孤独の水の支配者
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花咲学園
不思議な都市
―隠される力 3―
時は流れ昼。
グラン「――でさ!?萌依ってば本当酷かったんだよ!!」
さっそく朝の事を雪斗に愚痴り始めたグランディーネを無視して、
この学園では結構美味しいらしい日替わりランチを食べていた
しかも300円ってほんと、そこは安いと思う
今日の日替わりランチがカレーだったら尚更嬉しかったんだけどなあ
・・・そうも行かないか。
雪斗「ははは・・・(汗)
でもさ?グランも姉ちゃんも一緒にいる人がいていい方じゃん」
グラン「ま、まあ・・・そうね」
雪斗「一人でいるよりかはマシだろ?」
萌依「友達出来なかったって訳か」
雪斗「うっせェ!!一人もって訳じゃなかったし!!」
萌依「へーえ」
グラン「えっどういう子?」
どうでもいいと思うあたしと違ってグランディーネがお箸を机の上に叩きつけて言うと、
眉間に皺を寄せた雪斗が腕を組んで言った
雪斗「何かさ~いい人なのは認めるけどそいつ、自分が思うように上手く行かないとキレるっていうか・・・
今日これ貰ったんだけどよ、どうすればいいと思う?」
制服の胸ポケットから綺麗にたたまれた物を机の上に出した雪斗が、
袋からあたしたちに見えるようにチケットのような物を出すと二人して見た
萌・グ「海の上で旅行?」
雪斗「そう」
萌依「何でこのチケットを?」
グラン「しかもタダだって!」
・・・こんなのよく出来た話だよ
そいつがアリゼウスの手下じゃなければあたしももしかしたら行かせてたかもしれないけど
雪斗「そいつの親が旅行会社のお偉いさんらしく、チケットが有り余ってるから是非行ってくれって言うんだけどよぉ~
俺が行かないって言っても無理矢理行かせようとするんだよ」
グラン「行ってみるべきよ!」
萌依「駄目」
グラン「えぇ!?」
萌依「行かせて帰らぬ人にでもなったらどうする訳?」
グラン「私たちも一緒に行けばいいじゃん!」
萌・雪「は?」
グラン「だって船の上とかすっごく楽しそうじゃない!?
これは行ってみるべきよ!相手が誰であれ、少しは気分転換でも出来るじゃん!
てことで決まりね!文句なーし!」
・・・あたしと雪斗の二人して溜息をつくとご飯に目を戻した
何か今更になって・・・どうしてグランディーネを人間の姿にしたのか本当不思議に思えてきた
グラン「それに今から二週間後だって!!」
萌依「人数制限とかあるんじゃないの?」
グラン「うーん・・・それが三人みたい」
・・・この船の上での旅行だか何だか、
本当によく出来た話だわ
********
雪斗「んじゃあ、後でな~」
グラン「はーい」
お昼も食べ終え、あたしとグランディーネは階段を上がってそのままB組に向かっていた
萌依「にしても・・・出来すぎた話」
グラン「船の上の旅、だっけ?」
萌依「親が旅行会社のお偉いさんとかよく出来た話ね」
グラン「けど・・・その子の親がいるっていう旅行会社、相当有名じゃない。
一週間、二週間作ったばかりの会社じゃないから…〝アイツら〟は関わってないんじゃない?」
萌依「・・・そう思うかもしれないけど、〝操る〟事が出来る奴らは別なんじゃない?」
あたしよりも一歩、また一歩と遅く歩くグランディーネより先に階段を上がって腕を組みながら言うと、
グラン「ああ・・・なるほど!」
右手をグーにして左手を横に真っ直ぐピンと伸ばしたグランディーネが軽く右手を下ろして頷く
・・・何でそんな事まで思いつかなかったの、あんたは(呆)
いくら有名な会社だとしてもアリゼウスならそれぐらいの手を使ってくるに決まってんじゃん
・・・あたし達の正体がバレてなかったら、の話だけどね。
グラン「で、どうするの?その旅行に行くの?」
萌依「さあね。どうせあたしは行かないけどね」
グラン「え~もったいなーい!行こうよー」
萌依「雪斗と仲良く一緒に行きな」
グラン「それは駄目~萌依がいないとつまんないでしょー」
・・・あたしはいつもほぼ無言なのに
何があたしがいないとつまんないだ・・・(呆)
どうせ何かあった時、あたしの力は必要だからーとかそんな理由に決まってる
・・・それにお祖母ちゃんがまだ14歳の雪斗とグランディーネの二人だけで旅行へ行かせる訳ない
あたしと同じで何かと勘が鋭いし、ね・・・。
グラン「?お~い、萌依ー?」
萌依「・・・あたしそういう面倒事に巻き込まれるのは嫌」
グラン「大丈夫。私と雪斗がついてる。」
萌依「・・・」
グラン「それに・・・あんたが雪斗を〝一人〟で行かせる訳はないと思うけどね」
後ろで手を組んだグランディーネがニコっと人をバカにしたような笑みを浮かべる
萌依「・・・あたし今、それよりもちょっとやりたい事があるの」
グラン「何?」
萌依「〝詮索〟」
・・・あたしがそう言うと、隣を歩くグランディーネが眉間に皺を寄せた
******
*自分の部屋*
ようやく学校も終わって早く家へ帰って来ると
あたしはそのまま自分の部屋に向かってパソコンと向き合った
・・・で、どうしてかは分からないけど
雪斗があたしのベッドで寝転がって漫画を読んでるんだよね。
正直言ってうざいけど今はそんな事をしてる暇はない・・・
萌依「・・・違う・・・違う・・・これでもない・・・これじゃない・・・」
雪斗「さっきから何ぶつぶつ言ってんの?」
萌依「こっちの話」
雪斗「そー」
・・・何で花咲学園に関係するような物がないの?
