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【完結】剣製の魔法少女戦記

作者:炎の剣製
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第五章 StrikerS編
  第百五十七話  『決戦(1) フォワード陣の戦い』

 
前書き
更新します。

結構執筆が捗っていますので更新日数が短くなっていますね。

まぁ、戦闘ばっかですからね。

ではどうぞー。 

 




Side クロノ・ハラオウン



『…クロノ、聖王のゆりかごの詳細は今のところこれで全部だよ』
「わかった。感謝するよ、ユーノ。お前がいなかったらもしかしたら情報が伝わらずに後手に回っていたかもしれないからな」

ユーノからゆりかごの詳細を聞き、思わず歯噛みする。
二つの月の魔力が受け取れる位置まで到達してしまったら、本格的に地上を滅ぼせるような攻撃が可能となる。
しかも空間攻撃も可能とするとは…。
これでは僕達の艦隊ともさしでやりあえるではないか。

「これではスカリエッティを捕まえてもゆりかごが止められなければそれですべてが終わってしまう…」
『そうね』

母さんも同様らしく相槌を打っていた。
そこにユーノと一緒にいるアルフが顔を出して、

『スカリエッティはフェイトと、それにアリシアが捕まえるよ! だってフェイトは今までスカリエッティを捕まえるために頑張ってきて、アリシアもそんなフェイトを応援しながらも鍛えてきたんだから!』

アルフの力のこもった言葉に僕は「そうだな」と答える。

『なのはも、きっとシホが救ってくれるはずだ。僕は信じているよ。だってシホはいつも絶望的な状況を覆してきたんだから』
「ああ。それにリミッターを完全解除されたシホには僕達の常識を覆す切り札がある。もしかしたら僕達が到着する前にけりをつけているかもしれないという楽観的希望も浮かんでしまうほどにな…」

僕のその言葉に、しかし母さんが、

『でも、それだけシホさんはまた無茶をしてしまうということよね。無事に帰ってきて欲しいと思っているわ』
「そうだな、母さん。しかし大丈夫でしょう。シホには頼れる騎士二人と姉がいますから」
『アルトリアさんにネロさん、イリヤさんね。そうね、彼女達がいればシホさんのストッパーにはなってくれるでしょうね』
「はい。だから今は現状出来ることは進めておきましょう。たとえ無駄に終わってしまうと思えてもね」

僕達はシホ達を、機動六課を信じているからな。
だから、頑張ってくれ。みんな。
僕達は今はそれだけを祈るだけだった。



◆◇―――――――――◇◆



Side レン・ブルックランズ



僕達が戦闘機人とラン姉さんを迎え撃つ地点まで向かう途中で先に志貴さんとアルクェイドさんが降りていった。
どうにも暴れてくるという。
それで到着ポイントまで後、少しというところでガジェットⅡ型に襲われていた。
でもアルトさんの飛行の腕でなんとか持ちこたえている。

「アルト! ハッチを開きながら飛べるか!?」

ヴァイスさんがそうアルトさんに吠えた。

「はい! ヴァイス陸曹、いけます!」
「上等! 士郎の旦那! 俺達二人で狙撃しますよ!」
「いい案だ、ヴァイス。私もそう考えていたところだが先に言われてしまったな」

ヴァイスさんの言葉に士郎さんはクツクツと笑みを零してその手にブレイドテミス・ボウフォームを構えてハッチが空いたのを見計らって、

「狙い撃つぜ!」
「射抜く!」

ヴァイスさんの狙撃と士郎さんの弓矢による射撃が背後に迫ってきていたガジェットⅡ型を全部射抜いた。

「さっすがご主人様(マスター)です! ますます惚れさせていただきますよー♪」
「しかし、本来Bチームである私とキャスター、ヴァイスがスバル達が心配となり残っておいてよかっただろうかね?」
「いいんじゃないっすか? あっちは志貴さんとアルクェイドさんだけでガジェットごときに遅れは取るとは思えないっすから」
「確かにな」
「腕を切られても平気な顔でいるお方に心配は不要ですよ、ご主人様(マスター)

微妙に毒を吐いているキャスターさんの言葉はこの際、聞かなかったことにしておこう。
アルクェイドさんが聞いたら怒って反転しちゃいそうだし…。

「みなさん! そろそろ現場に到着します! どうかお気を付けて!」

アルトさんの声に僕達は構える。
それでティアさんと会議を開始する。

「さて、それじゃ事前にチェックよ。ここは最前線(フロントライン)…だからあたし達はなんとしてでも戦闘機人を足止め、さらに捕縛しないといけない」
「首都防衛隊の人達はAMF戦闘や戦闘機人との戦闘は慣れていないからね」
「そうね。だから私達で止めるわよ、スバル」
「うん、ギン姉!」
「僕達も精一杯頑張ります!」
「はい! そしてランさんが来たら即座に捕縛して洗脳を解く事が最優先です!」
「うん。ラン姉さんは僕に任せて。僕が強くなったところを見せるんだ…そしてさらに先に行く!」

