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【完結】剣製の魔法少女戦記

作者:炎の剣製
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第五章 StrikerS編
  第百五十九話  『決戦(3) ゆりかご内部侵入』

 
前書き
更新します。

今回はゆりかご周辺を書きました。

今月最後の更新になります。

ではどうぞー。 

 








「なのはママ…」
「ヴィヴィオちゃん、大丈夫だよ。シホお姉ちゃん達がきっと、なのはお姉ちゃん達を助けてくれるよ。僕らはただ信じよう」
「うん…」

ヴィヴィオはアースラの一部屋でアインスとツルギと一緒に皆が無事に帰ってくることを祈っていた。

「そうだ、ヴィヴィオ。シュバインオーグ達が必ず全員を助けてくれる。今は信じよう」

アインスがそうヴィヴィオに話しかける。
それにヴィヴィオはただ頷くだけだった。

「(頼むぞ、みんな…。そしてこれ以上ヴィヴィオに不安を与えてやるな。なのは…)」

アインスはそう未だ囚われのなのはに言うのだった。



◆◇―――――――――◇◆



聖王のゆりかご一帯では今もなお魔導師達とガジェットによる激しい攻防戦が繰り広げられていた。

「魔導師隊! 私は正面を叩く。それやから打ち零しを頼むわ!」
『はい!』

はやての指示で魔導師隊は声を上げる。
そしてはやての広範囲魔法がガジェットに炸裂する。
しかし、やはり濃いAFMの効果がじわじわと効いているためにやはり威力が落ちてしまい全機を撃墜までにはいたらないでいた。
しかしそこはやはりエース揃いの魔導師隊。
はやての打ち零しを見事左右から正確に、そして確実に撃ち落としていた。

「よし!」

はやてはガッツポーズを取る。
しかし、そこに悪い知らせが舞い込んでくる。
ゆりかごのハッチから次々と追加戦力であるガジェットが放たれて質で押している魔導師に対し、ガジェットは量で押しているという感じでなかなか優勢に持ち込めないという状況。
AMFの中での魔法行使はかなりの精神力を消費する。
だが文句は言っていられない。
ここが抜かれたら一気に市街地まで範囲は及んでしまう。
だから泣き言は言わないようにしているはやて。

「みんな! ここが最前線や! だから気を抜かずに確実に落としていこう! 魔導師の力を見せる時や!!」
『おう!』

はやての激励で魔導師達はさらに広範囲に及ぶ戦闘を繰り広げるのだった。
そんな中、侵入口を探しているシホ、ヴィータ、フィアットに一報が入ってくる。

『シュバインオーグ一尉! 侵入できそうなゲートを発見しました!』
「入口の大きさはどれくらいですか!?」

シホは応答に応えてそう聞き返す。

『そ、それが侵入経路の壁が思った以上に硬くなかなか突破できません…! どうすればいいでしょうか!?』
「そんな弱気な発言はなしで! 私が開けますのですぐに向かいます!」
『了解です! お待ちしています!』

それで魔導師の通信は切れる。

「…というわけよ。ヴィータ、フィア! いくわよ!!」
「おう!」
「はい!」

ヴィータとフィアットの返事にシホは頷くとはやてに通信を開き、

「はやて! 宝具を使って侵入口を開けるから宝具の使用許可を!」
『わかったわ! 許可する! 思いっきりやってええよ!』
「了解!」

返事を返したあと、シホはゲート周辺とその反対側で戦っている魔導師に指示を出した。
そしてシホ達は入れそうなゲートの前に固まって侵入口を開けようと奮闘している魔導師達のもとへと到着して、

「魔導師の皆さん! 私が突破口を作りますので離れていてください! 先ほどの指示通りにお願いします!」
『了解!』

シホの一言にすぐにその場から離れていく魔導師達。
ここはさすが『魔弾の射手』という異名が効果を発揮していく。
信頼度が半端ではない。
シホ自身もすぐに退避してくれたことをありがたく思い、そして魔術回路を開いて魔術師の顔になり、

投影開始(トレース・オン)…ッ!」

アンリミテッド・エアを一旦モードリリースして、無銘の弓を投影する。
やはり宝具を使うとなれば投影した弓の方が馴染んでいるためである。
アンリミテッド・エアの弓形態である『シュッツェフォルム』を使ってもよいのだが、そこは気分の問題になってくるために誰も突っ込んではこない。
さらに、

