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インフィニット・ストラトス 自由の翼

作者:ren sagiri
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転校生は幼なじみと転生者……です。

 
前書き
鈴のキャラ崩壊注意です。

戦闘はなしの日常編です。

では行こうか。 

 
○Noside

クラス代表決定戦から1週間後の放課後。

生徒会庶務となった春奈は現在、書類の整理に追われている。

「ラクロス部の部活予算引き上げの要求、柔道部からは武館の畳取り替えの申請?
それから、それから……ああもうっ!忙しい!!」

春奈が最初に訪れた時の生徒会室は書類の山が積まれていた。

全員でこれを捌いていると楯無から聞いた春奈は卒倒しそうになったと言う。

この惨状を引き起こした元凶は言うまでもなく仕事しない書記こと布仏本音の仕業である。

「はるちーん。イライラしすぎるとー、はげちゃうよ~?」

「誰のせいだ、誰の」と心でつぶやく春奈。その気持ちを読み取ったのか会長席の楯無は彼女をなだめる。

「まぁまぁ、落ち着きなさいな。春菜ちゃんが来てくれてから、書類も確実に減ってるし。」

楯無もあの書類の山を捌く春奈には驚いていた。

本音の実姉である虚に劣るとも勝らない事務スキルを目の当たりにすればまた然りである。

春奈が来た時の書類の量を10とする。現在でその全体で言う所の4割が捌かれている。

春奈は楯無の労いに会釈を返しつつもその両手は止まらずに動き続けている。

並列思考(マルチ・タスク)を活かして春奈は右、左手を別々に動かして業務に励んでいる。
頭部ハイパーセンサーを部分展開した彼女は全視界接続状態であり、後ろの書類も判別できる状態だ。右手はペンを走らせて、左手はキーボードを叩く。

黙々と作業を進める春奈のスピードは落ちることを知らないので徐々に書類の山の一角が崩されていく。

集中すると自然と口数も減るので時間はすぐに過ぎていく。それから数十分後―――

「はふぅ……終わりました。」

「ありがとうね、春奈ちゃん。」

……全体の1割の書類を片付けた春奈は緊張感が引いて脱力。そのまま机に突っ伏した。

「ごくろーさまー。はるちーん、これ食べる~?銀河甘隊の~超限定ロールケーキG~。」

本音は口の周りに生クリームを付けている。

春奈は無言でハンカチを出すと彼女の口の周りを拭う。

ちなみに銀河甘隊とは元正規軍隊所属でガタイの良い漢達が作る洋菓子をウリにしている最近話題のケーキ屋である。

その作業風景は見ているだけでむさ苦しく情熱的で、とても暑苦しい物である。

しかし、そんな作業風景とは裏腹にケーキは繊細かつ優しくてしつこすぎない甘さの生クリームが老若男女のハートを掴み離さないのである。

ただ、使っている素材が最上級なものを使用しているために安いケーキでも500円超えなのがネックなのだ。

現在はチェーン店舗を各主要都市に展開している@クルーズと企業提携してリーズナブルな商品を開発中という噂も流れる……そんな今が旬のケーキ屋である。

そんな銀河甘隊の主力商品は「さぁ、兄さん又は淑女達よ!我輩達のロールケーキはスゴイよぉ!買うがいい!」という筋骨隆々の肉体にピチTを合わせてその逆三角な身体にはどう見ても小さすぎるエプロンと腰には模造刀を提げているチーフパティシエのギム・ギンガナム代表取締役の宣伝が有名でその文句に恥じない絶品で木箱に入った1日生産量が限定50本の[ギンガナムおじさんのこだわり高級ロールケーキ(1本2400円)]である。

