IS-本当の強さとは……
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六話
前書き
自分は打たれ弱いんですよね。藪から棒ですみません。強度で言えば特性のないヌケニンほど、または白兵戦だけのキャス狐さん位でしょう。
今日は学年トーナメントか……。さて眼帯少女よ、お手並み拝見といこう。
※ ※ ※
驚くことに今回の相手は一夏少年と男装少女のようだ。奇しくも眼帯少女の因縁の相手になった。
「眼帯少女よ。準備は大丈夫か?」
「心配される筋合いはない。それと何だその呼び方は?私の名前はラウラだ」
「宜しく頼もう。俺はホムラだ」
俺は肩に担いでいたハルバートの布をとった。ハルバートには普段漆黒である表面に魔力に反応して、赤黒い刻印が浮かび上がっていた。それはさながら心臓の鼓動のようであった。
「何だそれは?」
「気にするな。どうせ説明してもわからんよ」
さて、準備は整った。
※ ※ ※
「一戦目で当たるとはな。待つ手間が省けたと言うものだ」
「そりゃあなによりだ。こっちも同じ気持ちだぜ」
「………………」
とりあえず傍観しとくか。ラウラは恐らく二人とも相手にする気なのだろう。
「「叩きのめす」」
さて、俺のシールドエネルギーは……10か。確かにこれは意味のない疑似エネルギーだがこれは酷いだろう。
「開幕直後の先制攻撃か。わかりやすいな」
いきなり捕まったか。もっと精進するべきだな一夏少年。
「そりゃどうも。以心伝心で何よりだ」
ラウラはここで射撃武器か……。俺ならインファント位しか選択肢がないな。魔法もできるが近接の方が得意だしな。今後のため改善をしておこう。
「僕を忘れないで!」
おっ、男装少女は強いな。とするとこの中で最も地力が低いのは一夏少年か。
「くっ」
流石に二人を相手するのはきつそうだな。
「俺も参加したほうがよいか?」
「くっ…………」
黙秘は肯定と見なす。
「さて………………行くとしよう」
翼を展開してアリーナ天井付近まで飛翔する。そして、そこから氷の槍を降らす。以前使用した永遠の氷槍舞ににているがこちらは数が少ない。
ところでISには絶対防御が付いている。普通なら氷などダメージにはならない。しかし、この氷の槍は魔力を帯びていた。結果その槍は一撃で多くのシールドエネルギーを削っていくことになった。
○ラウラ視点
くっ、なんだこの槍は……。シールドエネルギーが保たない。AICでも抑えきれない。どうすれば…………っ。ホムラっ、ペテン師と思っていたがこの強さ……。だが認めない!!認める訳にはいかないのだ。力を寄越せ。私には強さが必要だ。比類なき絶対の力が。
damage level D
mind condition uplife
certification clear
《valkyrie trace system》 boot
○ホムラ視点
とりあえず一夏少年と男装少女は倒れたか。俺が魔法を解除しようとした瞬間、強烈な違和感を覚えた。
「これは……なんだ?」
「ああああああっ!!!!」
まずいな……。ラウラの意識を感じられない。恐らくは気絶しているだろう。俺は魔法を解除して、翼による微調整でラウラの機体から発せられる雷を避ける。
そして、雷の雨が止んでそこにいたのは黒い物体だった。俺の鱗のような漆黒ではなく、濁った黒。目の部分からもれる赤い光。そして、心臓のように鼓動する黒い塊。
「……まったく、手間のかかる後輩だ」
これでも多少長生きした身。後輩の道を正すことぐらいはしよう。
「あいつは千冬姉の、千冬姉だけのものなんだ!それを……くそっ!」
さて、ラウラを助ける前にこいつを黙らすか。
「黙れ一夏。力無き者が騒ぐな。お前には荷が重すぎる」
「でもっ、あれは」
「黙れと言った。力無き思いは叩き潰される。大切なものを守るなら強くあれ。それが出来なければ言う資格はない」
久しぶりに語ってしまったか。昔の俺ににているからか?
「……わかった」
しかし、一夏少年には俺のようになってほしくないな。思いを通すには力がいる。だが過度な力は不幸を呼び寄せる。
そんなことを考えつつも俺はラウラに向かって羽ばたく。
一瞬で接近して白兵戦を挑む。普段近接戦では魔法も併用するが今回は完全なるハルバートによる技。
捻るように大きく引いたハルバートを回転させつつ突き出す。唸るように風を纏うそれはIS装甲を木材のように砕く。そして、俺は中からラウラを抱き上げた。
○ラウラ視点
私には強さが必要なのだ。
なぜ力を欲する。
強くなければ価値はない。
そんなことはない。しかし強さは大切だ。
そうだろう!
だが、価値がないものなどない。
なぜだ。ならなぜお前は強さを求めた。
大切なものを守るため。
わからない……。私はどうすればいいのだ。
ゆっくり探せばいい。見つかるまで俺もついていてやろう。幸いにも俺には時間が有り余っている。
私はそう言った彼の優しくもどこか悲しい微笑みを見て思った。
「私は……私だけはなにがあってもホムラと一緒にいる!」
そう………………私は彼のことを好きになっていた。
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