投影、重装(トレース・フラクタル)…!」

詠唱を重ねる。
それによってさらに投影を重ねる。
それでシホの手に顕現するのはやはり手馴れた宝具である頭身が捻れた宝具。
それを弓に番えて弦を引き絞る。

「―――I am the bone of my sword(我が骨子は捻じれ狂う)―――……」

その詠唱によって宝具がさらに鋭く、鋭利に尖っていき、そして、

偽・螺旋剣(カラド・ボルク)!!」

放たれた真名開放によって轟音を響かせて音速を突き破りゆりかご内部を貫通していく。
それはさながら雷光のごとく雷を纏いながら進んでいき、貫通した通路を焦がしていく。
そしてついには威力を落とさずにゆりかごの反対側まで偽・螺旋剣(カラド・ボルク)は突き抜けてしまった。
シホはそろそろ頃合だろうと思い、

壊れた幻想(ブロークン・ファンタズム)!!」

内包された神秘と魔力が暴力的に膨れ上がって一気に破裂する。
それによって事前にシホの指示でゆりかごの反対側で指定された場所から退避していた魔導師達はそれを見る。
爆発によって巻き込まれたガジェットの群れが次々と爆散していく様を。

「すげー…これが『魔弾の射手』、シホ・E・S・高町一等空尉の本当の力…。転送魔術の威力…!」
「このAMFの中、それを軽く無視するかのような絶大な力…。敵には回したくないものだな…」
「俺、ファンになりそうだ…」

などと声がいくつが上がるほどにシホはその実力を見せつけた。



………ここで一つ、補足して付け加えると本来の偽・螺旋剣(カラド・ボルク)もここまでの威力はないはずだった。
普通に考えればこの世界に来る前までのままだったらゆりかごを貫通するほどまではなかったのである。
しかし、ここでこの世界で会得したシホの力が真価を発揮する。
シルビア譲りのSSランクオーバーのリンカーコアと、そして鍛えに鍛えた魔術回路の魔力が融合したことによって化学反応を起こして威力が件なみ上昇したのである。
さらには確かに魔術師もこの世界に何百人も生まれてきたが、それでもいまだに神秘の理解は中々されていない。
その為に、シホがほぼ神秘を独占している形であるから総じて考えれば威力が上がるのは当然であった。
最後にアルトリアとユニゾンしているのでアルトリアの魔力も相乗しているのも効果を発揮している。



―――閑話休題



「…相変わらずすげー威力だな」

ヴィータはゆりかごの反対側から聞こえてきた爆発音を耳にして顔を引き攣らせる。

「さすがお姉様です!」

フィアットは目にフィルターでもかかっているのか普段よりシホの姿が神々しく見えている。

《さすが奏者だ! 余はますます惚れたぞ!》

未だ霊体化して待機しているネロがそう叫ぶ。

《さぁ、シホ。ナノハとオリヴィエのもとへと向かいましょう!》
「ええ、アルトリア!」

アルトリアの言葉とともにシホ達三人は偽・螺旋剣(カラド・ボルク)によって空いた穴からゆりかご内部へと侵入していった。

「スターズ2、セイバーズ1、2、ゆりかご内に侵入しました!」
『わかりました! すぐにゆりかご内部の調査を開始します。位置情報がわかり次第すぐに知らせます!』
「わかりました!」

だが、入った途端に、

「ッ!?」
「なんだ!?」

ゆりかご内部に入った途端に急に濃密なAMFに襲われてシホ達は浮遊魔法が効力を無くしてキャンセルされていくのを悟る。

「濃いわね…」
「そうですね…」
「ああ。あたし達でこれじゃ、エース級じゃないと入ってこれねーぞ?」
「そうね。………フィア! リンカーコアをサブにして、魔術回路をメインに変更後に身体強化を決行よ!」
「了解です!」

それでシホとフィアットは身体強化を施して魔導をサブに切り替えた。
これによってAMF下でも普通に消費しなくても移動できる。

「お、おい! あたしはどうするんだよ!?」

だがヴィータは魔術師ではないので慌てていた。
それを見越してシホはヴィータに振り向く。

「ヴィータは駆動炉破壊まで魔力とカートリッジを温存してもらいたいわ。ヴィータの切り札は破壊に打って付けなんだから…!」
「わ、わかったよ…。それじゃ飛行魔法だけに魔力を注ぐことにする」

渋々だがヴィータは従った。

「さ、というわけで進むわよ!」
「「おう(はい)!」」

それで三人はゆりかご内を進んでいった。



◆◇―――――――――◇◆



Side ヴィータ



今、あたし達は向かってくるガジェットを倒しながら進んでいる。
と言っても主に撃墜しているのが、

「はぁっ!」
「えいっ!」

シホがアンリミテッド・エア、エクスカリバーフォルムを振るい、フィアットがマグナ・スピアを振るって次々と破壊していく。
あたしも破壊しているにはいるんだけど、ごく僅かである。
うー…確かにあたしのラストフォルムを使うにはすごい魔力が必要になるから温存しておくことには越したことはないんだけどな。
そんな時だった。
ゆりかご内をサーチしていた本部の奴から連絡が入ってきたのは、

