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【完結】剣製の魔法少女戦記

作者:炎の剣製
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第五章 StrikerS編
  第百六十一話  『決戦(5) スバルの想い、ティアナの強さ』

 
前書き
更新します。

GW(自分としての感覚で)二日目の連続更新です。
一気に書いていきますよー。貴重な休みですから。

今回は題名通りスターズ二人の戦いです。

ではどうぞー。 

 





地上で戦闘機人と戦闘を繰り広げているフォワード部隊。
センターガードのティアナ・ランスターはウェンディとディードの二人の戦闘機人と戦闘をしていた。
一緒に戦っていたスバルとは離れてしまい、一度は廃ビルの中まで追い込まれてしまっていたティアナだったが、

(自らビルに入ったのは罠だなんて、気づくかしらね…?)

ティアナはわずかに笑みを浮かべて今現在、フェイクシルエットと戦っている二人を視界に入れながら思考をクリアにしていた。

「(シホさんから教えてもらった戦い方…。自分の優位になるように敵を誘導する。
言葉にするだけなら簡単だけど、そううまく敵も罠に乗ってくるとは限らない。
だから、追い込まれている風に装い、一撃で沈めるチャンスを待つ…!)」

そう、いつも頭の中で思う言葉はただ一つ。

『イメージするのは最強の自分。外敵なんて必要ない。ただ常に戦う相手とは自分自身のイメージに他ならない』というシホの言葉。
それを胸に秘めていつ敵が向かってきても冷静に対処できるように心を落ち着かせる。
ただでさえ手札には限りがある私には戦略を組む方法しかないんだから。
そう、思うがすぐに思い直す。

「(そうよね…。ない物強請りは駄目。卑屈になってはいけない。あたしはあたしなんだ。誰でもないあたし自身なんだ。だからあたしでやれる全力を相手にぶつける…!)」

そう、もうほぼ準備は完了していた。
後はいつこちらの罠にはまるかを待つのみ。
時間稼ぎをしてもいい。
でも、今は倒して捕縛する事も先決であるからだ。
そして、ついにウェンディとディードはティアナの放ったシルエットを全部破壊してティアナの位置を特定したらしく迫ってきていた。

「(来る…!)」

それでティアナは片方のクロスミラージュをダガーモードにしてもう片方を“()()()()”にセットした。
カートリッジも装填してある為にいつでも準備はオッケイである。
そして二人は現れた。
ウェンディはライディングボードに乗って、ディードはツインブレイズの双剣を構えながら飛行してティアナのところにまでやってきた。
まずは先制とばかりにディードがティアナに突撃を仕掛ける。

「はぁっ!」
「ハッ!」

ティアナのダガーモードとディードのツインブレイズが衝突する。
だがしかし双剣に対して片方だけのダガーだけで受け止めるには少々力不足である。
だけどティアナはそれを受け止めた。
ディードは受け止められるとは思っていなかったらしくその表情が少しだが驚きに彩られる。

「どうしたの…? あなたの自慢の双剣なんでしょ? もっと力を入れたらどう?」
「舐めないでください!」

それでディードは少しばかり頭に血が上ったのか何度もティアナにツインブレイズを叩きつけていく。
だがティアナはそれを片方だけだというのに、受け止め、いなし、防ぐことを繰り返して、後一歩を踏み込ませない。

「なんで、なんで…! 私のツインブレイズはあなたなど簡単に倒せるはずです!」
「お生憎ね。あたしはあなた以上の双剣使いに修行を今までずっとうけて来たのよ? こんな遅い連撃、受け止めきれないなら弟子失格だわ!」
「くっ!」

表情に乏しいディードが少し悔しそうな表情をする。
それだけ自信をなくさせるほどにティアナはディードの攻撃を受けきっていたのだ。

「ディード! 熱くなるなッス!」

後方からウェンディのエリアルレイブの砲撃がティアナに発射される。
それを見たティアナは即座に射線上にいるディードの前へと移動する。
普通ならここでディードは退避して、砲撃がティアナに当たるところを今現在頭に血が上っているディードは一瞬の隙を出してしまい離脱に遅れてしまったのだ。

「! いけない!」

すぐにウェンディは砲撃を消そうとするがそれより早く、

「ガッ!?」

右方向からなにかの砲撃が放たれてウェンディに直撃する。

「わぁあああーーー!?」

それで壁に突っ込んだウェンディはそのまま気絶するかのように意識を手放した。
そして、ウェンディの残した砲撃に避けそこなったディードもなんとかツインブレイズを振るい、エリアルレイブを切り裂いた。
切り裂いた後、即座にティアナの方へと振り向いたがそこにはすでにティアナの姿はなかった。

