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曹操聖女伝

作者:モッチー7
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曹操聖女伝第4章

 
前書き
趣旨は封神演技を題材とした作品やPSPのJEANNE D'ARC等の様々な作品の様々な設定をパクリまくる事で、曹操が三国志演義内で行った悪行の数々を徹底的に美化していくのが目的です。
モッチーがどの作品のどの設定をパクったのかを探すのも良いかもしれません。

この作品はpixivにも投稿しています→http://www.pixiv.net/series.php?id=376409

この作品は星空文庫にも投稿しています→http://slib.net/30572 

 
董卓の乱は群雄割拠と共に、黄天軍の残党をはじめとする賊徒の横行を活発化させた。
曹操が討伐するのは、黒山賊と呼ばれる賊徒で、10余万の軍勢で魏郡を攻略、東郡太守の王肱を撃ち破った。更に、兗州の東郡に侵攻してきたのである。
が、その程度の賊軍は質に勝る曹操軍の敵では無い!東郡に入った曹操軍は、濮陽でたちまち黒山賊を撃破した。この功績により、曹操は東郡太守に任命された。
この時期、曹操を慕って多くの勇将や策士が彼女の下に集まった。

その頃、長安では反董卓派の文官達が呂布を説得しようと頑張っていた。
「ええ!董卓暗殺ですと!?」
「左様!ぜひとも将軍の御力を拝借したいのです!」
曹操との一騎打ちを強く望む呂布は渋る。
「馬鹿な!董卓は曹操の敵だぞ。董卓暗殺など出来るものか!」
しかし、文官達は説得を諦めない。
「将軍は先日、つまらぬ事で董卓の怒りを買い、危うく殺されそうになったと聞きます」
「噂によると、将軍は董卓の侍女と良い仲になっているとか。これがバレたら只では済みますまい」
「何時殺されるか判らないのに、曹操の事を目の仇にしている場合ですか!?」
苦渋の決断を迫られる呂布。
この時の反董卓派の文官達の大将格は王允(字は子師)。三公の一つである司徒の座にある漢王朝の重臣である。

数日後、宮殿に到着した董卓は、武器を手にした者達を見て怒鳴った。
「あの者達は何者じゃ!」
王允が満足げに答える。
「されば閻魔の使いかと思われます。相国をお迎えに参ったのでございましょう」
王允の合図に応じて、宮廷の兵士達が董卓の車を転覆させ、槍で突き刺そうとするが、卑しくも人間に転生した魔王その③である董卓は、自慢の祭玉と孔雀光と目からビームで蹴散らそうとするが、途中で激痛が董卓の腹部を襲った。
天の声の指示で祈祷をしていた曹操の念が董卓の腹の傷を刺激していたのだ。
「おのれー!またあの小娘か!?」
其処へ、駄目押しとなる弓矢による強烈な一撃が董卓の左肩を貫通した。犯人は変々戟を弓に変形させた呂布だ。
「りょ、りょ、呂布、な、何を致しておる!」
狼狽える董卓に対し、変々戟を大鋏に変形させながら近付く呂布。
「勅命により逆賊・董卓を討つ!覚悟しろ!」
と言い放つや、董卓を斬首する呂布。ここに栄耀栄華を極めた董卓の一生は幕を閉じた。

数日後、曹操は荀彧をべた褒めしていた。
「そなたの予言が的中したな。見事だ!まさに荀彧は私の子房だ」
言っている意味が解らない哪吒が趙公明に訊ねる。
「しぼうってなんだ?」
「前漢の高祖・劉邦に仕ゑた大軍師・張良の字でござる」
哪吒がワザとふざけた。
「フーン、ちょうなの」

董卓の死後、国政にあたった王允は、董卓の旧部下達を厳しく処罰した。また、董卓暗殺の殊勲者の呂布を奮威将軍に任じ、温侯に封じた。
その為に彼らの反発を招き、特に有力だった李傕(字は稚然)・郭汜(字は阿多)の2人によって長安を攻められた。頼みの綱だった呂布は曹操が長安に迫っていると言う誤報に踊らされて明後日の方向に行ってしまい、王允は早々と敗北した。だが、王允は最期まで逃げなかった。
「国家の安定が、私の願いでした。これが達成されないとあれば、命を捨てるまでのことです。朝廷では幼い陛下が私だけを頼りにしているのです。この期に及んで一人助かるなどは、とても私にはできません。どうか関東の諸侯によろしくお願いします。天下のことを忘れないようにと、お伝えください」
これが王允の最期の言葉であった。享年57歳。
結果、李傕と郭汜は長安を制圧し、今上帝・劉協を擁立して傀儡政治を行った。結局、董卓の時代と変わらない状態に戻ってしまった。