そして、現在本音が食べている物は1日生産量が5本しかない幻の[銀河甘隊・超限定ロールケーキG(1本8000円)]である。こちらの箱は漆塗りである。

「うむむ……?ぷはっ、はるちーんはきーが利くね~。」

「本音ちゃんは手のかかる小さい妹みたい。もうちょっとしゃんとしたらどう?」

「むぅ~っ……はるちーんもうちのお姉ちゃんとー同じこと言うの~?本音ちょっとショック~。」

「私がなぁに?本音。」

「んむぅ~?あ、お姉ちゃんおかえり~お勤めごくろーさまー。」

べしっ。と、鋭いチョップが本音の脳天に突き刺さる。彼女の姉こと虚は春奈に向き直り礼を言う。

「春奈さん、いつもありがとう。あなたに本音の仕事まで押し付けてしまって……」

「春奈でいいですよ。それに気にしないでください。私も善意でやってるだけですから。」

春奈は伸びをひとつしつつ立ち上がると楯無のいる会長席を向く。

「楯無さん。私はこれで失礼します。フリーダムの調整がありますので。」

「わかったわ。お疲れサマー。」

楯無の言葉を聞いた春奈は踵を返すと生徒会室を後にして第2整備室に向かう。

その道中で彼女に新たな出会いがあるとは知る由もないが。

春奈が後にしたあと書類整理を引き継いだ楯無は1枚の書類に目が止まる。

「七ノ瀬天地……男性操縦者?」




○side春奈

生徒会室を後にした私はIS学園が第2整備室に向かっています。

ここ最近、生徒会での多忙な業務の合間を縫ってフリーダムの調整をしています。

一夏はセシリアの辞退によりクラス代表に就任して、現在第2アリーナで特訓中です。

クラス代表戦に向けてセシリアのコーチングを受けています。

一夏は現在、マニュアル操作の上達を目指してシューター・フローの基礎と円状制御飛翔(サークル・ロンド)の特訓をセシリアにコーチングを受けているのです。

あれが出来れば制御能力も確実にあがりますし射撃動作も覚えれると言うことでセシリアにお願いしました。

明日は格闘訓練を箒ちゃんに手伝ってもらうことになってます。

……まぁ、私が見るほうが早い気もするのですが今は自分の事で手一杯なんですよね。

セシリアの心境の変化は原作通りですね。他のヒロインが分からないのでどうとも言えませんが。

私は腰の端末から投影ディスプレイを映すとフリーダムのスペックを閲覧します。

行儀が悪いかもしれませんが時間が惜しいのです。ディスプレイに目を向けて歩いていると曲がり角に差し掛かります。そこを曲がれば整備室……

ドンッ……

「おっと?」

「きゃっ!?」

曲がったところで誰かにぶつかってしまいました。

尻餅をついてしまうと思ったので反射的にスカートの裾を抑えて捲れるのを防ぎます。

こう見えてもガードの固い女なんです……たぶん。

「わりぃ。だいじょうぶか?」

「いたたた……はい。こちらこそごめんなさい。」

あれ?……聞いたことのない男性の声?

「―――っ!?」

そんなことをぼんやりと考えていると不意に手を取り助け起こされたので驚いてしまいます。

「よっと。……立てるようだし大丈夫だな。」

「あ、ありがとうございます。」

「堅いよ。同年代相手に敬語なんかさ。」

「じゃあ、ありがとう―――これでいいですか?」

「結局敬語かよ。……って、え?」

キョトンとした顔の少年は……眼帯をした―――アポロ?

「……え?」

『もしかして、あなたがもうひとりの転生者?』

不意に社長さんからあった連絡を思い出します。

転生者がもうひとりいる事を社長さんに初めて会った時に聞いていましたが。

「デアラの十香か?その容姿は。」

「あなたこそアクエリのアポロのままじゃないいですか。」

「それもそうだな。一応自己紹介しとく。俺は七ノ瀬天地だ。」

「私は織斑春奈です。その眼帯は?」

「リミッターだ。俺も急いでるからこのへんで。」

「そうですね、では。」

聞きたいこともありますが彼の意見ももっともです。私も整備室に向かいますか。

彼の「しまった、職員室の場所訊けば良かった……」と言うつぶやきは聞かなかったことにしましょうか。

余談ですが彼はこのあとIS学園警備部の教師たちと大立ち回りをしたという噂が流れましたが真実は闇の中……らしいです。




○side???

「ここがIS学園ね。……誰もいないじゃない。」

彼女は不機嫌そうに辺りを見渡す。

「明かりは向こうにあるみたいだから本校舎は……こっち?」

ふと、視線を向けるとゆらゆらと揺れる人影が見えた。彼女は興味を持ったのかその影に近づく。

「幽霊じゃないわよ……ね?」

「う~ん……粘ったけど、どうすればいいのかなぁ~……はぁ。」

その遠くからもはっきりと聞こえる美声は聞き覚えのある……慣れ親しんだ親友の声。

「……もしかして、春奈?」

と呟きながらもその体は思考とは別に動きその人影に走り寄っていた。

「……なんか嫌な予感が……」

「はーるーなーっ!!」

がばっと勢いよく後ろから抱きついた少女に春奈は驚き戸惑う。

「え、え、えっ!?」

と、感触を確かめるように彼女の手が妖しく春菜の胸の上で蠢く。

「ひぃんっ!?ちょ……」

ふと春奈の思い当たる人物。

「むふふ、あたしのことを忘れたわけじゃないわよねぇ……て、あんた(これ)またデカくなったでしょ!?」

「ちょ、鈴ちゃん!?揉まないで、弄ばないでよぉっ!……ひゃんっ……。」

春奈の胸を揉みしだく彼女の名は凰 鈴音。このたびIS学園に転校してきた中国代表候補性。

「これ、絶対にDあるでしょ!?くぬっくぬっ……あたしなんか、あたしなんか……!」

「やめてよぉぉ……」

火が付いた鈴を止めれるものはこの場にはいない。奇妙な再会を果たした春奈の受難はこれからも続く。

……春奈の懇願も虚しく、二人の乙女は2時間その場で戯れていたとも言われるが真相は定かではない。 
 

 
後書き
二人目の転生者、それは謎の多い眼帯をした少年だった。

次回インフィニット・ストラトス 自由の翼

二人目の男性IS操縦者

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