『シュバインオーグ一尉! 玉座の間と駆動炉の位置が判明しました!』

そう知らせをしてきた。
そしてマップがディスプレーに表示される。
だけど、

「ッ!?」
「なんだと!」

あたし達が進んでいるのは駆動炉の方で玉座の間はまさに反対側だったのだ。
なんてこった!
これじゃ後手後手じゃねーか!
だから手段は限られてくる。

「………二手に分かれましょう」

シホがそう決断してくる。
あー…あたしと同じ考えってことか。
なら、あたしが言うべき言葉は決まってる。

「なら、駆動炉へはあたしが「私も一緒に向かいます!」…って、フィアット!?」

まさかフィアットがシホと別行動を取るとは思っていなかったので私は思わず言葉を失ってしまった。

「なんですか、ヴィータ? 私はお姉様と離れていても大丈夫ですよ。私とお姉様は魔術的にも、魔導的にもリンクしているのですから安心ですからね」

そう言ってフィアットは満面の笑みを浮かべる。
…ったく。
出鼻を挫かれた気分だぜ。

「…たーっく、わかったよ。それじゃあたしはフィアットと駆動炉に向かうから、シホ、なのはとオリヴィエを救えよ?」
「ええ、任せなさい。それに私には…」

それでシホはなにもいない虚空を見つめる。
多分、そこにはネロが霊体化しているんだろうな。
ネロがついているんだ。
ならあたし達がいなくても大丈夫だな。

「というわけよ。だから、二人とも、駆動炉の破壊は任せたわよ!」

シホにそう言われる。
もちろんだ!

「任せておけ! 鉄槌の騎士ヴィータは破壊することに関しては誰にも負けねぇ!」
「お願いね。フィアもヴィータのことを守ってね?」
「はいです! お任せ下さい、お姉様!」
「それじゃ、行くわ」

それでシホは高速で反対側…玉座の間へと走っていった。
よし…。

「あたし達もいくぞ! フィアット!」
「はい!」



◆◇―――――――――◇◆



Side クアットロ



玉座の間で私とディエチちゃんは色々と設定をしている。
あの胡散臭い魔術師の令呪とか言ったかしら? それで無理矢理玉座に座らされてゆりかごを起動しているオリヴィエ陛下がいるから大丈夫だとは思うけど、念には念を押しておかないとね。

「ふふふ~…。今のところは上々ね」
「…さっきのあの魔導師の一撃は驚いたね」
「そうね、ディエチちゃん。まさかこのゆりかごを貫通するほどの威力を出すとは思っていなかったわ」

そう、先ほどの一撃には驚かされた。
AMFを纏っているゆりかごの力を簡単に貫通させるほどの威力を出すシホ・E・S・高町の攻撃。
まさかこんなところでもう奥の手を使ってくるなんて思っていなかったけど、あんなものをそう何発も撃てるとは思わない。
もうやつはネタ切れを起こしていると思うわね。
今この玉座の間に向かってきているけど、切り札がない今、倒すのは容易いわね。
さらに、奴の顔が絶望に染まる姿を想像すると、胸が高鳴るようだわ~!

「…ディエチちゃん」
「…ん。任せて、クアットロ。足止めは私がなんとしてでもしてくる」
「お願いね?」

それでディエチちゃんは玉座の間を出ていった。
でも、あなたじゃきっとやられちゃうでしょうね。
奴はあなたの砲撃程度で潰れる奴じゃないわ。
だから、せいぜい少しでも時間を稼いでね、ディエチちゃん。
ふふふ~。



◆◇―――――――――◇◆



Side ディエチ



もうすぐここにあのエースオブエースとオリヴィエ陛下を助けに来るために彼女がやってくる。
あたしなんかで敵うかわからないけど、クアットロの命令だ。
撃墜させてもらうよ。
それであたしはイノーメスカノンを構えてチャージを開始する。

「IS・ヘヴィバレル」

テンプレートが輝き、あと少しで彼女がやってきてこれは放たれる。
見えた。
これで、決める!