そんな中、藤色のツインテールをなびかせた前髪で目を隠しているのが特徴の美少女が必死になって逃走していた。董卓の孫娘の董白である。長安・郿に居た董旻、董璜をはじめとする董卓の一族は、全員が呂布の部下や袁一族の縁者らの手によって殺害され、90歳になる董卓の母親も殺された。故に董卓の孫娘である董白もまた反董卓派の文官達に命を狙われていると見て間違いない。
董白は一応邪凶の力を使えるが、簪も挿していない(成人していない)せいかまだまだ小凶クラスで、追っ手を追い払うには完全に力不足である。だから逃げるのだ。
だが、10歳の少女が出来る事は限られている。あっさり捕まり、追っ手の斬撃が董白に振り下ろされようとしていた。
「や、やめてください!わ、わ、私は渭陽君の―――」
「それは既に過去の話だ。それに、董卓の旧部下達を厳しく処罰せよとの王允様の命を受けておる」
「だ、だからって、わ、私は見ての通り簪も挿していない―――」
「生憎だが、董卓の一族と言う理由だけで90歳の老人が斬首されたのだ。もう手遅れなのだよ」
「やめてーーーーー!」
だがしかし……余りの恐怖で火事場の馬鹿力が発動し、董白は一気に小凶クラスから魔王クラスへとランクアップした。
「う、うわぁーーーーー!」
「な、何だ!?」
いくら相手が10歳の少女でも魔王クラスの邪凶相手では裏方役の仕事しか貰えない人間に勝ち目は無い。
2つの祭玉が董白に近付いて来た。まるで主人を心配する小犬の様に。
「こ、この力は御爺様が私に力を与えてくれたの?」
これなら勝てると確信した董白は、なぜ王允が董卓に勝てたのか聞き出そうとした。
「こ、こ、答えなさい!?なぜ王允は御爺様を殺したのか!?」
本当は内気で引っ込み思案な性格だが、董卓の孫娘として恥ずかしくない様に必死に強気なフリをする董白。
だがやはり内気でおどおどする性格が見え隠れするのか、追っ手は完全に董白を嘗めていた。相手は魔王クラスの邪凶なのに。
「強がっても無駄だ!どうせお前は此処で死ぬ!」
董白が目を瞑りながら祭玉に攻撃を命じる。
「えい!」
すると、2つの祭玉が追っ手の内の2人に思いきりぶつかった。1人は頭蓋骨粉砕骨折。もう1人は祭玉で腹を強打した。
「うぐお!」
ここで漸く董白の魔王クラスの邪凶としての実力に気付き始めた追っ手は慌ててなぜ王允が董卓に勝てたのか話し始める。
「呂布だ!呂布が王允に寝返りやがった!」
それを聴いた董白はもう追っ手に用は無い。本来の邪凶ならここで追っ手を一人残らず殺していただろうが、魔王クラスの邪凶でありながら内気で引っ込み思案な性格の董白は逃げ出した。
しかも、ご丁寧に深々と呂布の裏切りを教えてくれた追っ手に深々とお辞儀をしてから逃げたのである。

