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ドリトル先生と京都の狐

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第六幕その十

「それで幸せになってこそよ」
「人生だね」
「そうよ、そのうえでよ」
 やっと人生だというのです。
「わかったわね、早いうちにね」
「結婚して」
「そう、いいわね」
「ううん、どうなのかな」
 その難しいお顔で言う先生でした。結婚のことになるとどうしても足が止まる先生でした。そうしてなのでした。
 今はお茶を飲んで、です。こう言いました。
「何をすればいいかな」
「何かって。お見合いなり結婚相手を探すサイトなり一杯あるわよ」
「お見合いねえ」
「誰か紹介してもらったらいいじゃない」
 とても現実的な言葉でした、他に説明もいらないまでの。
「王子様も言ってるでしょ」
「よく言われるよ」
「それでどうしてなのよ」
「だからどうもね」
 足が止まるというのです、このことについては。
「努力しないといけないかな、このことも」
「そうよ、何でも努力あってこそよ」
「そういうものなんだね」
「私だってね、家庭のことと主人の会社のことと」
 その二つのことでだというのです。
「どっちも毎日必死に考えてね」
「そしてなんだね」
「そう、努力してるから」
 それでだというのです。
「これでもね」
「よく日本にも来てるしね」
「飛行機でね」
 それで来ているというのです、日本に。
「移動のお金は八条グループが出してくれてるの」
「そうしてもらってるんだ」
「そうなの、八条グループって気前がいいから」
 そうしたことも出してくれるのです。
「それは助かってるのよ」
「移動のお金も馬鹿にならないからね」
「そこを出してくれてるし」
 しかもだというのです。
「いいグループよ」
「僕が聞いてもそう思うよ」
「何はともあれ私も頑張ってるつもりだから」
 またこう言うサラでした。
「兄さんもいいわね」
「わかったよ、そっちも何とかするよ」
「そうしてね。それと」
「それと?」
「日本ってどうもね」
 ここで、です。サラは微妙なお顔になってこう言ったのでした。
「いい国だけれど一つ気になることがあるの」
「日本のことで?」
「そうなのよ、湿気が多いでしょ」
「ああ、梅雨は特にだね」
「夏もね」
 それでその湿気がというのです。 
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