帰る場所
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第二章
第二章
「どんな服でもいいからな」
「そうなの。それじゃあ」
「その時は言ってくれよ」
「わかったわ。じゃあお父さん本当にね」
「優勝してくるよ」
笑顔でだ。彼は白娘に述べた。
「これからね」
こう娘、そして妻に告げてだった。彼はだ。
大会に出た。そうしてだ。
次々と勝ち進み瞬く間にだ。決勝まで勝ち進んだ。その彼の闘いぶりを見てだ。
誰もがだ。唸って言ったのだった。
「これは凄いな」
「ああ、あの男できる」
「あそこまで強い奴は滅多にいないぞ」
「これはひょっとしてな」
「ああ、ひょっとするな」
その強さを見ての言葉だった。
「優勝してそうしてな」
「そこから全国大会に行ってな」
「そこからも優勝か」
「できるかもな」
中国全土の大会に出てもだ。優勝するのではないかとさえ言われたのだ。そしてだ。
その決勝でもだ。まさにだ。
一撃だった。その掌底を出してだ。
相手は受け止めたがその相手を試合場の外にまで吹き飛ばしてだ。圧倒的な実力で優勝してみせたのだ。こうして彼は河南省での大会での優勝を果たした。
賞状や賞金を貰ったことは言うまでもなかった。そしてここでだ。
彼はだ。大会の主催者達にこう声をかけられたのだった。
「どうだろうか、全国大会にもだ」
「出てはどうだろうか」
「君なら優勝できる」
「全国大会で優勝すれば賞金ももっと凄いぞ」
「名誉も得られるが」
名誉はだ。彼にとってはどうでもよかった。しかしだ。
より多くの賞金を得られると聞いてだ。彼は決意したのだった。
そしてその決意をだ。述べたのだった。
「ではその大会にも」
「そうか、出るか」
「出てくれるか」
「そうさせてもらいます」
家族の為にも、このことは言わなかった。だがそれでもだ。
彼は全国大会にも出ることになった。場所は中華人民共和国の首都北京である。そこで行われたのだ。
大会はすぐにはじまった。観客達はだ。
試合場の観客席においてだ。こんなことを話すのだった。
「河南省から出て来たのが凄いらしいな」
「ああ、李九龍か」
「省の大会で圧倒的な強さで優勝したらしいな」
「その李が出て来たのか」
「それはかなりだな」
こう話されるのだった。そうしてだった。誰もが李に注目するのだった。
その李はだ。落ち着いて大会に赴いていた。試合前に落ち着いた顔でだ。茶を飲んでいた。
その彼を見てだ。河南省から来たスタッフ達が彼に問うた。
「優勝したらどんな地位でも得られるからな」
「拳法の師匠でも何でもな」
「武術師範になることもできる」
「大学の体育学部の教授にもなれる」
「君の望むままだからな」
こう声をかけてだ。彼にハッパをかける。そしてだ。
彼にだ。こうも言うのだった。
「だからな。頑張ってくれよ」
「優勝してくれよ」
「全国大会もな」
「そうですね。優勝できれば」
その時はどうなのかとだ。彼は笑顔で言うのだった。
そして脳裏に家族のことを思い浮かべてだ。そして彼自身も優勝を望むのだった。
そのうえで大会に挑む。この大会もだった。
彼はだ。圧倒的な力で勝ち進んでいく。掌底や蹴りの一撃でだ。全国大会に出て来た猛者達を何なく倒していく。そのうえで勝ち進んでいた。
そしてだ。この大会でもだった。
彼は決勝まで来た。その彼を観てだ。観客達は言うのだった。
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