二郎真君が慌てふためく伝令兵を発見した。
「ン?早馬だな。おい、何事だ!」
「は!兗州の刺史である劉岱(字は公山)様が黄天軍残党との戦いで戦死されてしまいました」
この年、青州を本拠地とする黄天軍残党が兗州に侵攻してきた。この対応を協議する中で鮑信はこう献策した。
「黄巾軍は百万ともいう圧倒的勢力を誇り、その勢いは衰えることを知らないため、鎮圧することは難儀を極めるだろう。ここは籠城すべきである」
しかし、劉岱はこの進言を聞き入れることなく出陣し、敢え無く討死してしまった。
二郎真君は早速曹操に訳を話した。
「ほう、使者として州の役人を説得しに行きたいと?」
「はい!曹操殿を新しい刺史として迎えるよう根回しをしたいのです」
趙公明が妙に納得した。
「つまり、黒山賊を討とは東郡太守に成り申した如く、今度は黄天軍残党を討とは刺史の座を狙おうとは策じゃな」
とりあえず皆に相談する曹操。それに対して荀彧はこう答える。
「もとより漢王朝を脅かす賊は討たねばなりません。今それが出来るのは曹操殿を置いて他にはいません」
それを聴いた曹操が決断し、そして、力強く命令した。
「よし!州役人達の説得は顕聖殿に一任する!哪吒殿らは戦に備えて兵をかき集めろ!荀彧殿は此処に留まり、兵糧の補給を絶やさぬ様に!」
やがて州郡・廩丘に乗り込んだ二郎真君は、見事に重臣達を説き伏せて曹操の兗州迎え入れを成功させた。
これにより曹操は直ちに黄天軍残党の鎮圧に乗り出したが、黄天軍残党の抵抗が予想以上に凄まじく、曹操軍は大苦戦を強いられた。
哪吒はあきれ返りながらこう言い放つ。
「驚いたね。黒山賊と違って、あいつらの強さは本物だぁ!」
それを聴いた曹操がもの凄い事を言ってしまった。
「長い反乱の中で鍛え抜かれた戦士だからな……邪凶が混ざっていない事だし……欲しいな!」
「えっ!?」
曹操が考えた作戦はこうだ。
先ずは曹操自身が囮となり、黄天軍残党の主力部隊を誘き寄せる。曹操自身が先頭に立って陣頭指揮する事で兵士の士気を奮い立たせる効果もある。
その間に哪吒の部隊が黄天軍残党の背後に回り込み後続部隊を壊滅させる。
そして、頃合いを図って二郎真君が黄天軍残党の頭領を説得するのだ。
「頭領、夏侯惇と名乗る男が城の前に来ております」
「なに?」
とりあえず二郎真君の許へ行く黄天軍残党の頭領。
「これ以上の戦いは双方にとって無益な筈、潔く降伏されよ」
「それは……本気で言っているのか?」
「ご不満か?」
「まあ、言われてみれば確かに無益だな。ただし、一つ条件がある」
「聞こう」
「城内の者には一切の手出しをしない事。この条件を聞き入れてくれるならこの首を差し出そう」
「大丈夫だ!曹操殿はそこまで邪悪では無い。私の誇りに賭けて曹操殿には一切の手出しをさせぬ」
「有難う、夏侯惇殿」
「参られよ」
黄天軍残党が全ての武器を捨てて降伏した。
「よくぞ降伏してくれた」
「この首一つで民と兵を助けられるなら安いものだ」
黄天軍残党の頭領の言葉を聴いた曹操はこう答えた。
「戦いは終わった。今日から我々は理想の国造りを目指す同志である。諸君には土地を与えよう!この兗州が豊かになる様田畑を耕してくれ!兵士達は我が陣営に加わり、共に戦おうではないか」
曹操の懐の大きさに驚きを隠せない黄天軍残党の頭領。
「私は約束する!決して諸君を飢えさせないと!」
黄天軍残党が驚きながら話し合う。
「なんてこった」
「あんな素晴しい領主様と戦ってたなんて!」
「こんな事ならもっと早くに降伏すれば良かった」
「まったくだ!」
これを物陰で聞いていた人間に転生した魔王その②が苦虫を噛み潰したかの様な顔をする。
(バッドテイストつまり不味いな……これ以上曹操が 育てば……僕はこの地上ワールドの支配者では要られなくなる!)
間もなく曹操は、降伏した黄天軍残党の精鋭兵30万人を支配下に置き、これを青州兵と名付けた。以後、青州兵は曹操軍の中核的存在となった。
旗揚げ以来、地盤も兵力も持たなかった曹操も此処に漸く袁紹達群雄の仲間入りを果たしたのだ。
時に曹操は36歳……なのだが、未だに肉体年齢と外見年齢が15歳の美少女のままであった。

袁術の配下の孫堅は豫州刺史であったが、初平2年(191年)頃、袁紹は周喁を豫州刺史として派遣したので、孫堅と孫堅の主である袁術は周喁・周昻・周昕と豫州を奪い合うこととなった。孫堅と袁術は周喁・周昕を敗走させた。
初平3年(192年)、袁術は孫堅を使って襄陽の劉表を攻めさせた。孫堅は、劉表配下の黄祖と一戦して打ち破り、襄陽を包囲した。しかし、襄陽近辺の峴山に孫堅が一人でいる時に、黄祖の部下に射殺された。 これにより孫堅軍は瓦解し、敗残の将兵は袁術軍に吸収されることとなった。
その頃、曹操は東郡の鄄城に入り、此処を兗州支配の拠点とした。その際、程昱(字を仲徳)、郭嘉(字は奉孝)、于禁(字は文則)、曹昂(字は子脩)等が曹操軍の仲間入りを果たした。
そんな中、張邈が袁術軍の進撃の事を曹操に伝えた。
「曹操殿、一大事で御座る!袁術の軍勢が我が陳留まで侵入して参りましたぞ!」
「おのれ袁術め、大事な私達の領地を侵されて堪るものか。よし!私自ら誅を下す!」
「ならばさっそく案内を―――」
だが、曹操の返答は張邈にとっては意外なモノだった。
「いや、張邈殿には曹嵩殿に引き返す様に伝えて頂きたい」
「曹嵩殿がこちらに?」
「そうだ。私が兗州の刺史になったと聞き、曹徳を連れてこちらに向かってくるのだ」
それを聴いた張邈は少々困惑した。
「曹操殿にとって曹嵩殿は父親のような存在だし、曹徳殿は可愛い弟の様な存在ではないか。なのにどうして?」
曹操が少し不安そうに話した。
「胸騒ぎがするのだ……不吉で邪悪な何かが曹嵩殿に迫っている気がするのだ」
曹操にそこまで言われたら、曹嵩を追い帰すしかない張邈であった。

