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幸せの箱探し

作者:紅雨
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2章 【出会い】

 僕は今日の仕事を終え、早々と会社を出た。そして真っ直ぐに駅へと向かった。

 「この時間帯はあまり人が乗っていないはずだ…」

 僕は駅に着いた。案の定、駅にはほとんど人がいない。

 「ふぅ、良かった。」

 僕は思わず安堵し、そう呟いた。それにしても何故わざわざ人が少ない時間帯を選んでいるのだ。

 そう思う者もいるだろう。でも、答えは単純だ。ただ単に、僕は正直、人が多いところはあまり

 好きじゃない。ただそれだけなのだ。

 すると、駅に電車が着き、僕はそれに乗り込んだ。 

 「あれ?」

 中には人が多かった。といっても座席が埋まっていただけだが。

 「おかしいなぁ……」 

 いつもより混んでいる。そして呟いたと同時に、今日の朝と同じ妙な違和感を感じた。

 僕はどこか座れる場所がないか探した。そして、空いている席を見つけた。だが、

 一人座れるスペースはあるが、隣には先に座っていた女性がいた。なので、

 「隣、座らせてもらってもいいですか?」

 僕が聞くと、

 「どうぞ。」

 と、女性は言った。

 僕は改めて女性を見ると、おかしなところに気が付いた。肌は青白く、顔色がかなり悪い。

 そして、何故か何か(・・)を抱えていた。それは『箱』だった。段ボールの『箱』だ。

 僕はそれを見てあの事(・・・)を思い出した。まさかその箱は……

 「あの、それってまさか『幸せの箱』ですか?」

 僕は思わず口にしていた。女性は驚いた表情を見せ、

 「知ってるんですか?」

 と、言った。どうやら中野の言ってたことは本当だったようだ。

 でも、まさかあっさりと見つけてしまうなんて……

 「この箱、開けてください。どうぞ。」

 例だと思われる女性がそう言った。勿論ぼくは遠慮なくその箱を受け取り…そして……―――――

               開けてしまった―――――

 次の瞬間、僕の体は浮き、箱の中に吸い込まれていった。

 そして僕は箱に吸い込まれる時、一瞬、女性が不気味に笑っていたのを見た――――― 
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