従兄弟はティーチャー
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
4話
そう言われて振り向くとそこには、ギターケースをしょった男の子が立っていた。
「おお!入学部希望者!入りたい?!入りたいよね!いらっしゃい!」
「いや、入りたいんは山々やけど俺、生徒会に入らんと。兼部はできひん。せやから、幽霊部員って事で話つけにきたんや。」
「そんな!まだ一人も集まってないのに!上げといて落とすなんでなんてヒドイ!」
「なんや、まだ1人も集まってないんかい。なら幽霊部員もあれやな。しゃーない、ちょっと待っといてや。」
そう言って、ギターの男の子は去って行った。と、思ったら何やら紙を手に持ち戻ってきた。
「これ。」
渡されたのは、『綾部 麗人』と書かれた部・同好会申請書だった。
「え?生徒会だからあれなんじゃないの?まさか、生徒会やめてまで…?」
「そんなわけあるかい!会長に頼んできたんや。二つ返事で了承してくれたわ。そんなら、これからよろしくな。」
「こちらこそよろしく。私は、金谷川咲月。綾部君は、一年生だよね?」
「せや、クラスは隣やからなんかあったら連絡してな。」
「いや、本当にありがとう。これで料理同好会作れるよ。申請とか顧問とかはうちが手続きしとくから、決まったら連絡するね。」
「なら、俺は寮にいるさかい寮にかけてや。」
そう言って、綾部君と別れた。
私は綾部君の申請書と自分のを持って、すでに用意してあった書類を持って職員室へ向かった。
「失礼します。一年の金谷川です。佐伯先生いらっしゃいますか?」
「おう、なんか用か?」
「同好会作りたいんだけど、部室と顧問どうすればいいかな?」
「俺はできないぜ。だが、紹介くらいはしてやる。ちょっと待ってな。」
そう言って立ち上がると、奥の方へ言ってまたすぐ帰ってきた。
「こちら、松島先生だ。週に一回しかない家庭科の授業のために学校に来ていらっしゃるこの道30年のベテランの先生だ。」
そう言って連れて来たのは、ヨボヨボのおじいちゃん先生。なんとも、頼りないとしか言いようがない。
「松島先生、はじめまして金谷川咲月です。これからよろしくお願いします。」
「………」
松島先生は、そっと手を差し出すと顧問の欄にサインとハンコをくれた。
「部室は、一階の家庭科室を使いなさい。」
これまたか細い声で、そう告げるとヨボヨボしながら自分の席へ戻って行った。
「佐伯先生、あれ大丈夫なんですか?凄く心配なんですけど…。」
「安心しろ、あれでも昔ここの辺りを収めていた番長だったと噂もある位だ。」
「いや、強さの問題ではなく、健康面での話なんだけど。」
まぁ、この問題はよしとして後は生徒会に提出すれば、無事同好会設立になる。私は、書類を持って生徒会室に向かった。
生徒会室前。私の目にはサングラスがかけられている。さっき鷹臣くんがつけていればいいことがあると言って渡された。はたからみれば、おかしな人だ。生徒会室のドアをノックして部屋に入る。大きな机に生徒会長が座っていた。なんとも美少年と言う言葉が似合う人だと思った。
「失礼します。同好会の申請書を持って来ました。承認お願いします。」
「君が料理同好会を作ろうとしてるのかな?」
そういえば、綾部君が会長にお願いしたんだっけ?そこはちゃんとお礼を言わないと行けないな。
「綾部君の件、ありがとうございます。」
「いいんだ。麗人の方から頼み事なんてはじめてだったから、嬉しいんだ。これから麗人のことよろしくね。」
「は、はい!」
こうして、無事に承認してもらい、やっと料理同好会が正式に設立された。
後書き
綾部君の登場です。料理同好会はちょっと恥ずかしいので、周りには隠している状態です。知っているのは、咲月と会長くらいですかね。
ページ上へ戻る