居城に戻った張邈は、曹操とのやり取りの内容を伝え、曹嵩を追い帰す様命じたが、張超の反発を食らった。
「何ぃー?この大事な時期に何で兄上が曹嵩父子の接待をせにゃならんのだ!」
張邈は項垂れながらこう答えた。
「仕方あるまい。今や曹操が我々の上司なのだから」
だが張超は引き下がらない。
「そもそも曹操は兄上の援助で大きくなった様なモノじゃないか!兄上は悔しくないのか!?あんな宦官の孫娘に先を越されて!」
張邈は遂に怒り出して怒鳴ってしまった。
「黙れ!つべこべ言わずに曹嵩父子の所に行かぬか!」

だが、曹操が言っていた不吉で邪悪な何かは、曹操の予想を遥かに超えた速度で陶謙(字は恭祖)に接近していた。
「だ、誰じゃ!?」
人間に転生した魔王その②は意に返さず自分の目を発光させた。すると、陶謙の眼は無機質なガラスの様な輝きをぼんやりと浮かべた状態となった。
「曹操は敵だ。曹操の義ファザーでAる曹嵩と義弟でAる曹徳を殺すのだ。ゴー」
陶謙は人間に転生した魔王その②の命令にまるで機械の様な返答をした。
「ハイゴシュジンサマ。トウケンハソウソウヲコラシメマス」
それを聴いた人間に転生した魔王その②は満足げに肯いた。それを見ていた配下の邪凶・常昊が一言、
「相変わらず凄いな!」
「僕を褒めてる場合ではナッシング。張角、蚩尤、そして董卓。どれも僕に敗けない実パワーの持ちオーナーでAったが 、ゴッド兵化した曹操にシンプルに敗れ去った。ならば正面からではなく曹操に裏切り者の烙印を押させまくるのだ」
人間に転生した魔王その②の卑劣で極悪非道な作戦が中国大陸に多大な影響を与える事になる。

こんな事になっているとはつゆ知らぬ曹嵩父子は曹操との再会を楽しみにしていた。
「早くお姉ちゃんに逢いたいな。別れてからもう3年だもんな」
「儂も早く曹操達に逢いたいわい。さぞ立派になっておるじゃろうて」
其処へ陶謙軍と常昊が率いる小凶の群れが近付いて来た。
「なんじゃありゃ?」
曹徳は楽観的な事を言った。
「きっとお姉ちゃんが差し向けた出迎えの兵士達ですよ」
しかし、陶謙の無機質なガラスの様な力無き目を見た途端、自分達が邪悪な何かの襲撃を受けている事に気付く。
「いかん!早く逃げるのだ曹徳!」
だが……既に遅かった。邪凶と陶謙軍の悪質な一撃は曹徳の命を奪い、曹嵩とその取り巻きを無残に惨殺した。

曹操は曹嵩父子の訃報を聞き、声も無くその手にした七星剣を落したと言う。
「必ず……必ず陶謙を討つ!徐州中の邪凶を復讐の炎で焼き尽くす!この恨みを晴らさで擱くものか!」
曹操は袁術追撃を中止し、直ちに陶謙軍追撃を強行した。
復讐に燃える曹操軍の侵攻は凄まじく、陶謙から10を超える城を奪い、彭城での戦いで陶謙軍に大勝し、通過した地域で多数の邪凶を虐殺したという。
無数の邪凶の死体のため泗水の流れが堰き止められ、その死臭によって徐州の民は次々と異常をきたした。
因みに、人間に転生した魔王その②配下の邪凶・常昊が陶謙軍として戦ったが、
「ハハハ、気分は如何だ曹―――」
「消えろ!」
「あっぎゃぁーーーーー!」
曹操は常昊の口上を聴きとる前に常昊を斬り捨ててしまった。

その後も曹操は、敗走して城に立てこもった陶謙を攻め続けたが、翌年の春、兵糧不足の為に鄄城に退却した。
「では、また徐州に?」
「陶謙の命を絶たねば私の恨みは治まらぬ!」
復讐の鬼と化した曹操を張邈が諌める。
「心中はお察しするが、仇討の為にこれ以上殺戮を繰り返せば、お前の名が地に堕ちるぞ」
曹操が怒鳴り散らす。
「私怨だと?今が徐州攻略の好機である事が貴様には判らんのか!それでよく太守が務まるな!」
と言いかけて、自分の論理に破綻がある事に気付いて、言葉を紡げなくなる。
「……すまん……言い過ぎた」
少しだけ冷静になる曹操。
「荀彧と程昱にはこの城の留守を任せる。顕聖殿は東郡太守として濮陽に、趙公明殿は残りの兵を率いて東郡に駐屯せよ!」
こうして、曹操は2度目の徐州攻略に向かったのだが……。

その頃、人間に転生した魔王その②は陶謙軍の不甲斐無さに腹が立っていた。配下の邪凶・常昊もまた曹操軍の徐州攻略に巻き込まれて死亡していたのだ。
「なんだよ使えないなー!これじゃー曹操に裏切りの烙印を捺させたミーンが 無くなってしまうじゃないか!」
其処へ1匹の邪凶がやって来た。名は陳宮(字は公台)。策謀を得意とする中凶クラスの邪凶だ。
「いいえ、陶謙軍はちゃんと次の裏切り者を作っておりますぞ!」
「作った?フーつまり誰よ?」