僕がそう宣言する。
それにギンガさんが僕の肩に手を置いて笑みを浮かべながら、

「もうレン君は充分強くなったわよ。それはもうみんなわかっているから…だから絶対にランを助けましょうね」

ギンガさんの言葉にみんなの顔を見回す。
すると全員が無言で頷いてくれた。
うん。もう弱気な僕とはお別れだ。
だから…!

「皆さん、頑張りましょう!」
「「「「「うん(おう)!」」」」」

それで僕達はヘリのハッチから全員飛び出した。
バリアジャケットを纏い、僕はすずかさんから移動用の形態も聞かされていたので使用する。

「アウル! フライトシールドを!」
《はい! フライトシールド起動》

それに従って僕の片方の盾が腕から外れて巨大化し僕一人が乗るのに十分なほどの広さとなり浮かび上がる。


フライトシールドシステム。
すずかさんが新たに開発した移動&飛行用の魔法円盤であるこの装置はアウルの魔改造の一つの成果である。
これは僕の魔力で浮かんでいるのでガス欠になったらピンチになるけど移動する際だけの魔法なのでそんなに魔力使用量も激しくない。


見れば、フリードも竜魂召喚で巨大化しエリオ君とキャロちゃんを乗せて飛行している。
スバルさんとギンガさんもマッハキャリバーとブリッツキャリバーを駆り走っている。重くなったって聞いたけどそんな気配は見せていないので頑丈だな、と思った。
唯一走りでティアさんがついてきているけどそれでも充分早い。常日頃からの体力訓練の賜物だね。
士郎さんとキャスターさん、ヴァイスさんはヘリからは飛び降りずにヘリの警護をする、そしてもしもの時のための予備戦力というらしい。
だから僕達だけでやらなきゃいけないんだ。頑張ろう!



◆◇―――――――――◇◆



Side トレディ



『………チンク姉様。あちらから数人かが向かってくるよ』

オットーの通信に私は即座にレンさん達が来たと思った。

「ケッ! 上等だぜ! チンク姉、セカンドはあたしが相手をするぜ」
「気をつけるんだぞ、ノーヴェ。正面から迎撃ってくるということはそれだけこちらに勝つ自信があるということだ」
「大丈夫だって!」
「そんならノーヴェと一緒にあのオレンジとも相手をするッスよ。ディードはどうするッスか?」
「でしたら私も一緒に付き合わせていただきます」

………セカンドと幻術使いの子にはどうやらこの三人が挑むようですね。
姉としましては心配ですが、頑張ってもらいたいですね。

「ところであのちびっ子二人と飛龍は…」

ウェンディがそうオットーに聞くとオットーが通信で、

『あの二人はルーテシアお嬢様が相手をしてくださるそうです』
「………でしたらレンさんのお相手は私とランさん」
「ファーストの相手は姉の役目ということだな。あの時の決着をつけるのもいいかもしれないな。ではいくぞ! 姉に続け!!」
「「「「「おう(はい)!」」」」」

チンク姉様の言葉とともに私達は挑んでいった。



◆◇―――――――――◇◆



Side ギンガ・ナカジマ



キャロとエリオ君があの時の紫の髪の召喚士の少女を追っていったところで、私達は今離れるのはまずいと思った。
でもその時、私とレン君・スバルとティアナの間にあの時の眼帯少女のナイフが突き刺さり爆発を起こした。
それによってスバルとティアナとは分かれてしまった。
そして私とレン君の前には眼帯の少女と、あの時のトレディという少女、そしてランの姿があった。
その瞳には光が宿っていないのでやはり洗脳されていると踏んだ。
私達で助けないといけないわね。