「発射!」

あたしの砲撃が放たれて彼女に直撃する。
間違いない。
少しの間があったが私の砲撃は彼女に直撃した。
だけど、あたしは次の瞬間、ありえないものを見た。
確かに直撃したはずなのに、彼女は少し煤がついただけでほぼ無傷で向かってくる。
そして携えている剣を上段に構えて、

「…風王鉄槌(ストライク・エア)!!」

振り下ろされた剣から凶悪な魔力の風があたしに向かってくる。
あんなもの…オットーのレイストームと比較にならないほどのものだ。
そしてその風の塊はあたしと…そしてイノーメスカノンに同時に直撃した。
あたしは衝撃を受けて大きく吹き飛ばされ、地面に転がる。
イノーメスカノンも真空の刃によって真っ二つに切り裂かれて爆散してしまった。
なんて、強さ…。
あたしは選択肢を間違えたんだ。
こんな化物と戦って時間を稼ぐことを考えていた私は、バカだ。
時間稼ぎすらままならないなんて…。
そしてろくに動かせない体にさらになにか鎖が巻き付く感覚を覚えて、

「…あなた程度で足止めなんてしている時間はないのよ…眠っていなさい」

彼女は冷徹にあたしを一瞥した後に、奥へと進んでいった…。
ごめん、クアットロ…。
心の中で謝罪しながらも、そこであたしは意識を闇に落とすのだった。



◆◇―――――――――◇◆



Side シホ・E・S・高町



先ほどの戦闘機人を戦闘不能にして先に進んでいる中、

《奏者よ。大丈夫か!?》

ネロが念話で話しかけてくる。

《…ええ。アルトリアが直前に風の防御壁を展開してくれたおかげでなんとかなったわ》
《はい。ギリギリでしたね》
《…そうか。ならばよいのだ。して、奏者よ。まだ余は出てはいけないのか?》
《ええ。ネロにはまだ力を温存してもらいたいのよ》
《むぅ…。わかったぞ》
《ごめんね、ネロ。でも、まだ敵にはネロの存在がいる事を悟られたくないのよ…》
《………》

そうしてネロは押し黙ってくれた。
そして私達はついに玉座の間に到着した。
そこには、眼鏡をかけた戦闘機人と玉座に座らされているオリヴィエ陛下、そして鎖で吊るされているなのはの姿があった。

「なのは! オリヴィエ陛下!」
「あら~? もう到着しちゃったんですねー? ディエチちゃんも役立たずね。ま、いいわ。よくぞ来られましたね。玉座の間へようこそ」
「大規模騒乱罪その他、たくさんの罪であなたを拘束するわ。おとなくし捕まりなさい」
「ふふふ…あなたの家族達が捕らわれているというのに涼しい顔なのね。あなた、本当に助ける気があるんですか~?」
「そのつもりよ。あなたを捕まえてなのは達も必ず開放する!」

私は即座に戦闘機人に斬りかかる。
だけど影のように彼女の姿は掻き消えてしまった。
これは…あの時の幻影!
ということは!
どこかに本体がいる!

《ネロ!》
《おう! 奴を見事見つけてみせよう!》

ネロの気配が離れていくことを確認して、そこにいやらしい声がモニター越しに響いてくる。

『いきなり斬りかかるなんて危ないですね~?』
「そんな余裕を出していていいの? その間になのは達を助けるわ」
『どうぞ、ご自由に~…』
「…?」

なに…? この余裕は。私はなにかを見落としているの?
一応警戒しながらも私はなのはが縛られている鎖を外していく。
そんな時だった。

「…シ、ホ…」
「オリヴィエ陛下!?」
「気を、つけなさい…」

玉座に座らされているオリヴィエ陛下がなんとか大声をあげる。
その時だった。
なのはの手が私の体に触れてきて、

「…シホちゃん」
「なのは、大丈夫!?」
「…お願い、シホちゃん…」
「なに…?」

私が目が少しうつろななのはに語りかける。
だけどそこに、

「なのはは罠、です…!」

オリヴィエ陛下の二度目の叫び。

「ッ!?」

途端、なのはの手からなにかが私の体に流れてきて、次にはアルトリアとユニゾンしていて治癒能力が向上しているというのに、それを上回るかのような衝撃と激痛が私の体を駆け巡る。

「うわぁぁぁッ!?」

思わず叫びを上げてしまい私は地面に転がる。
痛みが走る体を無理してなのはを見上げると無表情でハイライトが消えた瞳で、

「…シホちゃん、お願い。“死んで”…」

なのはの口から信じられない言葉が聞こえてきた。
ついでなのはの体から“虹色”の魔力が溢れてきた。
虹色!? なのはの魔力光は桃色のはず!
しかも虹色って、オリヴィエ陛下と同じ“カイゼルファルベ”!?
これって、一体…!?

 
 

 
後書き
シホのカラド・ボルクは色々な要因が重なって威力がかなり上がっています。

ヴィータはフィアットと一緒に暴れてもらいます。

最後に冥王が降臨してしまったかもしれません…。

それではご意見・ご感想・誤字脱字報告をお待ちしております。

では。 
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