張超がまた張邈に食って掛かる。
「こんな扱いで悔しくないのか?兄上の志はもっと高い所にあったのではないのか!?」
其処へ陳宮がやって来た。
「左様。張邈殿ともあろうお方が、何時までも宦官の孫娘に顎で使われている御積もりか?」
「何者だ!?」
「私は陳宮。流浪の軍師で御座います」
張超が陳宮に食って掛かる。
「軍師だぁー?信じられないなぁー」
「信じるか信じないかはこれからの私の働き次第ですよ。それより……」
陳宮の眼が怪しく光る。
「徐州での戦いを見ても曹操の冷酷非道さは既に明白!悪逆非道の董卓が滅んだように、曹操もいずれは天罰を食らうでしょう」
それを聴いた張超の態度がガラッと変わる。
「これは心強い味方が現れた者だ!それで、何か良い策はおありか?」
この時、張超は全く気付かなかった。自分達が曹操に裏切りの烙印を捺させる為の使い捨ての駒に成り下がっている事に。あの陶謙の様に……。
「曹操が留守の今こそ好機!この間に兗州を乗っ取るのです!」
それを聴いた張邈が慌てふためく。
「そ、そんな事が我々だけで出来るものか!」
陳宮が自信満々に言い放つ。
「強力な味方がもう1人。隣の河内郡におりますぞ」
それを聴いた張邈は驚きを隠せない。
「ま、まさか……呂布か!?」
それを典韋が聞いていた。
「これは不味い事になった」

呂布は李傕に騙されて長安から追い出されていた。その後、曹操に戦いを挑む方法を探しながら各地を放浪していたが、風の噂で曹操が兗州の刺史となったと聞き兗州に向かっていた。
それを知る陳宮の出迎えを受けて兗州に入った。

その頃、典韋が二郎真君が駐屯する濮陽城に駆け込んだ。
「なんですって!張邈殿が陳宮と名乗る怪しい男に騙され謀反とな!?」
「本当です!さっきまでその反乱軍にいたんだからまちがいねぇ!」
「しかしあなたは……張邈軍の配下の筈では?」
典韋がやや怒った口調で言い放った。
「たとえ主君であろうと、裏切りは許さねぇ!仇討ちの為に必死になってる曹操様の方が信用出来るってもんだ!」
それを聴いた二郎真君は典韋が急に惜しくなった。
「成程な……だが、今の曹操殿は完全に冷静とは言えない。この状態で曹操軍に寝返りたいと言っても信じまい」
「ではどうするんで?」
「暫く私の許にいなさい。私が頃合いを見て曹操殿に話しておきます」
それを聴いた典韋が気をつけの姿勢となった。
「はい!」

その頃、鄄城でも陳宮の謀略による張邈の謀反の情報が入っていた。
「程昱殿には東阿、笵の両県に赴き、謀反に加担しない様説得をお願い致します。
「良かろう!必ず説得しよう。しかし、儂が戻ってくるまでにこの城を奪われぬようにのう」
荀彧は笑顔で答えた。
「お任せあれ。貴方の仕事もちゃんと残しておきますから」

陳宮の謀略による張邈の謀反の知らせは、直ちに徐州の曹操陣営にもたらされた。
「そんな筈は無い!何かの間違いではないのか!?」
曹操が祈るような気持ちで伝令の返答を待ったが、突きつけられたのは厳しい現実だった。
「いいえ、程昱様と荀彧様の働きで鄄城と東阿、笵の両県は無事ですが、他の城は悉く張邈軍に!」
曹操は掌を顔に当てながら天を仰いだ。
「何故だ!信じられん!」
曹操は直ちに徐州攻略を中止して鄄城に戻った。

