもしれないし。

「ふーん、分かったわ、貴女が駒王学園に行けるように手を打っといてあげるわ」
「本当!?ありがとうお母様」
「ただし、向こうでは何かしらの役職に就いてもらうわよ。貴女の見た目じゃあ生徒と言う訳にはいかないから」
えー、っとフェルが不満そうな声をあげるけどフェルの見ためは良い意味で学生とはかけ離れたスタイルをしているんだから、ヨルムなら学生として送り込んでも問題無いのだけれども。さてどうやって送り込むか私はそれを思考し始める。





・・・兵藤 一誠・・・
コカビエルの襲撃から暫らく経ち俺達オカルト部も平和な日常を送りつつあるそんな時。

「お前ら今日からお前達と一緒に勉強する仲間が増えたぞ」
朝のHR担任の先生がこんな事を言い出した。

「先生それは転校生ですか?」
女子の1人が質問する。

「違う、教育実習生だ」
教育実習生?と言う事は大人のお姉さんですか!!

「男ですか?女ですか?」
「フフフ、喜べ男子女性の教育実習生だ、それも美人のな」
「「「「「「「「おお――――」」」」」」」」
美人と聞いてクラスの男子が歓喜の声を上げる、かくゆう俺も上げている。

「それじゃあフェルさん入ってください」
「はーい」
間延びした返事で教室に入って来たのはスーツ姿に眼鏡を掛けた白髪の女性。カツカツとハイヒールの足音を鳴らしながら教壇に立つ。

「初めまして皆さん、フェル・エネルゲイヤと申します今日から皆さんと勉強していくのでよろしくお願いしますね」
そう言って微笑む彼女にクラスの男子が鼻の下を伸ばすが俺はそれ所じゃ無かった、エネルゲイヤ!?もしかしてリーネさんと関係が。アーシアとゼノヴィアも警戒している。

「今日の授業参観の授業を担当させてもらうので楽しみにしていてくださいね」
「「「「「「はーい」」」」」」
クラスの皆が元気よく返事を返すなか俺は彼女を警戒していた。





・・・氷華の淫狼 フェル・・・
教室を見まわして赤龍帝を見つけた、ふーん、見た目は悪くないわね。私が自己紹介をするとあからさまに私を警戒し始めたけどまだまだね、まるで怯えて必死に吠えて虚勢を張ってる子犬みたいね可愛い。

「それじゃあ今日は英語で簡単な演劇をやりましょうか」
私がそう提案すると生徒達は驚いた顔をする。

「大丈夫よ、何も難しい単語なんか覚える必要は無いわ。必要なのは気持ちと工夫だけよ」
そうして始めたのは英語とジェスチャーを合わせたある所に居た四人の男女の愛憎を描いた寸劇、1人1人にセリフがあり授業参観に来ていた父兄の方にも参加してもらい寸劇は好評のうちに終わり、そして授業が終わり職員室に向かおうとすると。

「ちっと良いですか?」
赤龍帝に呼び止められた。彼の後ろには元聖女とデュランダル使いが居る。

「何ですか兵藤君?」
あくまで今は表面上は教師として振る舞う。

「フェル先生はリーネさんと関係があ」
あらあら直球ね、私好きよ貴男みたいな思い込んだら一直線なタイプ、でもこの場所じゃ不用心と思い彼の口を人差し指で押える。

「赤龍帝、その話は後でね」
そう言って投げキッスをして後にする。彼等を後にした後に私は魔法少女に呼び止められた。

「すみませ、ソーナたんの教室は何処ですか」
私はよく彼女を知っている、向こうが私の事を覚えているかは分からないけど。

「父兄の方ですよね、ソーナたんと言うと生徒会長さんの事ですね、彼女なら一つ上の階の教室だったと思いますよ、良ければ御案内しましようか?」
「ううんいいよ、ここで魔法っ子レヴィアたんの撮影会でもして待ってるから」
そう言う彼女と私の周りには人が集まり始めている彼女の奇抜な恰好に惹かれて。それから生徒達が集まり出し撮影会が始まった。

「あのーポーズ取ってくれませんか」
隣に居た私も彼女の仲間だと思われたのかポーズを頼まれた、せっかくだから得意のセクシーポーズをしたら男子生徒や男性の父兄の方々が前屈みになってしまったわ。気が付けば魔女っ娘より多くの視線を集めてしまっているし。

「オラオラ、天下の往来で撮影会たーいい御身分だぜ」
暫らく撮影会が続いていると、生徒会の生徒らしき男子生徒が現れた、私も一応教育実習生として来ているので、ごめんなさいと一言詫びとウィンクをして一旦その場を離れる。