誰も花咲学園の良さとか評判とか知りたくないんだけど!
萌依「これ書いてる人の頭の中は本当ゴミだな」
グラン「汚い言葉は使わないの」
萌依「見てるだけでイライラしてくる」
雪斗「ていうか何調べてんの?」
萌依「あの学校について」
雪斗「はあ?あの学校って・・・俺らが今日行った花咲学園?」
萌依「そう。かなり不審に思う事が幾つかあったから今調べてるの!」
グラン「何て?」
萌依「花咲学園 門、って」
椅子をクルっと回しながら雪斗とグランディーネを見ると、
ふたりは顔を見合わせたかと思うと雪斗が近くに置いてあった学校のパンフレットを手に持った
雪斗「それなら『花咲学園中等部 門』って調べてみたら?」
萌依「どうせ何も変わんないけどね」
身体をパソコンに向けて雪斗が言ったように打つとさっきとは違うものがズラっーと出てきた
萌依「・・・出てきた」
雪斗「だろw」
一番上にあったやつをクリックすると
あの学園の裏サイト、みたいなやつが出てくると真っ黒な背景は気にせずに書かれている文を読み始めた
『花咲学園って何か不気味ー』
『よく学校の前通るけど見た目は凄く綺麗だって思う』
『ていうか花咲学園ってあれなんでしょ?呪われた学校説ってまじ?』
萌依「・・・呪われた学校説?」
呪われたってどういうこと?
あたしたちまさかお祖母ちゃんに騙された?
『まじまじ!何か花咲学園の近くで不可思議な現象が起きてるんだよー』
『不可思議な現象?もっとkwsk』
『俺が高二の時だったんだけど、そん時の天気予報は連日の快晴だったんだよ!
なのに行き成りの大嵐だったり、物凄い突風だったり、大雨だったり、その地域では有り得ないはずの寒さに襲われたりって・・・』
『え~?wどうせ冬の時期の話でしょ?』
『それが9月の話なんだぜ!そんな昔の事じゃないからニュースとかで大騒ぎになったんじゃね?』
『え、花咲学園って○○都市のですか?』
『そそ!』
『そんなの初めて知りました!』
『俺も俺も』
『私も~』
『さっきググってみたけどなーんも見つからなかった』
『本当は嘘だったりして』
『な訳ねーだろ!そん時三週間休みになったぐらい本当にヤバかったんだぞ!』
・・・季節外れの訪れってのも凄く変な話
自然災害が一つの地域で派手に暴落したってのに・・・花咲学園付近に住んでる人しか知らないのも不思議な話。
『あ、私知ってます!当時初等部に所属してましたがその時の光景は鮮明に覚えてます・・・』
『ほらな?嘘じゃないだろ』
『でも変じゃない?何で花咲学園の近くに住んでる人しか知らないの?』
『アリゼウスに伝わってないとか?』
『市民を守る組織が何やってるんだか・・・』
『隠蔽ってやつですか?(笑)』
萌依「・・・バカバカしいにも程がある」
雪斗「でもこれがマジだったら・・・ヤバくない?」
グラン「面白そうね」
・・・あたしも人間じゃなくて聖獣とか、そこら辺の生き物になりたかったわ
けど・・・アリゼウスがこれを隠蔽したとすると・・・何か変。
あの学園には何が隠されてるの?
雪斗「あ、姉ちゃん。下やって」
萌依「え、何で?」
雪斗「いいから」
意味が分からないまま下へマウスを動かすと、
あたしも雪斗も固まった
『私・・・見ちゃったんです。
花咲学園で・・・変な儀式みたいなのをしてるとこ・・・』
雪斗「なんだよ・・・これ」
〝みいにゃ〟と書かれた人が添付したURLをクリックすると
花咲学園のグランド全面に描かれた魔法陣のような物が紫色に輝いていた
・・・これ、アリゼウスの仕業に違いない
『何これ?!』
『私もよくは分からないんですけど・・・。
確かその日、私貧血で倒れちゃって保健室で寝ていたんです。
時間もすっかり忘れるぐらいずっと寝てて・・・でも紫色の光で目が覚めたんです。
保健室の窓からそっと顔を出してその光を見た時、黒い服を着た人たちが何かを唱えてて・・・』
これって明らかに・・・何かを召喚するとこだよね・・・?
待ってでも・・・どういう事?
だってあの学園にはあたしとグランディーネでさえも結界が貼られているのに気付いた
・・・あの硬度の結界は一年や二年じゃあそこまで頑固な硬さになるわけない
とすると絶対に四年以上はかかったはず。
けどこのメッセージは今からちょうど・・・四年前のやつ
どういう事・・・?意味分からない・・・。
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