その頃、張邈軍による鄄城攻撃が始まったが、荀彧隊の奮戦と呂布の曹操への想いに邪魔されて遅々として進まない。
「愚かな裏切り者共なぞ恐れるな!間もなく殿が戻ってこられるぞ!」
荀彧隊の士気が極めて高く、それに、
(このまま鄄城を落したとして……曹操は俺と戦ってくれるだろうか?いや、もしかするとまた逃げられるのでは?)
呂布の不安に加え、典韋程ではないが、本当に曹操を敵に回して良いのかまだ迷っている兵士達が多いのも重なって、鄄城攻防戦は泥沼状態と化した。
人間に転生した魔王その②配下の邪凶・呉竜はイライラしていた。
「おい陳宮!何だこの様は!?グダグダ過ぎるぞ!」
「どうやら……呂布は曹操の到着を待っておるようですね」
「冷静に分析するな!俺が言いたいのは、どうやったら曹操が鄄城に到着する前に鄄城を落せるかだ!」
陳宮の目に陣頭指揮を執る荀彧の姿が映る。
「どうやらあの文官が鄄城方の士気を大幅に向上させておるようですね」
それを聴いた呉竜が邪な笑みを浮かべた。
「ならば……その文官を消し去れば良いのだな?」
それを聴いた陳宮が少し焦る。
「貴方まさか!?」
「あの方には内緒だぞ!」
呉竜がそう言うと、巨大な百足の姿となり土埃を上げながら飛び上がった。
だが、荀彧隊は怯むどころか逆に無数の矢を象ほどもある大百足となって空を飛び回る呉竜に向かって放った。
「諦めの悪い奴め!いい加減に死ね!」
「怯むな!撃って撃って撃ちまくれ!」
しかし、呉竜の身体は非常に硬く、矢が全く通用しない。
「グワハハハ、効かんわ効かんわ!」
其処へ鯨ほどもある鷲が呉竜を掴んで何処かへ持って行ってしまった。二郎真君の七十二変化の術の為せる技だ。
「な、何だとーーーーー!?」
呉竜の断末魔の叫びが木霊する。呆れる陳宮。
「何しに来たんだ彼奴は?」
其処へ曹操軍本隊が漸く鄄城に到着した。
「荀彧!無事か!?」
荀彧が笑顔で答えた。
「臣下として当然の事をしたまでです」
曹操の到着を知った呂布は喜び勇んで全軍に突撃命令を下そうとしたが、陳宮が先に撤退命令を出していた。
撤退に不服な呂布の怒号が飛ぶ。
「なにやっとんじゃー!陳宮!?」
陳宮にとっては当然の判断であった。張超は曹操への不満で一杯だが、張邈は曹操を裏切った事への罪悪感が未だに強く、今呂布を失えば張邈軍が曹操軍に逆戻りの可能性が高い。そうなれば今回の張邈軍の裏切りが只の茶番に終わり、曹操軍へぼダメージが微々たるものになってしまうのだ。
だが、呂布の説得は予想以上に困難だった。呂布は今直ぐにでも曹操と一騎打ちがしたいのだ。神兵化した曹操の圧倒的すぎる強さが強い敵を感じると真っ先に向かっていく戦闘狂的な性格を刺激する。
魔王クラスの邪凶ですら為す術が無い。さすがの兵士30人分の武勇を誇り5種類の形態を持つ万能且つ臨機応変な武器・変々戟を自在に操る呂布をもってしても、神兵化した曹操が相手では勝てる見込みは殆ど無い。それでも呂布は曹操と戦いたいのだ。
呂布と陳宮が口論している間にも曹操軍本隊が鄄城に迫っている。焦る陳宮。嬉々として曹操の到着を待つ呂布。
だが、今回も曹操と呂布の一騎打ちは実現しなかった。背後に迫る曹操に気を盗られ城壁にいた荀彧隊をほぼ無視したからだ。
「怯むな!撃って撃って撃ちまくれ!謀反者如きに敗けるなー!」
張邈軍に降り注ぐ無数の矢。これでは戦いたくても戦えない。と判断してくれない呂布。
「俺と曹操の戦いを邪魔するな虫けらー!」
其処へ鯨ほどもある鷲が戻って来た。二郎真君が七十二変化の術を解き、いつもの額に縦長の第3の眼を持ち、鎧をつけた美青年の姿となった。其処へ哪吒と趙公明も駆け付け、3人の仙人が呂布と対峙した。
「くっそー!またしても……またしてもー!」
呂布が大袈裟に悔しがりながら渋々撤退した。陳宮は一応胸を撫で下ろした。呂布を失うと言う最悪の事態を回避できたからだ。

何とか鄄城に帰り着いた曹操軍。程昱と荀彧の働きを労う曹操。
「そなた達の御蔭で、私は無一文にならずに済んだ。よくぞ護りぬいてくれた。感謝するぞ!」
「いえいえ、私達は曹操殿の為を思ってやった事です」
それを聴いていた趙公明の不満が募る。
「其れに引き替ゑ……陳宮め!かような卑劣な真似をしおとは。許殿ぞ!」
曹操が項垂れる。
「よりによって張邈までがなぜ……」
程昱が曹操に諭す。
「裏切りは乱世の常です。友どころか、親でも殺し合うのが乱世!これを乗り越え、この様な非常な乱世を終結させてこそ真の覇者ですぞ」
荀彧もこれに続く。
「左様。こんな裏切りで殿の大望が潰されてなるモノですか!」
程昱と荀彧に勇気づけられた曹操は、再び張邈軍と戦う事を決意した。
「よし!出陣だ!裏切りは許さん!張邈裏切りの大元凶である陳宮を完膚なきまでに叩き潰す!」
こうして、兗州争奪戦が開始された。
曹操軍の本拠地である鄄城を落せない張邈軍は、濮陽に本陣を置いた。だが、曹操がこれを見逃す筈が無く、濮陽は瞬く間に激戦区と化した。
呂布が大張り切りで曹操を探したが、両軍入り乱れての大乱戦で完全に曹操を見失う。
「うおぉー!曹操は何処だぁー!」
哪吒が呂布にケチをつける。
「五月蠅い!お前の頭は戦いだけしかないのか!?」
全身武器だらけの哪吒に言われたくないと言いたい所だが、曹操との一騎打ちを熱望する呂布の姿を見れば、どっちが戦馬鹿か判らなくなる。
そんな中、1人呂布に勝るとも劣らない暴れっぷりを魅せ付けた男がいた。典韋である。重量8kgの槍を2本振り回して次々と敵兵を斬ったのだ。
「あれは典韋ではないか。何であの者が張邈軍と戦っておる?」
曹操の質問に二郎真君はこう答えた。
「張邈軍を陥れた陳宮の不義に怒り、私の許に駆け込んで来たので」
「ほーう、私が気に入っただけのことはあるな」
「はい……心強き同志と見受けます」
その武勇を認められ、典韋は曹操のボディーガードとなった。からかう哪吒。
「やったな!このこのこの!」
典韋は照れ笑い。
その時、曹操の耳に天の声が入った。
「張邈軍との戦いを一旦中断して徐州に向かう!」
荀彧が早速諌める。
「お待ちください!もし殿の留守中に兗州を奪われ、更に徐州攻略に失敗したら、どうなさるおつもりですか?」
曹操は周囲を安心させるかのように優しい微笑みを浮かべながらこう述べた。
「徐州攻略が成功するか否かはともかく、張邈軍との戦いにとんでもない邪魔者が割り込んでくるのは確実だ」