「ラン姉さん! きっと助けるからね!」
「………」

レン君がそう叫ぶがランはその表情を一ミリも変えずにバルムンクを構えて切っ先をレン君に向けてきた。

「やっぱり、やるしかないんだね。ラン姉さん」
「トレディ。ファーストの相手は姉が務める。だからそちらも二人がかりで頼むぞ」
「………はい、チンク姉様」

そう、あの子の名前はチンクというのね。

「IS・ランブルデトネイター!」

戦闘機人のテンプレートが光り輝き、先ほどと同じように私とレン君の間にナイフが刺さり分断される。
そして私にはチンクが迫ってきて、

「あの時は名乗れなかったが私の名はチンク! 今度こそお前を捕獲する!」
「こちらこそ! 私はギンガ・ナカジマ! あなたを捕縛します!」

そして戦いが始まろうとした時にティアナから念話が伝わってきて、

《みんな! 無理に倒す必要はないわ。少しでも時間を伸ばして時間稼ぎをして! それなら少しは奴らの行動を遅らせられるから!》

そう伝わってくるが、

「フッ…浅はかだな。その程度で我らを倒せると思っているとはな」

ッ!? 念話が筒抜けになっている!?
それにティアナもわかったらしく、

《それじゃこれで念話は終了するわ。みんな、頑張って。あたしもスバルと一緒に戦うから!》

どうやらティアナは無事スバルと合流できたみたいね。
なら大丈夫ね。あの二人のコンビはかなり強いからね。
あと、心配といえば一人で戦っているレン君だけど、

《ギンガさん! 僕なら一人で大丈夫です。そちらはそちらで頑張ってください!》

そう伝わってきたので私は信じることにした。
今のレン君なら大丈夫だという確信があるから。
というわけで、

「では、いくぞ?」
「どこからでも!」

私とチンクとの戦いが始まった。



◆◇―――――――――◇◆



Side スバル・ナカジマ



「ティア。3対2だけど…どう見る?」
「スバル、その質問は愚問よ。あたしとあんたの力が合わされば…」
「「最強!」」

ティアと同時にそう叫ぶ。
さて、それじゃ行こっか。
奴らを倒しに…!

「…よう。お前達二人で大丈夫か? 半人前程度の腕なんだろ?」

赤髪の子がそう話しかけてくる。
けど、

「お構いなく。それよりそっちも三人だけで大丈夫なのー?」

そう挑発する。
すると思ったとおり赤髪の子は怒り心頭の表情で「なんだとッ!?」と叫んでくる。
ティアが小声で「状況判断能力を下げる作戦、行くわよスバル?」と言ってきたので、

「うん!」

笑顔で頷いておいた。
あちらも盾持ちの子が「ノーヴェ? また癇癪が出ているッスよ? 落ち着くッスよ」と宥めている。
剣持ちの子も少し疲れた表情でいる。
どうやらあんまりあちらはチーム仲はよくないみたいだね。
これなら、いける。

「行くよ! ウィングロード!!」

あたしはウィングロードを展開して空を駆ける。
それに赤髪の子…ノーヴェは同じくエアライナーとかいうISであたしに追いついてきた。

「あたしの得意な領域に入ってくるなんて度胸あるね!」
「うっせ! あたしもこれはお前には遅れをとらねーよ!」
「とか言いつつ前はやられていたよねー?」
「こンの野郎! 嫌なもん思い出させんじゃねーよ! はぁー!!」

ノーヴェが蹴りを放ってきたが、あたしはその向かってくる足に目掛けてカウンターのごとく拳をぶつける。
それによってホイール部分がすぐに摩擦を起こしてギャリギャリと唸りをあげていた。

「ッ! こんのー!」
「ゼロ距離! いける!」

リボルバーナックルを嵌めている手とは反対側の手を握りしめて、魔力をこめる。
そして本来弱いはずの拳の殴打をノーヴェの腹に叩き込む。

「ガッ!?」

だがそれはノーヴェには効果覿面だったようで見事に腹を押さえてうずくまる。

「うぅっ…てめぇ、何をしやがった…!?」
「んー、内緒だよ」

ただ、浸透する拳を叩き込んだだけ、って教えても理解できないと思うしね。

「さて、諦める…?」
「誰が…!」

それからまた戦闘は続く。



◆◇―――――――――◇◆



Side ティアナ・ランスター



スバルはいいように戦闘を有利に運んでいるようね。
それじゃあたしも頑張るとしましょうか。
右手はダガーモード、左手はガンモードで構えてあたしは二人に立ち向かう。

「シッ!」

両手剣の子があたしに向かって剣を上段で振り下ろしてくるが、その程度の剣筋。
シホさんの攻撃と比較すればとても遅い。
ネロさんやアルトリアさん、ランサーさんの放つスピードに慣れてしまっているあたしにとってはとても遅いのだ。
ダガーモードでいなして、次には瞬動術で剣持ちの子の背後に回り込み、銃を放とうと…。

「ディード! 避けるッス!」

盾から砲撃を放ってきたウェンディの攻撃はあたしには直撃した。
だけどそれは残念だけど幻術なのよね。
瞬動術を使う前に幻術で増やしておいたあたしの分身であざむく。
そして二人がちょうど並ぶ位置になったので、

「クロスファイヤー…シュート!!」
「ッ!」
「わわわッス!」

二人はなんとか避けていたけど、スレスレで避けている程度ではなっていないわね。
これならサードモードを使うまでもないかしらね?
そう思った瞬間だった。
頭にシホさんの叱咤の声が聞こえてきたような気がした。
それはつまり、

「(慢心はするな。常に本気で挑め、って事ですよね? シホさん)」

そういうことだ。
相手は追い込まれた時が一番危ないのだ。
何をしでかすかわからないから。
だから常に先を読んで撃墜することを考えよう。
足元を掬われたらたまらないからね。
だから本気で倒しに行く!