「ほらほら、散った散った!!今日は公開授業なんだ。こんな所で騒ぎを起こすな」
少し離れた私はそれを見続ける、撮影してくれていた人達も私を写す事に満足して散って行く。

「あんたもそんな格好しないでくれ。って、もしかして親御さんですか?そうだとしても場に合う衣装があるでしょう。困りますよ」
「えー。だってこれが私の正装だもん☆」
私も人前に劣情を掻きたてる格好で出る事があるから彼女の気持ちが分かる。着たい物を着て人前に出て何が悪いの。心の中で彼女を応援していると母様の妹が現れた。

「これはリアス先輩。ちょうど良かった。今魔王様と先輩のお父さんをご案内していたところなんですよ」
そう言う彼の後ろに生徒会長ことソーナ会長さんと紅い髪の男性二人がこちらに来た。2人とも私が良く知っている人物、片方は母様のお父様で私にとっては爺様に当たる方、もう1人は母様の兄のサーゼクス・ルシファー。暫らく窺って居たけど2人とも視察が目的らしい、暫らくして伯父が此方に気づいたのか向かって来る。

「お久しぶりです、伯父様」
「君は確かフェルだったかな、フィネガスやティアの後に産まれた子だったよね。少し見ない間に立派に成長したね」
伯父様は私を見ながらしみじみとした顔でそう言う。

「それで君は何が目的でこの学園にやって来たんだい」
伯父様は話を切り替え私が此処に来た目的を尋ねてきた、でもただで教えるのもね~。赤龍帝を籠絡しに来ましたって言ったら止められるだろうし、そうだ良い事思いついた。

「そうね~、ねえ伯父様。物は相談なんだけど誰か良い人を紹介してくれませんか~。もし紹介して頂けるなら、御教えしても良いですよ」
伯父様は魔王だから紹介してくれる方もそれなりの方のはず、後はその人を籠絡なり脅迫なりしてエネルゲイヤに便宜を図らせれば良いしまあそこは母様達の仕事だから私はその方との蜜月を楽しめば良いし。

「交換条件という訳だ、しかし良い人と言っても君はエネルゲイヤの生まれだから、素性を教えずに紹介する事は出来ないし」
「その方と会わせて頂けるだけで結構です、きっとその方は私に会って頂ければ気にいっていただけると思うので」
私の器量に淫魔のチャームがあれば落とせない男なんて居ないし、力ずくで来るなら私の牙と爪で引き裂けば良いし。

「随分と自信が有るんだね、まだ相手すら決めていないのに」
「どの様な方でも問題ありませんから、御子息のようなお子様でも御歳をめした方でも問題ありませんからなんなら伯父様、貴方の愛人にでも」
そう言いかけた瞬間猛烈な殺気を感じ口を閉じた。ふと見ると殺気を出しているメイドが私と伯父様を睨んでいた。

「伯母様に殺されそうなので、それは辞めときましょうか」
「そうだね」
私と伯父様は互いに顔を合わせながら頷き合う。

「私が此処に来た目的は今代の赤龍帝ですよ」
「リアスの眷属の彼か」
「はい、出来れば籠絡してきて欲しいとお母様から頼まれました」
「できれば彼には手を出して欲しくないのだけれども」
「ヘッドハンティングやスカウトは自由でしょ、私には辞めろと言うのに他の上級悪魔には言わないんですか?」
私がそう言うと伯父様は痛い所を突かれたなというような顔をする。

「ですから御紹介の件宜しくお願いしますね、伯父様」
これは脅し、此方の要望を聞かないなら赤龍帝を籠絡して引き抜く。リアス・グレモリーと赤龍帝が良い仲なのは調べがついているその仲を引き裂くと言う脅し、それでリアス・グレモリー眷属がバラバラになろうが知った事じゃ無い、お母様を助けなかった癖に妹は守ろうとするそんな魔王の言動に怒りを覚えるから、だから少し駄々をこねて困らせる、私のささやかな復讐。

「それでは私は次の授業がありますので、それでは」
私はそう言ってその場を後にする。
後日とある貴族悪魔を紹介された、私を目にしてすぐに鼻の下を伸ばし始めた。
フフフ、いらっしゃい良い夢を見せてあげる覚める事の無い夢を。
その日からとある貴族悪魔がエネルゲイヤに便宜を図り始めた。
 
 

 
後書き
原作で淫魔の設定が必要だったのか疑問視されるキャラのフェルさんの登場!!
本当はフェンリルと言いますが本物が出て来てしまうので名前を変更しました、物語中の貴族の誑し込みというのは原作でも出てきたネタで肌を重ねた貴族達の性癖などを記録した書物があり、それが原因となり戦争が起きるとされ禁書の扱いを受けるなどの話を元にしました。
今回もお読み頂いて有難う御座いました。 
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