その2日後、無数の蝗の群れが兗州に出現し、張邈軍は彼らが通り過ぎるまで休戦を余儀なくされた。
その間に徐州攻略を再開。見事に陶謙を討ち取るが、張邈軍との戦いにうつつを抜かしている間に徐州は最悪な形で変貌を遂げていた。流石の哪吒も酷過ぎて無口になった。
陶謙軍や人間に転生した魔王その②配下の邪凶が毎夜のごとく徐州に暮らす民衆を凌辱したり、村祭りに参加していた農民を皆殺しにしたり、手頃な人間を食用赤ん坊を量産する為の道具として改造したり、罪も無い少年少女を子供兵士として麻薬漬けにしたりと暴虐の限りを尽くしていた。
これを見た曹操軍兵士達は、暫くの間止まらぬ吐き気に苦しめられたと言う。
徐州の士人や庶民は、陶謙の死を皆で喜んだ。陶謙の亡骸は逆さ吊りにされ、衆前の晒し者となった。陶謙を死に追いやった曹操を徐州の士人や庶民は英雄視した。
さて、このまま徐州が曹操の物となるかと思えば、なんと曹操は辞退してしまった。邪凶のモノとはいえ無数の躯と血で徐州を汚した罪を重く受け止めて出した結論であった。また、無事に曹嵩父子の仇を討った事で徐州への興味を失ったのも徐州刺史辞退の一因でもあった。
それから暫くして、曹操の許に新たな徐州刺史の車冑が挨拶にやって来た。
「このままでは徐州に人が住めなくなります。どうか御力を」
「私は徐州の惨劇をつぶさに見て来た。あのような事がこの世に在ってはならない。早急に立て直しましょう」
車冑はこんな風に近くの州刺史に助力を求めていたが、袁術は聞き入れていないらしく、揚州刺史の陳温の死後の混乱につけこみ、揚州を奪取し寿春を拠点とした。正式な揚州刺史の後任である劉繇(字は正礼)は袁術を恐れて曲阿に駐屯せざるをえなかった。
この様な信用出来ない野心家が隣にいて、しかも領地は前任者の冷酷暴虐によって荒れ放題。車冑の苦労は想像を絶するものとなろう……。