◆◇―――――――――◇◆



Side エリオ・モンディアル



僕とキャロとフリードは紫の髪の女の子とガリューと戦闘を繰り広げていた。

「どうしてこんなことをするんだ!」

僕が叫ぶが女の子は無言を通す。

「お願い、話して! 話してくれなきゃどうにもできないよ! だから手伝えることなら教えて!」

キャロもそう語りかける。
だけど女の子はダガー状のナイフを放ってきた。
僕はガリューの攻撃を払ってブースターを吹かしてキャロの前に立ってナイフをなぎ払う。
ガリューも女の子の隣にやってきて両手のブレードを構える。

「お願いだから…!」

キャロも語りかけをやめずに続ける。
それで少女は少し迷いの表情を浮かべたのを僕は見逃さなかった。
これならまだ話せる余地はあるかもしれないから。
僕達はこの女の子の心を救いたい。
この子の瞳はとても寂しいものを感じる。
だからその理由をまずは聞き出さないといけない。
だから戦いながらも語りかけはやめないんだ!



◆◇―――――――――◇◆



Side レン・ブルックランズ



あちこちで戦いの音が聞こえてくる中、僕はトレディとラン姉さんと向かい合う。

「トレディ…。ラン姉さんを開放、してくれないかな?」
「………それは無理です。ドクターの命令ですので。………それに、私はレンさんをこの手にするために手を尽くさせていただきます」
「どうして、僕にそんなにこだわるの…?」
「………レンさんを、どう気になるかでしょうか。………そうですね、一目見た時からあなたの事が気になって仕方がないのです。………だから私はこの胸をくすぶる気持ちを知りたいのです」
「それって…」

それって所謂、一目惚れって奴?なのかな…?
僕の表情を察したのかトレディは、

「………それはなにか知っている顔ですね。ぜひ、教えてください!」
「そ、それはね…?」
「………それは?」
「い、言えないよ!」
「………そうですか。ならば力ずくで聞かせていただきます」
「ああ、もう!」

なんでこんな変な空気になってしまったんだろうか!?
なんかどことなくラン姉さんの表情も影が差してきているのは気のせいかな!?
二人して武装を構えてくる。
でも、さっきまでの空気はすぐになりを潜めたのか二人は真剣な表情になっている。
なら、

ジャキッ!

僕は両手のアウルを構える。
もう砕かれることはないはずだ。

「そうだよね、アウル!」
《はい。私はもう砕かれることはありません。私を信じてください、マスター》
「うん。いくよ!」
《はい!》

それで僕は片方の盾を掴む。

「クライスブーメラン!」

盾を放ち、

「………噛み砕け。クラッシャーバイト!」

放った盾とトレディの蛇の顔の武装が衝突する。
蛇は盾を噛み砕こうと歯を伸ばすが、

「無駄だよ! アウル!」
《回転を上げます!》

魔力によって回転速度を上げて摩擦を起こさせて弾く。
そして盾は僕の手に戻って装着される。

「よし! 砕かれていない!」
「………驚きました。レンさんのデバイスはかなり頑丈になられたのですね。ですが…ランさん」

ラン姉さんが前に出てバルムンクを構える。
そして赤い魔力が立ち上り、バルムンクはサードモード…魔力大剣モードに変化する。
本来ならフェイトさんのザンバーモードのように青白いザンバーのはずが今は赤く染まっている。
これはきっと改造されちゃったんだね、バルムンク…。

「………さぁ、耐えられるものなら耐えてください」
「うぁあああああーーー!!」

ラン姉さんがバルムンクを横薙ぎに振るってきた。
それを僕は、

《プロテクション・ギガントス》

パワードの上を行くギガントスでなんとか防ぎきる。
でも、すごい衝撃だ。

「アウル、大丈夫…?」
《平気です。それよりアブソープを開始します》
「うん。ここからは持久戦だから頑張ろう、アウル!」
《はい!》

二人を相手に僕は勝たなきゃいけないんだ。
そしてラン姉さんを救い出す!


 
 

 
後書き
最初はフォワードから書いてみました。

次回はフェイトかシホか、どちらにしようかと検討中です。

それではご意見・ご感想・誤字脱字報告をお待ちしております。

では。 
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