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つまらないもの

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第二章


第二章

 彼はだ。いきなりこんなことを言うのだった。
「君はどんな音楽が好きかな」
「音楽?」
「うん。バンドは何が好きかな」
「バンドっていうか」
 彼は管にこう言われてだ。彼のその趣味を話した。
「グループだけれど」
「アイドルかい?」
「うん、モーニング娘。ね」
 それだと話すのだった。
「それだけれど」
「駄目だね」
 いきなりだ。彼は駄目出しをしたのだった。
「アイドルなんか聴いてるって。子供だよ」
「子供だっていうのかい?」
「そうだよ。子供だよ」
 こうだ。上から目線で話すのだった。
「アイドルなんて聴くなんて子供だよ」
「じゃあどんな音楽がいいのかな」
「デスメタルとかそんなのだよ」
 それだというのだ。
「大体モーニング娘。なんて古いじゃないか」
「古いかな」
「そうさ。よかったらね」
 彼は上から目線のまま連に話していく。
「CD貸してあげるよ。僕の家に来る?」
「君の家に?」
「そう。来るかな」
 こう話してだ。連を自分の家に誘うのだった。
 そして連もその誘いに乗ってだった。それで彼の家に行くとだ。
 かなりの家だった。広い庭に屋敷と言ってもいい家がそこにある。門も立派でだ。車庫も大きい。連の家とは比べ物にならない。
 その家を見てだ。連はだ。
 呆然としてだ。こう管に尋ねるのだった。
「君の家だよね」
「今の俺の家だよ」
 こうだ。彼は自慢げに話すのだった。
「そうだよ。俺の家だよ」
「そうなんだ。君の家なんだ」
「俺の母さんがここの家の人でね」
「ここの家って」
「知らない?政治家の仙石逸郎」
 その名前を聞いてだ。連もわかった。この家が誰の家なのか。
 それを把握したうえでだ。彼は管に対して言った。
「あの国会議員の。主民党の幹事長の」
「そうなんだ。その仙石ってのはね」
「君の親戚なんだ」
「お爺ちゃんだよ」
 そうだというのだ。やはり自慢げにだ。
「俺のお爺ちゃんなんだ」
「そうだったんだ」
「うん。それで警察官僚の親父と結婚してね」
「そういう関係だったんだ」
「わかってくれたかな。それじゃあ中に入ろうか」
「う、うん」
「親父とお袋は今は和歌山市のマンションに住んでて家にいるのはお手伝いさん達と俺でさ」
 こう聞くとだ。連はまた問わずにはいられなかった。
「お爺さんは?」
「いつも東京だよ。政治家だからね」
「それでなんだ」
「ははは、好き勝手やってるから」
 管は笑ってだ。連に話した。
「お小遣いもたっぷり貰ってるしね」
「お金には困ってないんだ」
「そうだよ。それじゃとにかくね」
 家の中に入るというのだった。こうしてだった。
 連は管の家の中に入った。そうしてリビングに案内された。
 そのリビングもだ。広く赤く豪奢なソファーがありだ。薄い巨大なテレビがある。当然DVDも備わっており見事なクーラーもある。
 そうした部屋の中を見てだ。自分の家とは全く違う別世界のものを感じた連だった。管はその彼に対して得意げに話してきたのだった。
「まあ座るといいよ」
「あっ、それじゃあ」
「それで音楽だよね」
 話をだ。本題に変えてきた。
 
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