それから暫くして、漸く無数の蝗の群れが兗州から去ってくれたので、曹操軍と張邈軍との戦いが再開された。

興平2年(195年)春、曹操軍は定陶郡を攻撃。南城を陥落させられなかったが、折り良く呂布が着陣してきた。
「うおぉー!曹操は何処だー!」
相変わらずな呂布。曹操を探し求めて戦場を彷徨う。曹操は遂に呂布との一騎打ちをする事になった。
「ほお、呂布、おぬしか」
「この時を待っていたぞ曹操!」
曹操から見れば、呂布は必ず葬らねばならない相手ではなかった。しかも曹操は、ここで呂布を斬る気は全くなかった。
「いくぞー!」
呂布の叫びに曹操は無言であった。
呂布は曹操の繰り出す斬撃を悠々と捌きながら叫んだ。
「何をしている曹操!なぜ神兵化しない!?」
それに対して呂布の変々戟をかわすのが精一杯な筈なのに呂布を褒める余裕さえある曹操。
「さすが歴戦の強者、見事だ」
「ほざくな!」
呂布は必死だ。其処へ哪吒が軽口をたたく。
「サッサと俺に替われー!」
それを聴いた呂布が言い放つ。
「黙れ!邪魔するな小娘!」
哪吒が曹操の意思を無視して呂布に飛びかかろうとしたので、二郎真君が後ろから哪吒を羽交い絞めにした。
「放してくれ!もう我慢ならねえ!」
だが、曹操の言葉によって場の空気が一気に重くなった。
「ねぇ、“弱い”ってそんなに悪い事なの?たとえ弱くても微力を尽くして生き続けようとする。それを祈った心は、裁かれなきゃいけないほど罪深い物なの?」
さっきまでふざけていた哪吒が冷や汗を湯水の様に出していた。
(重めぇ……最初とは比べ物にならないほど重めぇよ。まるで自分の想いを込めた一撃だぜ)
「ふざけんな!そんな権力者の綺麗事に縋った結果がこれだ!陶謙に裏切られ、張邈に裏切られ、それでもそんな軟弱な綺麗事に縋るか!?」
それに対して曹操は笑顔で言い放つ。
「呂布。貴方の野望は若い。非常に若すぎて赤ちゃんの様に脆い」
「馬鹿げた事を言うな!敵など力でねじ伏せれば良い!今の世に必要な物は力だ!」
「誰だって自分の安寧を壊されたくないし、誰だって自分の命を丁重に扱いたい。それが解らない内は、貴方の野望は若いままだ。その様な者に神兵化を使う必要は……無い!」
曹操の渾身の一撃が呂布を1m程吹き飛ばした。これを好機と見た荀彧が号令をかける。
「全員で呂布にかかれ!呂布さえ片付ければ、後は如何って事は無い!」
どうやら、曹操と呂布との戦いに手を出すなと言う命令に対して遂に我慢でき無くなった様だ。そして、我慢できなくなった男がもう1人いた。
「待て!この典韋様が相手だ!」
曹操軍の全員が、八方から呂布目掛けて殺到する。
「どうやら、俺だけに的を絞った様だな。今日はこれまでにした方が良さそうだ。また会うぞ曹操!」
そう言うと、口笛を吹いて愛用の赤い重種馬・赤兎馬を呼んだ。
「赤兎馬、頼むぞ!」
と赤兎馬に声をかけ、曹操軍の囲みを破って逃走した。
「待てコラー!」
典韋が必死でそれを追うが、とても追いつけなかった。

同年夏には鉅野を攻めて薛蘭や李封を撃破し、救援に現れた呂布を敗走させた。
呂布は陳宮ら一万と合流して再度来襲してきたが、この時曹操軍はみな麦刈りに出向いて手薄だったので、曹操は急遽軍勢をかき集めると、伏兵を用いて呂布軍を大破した。呂布は車冑を頼って落ち延びた。
同年8月、張超は雍丘に籠城し、曹操の猛攻撃にも懸命に防戦した。しかし同年12月、ついに雍丘が陥落したため張超は自殺に追い込まれてしまった。
同年秋、根拠地の兗州を全て奪還した曹操は、兗州牧に任命された。張邈は袁術に援軍を求めに向かったが、部下に捕らえられてしまう。
曹操は張邈の家族は勿論、本人も許すか許すまいか迷う。
しかし、張邈は厳しい現実を突きつけるかのように言い放つ。
「私を処刑して、軍法を明らかにすべきだ」
張邈の覚悟を知った曹操は涙ながらにこう言った。
「天下を治める者は人の親を殺したり、祭祀を途絶えさせたりしないものだ」
曹操は涙ながらに刑場に向かう張邈を見送った。しかし張邈は振り向かなかったという。
(皮肉なものだな。裏切り者の俺が、遂には部下に裏切られて命を落とす事になろうとは……笑ってくれ……曹操)
これを見た典韋は大泣きした。
「うわあーーーん!辛いよう!曹操様も張邈様も悲しすぎるーーー!」
曹操は精一杯の虚勢を張りながらこう述べた。
「これが戦いというモノなのだ。たとえ父弟を失い、友を失おうとも、私は戦いを辞める訳にはいかん!この覇王の道をひたすら突き進むのみ!」
曹操は張邈の三族(父母・兄弟・実子と養子)を引き取って厚遇し、娘も嫁ぐまで面倒を看たのだった。
 
 

 
後書き
曹操聖女伝も第4章となりましたが、御蔭でウィキペディアで曹操を見る回数が大幅に増えました。あと、創美社コミックスの三国志英雄伝曹操には大変お世話になっております。

今回から私のお気に入りキャラである董白が登場します。イメージは魔法先生ネギま!の宮崎のどかと真・恋姫†無双の雛里(鳳統)の組み合わせです。しかし、今回は徐州大虐殺がメインとなっている為、もの凄く美化が難しかったです。何とか邪凶のせいにして乗り切ったつもりですが……。
あと、ここにきて漸く人間に転生した魔王その②が動き出しましたが、未だに本名が明かされていない通り、曹操と人間に転生した魔王その②との戦いはかなり長引きます。

遅いとは思いますが、曹操聖女伝は暁以外にもpixivや星空文庫にも投稿しています。もしよろしければリンクを貼ってありますので是非。
 
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