「どこに!?」
「こちらよ!」

なんとティアナはディードの真正面からダガーモードで突撃をしてきたのだ。
一瞬、呆気に取られるディードだが、すぐに思考を取り戻して迎え撃った。

「打ち合いならば負けません…!」

大きく上段からツインブレイズを両方ともティアナに振り下ろした。
だがここでもディードはミスを犯す。
本来なら気づけたはずだったのだ。
ティアナの姿は幻影だったために切り裂いたと思った途端に掻き消えてしまった。

「ッ!?」
「残念…。それはあたしの幻影。本命は―――…!」

ティアナの声はこの場からではなく少し離れた場所から響いてきた。
それでディードは声が聞こえてきた方に向くとそこには砲身が伸びて巨大化したクロスミラージュ、サードモード…『クロスミラージュ・ブレイズ』を構えてすでに射撃体勢に入っていた。
そして、

「う、あぁぁぁぁ!!」

ディードは諦めずにティアナに突っ込むがもうチャージは完了していた。

「一撃必中! ファントムブレイザー!!」

オレンジ色の砲撃魔法がディードに向かって放たれて、ディードは、

「ッッッッ!!」

その砲撃についに飲み込まれてしまった。
後に残ったのは目を見開きながら気絶しているディードの姿であった。

「やったわね…」

それでティアナは一息をつく。
それで二人を捕縛するために歩を進めようとしたその時だった。

「―――驚いた。まさかウェンディ姉様にディードまでやられるなんて…」
「ッ!?」
「でも、僕の存在を忘れていたのは致命的だったね。幻影使い…。IS・レイストーム」

そこに天井を突き破ってオットーがティアナに向かって風の一陣・レイストームを放った。
それに晒されてティアナは大きく吹き飛ばされる。

「きゃあああっ!」

そして壁に激突して頭から血を流していた。

「うっ…」

ズルズルとティアナは壁からずり落ちてその場で膝をつく。
そして目の前にオットーが下りてきて、またその手にレイストームを放とうとISを発動しようとする。

「よく頑張ったね。でもここで終わりだよ…」
「それは、どうかしらね…?」

窮地に追い込まれているはずなのにティアナは不敵な笑みをオットーに向ける。

「この状況でなぜ笑える…? もう手はないはずだ」
「それはあんたの勝手な思い込みでしょ? 策士はね、いくつもの策を仕込んでいるもんよ」

なお笑みを崩さずティアナは指を一本立てた。
それでなにかの魔法動作だと思ったオットーはさっさと倒してしまおうとしたその時だった。
『ドゥンッ!』という砲撃音とともになにかの反応がオットー目掛けて向かってくる。

「ッ!? 反応がでかい! これは…!」

オットーが振り向いた先にはオレンジ色の巨大な砲撃が迫ってきていた。

「! レイストーム!!」

オレンジ色の砲撃とレイストームが衝突する。
そしてなんとか相殺できたことを確認したが、それでティアナに向ける注意をなくしていたことに気づいたオットーは振り返るがもう顔の目の前にはクロスミラージュの砲身が掲げられていた。

「チェックメイト、ね…」

ダンッ!

ティアナの放った弾はオットーの胸に見事直撃した。
さらにまだ終わらないとばかりに、放電音がしだしてオットーの体を電流が流れ出す。

「うぁあああああーーー!?」
「あたしのスタン弾の威力はどう? ま、時期に気を失うから関係ないけどね」
「この、オレンジ色の悪魔め…うっ」

それで電流による感電でオットーはついに意識を手放すのだった。

「嫌な捨て台詞を残して気絶するんじゃないわよ。ったく…」

そうティアナは愚痴るが今度こそ勝ちを拾えたと確信してその場にへたり込む。

「でも、遠隔操作でブレイズモードが起動してくれるのは助かったわね。さしずめセッティングしておいてよかったわ」

そう、今回の決め手はブレイズモード…ではなく、物陰に隠しておいたもう一丁のクロスミラージュだったのだ。
すずかの魔改造でクロスミラージュは担い手の手から離れても自分の意思で事前にカートリッジロードしておけば砲撃を放てるように予備魔力が内蔵されていたのだ。
これで一回ウェンディを撃墜したのであった。
しかしそれだけではオットーは狙い打てなかった。
驚くべきはその設置した射線上に誘導するティアナの手際を褒めるべきだろう。
一直線にしか放てない砲撃を二度も狙って当てるにはかなりの計算と誘導が必要になってくるのだから。
…まぁ、そんなことなど知るよしもない戦闘機人三人は慢心はしていなかったのだろうがティアナの手の上で踊らされる形で撃墜されてしまったのである。
こうしてティアナ VS ウェンディ・ディード・オットーはティアナの勝利で幕を閉じるのであった。



◆◇―――――――――◇◆



…ティアナが三人を討ち取る少し前にまで遡る。



Side スバル・ナカジマ



「うぉおおおおおーーー!!」
「おりゃぁあああーーー!!」

あたしのリボルバーナックルの拳と、確かノーヴェとか言ったっけ? その子のスパイクのような蹴りによる武装が衝突する。
それでまたしても拮抗してすぐに弾かれてあたしはウィングロードに飛び乗る。
あちらもあたしのウィングロードに似たISを展開して飛び乗る。

