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孤独の水の支配者

作者:Naho
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花咲学園
不思議な都市
  ―隠される力 6―

三日後 学校


昼ご飯を早めに食べ終えたグランディーネが日直で先に教室へ戻ると


あたしも雪斗に別れを告げて残りの昼休みを有意義に使おうと思い、図書館に向かっている途中だった


萌依「(明日はあたしが日直か・・・)」


席の隣に座っている男子のことを頭に思い浮かべると


その人に明日の仕事内容を聞くより、グランディーネに聞いた方がいいなって思った


・・・あの人、目線が凄く鋭くてバカにされてる感じがするし


多分あたしだけだと思うけどね


萌依「んで、どこだ」


さっきもここ通った気がするんだけど、さすがにこの学園デカいでしょ?


御門先生からはまだ学校の地図とやらも貰ってないし・・・


しかもまずはここが何処だか分からないし


萌依「う~ん・・・どうしよう」


あたしがそう呟いた時だった。


――『さあ、今度こそ…復讐の時だ』


囁くような声が四方八方から聞こえ、あたしの中には嫌な予感しかしなかった


萌依『グランディーネ!!グランディーネ!!!』


グラン『何よ?!』


階段を急いで上がりながらテレパシーでグランディーネの居場所を掴むと


頭の中から物凄く不機嫌な声が返って来た


萌依『今すぐ雪斗の元に向かって!!』


グラン『はぁ!?』


萌依『アルクスが襲撃してくる』


グラン『! 分かったわよ!!』


萌依『絶対に守って!!』


グラン『分かった!!』


椅子から立ち上がって走る音も聞こえると


とにかく人がいなさそうな場所へ向かった


萌依「もうここどこなの!!」


――『〝アーク様〟はどこだ』


――『この結界は〝アーク様〟にしか壊せない…』


萌依「・・・アーク?」


・・・もしかしてだけど・・・日記に書いてあった


〝ラルド〟ってやつ・・・?


萌依「最悪」


あたしがそう呟いた時、


すぐ近くでガラスを割ったような音が聞こえると


北の方から物凄い突風が校舎内を襲う


「「「「きゃぁぁああああああああ!!!!!!!」」」」


一瞬で通り過ぎた突風の後を追うように


今度は窓ガラスや水道のパイプが破壊した


――『結界は破れた。能力者どもを捜せ』


――『『はっ!』』


アリゼウスが学園の中に入った・・・。


何処から入ったかは分からないけど


さっきの突風が吹いてきた方角からすると恐らく・・・北側だと思う


北っていったら・・・体育館がある・・・!


――『能力者ども・・・何処にいる!オレ様と同じ時空間の能力者を捜し出せ!』


――『逃がさんぞ・・・』


女子1「水が・・・!」


萌依「!?」


先生1「逃げなさい!!!」


さっきの突風で水道の水が溢れて床に溢れ始めた


遠くにいた男の先生が廊下にいた生徒たちを何処かに避難し始めた


先生1「君も早く来なさい!!!」


萌依「っ・・・」


遠くにいる先生が手を大きく伸ばして必死に他の生徒も助けようとしていた


――けど


走っていたはずの生徒も、避難を呼びかけていたはずの先生も、床に溢れていた水も・・・時間が止まったかのように全て止まった


割れた窓ガラスから見えたグランドにいる生徒たちも全員、停止していた


萌依「やっぱりこの学園には・・・能力者がいる!」


グラン『萌依!!――あんたの言う通りだった!アルクスが学園内に侵入してきた!!』


萌依『雪斗は無事!?』


近くの教室に入って相手に見つからないようにグランドの方を見た時、


門の近くに有り得ないはずの事が起きていた


宙に出来た大きな穴からアルクスたちがゾロゾロ入ってきた


グラン『ええ、大丈夫よ。・・・命に別状はないんだけど・・・』


何なのあの裂け目、まるで鏡を割ったような・・・


・・・本当に何なのあの裂け目のような壊れ目のような・・・


グラン『その・・・姿、見られた』


萌依『は?・・・何?どういう事?」


グラン『だから・・・雪斗が言うにはもしかしたら〝10人の子供たちの一人〟ってやつに・・・姿を見られた』


一瞬だけ頭の中が真っ白になったかと思うと重い溜息をついた


グラン『それで今、そいつと雪斗の三人で隠れてる』


萌依『いい?自分の正体は絶対に明かさないで。何が何でも隠し通して。』


グラン『私も今頑張ってるの!!さっきからアルクスに狙われてるのよ!!』


萌依『はあ!?何で!?』


グラン『あんたはペンダントを付けてるから能力者だと感知されずに済むけど!!

この人は感知されてるの!だからアルクスが後を追って来るの!!』


萌依「・・・もう、バカ」


頼むやつを間違えたかも


・・・そんな事言ったって信用できるのはグランディーネと雪斗ぐらいで他に頼れる人がいないけどさ


グランディーネじゃなくて自分で行けば良かったわ


萌依「そうも行かないか」


ボソっと呟くと教室の外からゆっくり、ゆっくりと歩く〝影〟を見つけた


最初は人かと思ったけど影からして大きな体格の頭が右へ左へ、と動く


まるで獲物は絶対に逃さない・・・とでも言いたげな感じだった


グラン『萌依・・・?』


萌依『しばらくはテレパシー使えないかも』


グラン『えっ?!大丈夫なの!?』


萌依『もしかしたら・・・一戦やるかもしれない』


グラン『!・・・気をつけて』


萌依『どうも』


グランディーネの声が聞こえなくなると溜息をついた


新しい場所に来てもアリゼウスが攻めてくるとはね・・・。


今までに感じたことの無い〝気〟かもしれない・・・


あ、確かこれよりも嫌な〝気〟を感じた事あったんだっけか


・・・あいつの〝気〟は最悪だったけど、こいつの〝気〟もそれなりに最悪かもね・・・。


?「ここから・・・変な匂いがするぞ」


冷たい壁にピタっと背中をくっつけた


あたしが隠れてる教室のドアの前で大きな影がピタっと止まると


左手を上に上げ、教室のドアを破壊した


?「やはりな・・・オレ様の鼻はどうやら当たっていたようだ」


煙の中から姿を現したのはピエロのような姿をしたアルクスだった


あたしを見ると目を細め、嬉しそうに笑う


?「お前は見た事のない顔だなぁ」


萌依「・・・はあ」


大きく息を吐きながら立ち上がるとまだまだ新しい制服についた埃を払った


萌依「派手に壊す必要あった?」


?「フフフ・・・」


さっきと同じように目を細めたかと思うと、腕を組んだ


絶対的頭脳を誇るお父さんが作ってくれたペンダントがある限り、


・・・テレパシーは効かない


?「何・・・?どういう事だ?心が・・・読み取れない」


萌依「でしょうね」


?「これは初めてだな・・・いや・・・、お前で二人目か」


自分の顎に手を当てたピエロが自問自答をする


?「だが何故だ?貴様から〝能力者の気〟を感じない。

時空間の能力者が時を止めたはずなのに、何故貴様は平然としていられる?」


萌依「あんたが知らなくてもいいような深い話よ」


?「成る程・・・。是非とも教えて貰いたいものだ」


ピエロが自分の胸の前で手を回すと、


その手の中から赤紫色の輪のような物の中から小さい何かがあたしに向かって飛んでくる


?「喰らえ」


妖しく笑ったピエロがそう言った時、


さっきまでは小さかったはずの石ころのような物が輪を超えると


まるで時間を何年も早めたかのように石ころが隕石に変わった 
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