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ドリトル先生と京都の狐

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第六幕その七

「姫様がな」
「ティターニア女王みたいなのかな」
 トミーは姫路城の姫様のことを聞いてこの人をすぐに思い浮かべました。
「真夏の夜の夢も」
「イギリスではそうなるかのう」
「やっぱりそうなんですね」
「そうじゃ、とにかくな」
「兵庫県の妖怪変化の棟梁は姫路城にいて」
「そして九尾の狐はな」
 今は八条学園にいるというのです。
「姫様に遠慮するという意味でもそこにおるのじゃ」
「わかりました、では縁があれば」
「会ってみるのじゃ」
「はい、そうですね」
 そうしたことをお話してでした、そのうえで。
 先生達は最後に長老と明るくお話しました、ですが。
 時間は常に進んでいます、時間を止めることは人間にも妖怪にも出来ません。それで長老もこう皆に言いました。
「それではのう」
「はい、もうですね」
「そろそろ京都を発って」
「また会おうぞ」
 こう皆に言いました、そしてでした。
 皆は長老達と分かれて車に乗りました、そのうえで京都から神戸に戻りました。
 お家に着いた時はもう夜でした、先生はお家に入ってから皆にほっとしたお顔で言いました。
「やっと帰って来たね」
「はい、そうですね」
 トミーもそうしたお顔で先生に応えます。先生達をお家まで送った王子は自分の洋館に帰っていきました。
「やっとですね」
「そうだね、それじゃあ晩御飯は食べたから」
 車の中で、です。もう食べているのです。
「お風呂に入って寝よう」
「そうしましょう」
「明日からまた仕事だね」
 先生は笑顔でこうも言いました。
「頑張ろう」
「先生、寝巻きは」
「これだよ」
 パジャマでjはなくです、日本の甚平とズボンです。柿の葉の色のとても渋い落ち着いた色の服です。それを着るというのです。
「これを着てお布団で寝るよ」
「それじゃあまた明日」
「うん、明日ね」
 こうしてお風呂に入ってそれでゆっくりと休んでなのでした。先生達は日常生活に戻りました。そして数日後。
 また日本にサラが来ました、この時も先生のお家に来て紅茶とティーセットを楽しみながら先生達のお話を聞きます。
 そのうえで、です。こう言うのでした。
「日本の狐とイギリスの狐は全然違うわね」
「うん、本当にね」
「化けるのね」
 しみじみとした口調で言うサラでした。
「そうなのね」
「そうだよ、妖力があってね」
「人間に姿を変えられて」
「そう、長老さんがいてね」
「しかも尻尾がね」
 座布団に座っているサラは自分のお尻の方を見ました、この日もとても古風なビクトリア時のドレスを着ていますが。
 そのお尻の方を見てです、こんなことを言いました。
「増えるのね」
「長く生きているとそれだけね」
「増えるんだよ」
「成程ね」
「それで千年生きているとね」
「九本ねえ」
「そうなるのが日本の狐なんだ」 
 先生もサラにお話します。
「面白いだろ」
「そうね、童話みたいね」
「ははは、サラも日本の狐のお話に興味を持ったみたいだね」
「ええ、とてもね」
 その通りだと答えたサラでした。
「しかも揚げが好きで」
「そこもイギリスの狐と違うね」
「全くね、けれど」
「それでもだね」
「ええ、実は最近主人が和食を気に入ってきて」
 サラは自分のご主人のお話をここではじめました。 
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