「ふんっ! やるじゃねーか!」
「ノーヴェもね!」
「ふんっ…」
「えへへ…」

敵同士だと言うのにあたしとノーヴェはお互いに笑みを浮かべていた。

「ねぇ…?」
「なんだよ?」
「あたし達は同じ戦闘機人だよね」
「あー、そうだな…」
「でも、こんな戦争を起こさなくても生きていけるんだよ? 笑えるんだよ?」
「そんなのは無理だ…。あたし達にはそんな道はねえんだよ!」
「いや、ある! あたしとギン姉はこうして人間として、人として暮らしていけてる! だからノーヴェ、あなたもあたし達と一緒に暮らしていけるんだよ!」
「そんな話…信じられるか!」
「信じて! あたし達はきっと分かり合える! 一緒に笑い合えるんだよ!」
「ッ…!」

それでノーヴェの表情は少し葛藤しているように見える。
あと、少し…。
もう少しでノーヴェは心を開いてくれる!
あたしがそう思ったその時だった。

「あー! もうなんとでもなれ! あたしに言うことを聞かせたきゃあたしに勝つことだな!」

そう、ノーヴェは啖呵を切ってきた。

「…うん。やっぱりあたし達は似ているね。やっぱり最後には拳同士で語り合わないとやっていけない、ティア曰く脳筋って奴だね!」
「なんか知らねぇけどその言葉、無性にムカついた! かかってこいよ! 勝つのはあたしだからな!」
「言ったね? それじゃ、いくよ!!」
「来い!!」

それで再度あたしとノーヴェはロードを作り空を駆ける。
そして何度も拳と蹴りを打ち合わせていく。

…昔は戦いなんて怖かった。
自分も傷つくし相手も傷つけちゃうから…。
でも、戦う事で分かり合えることもあるんだ。
だから、今は分かり合うために本気を出そう!

「だから、いくよ? マッハキャリバー!」
《はい、相棒! 私達の力をあの方に見せ付けてやりましょう!》
「うん! いくよ! ギア・エクセリオン!!」

マッハキャリバーから水色の魔力による翼が生えてきて、さらに加速力をアップさせる。
これなら!

「いっくぞーーー!! リボルバーシュート!!」
「うぉおおおーーー!! リボルバースパイク!!」

あたしとノーヴェのおそらくかなり上位の攻撃が衝突する。
でも、負けない!
ノーヴェに勝って、分かり合うんだ!
あたしの拳はそのためにあるんだ!
破壊のためじゃない! そう、わかりあうために!

「そう! いつでもあたしは全力全開!!」
「ッ!?」

それでノーヴェの攻撃をいなして拳に魔力をためる。

「受けてみて! 一撃必倒! ディバインバスター!!」
「だ、駄目だ! 防ぎきれない!?」

それであたしのディバインバスターがノーヴェの腹に直撃する。

「これで、とどめだぁーーー!!」

さらに魔力をこめて一気に開放する。

「うわぁあああッ!!」

それでノーヴェは地面を何度も跳ねて次第に転がる。
あたしはすぐにそばに駆け寄って、

「…大丈夫?」
「…お、お前がやったことだろ?」
「そうだったね」
「でも、負けたのになんかいい気分だ…。次は、負けねぇからな?」
「うん! いつでも相手になるよ!」
「くっ…」

最後に笑みを浮かべてノーヴェは気絶した。

「これで、任務完了! ティア達を助けにいかなきゃ!」
「スバルー!」

そこにちょうどよくティアの声が聞こえてきた。
ティアはバインドで三人ほど捕らえてこちらに向かってきた。

「嘘!? ティア、三人も倒したの!?」
「ええ、なんとかね。そっちもやったみたいね。スバル!」
「うん!」

あたしは満面な笑みでティアに返す。

「…後は、ギンガさんにレン、エリオにキャロね…。消耗したあたし達じゃ邪魔になりそうだからね」
「確かに…、疲れたね。そうだよね、マッハキャリバー?」
《はい。そうですね、相棒》
「ふふ…」

さっきはあまり気にしていなかったけど、マッハキャリバーに相棒だと認められて嬉しいな。
シホさん達も勝ってなのはさんを救出しているといいな。
そう思ってあたしは空を見上げた。


 
 

 
後書き
ティアナのブレイズモードは今回はクロスミラージュの意思も役立ちましたが本来の使用法は、某GWのツ○ンバ○ターライ○ルのような使い方をします。
二つの砲身から同時に砲撃が放たれるのは怖いですね。二倍ではなく二乗の威力ですから。

スバルは拳での語り合いでノーヴェから勝利を勝ち取りました。




それではご意見・ご感想・誤字脱字報告をお待ちしております。

では。 
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